コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- 魔王ちゃんになりまして。【1/13更新】
- 日時: 2017/01/13 00:57
- 名前: ひよこ ◆1Gfe1FSDRs (ID: yGaMVBz.)
- はじめまして、またはこんにちは。 
 ひよこという者です。
 今回は、悪と正義のお話。
 ※お知らせ
 『甘い悪魔にくちづけを』、『夢で逢えたら』をロックさせていただきました。読んでいてくださった方々、本当に申し訳ありません。これから先、あのスレッドで更新することはありません。
 この二つにつきましては、私も完結させたいと思っています。なので、フルリメイクという形で再度スレをたてさせていただきたいと思っています。
 最後まで書ききってから投稿したいので、かなりの時間があくことになります。
 その間、と言ってはなんですが、こちらを更新していきたいと思っています。
 お暇な時に読んでいただければ幸いです。
 *登場人物(随時更新)
 ・幸野 彩華(こうの さやか)
 ・不渡 拓麻(ふわ たくま)
- Re: 魔王ちゃんになりまして。【6/5更新】 ( No.37 )
- 日時: 2016/11/20 19:35
- 名前: ひよこ ◆1Gfe1FSDRs (ID: rn3pvd6E)
 「私は魔王!! この世の全てを手にする、この世の全ての頂点である!!」
 傲慢に貪欲に、けれど厳格で恐ろしく。
 『絶望』は少女の姿のまま、おおげさに両手を広げてみせた。
 その傍らには、無残に折れた一つの剣と、崩れ落ちた伝説の勇者。
 そして皆が思う。
 ああ、ここで、死ぬのだと。
 ***
 「魔王様がいらっしゃったぞ!!」
 一人の村人のその一言で、ざわついていた周辺が水を打ったように静かになった。たくさんの目が、私をこれでもかと見つめる。
 あれ? まだ何もしてないのになんでこんなに怯えているんだ......?
 『サヤカ様の魔力が微量ながら村人に流れ込んでおります。その影響でございましょう』
 頭の中で使い魔の声が響く。あの憎たらしくて胡散臭い野郎はどこにいるかというと、私が持っている紫色の杖にいる......というかこの杖がまさしく使い魔だ。どうやらこの使い魔、私の魔力を使って姿形を自由に変えることができるうえ、私とテレパシーなるものをすることができるらしい。魔力ってすげー!! なんて他人事のように感動したのだが、私はそれを自由に扱えないことを思い出し心の傷口が開きかけた。
 と、そんなことはどうだっていいんだ。使い魔もとい、杖を手にしている私の隣には、随分と険しい顔をした拓麻が魔王を倒せる剣を鞘にいれたまま肩に担いでいる。どうやらまだ私の作戦に納得がいかないようだ。いい加減素直になっちゃえよ!
 そう、これから私の考えた「村人を恐怖のどん底に落とそう大作戦」を決行するのだ。
 別に血肉湧き踊るどんちゃん騒ぎをして真っ赤な海を作ろうとかそういう物騒なものではない。ただ私という魔王には敵わないのだと、村人たちとおそらくどこかで見ているであろう城からやってきた魔法使いさんに思ってもらうだけだ。多分魔法使いさんは貴族たちに報告するだろう、「消したはずの魔王が、さらに恐ろしくなって帰ってきた」とまあ、こんな具合に。
 そんな状況を作るにはどうするか、答えは簡単だ。唯一魔王を倒せる剣をもってしても、私は倒せなかった、ということにすればいい。
 さあ、茶番のはじまりだ!
 「......待たせて悪かった」
 「い、いえ、滅相もございません! 魔王様とのお話はもうよろしいのでしょうか......?」
 不機嫌も不機嫌、ものすごく不機嫌な拓麻にぺこぺこと頭を下げる、村の長的な人だろうか。が、恐る恐るたずねてきた。その質問待ってました! 答えようとした拓麻が言葉を発する前に口を出す。
 「長らく会っていなかったから、つい話に花を咲かせてしまってなぁ。それで? 人間風情が私に何の用だ?」
 偉そうな喋り方! 極めつけは人間風情! みよこの厨二病っぷり!
 お前も人間だろとかいうつっこみはいらない、私はいま誰もが恐れる魔王なのだ。正直に言おう、めちゃくちゃ楽しい。
 「じ、実は......誠に不躾で申し訳ないのですが、魔王様のお力を貸していただきたく......」
 おお、びびってるびびってる。目が泳ぎまくりの手は震えっぱなし。こんなジャージでもなかなか怖がらせることができるんだなぁ。でもさすがに威厳なさすぎるから、今度拓麻に魔王っぽくみえる服とか作ってもらおう。
 「ほお? それで、私に何を望む?」
 「......城に捕えられている魔法使いを、解放していただきたいのです。勇者様も伝説の剣も我らとともにあります。あとは魔法使いたちを解放できれば、貴方様に危害が及ぶものはなにもない......彼らは王族や貴族、城の者を良くは思っていない。恨みだってあるはず。いままで虐げられてきたその恨みを、私たちは晴らしたいのです」
 知ってはいたけれど、城の人たちへの憎しみは相当なんだな。確か、この村にいた魔法使いさんがみせしめに......そこまでするほど、この魔王様は恐ろしかったのかな。魔力をもらって、もう随分と体に馴染んだ気がするけど、だからこそわかる。この魔力はとても静かで、哀しくて、どこかあたたかい。
 そんな、気がするんだ。
 「......なるほど。要は貴様らの復讐を手伝え、と」
 「!......簡潔に述べますと、そういうことになります」
 顎に手をやり、にやりと笑う。
 「うん、悪くない話だ。私もあいつらに消されかけたからなぁ。礼をせねばならぬと思っていたところだ」
 「で、では!」
 「だが断る」
 き、決まった......! 生きているうちに一度は言ってみたい言葉ランキング第一位!
 思わずにやけそうになる顔をなんとか引き締め、悪人ヅラに戻す。
 「貴様らに私の力を貸す義理などない。私は他の生物が大嫌いでなぁ。魔法使いだろうがなんだろうが、私が作った魔物たち以外に興味はない。......ああ、いいことを考えた。手始めにこの村でも滅ぼそうか」
 「そんな......!」
 「......おい、話と違うだろう魔王。こいつらには手を出さない約束だったじゃないか」
 拓麻がそう言いながら剣の柄に手をかけた。それを横目に、私は再び笑を浮かべる。無邪気に、しかし恐ろしく。
 「約束? なんのことだろうなぁ。私にはわからんよ勇者。貴様との会話は存外楽しかった、ただそれだけしか覚えておらぬな」
 「てめぇ......」
 スラリと抜かれた刀身に、思わず頬が引き攣る。いくら私が作り上げたシナリオ通りだとしても、さすがに恐怖はある。が。
 「それが噂の私を倒せる唯一の剣か。是非その切れ味、この体で試してはどうだ?」
 「言われなくても......!」
 拓麻に振り上げられ、キラリと光るその剣。
 瞑らぬよう、私は根性で目を開き続け、その剣筋が体を切り裂くまで、じっと見つめた。
 怖がってはいけない。私は恐怖を与える側なのだから。
 そして、それは振り下ろされた。
- Re: 魔王ちゃんになりまして。【11/2更新】 ( No.38 )
- 日時: 2017/01/13 00:56
- 名前: ひよこ ◆1Gfe1FSDRs (ID: yGaMVBz.)
 ああ、だめだ。
 
