コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- ユリと枯葉
- 日時: 2015/09/15 20:02
- 名前: 山崎和奏 (ID: dYnSNeny)
- 突然出会った彼は、まるでユリみたいで。 
 ▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽
 コメントくださった方
 ・てるてる522様
 (´・_・`)
- Re: ユリと枯葉 ( No.21 )
- 日時: 2015/09/16 19:02
- 名前: 山崎和奏 (ID: dYnSNeny)
- 「アーロンさんは漫画喫茶にいたと言ってました。それでこの街の漫画喫茶は一件しかありませんよね?」 
 「はい」
 「僕はアーロンさんが漫画好きということは知っていました。それで事前に調べましたが漫画喫茶の利用者にはアーロンさんの名前はありませんでした。今も確認しましたがやっぱりありませんね」
 ノートパソコンを開き画面をじっと見ながら冷静に話し始めた。
 「じゃあ…アリクシス先生は…」
 「嘘をついている、ということになりますね」
 レイスさんは画面を見つめたままニヤッと笑った。
 「情報は手に入りましたし…あ、よければお礼ということで今日僕のホームでご飯食べていきますか?」
 ノートパソコンを閉じてレイスさんはそう言った。
 「え、そんな悪いですよ…」
 「僕一人じゃこの情報は手に入りませんでした。お礼させてください…」
 「……じゃあ…お願いします」
 私って断れない性格。いつもよくしてもらってばかりだなぁ…。
 学校も終わり、下校時刻。私はこのままレイスさんの家に行くことになっていた。
 だんだんと細い道になっていき、人気の全くない道にレイスさんの家があった。いつ見ても大きい。
 「どうぞ」
 そう言ってドアが開けられた。家に入った感想は、真っ白。
 家の中までレイスさんは真っ白。びっくり。
 「ここのソファに座っておいて下さい」
 そう言われて白いソファに腰掛ける。レイスさんは部屋の奥に入っていった。
 しばらくするとレイスさんがさっきのエルフの女性を連れてきた。
 「先ほどは申し訳ありませんでした。レイス様のご友人とは存じておりませんでした故に…」
 彼女は深々と頭を下げた。
 「いいんですよ!!それよりも頭を上げてください!!」
 そう言うと彼女は頭を上げた。顔を見ると少しだけ、目に涙が溜まっていた。
- Re: ユリと枯葉 ( No.22 )
- 日時: 2015/09/18 14:35
- 名前: 山崎和奏 (ID: dYnSNeny)
- 「フィーナ…?」 
 心配そうにレイスさんはフィーナさんの入って行ったドアを見つめている。
 すると、
 「……ごめんなさい、待ってて下さい」と、言うとレイスさんはドアを開けて部屋に入っていった。
 待っているとやっぱり気になってしまい、慎重に少しだけドアを開けて隙間から覗いてみる。
 「……!」
 フィーナさんはやはり泣いていた。レイスさんはフィーナさんの頭を撫でて慰めている様子だった。
 少しだけ複雑な気持ちだったけど会話に耳を傾けてみる。
 「申し訳ありません…レイス様に不自由ないようにするのが私の役目なのに…私は…レイス様とご友人様に迷惑を…」
 顔を手で隠しながらフィーナさんは言った。
 「大丈夫だよ。僕もローズさんも気にしてないから、次から気をつけたらいいよ」
 レイスさんはフィーナさんの頭を撫でながら優しい声で言った。
 「(…敬語じゃ…ない…!?)」
 どういう関係なんだろう…と私は思いながらドアをゆっくり閉めた。
- Re: ユリと枯葉 ( No.23 )
- 日時: 2015/09/18 17:15
- 名前: 山崎和奏 (ID: dYnSNeny)
- 第4章 
 【家族団欒】
 しばらくするとレイスさんとフィーナさんが部屋から出てきた。
 「すいません、待たせてしまって」
 「あ、大丈夫です…」
 フィーナさんはキッチンに立って夕食の準備を始めていた。
 「夕食ができるまで何しましょうか…」
 「……何しましょうね…」
 悩んでいるとレイスさんが机に置いてあったカゴの中から棒付きの飴を取り出した。食べますか、と言うように飴を指差すが私は首を横に振った。
 こう見ると真っ白の部屋の中のレイスさんは一つのオブジェのように見えてしまう。本当に絵本から出てきたみたい。
 「…本でも読みますかね」
 そう言って彼は立ち上がって本棚を眺めると一冊の英語の本を持って再びシングルソファに座った。
 「あ、私も…いいですか?」
 「いいですよ」
 許可を貰うと立ち上がって本棚に。英語の本ばかり。私は外国の言葉は全くわからないのでしかたなくドイツ語の本を探す。
 眺めていると一冊だけ見つけた。
 "青空の上は"
 という本。
 パラパラっと軽く読んでみる。
 まさかの恋愛小説…!!
