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【オートー星】その2
「それで田口様。こうして電波を受信できたのも何かの縁ですし、あなたのことを聞かせてください」
『俺のこと?』
「ええ。シラン人の善悪を区別しなければいけません」
『しつれ……おおっとなんでもないよシツ。わかったよ。とりあえず話せばいいんだろ? なにから言えば?』
「足のサイズとかでしょうか」
『お前ふざけてるの?』
『宇宙は広いですよ。前担当したシラン人は、からだがゼリー状になっていたのです。この質問は相手がどういう体系をしているのかを判断する、重要な質問だと思います」
『はあ。25だよ。指の数は五本。……なんでこんなこと初対面の奴に言わないといけないんだ』
「そういう星です」
『それ、もういいって。わかったから』
「田口様はなにか仕事をされているのでしょうか」
『学生だよ。中学校』
「チューガッコ?」
『みんなで集まって勉強する仕事をしてんの』
「へえ。僕のとことは大違いだ。こっちは、ただ話を聞くだけの仕事ですよ」
『めちゃくちゃつまらなそうな仕事なのに、お前のせいでめちゃくちゃ楽しそうだ』
「よく言われます」
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「それで田口様。今困ってることとか、悩んでいることとかありますでしょうか? 僕も仕事ですので、相談に乗りますよ」
『今の流れ全部が頭痛につながってるよ』
「僕のせいで頭がいたくなったんですか?』
『………そうだよ』
「遠く離れていても、言葉の力が他者に与える影響は大きいってことですね」
『綺麗にまとめてんじゃないよ。痛いよ。痛みがさらにひどくなったよ。名は体を表すって言葉の意味がようやく理解できたよ』
「マスターはすごいでしょう」
『色んな意味で凄いし、君の国も色んな意味で凄い』
「褒めていただき光栄です」
『褒めてないって』
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「ではシラン人。今回はお時間いただきありがとうございます。無事データを収集できました」
『俺の名前と出身地と足のサイズだけで大丈夫なの?』
「あとはなんか凄いマシーンがテキトーにやってくれます」
『心配だよ。めちゃくちゃ心配。そっちに行きたいよ』
「ありがとうございます。楽しんでいただけたようでなによりです」
『なんだろう、不安しかない』
「それでは僕はちがうシラン人の対応をしなければいけませんので、この電話はここで終了しますね。田口様」
『はいはい。なんか明日テストさぼろうかと思ったけど、どうでもよくなったわ』
「これがオートー星のカウンセラーです」
『………んじゃ。切るよ、シツ・レイ』
「また会えたら、一緒にお話ししましょう。田口様の話し方って会話が弾みますね。なんででしょう」
『ボケとツッコミがいるからだよ……』
【X月X日 シラン人・日本人のデータを記録】