 誰もがそう思った。そこに転がるであろう魔王の亡骸を視界に入れまいと村人たちは皆目を伏せた。魔王を殺すためにつくられた剣なのだ、生きているはずがない。
 
 誰もが、そう思った。
 
 しかし、その場にいた全員の耳に入ったのは、肉の斬られる音などではなく、金属が折れた音だった。恐る恐る目を向けた村人の一人は、口をぽかんとあけたまま、動くことはなかった。目の前でなにが起こっているのか全くわからなかったのだ。
 
 「......なんだ、その程度か」
 
 __つまらんな。
 
 キィン、と甲高い音を響かせながら、折れた剣の先が空高く舞う。日の光を浴びて輝きながら、それは確かに地に落ちた。
 誰もが、己の目と耳を疑った。死ぬはずの魔王は笑みを浮かべながら、しっかりと二本の足で立っていて、その魔王を倒せるはずの勇者は剣を地面に落とし、膝から崩れ落ちている。
 なにかの、間違いではないのか。だってあれは、伝説の剣で、伝説の勇者で。
 
 「やはり落ちたな勇者よ。遠い昔に命を懸けて戦った者同士、少しぐらい話を聞いてやってもよいと思ったんだがなぁ......いまのお前は全くもってつまらん」
 
 「......人間には、手を出すな......っ!」
 
 「私を殺そうとした者達を見逃せと? はははっ、可笑しいなぁ。腹がよじれそうだ。それにこのようにつまらん人間共、生かしても意味がないだろう......ああでも、せっかく生き延びたこの命をそんなことのために削りたくはないなぁ」
 