 「青空の上ですか、それ僕あまり好きじゃないんですよね…」
 こちらを向いて苦笑いするレイスさん。
 「そうなんですか…まぁ読んでみますね」
 そう言うとまた真っ白のソファに腰掛けた。
 "このお話は、私が実際に体験したお話です"
 ノンフィクションなのか仕様なのか…とかいろいろなことを思いながら読み進めて行く。
 想像以上に面白くあっという間に100ページも読んでしまった。
 レイスさんのほうも集中して読んでいる様子だったからまた読み始める。
 "私の恋は叶わないまま、終わってしまうのだろうか"
 読んでいくとこんなことが私にも起きるんじゃないかと不安になってくる。
 そのまま読み進め、二時間で読み終わった。
 どうやら夕食もできたみたい。
- Re: ユリと枯葉 ( No.24 )
- 日時: 2015/09/21 19:16
- 名前: 山崎和奏 (ID: dYnSNeny)
- * 
 「いただきます…」
 炒め物を口に入れる。
 「………美味しいです!」
 私が作るものとは別次元だった。2人は安心したように胸をなでおろした。
 それから二人も食べ始めた。
 少し雑談もしながら食事を進める。
 「……なんか…」
 「…?」
 「こうしていると…その…家族と食べてるみたいで…楽しいんです。家族団欒って言うんですかね…」
 私は少し照れながら言った。やっぱり恥ずかしい…
 俯いているとレイスさんが優しく笑いながら、
 「いつでも来ていいんですよ」
 と言った。
 「ありがとうございます…」
 私は俯いたまま涙を堪えていた。
 堪えていたけれど、やっぱり堪えきれなかった。
 「っ…うぅ……っ…」
 「……!」
 「ごめんなさいっ…嬉しくて…っ」
 私は俯いたまま泣いた。涙が膝に落ちた。
 そんな時、視界にハンカチが映った。レイスさんがハンカチを差し出してくれていた。
 何も言わずに、優しく笑ったまま。
 「ごめんなさい…」
 ゆっくりとハンカチを受け取って涙を拭う。
 本当に助けられてばかりだ。なのに私は何もしてあげれてない。このままで私はいいの…?
 「あ、洗って返しますね…」
 と言って鞄にハンカチを入れた。
 「夕食、食べましょう。まだこんなにありますよ」
 「はい!」
 *
 「ごちそうさまでしたー…」
 「ごちそうさま」
 フィーナさんが食器を片付け始める。
 「じゃあ…そろそろ帰りますね」
 鞄を持って立ち上がる。
 「はい。暗いので気をつけて下さい」
 「ありがとうございました」
 ドアを開ける。振り返り、彼の名前を呼ぶ。
 「レイスさん」
 「なんですか?」
 「Wir sehen uns」
 またね。
- Re: ユリと枯葉 ( No.25 )
- 日時: 2015/09/22 23:26
- 名前: 山崎和奏 (ID: dYnSNeny)
- 第5章 
 【存在価値】
 「ねぇクロイツ……」
 「なんですか?」
 「…レイスって何…?私に嘘吐いてたの…?ねぇクロイツ……」
 「…いいえ?」
 「あの子クロイツのこと…レイスって…!」
 「僕の名前はクロイツです」
 「…嘘つきっ……!」
 *
 「すいませーん…」
 ハンカチを返しにレイスさんの家に。
 そっとドアを開けて呼びかけると奥からパタパタと走る音が聞こえる。
 でもすぐに私の前にやってくるフィーナさん。
 「ごめんなさいお待たせして…はい、なんでしょうか」
 「あ、大丈夫ですよ。あの、ハンカチ返しに来ました」
 白いハンカチを差し出す。
 「あ、ごめんなさいわざわざ…じゃあまたレイス様に返しておきますね」
 「はい、お願いします」
 少し気になってフィーナさんの後ろを少しだけ覗いてみた。人の気配がない…?
 「あ、あの、レイスさんは…?」
 「あ、レイス様は6徹目で…今仮眠中です」
 フィーナさんが後ろを向きながら平然と言う。
 「ろっ…6…!?」
 「はい」
 かなり驚いたけどここに来た目的のもう一つを達成していなかった。
 「あの、これ…よかったら二人で食べてください」
 鞄から手作りクッキーを二袋取り出して差し出す。
 「いいんですか?」
 「はい。いろいろとお世話になったので」
 「…じゃあ…」
 フィーナさんがクッキーを受け取る。
 「喜ぶといいんですけど。レイスさん」
 「きっと喜ぶと思いますよ。レイス様お菓子好きなので」
 「そうなんですか…!?」
 「はい。甘すぎるのは苦手みたいですけど」
 「へぇー…。あ、私そろそろ帰りますね」
 「あ、はい。ありがとうございました」
 フィーナさんは丁寧にお辞儀をした。相変わらず礼儀いいよね。
 私はニッコリ笑ってからレイスさんの家を後にした。
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