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プラネット・ホットライン
作者: むう  (総ページ数: 8ページ)
関連タグ: SF ショートショート コメディ 宇宙人 カオス 短編集 
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*5*

 【異世界転星】

 「こちらオートー星。オートー星。応答願います」
 『……なんだこれは。【スキル】発動時の謎の声か!?』

 「ちょっと何言ってるのかわかりません」
 『ほほお。こういうのはだいたい訳わかんなくなるのはこっちなんだが、どうやら今回は逆と見た』

 「こちらはオートー星。シツと申します」
 『そしてそして、大賢者とか小賢者に名前があるパターンね。はいはい。うわー、ラノベの読み過ぎでどんな展開にも対応するボクやば』
 「全然対応してないですよ。らのべとはそちらの言語ですか?」

 『は? あーはいはい。またそうやってはぐらかして。そうだよな、だいたい皆そうやって一旦引くんだよ』
 「僕は違う意味でちょっと引いています」
 『さあ早くスキルくれよ。そんでよお、美少女とキャッキャウフフしてよお、なんかこう、和気あいあいとしたいわけよ!』


 「話が見えてこないのですが、そちらは何という星ですか?」
 『知らないよ、こっちが聞きたいよ。なんか、車に轢かれて異世界転生……ってよくある王道じゃん。でもボクが轢かれたのはなんだと思う?』
 「なんですか?」
 『三輪車だよ! 子供が横断歩道渡ろうとしてて危ないから駆け寄ったら肘に激突したわけ! その衝撃で車道に出て車にはねられたわけ! つまりあれだ……二次災害なワケ』
 
 「ええーと、話を整理するとあなたは事故られたというわけですか?」
 『そうだよ。まさかのそっちが異世界転生知らないパターン?』
 「僕はオートー星の住民です。大賢者? ってなんですか?」
 『え、待って宇宙人? リトルグレイみたいな?』
 「リトルグレイもわかりませんが……ま、そんなもんです」
 『うーわ、やべぇ。嫌な予感しかしないんだけど。あれだろ? スキル【触手】とかで、某漫画の先生みたいにタコになるんだろ? そういう能力を与えるつもりだろ?』


 ―――――――――ー

 「僕が与えられるのは多分コミュニケーションスキルくらいのものです」
 『コミュ障なめてんの?』
 「でも今は流ちょうに喋っておられますが」
 『オタク特有の早口って奴だよ空気読めよ! ……あ、相手宇宙人だった……。マジで宇宙人なの?』

 「そちらのくくりで言えばそうなります」
 『マジか……』
 「つまり要約するとあなたは自分のいる場所の名前も知らないと」
 『マジで何も分かんない。白い空間に横になってる。多分この後かわいい女の子オアあやしい集団が出てくると踏んでいたところにお前の声だ』

 「なるほど理解できません」
 『……てっきり神かなと思ったんだけど、そうか、リトルグレイか」
 「多大な誤解を生んでそうなのですか……」
 『そうだよね。まず文化が違う。ラノベもなにもないよな。ラノベっていうのはな、ふとしたことに男の子が車にひかれて、知らない場所で知らない女の子とイチャイチャする話のことだよ』

 「………ふとしたことでなるようなものなんでしょうか」
 『ファンタジーだからそこは突っ込まないでよ』
 「え、事故ったのになぜあなたはまだ生きているんですか?」
 『あー、そこからか!? そうだよな、そういう話の流れだったよ!』

  ――――――――――ー

 「あなたの話をもっと聞きたいです。貴方のお名前は?」
 『田口だよ』
 「……奇遇ですね。この前、同じ名前の人と話しました」

 『……ボクの弟がなんかブツブツ言ってたけど、もしかして足のサイズが何とか……』
 「それ僕です」
 『――――は!? マジで? なに、兄弟そろって呪われてんの? 【電話に出ただけなのに】と【転生したら大賢者が宇宙人だった件】で全国上映できそうだよ』
 「……わけがわからないよ」
 『【宇宙少年 マジカ★マジカ】も上映決定! ……ってなるかああ!』


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