 「っ......化け物め......」
 
 「おい!」
 
 村人の一人が呟いた言葉は、しっかりと魔王の耳にはいってしまったらしい。目を細めてその人物をじっとみつめた。
 
 「化け物、などとそんな醜いよび方をしてもらいたくないなぁ」
 
 息をのんだのは、一体誰だっただろうか。
 そんな様子にくすりと笑いをこぼし、魔王は高らかに声をあげた。
 
 「私は魔王! この世の全てを手にする、この世の全ての頂点である!」
 傲慢に貪欲に、けれど厳格で恐ろしく。
 『絶望』は少女の姿のまま、おおげさに両手を広げてみせた。
 その傍らには、無残に折れた一つの剣と、崩れ落ちた伝説の勇者。
 そして誰もが思う。
 
 ああ、ここで、死ぬのだと。
 
 
 呆然と立ちすくむ村人たちを一瞥し、魔王は考え込む素振りをしてみせた。
 ややあって、閃いたとばかりに満面の笑みで両の手を叩いた。その姿はどうしてもただの少女にしか見えず、いっそう恐ろしく感じられた。
 
 「ではこうしよう。これから私は貴様らの王になる。私の言うことは絶対服従、逆らった者から殺す。この勇者は私の護衛につけよう」
 
 まるで新しい玩具を見せびらかすように、魔王は楽しげに話を進めた。
 
 「私の機嫌を損ねた者も殺す。私の物に手を出した人間も殺す。そうだなぁ、近くの町や村も引き込もうか。いずれはこの国を私のものにしよう。喜んでいいぞ、貴様らは私の最初の下僕だ。そうと決まれば、私が住む城が必要だな。ああ、少しだけ楽しくなってきたぞ」
 
 そうしてにっこりと笑ったのだ。
 
 
 
 「せいぜい頑張ってくれ、私の下僕共」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 ***
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 「__私です。やつが......魔王が生き返りました」
 
 『......それは確かですか?』
 
 「姿形は全く違いましたが、あの魔力の持ち主はやつ以外考えられません。召喚の儀にも応じました。あの洞窟で確かに始末したはずなのですが......それに、剣を扱えるという勇者も現れたのですが、どういうわけか魔王と顔見知りだったようで......」
 
 『そんなこと、あるわけがないでしょう? だってあれは__』
 
 
 
 “わたしたち”が、造ったものなのに。
- Re: 魔王ちゃんになりまして。【1/13更新】 ( No.39 )
- 日時: 2017/01/13 10:20
- 名前: 左右りと (ID: v2BiiJyf)
- こんにちは!お久しぶりです、、 
 話がすごい進んでる!
 きゃーーー!サヤカ様かっこいい〜!!フゥー!!o(^-^o)(o^-^)o
 魔王様の茶番のシーン、ずっと鳥肌のままでした...!
 いやーすごい、、あの言霊ってこのことなんですかね。
 文字から伝わる威厳とか、村人の恐怖とか!
 思わず息を飲んでしまいました(^-^;
 わたしもこんな風に書きたい!!
 これからも応援してます、大好きです。
- Re: 魔王ちゃんになりまして。【1/13更新】 ( No.40 )
- 日時: 2017/02/15 00:57
- 名前: ひよこ ◆1Gfe1FSDRs (ID: yGaMVBz.)
- りとさん 
 お久しぶりです〜〜!!!
 そう言っていただけると書いた甲斐があります......!!ありがとうございます!!
 サヤカちゃん、若干Sっ気があるのでだいぶ楽しんでますね。なんだかんだ文句言いつつも魔王ライフを謳歌するんじゃないでしょうか......
 ひーーー!!ありがたきお言葉!!!!
 もっと精進できるように頑張ります!
 コメントありがとうございました!
- Re: 魔王ちゃんになりまして。【1/13更新】 ( No.41 )
- 日時: 2017/02/15 03:16
- 名前: スミレ (ID: Id9gihKa)
- Happy Birthday to ひよこさん! 
 お久しぶりです!
 そしてお誕生日おめでとうございます(*^_^*)
 ひよこさんは私がここに来たばかりの時から、沢山のことを学ばせて頂きました!
 これからもよろしくお願いします!!
 気づかぬ間に話が結構進んでてびっくりしました(‾▽‾;)
 今年に入ってからはなかなか来れてなくて…
 これからも月1では来たいなくらいの目安になってしまいますが、楽しみにしています!
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