コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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芸能人に恋したら。
日時: 2010/06/28 16:50
名前: 三春 ◆OTogeME6uU (ID: US0F22xv)

 テレビのむこう側に行きたかった。

 君に会いたかった。

 君と、話したかった。


 それだけだった。
 



 それだけだった。はず……













                   ——————芸能人に恋したら。

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Re: 芸能人に恋したら。 ( No.4 )
日時: 2010/07/12 18:20
名前: 三春 ◆OTogeME6uU (ID: nhNwt9Dt)


 それから三週間。

 わたしは相変わらず、クラウンのグッズを買いだめしている。



「ねぇ、知ってる? あっちでクラウンのイベントあるんだってー」
 ちょうど明美と街に出かけたら、女の子からそんな会話が耳に入った。

 ……クラウンのイベントぉ!?
 
「い、いこっ」 
 初の生クラウン!
 わたしは興奮しまくって、鼻血が出そうだった。

「えー?」
 ぶつぶつ文句を吐く明美を引っ張って、わたしは女の子達のあとを追った。



『みんな〜こんにちは』
 角をまがったとき、あの、あのクラウンの美声が鼓膜に響いた。
 ……もう、始まってる。

 目に入ったのは、たくさんのベンチ。そこに座ったり、立ったりしている女の子の山。
 
「見えない〜」
 いくらジャンプしたって、見えるのは女の子達。
 そして、聞こえるのはクラウンの溶けてしまいそうなほど美しい声と、女の子達の黄色い声。

「見えないね」
 ふぅっとため息をついて、髪をいじりだした明美。

「せっかくの、チャンスなのに」
 目がしらが熱くなって、涙が溢れそうになる。
 こんなところで泣いたら、恥ずかしいよ。
 そんなことを思っても、やっぱり体は正直で、あふれる涙を服の裾でぬぐった。


『ここで、ミニゲームコーナーに移ります!』
 ミ、ミニゲーム? そんなのあるの?


「きゃーーーーーーーーーーっ」
 ざわざわ耳障りな甲高い声。
 明美はその声にうんざりしてか、わたしにうんざりしてか、小さく舌打ちした。

『今日の僕のパートナーは……』
 明美……ごめんね。
 こんなのにつき合わせちゃって。

『そこの君、ピンクのパーカーに、白いスカートはいてる君』
 え? なに?
 わたしは全く話を聞いていなかったから、みんなから浴びせられる大ブーイングの意味さえ、分からなかった。
 でも、わたしがクラウンに呼ばれていることだけは、分かった。

 わたし……クラウンに会えちゃうの?
 心臓が張り裂けそうなほど、驚いていて、すーはーと何回も深呼吸をくりかえした。

Re: 芸能人に恋したら。 ( No.5 )
日時: 2010/07/12 18:53
名前: shiho (ID: dRBRhykh)

おもしろいですね!がんばってください
あとタメでいいですか??

Re: 芸能人に恋したら。 ( No.6 )
日時: 2010/07/12 20:49
名前: 苺 (ID: eDPPsGjZ)

おもしろぉい^^*

更新頑張ってね!!

続き楽しみに待ってるよ!!

Re: 芸能人に恋したら。 ( No.7 )
日時: 2010/07/13 17:30
名前: 三春 ◆OTogeME6uU (ID: nhNwt9Dt)

shihoチャン

ありがとう★とってーも嬉しい(^−^) 
オフコース! タメでいいよぉ↑↑




やぁ、またせたね【キラんッ】
更新頑張るwwb
苺も書いてねー。ここで^^

Re: 芸能人に恋したら。 ( No.8 )
日時: 2010/07/13 17:45
名前: 三春 ◆OTogeME6uU (ID: nhNwt9Dt)


「こ、こここここんにちは」
 ステージの上にあがらされたわたしは、緊張しちゃって思いきり噛んでしまった。

「こんにちは」
 わたしとは正反対になれているクラウンは、にこりと笑ってわたしに挨拶を返した。
 さすが、芸能人。
 そんなことに感心している場合じゃないのに、そう思った。

「じゃあ、僕と、“ラブラブ風船ゲーム”してもらいます」
 にこにこ笑って、さらっと言ったクラウン。だけど、わたしはその言葉に心臓が止まりそうなほど驚いた。
 それもそのはず、毎週土曜日にやっている、クラウンの番組でいつもやっているゲームだったから。
 そのゲームと言うのは、わたしとクラウンの間に風船をはさんで、抱きあって風船を割る。というゲーム。
 いつも、会場から選ばれるのは、美人で可愛い女の子だったから、毎回ため息を着いた覚えがある。


 だけど、それに今、呼ばれているのだ。


「はい、はさんで」 
 馴れているクラウンが、わたしの腕を掴んで、彼のほうにわたしを引っ張る。

 心臓、こわれちゃうよー!
 
「はい、行くよー」
「「「「「3、2、1」」」」」
 クラウンとわたしの間にピンクでハートの風船をはさんだら、みんなの掛け声がかかった。


 ぱぁぁぁんっ!
 不快な音とともに、わたしとクラウンの体が密着。

 頭がまっしろになって、くらくら頭がゆれる。
 ……あれ、わたし今までどうやって呼吸してたっけ——————?


「はい、ご協力ありがとう」
 そう言ったクラウンからは、とてつもなく、いい香りがした。
 ……クラウンの匂いってこんな匂いなんだ。




 遠くからじゃ分からなかった、匂い。
 テレビでは感じ取れなかった、体温。
 雑誌では見れなかった、自然体の彼。


 わたし、






                   ——————クラウンのこと、好きだ。


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