コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- 片方向の赤い糸[名前を豆猫に変更しました]
- 日時: 2016/07/10 13:34
- 名前: ユイ (ID: JLwNROZ9)
- 片方向の、赤い糸。 
 いつか、アナタへつなぎたいからー・・・
 今日も、明日も、あさっても。
 少しずつアナタに、近づきたい。
 一途で、一生懸命で、切なくて、不器用な。
 そんな、ひとりの女の子の恋物語。
- Re: 胸の高鳴り。 ( No.6 )
- 日時: 2016/07/10 14:14
- 名前: ユイ (ID: JLwNROZ9)
- —彼と、ぶつかったんだ。 
 「いっ…。ごめん、大丈夫?」
 目の前にある、整った顔。
 …一瞬、見とれてた。
 「ねぇ、大丈夫?」
 「…あっ、ごごごごめんなさいっ!」
 ハッと我に返り、慌てて彼から離れる。
 「大丈夫?ケガしてない?」
 「大丈夫、です…。本当にごめんなさい……あ」
 気が付くと、当然ながらに大量のノートとレポート用紙が、見事に廊下にぶちまけられていた。
 な、名前順に回収したのに……。地味な作業が水の泡になって、がっくりと肩を落とす。
 「あぁ、君も尾崎先生から雑用頼まれた?」
 尾崎先生は、学年主任の先生。さっき教室に来た先生のことだ。
 「え、はい……。“君も”って、ことは、」
 「うん、僕も学級委員なんだ、7組の。ちょうど今ノートとレポート提出してきたところ」
 「あ、なるほど……。えっと、とにかくすみませんでした!」
 早く集めて先生に渡さなきゃ、昼休みが終わっちゃう。いそいそとレポート用紙から拾い集め始めると、視界にもう一つの手が飛び込んできた。
 「僕も手伝うよ」
 「え、いやでも……」
 「これ一人で集めるの大変でしょ。そもそもよくここまで一人で運んでこれたよね、この量。女子にはキツイって。……尾崎先生も容赦ないなあ」
 “女子には”……。
 あまり女の子扱いというものに慣れていない私には、その言葉が少しくすぐったかった。
 「名前順でいいんだよね?」
 「え、あ、はい…。すみません、手伝ってもらっちゃって…」
 「ダメ」
 「へ?」
 “ダメ”って、何が?
 「すみません、じゃなくて“ありがとう”な?」
 彼が優しい笑顔を浮かべる。
 その表情を見た瞬間、
 …トクン。
 という胸の高鳴りを、確かに感じたんだ。
- Re: これって恋なの? ( No.7 )
- 日時: 2016/07/10 12:29
- 名前: ユイ (ID: JLwNROZ9)
- (いや…いやいやいや…なんでドキドキしてるの私!いやうん、彼の…彼の顔が綺麗だからだよね!うん、そうだ!) 
 何に対するものかわからないけど、なぜか心の中で必死に言い訳をする自分がいた。
 「どうしたの?固まっちゃってるよ?」
 彼の顔が近づく。
 「ぇ…っ!?」
 かぁぁぁっと、頬が熱くなっていくのを感じた。
 「集め終わったけど…」
 「え、早っ…。全部やらせちゃってごめ—…あ。…ありがとう」
 また謝りかけたのを慌てて言い直す。
 それを聞いた彼は、満足げな笑顔を浮かべた。
 「よくできました」
 「…っ」
 トクン、トクン、トクン…!
 (また…)
 どんどん速く、強くなっていく胸の鼓動。
 「っ私、先生にノート提出してきますっ…」
 「あ、うん。ねぇ、名前聞いてもいいかな?」
 「へ、あ、望月 桜、です…」
 「望月、 桜…」
 不意に、彼がクスッと笑う。
 「な、何か…?」
 「いや。確かに“桜”って感じだなと思って」
 「?」
 どういう意味だろうと首をかしげると、彼はちょっぴり恥ずかしそうにこう言った。
 「なんか…ほんわかした……女の子っぽい、というか……」
 「…〜っ!?」
 彼も少し照れくさいのか、気まずそうに目線を逸らした。
 「……」
 「……」
 「あ、あなた、の名前、は…?」
 沈黙が気まずくて、でも少しくすぐったくて。
 でもなぜかその雰囲気が妙に恥ずかしくて。
 私が先に沈黙を破った。
 「あ、僕は、藤本 春樹。よろしくね、望月さん。」
 「は、いっ…、こちらこそっ」
 「うん。あと…」
 藤本君は、今までで一番楽しそうな笑顔を浮かべて言った。
 「次会うときは敬語じゃなくてタメ口で、ね」
 それは、また会おうっていう、秘密の約束みたいで。心がキュッと締め付けられるのを感じた。
 「は、い…」
 「じゃ、またね」
 私は、去っていく彼の背中を、火照った顔でしばらくぼ〜っと眺めていた。
 「あ、今度こそ提出しなきゃ…」
 職員室のドアを開ける。
 「失礼します。3年3組の望月です。尾崎せんせ…あ。」
 「おぉ、望月。持ってきてくれたのか。ありがとう、そこに置いておいてくれ」
 「はい。じゃあ失礼します」
 「望月」
 「はい?」
 「顔赤いぞ。しんどかったら無理せず保健室いっとけよ?」
 「…、はい…」
 失礼しましたと言って職員室を出る。
 「顔、赤い…?」
 フラフラっと、すぐそばのトイレに入る。
 そこの鏡に映る私の顔は、熟した林檎のように、真っ赤だった。
 「……すごい、真っ赤……」
 これって、恋、なの…?
- Re: 好きっていう名の恋する気持ち ( No.8 )
- 日時: 2015/07/19 00:11
- 名前: ユイ (ID: 4mrTcNGz)
- ☆☆☆ 
 ぼふっ。
 放課後。家に帰ってきてすぐ、自分の部屋のベッドに倒れこむ。
 「はぁ…」
 あの昼休みの後。周りの子に何回も心配して声をかけられた。
 すごくぼーっとしていたし、顔もずっと赤かったらしい。
 彼のことを考えると、胸が鳴る。
 胸が苦しいような、しめつけられるような、変な感覚に襲われる。
 甘酸っぱいような、不思議な気持ちに正直戸惑っている、私。
 胸が鳴るのは彼のせいなのかな?この気持ちの正体は…
 「恋…?」
 わからない。ずーっと同じことを考えても答えが出ない。
 「あああああああああああ〜〜〜〜〜っ、わかんないよ〜〜〜〜!」
 思い切り叫べば少しスッキリするかと思って叫んでみるけど、効果はない。
 それどころか、
 「もう、さっきから何ギャーギャー騒いでんの、桜!」
 …姉に怒られてしまった。
 ☆☆☆
 10分後。
 私はベッドに腰掛け、姉に相談していた。
 今ちょうど今日の出来事と今の気持ちを話し終わった。今高校2年生の姉は、なんだかんだで優しくて、いつも相談に乗ってくれる、頼れる存在だった。
 (この手の相談はしたことなかったけど、お姉ちゃん恋愛スキルもだいぶありそうだし、大丈夫だよね。)
 ひと通りの話を黙って聞いていた姉が口を開く。
 「とりあえず一言いい?」
 「う、うん。」
 姉の真剣な声のトーンに、ゴクリと唾をのんで身構える。
 「桜、アンタ、馬鹿?」
 「…は?」
 「いや、疑問形じゃおかしいか。桜アンタ、馬鹿だね。」
 「はあぁ〜〜っ!?」
 真剣に相談しているのに、馬鹿と罵られた私は怒りで顔を真っ赤にして叫ぶ。私がここまで自分の感情を表に出すのは、姉の前だけだ。
 「ばばば、馬鹿!?しかも断言した!?」
 「いやだってどうかんがえても馬鹿としか言いようがないじゃん。」
 「どういう意味、それ!?」
 「その人への自分の気持ちを何度も何度も考えてる時点で、それは既にその人が好きってことでしょ。」
 「…へ?」
 (そう…なの?)
 目の前の姉は、自分の発言に絶対的な自信があるらしく、仁王立ちで呆れ顔をしている。
 「だって桜、初恋もまだだったんでしょ?」
 「うん。」
 「今まで女子校育ちとかいうわけでもでもないんだし、今までだって身の周りに男子なんてたくさんいたでしょ?それなりに接点もあったろうし、今日出会った彼としたみたいに他の男子とも話したりもしたことあるでしょ?」
 「う、うん。」
 すごい勢いで話す姉の気迫に少し押される。
 「でも今まで、『これって恋?』なんて悩んだことなかったでしょ?」
 「うん…ってなんでお姉ちゃんそんなことわかるの?」
 「だって桜絶対何かあったら私に相談してくるもん。今みたいに。」
 「う、そうだけど…」
 「というか、今までそんなこと考えたことなかったのに、彼に対しては考えてる。それが『好き』ってことなの。」
 「これが、『好き』…」
 お姉ちゃんはふぅ、と一息つくと、優しい表情を浮かべて私の頭を撫でる。
 「あのね、人の気持ち…もちろん自分の気持ちも、目に見えるものじゃないでしょ?だから100%の確信がなかなか持てないのよ。自分の気持ちにさえなかなか確信が持てないんだから、相手の気持ちになんてなおさら確信持てないでしょ。だから『ホントはあの子に嫌われてるのかも』とか、『ホントに彼は私のこと好きなのか』とか不安に感じちゃうのよ。」
 「そう、だね…」
 「んでもって、気持ちなんて量れるものでもない。だから、自分や相手がどれくらい誰かのことを好きなのかとか嫌いなのかとかも数で表したりできないでしょ。」
 「…うん。」
 「だから、人の気持ちなんてそんなものなのよ。つかみどころがなくて、ふわふわしてて、よくわからないもの。」
 「……」
 「だからね、大事なのは、『本当に相手のことが好きなのか』とか、『これは恋なのか』とかじゃなくて、『相手に対する気持ちが【好き】であってほしいのか、そうでないのか』『これが【恋】であってほしいのか、そうでないのか』…っていうことよ。」
 「そっか…そうだったんだ…」
 彼への気持ちが、【恋】であってほしいかどうか—…
 「…ありがと、お姉ちゃん。」
 「うん、その顔は答えがでたってことだね。」
 私は、『うん』と答えるかわりに、お姉ちゃんに微笑みかけてみせた。
 私は、彼へのこの気持ちが—…
 …恋であってほしい。
 (私は、彼が…藤本君が、好きなんだ。)
- Re: 片方向の赤い糸 ( No.9 )
- 日時: 2015/07/22 20:41
- 名前: あやの (ID: SUkZz.Kh)
- 小説面白かった!続き書いて!! 
- Re: 片方向の赤い糸 ( No.10 )
- 日時: 2015/07/22 20:50
- 名前: 杏莉 (ID: a1OghZsk)
- ユイだよね? 
 面白
 再新がんばって^^
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