コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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どうやら僕は異世界に来てしまったようです。
日時: 2010/08/12 16:56
名前: 村人A ◆UcTzrn55Fk (ID: VfitXk9z)

初めまして、村人Aと申します!

主にファンタジー小説を公開していこうかと思っております。

何分未熟ながら至らない点が多々あるかと思われるので、作品へのアドバイス、または感想等がありましたらお気軽にコメントの程、お願いしますっ。

どうぞ、これからよろしくお願いしますです><

※作品名を変更致しました。(旧名:男性Yの異世界譚)

【どうやら僕は異世界に来てしまったようです。】

・10/07/31 3-1投稿。
・10/08/12 3-2投稿。

 第一話 >>1 >>2 >>3 >>4 >>5
 第二話 >>6 >>7 >>8 >>9 >>12 >>13
 第三話 >>14 >>17

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どうやら僕は異世界に来てしまったようです。 1-3 ( No.3 )
日時: 2010/07/31 21:38
名前: 村人A ◆UcTzrn55Fk (ID: mZiC8SdU)

どうやら僕は異世界に来てしまったようです。 1-3


「うわ、リアルで自分が胸を張って美少女だと言っている人を初めて見ましたよ。それに少女っていう歳でも——ずごっく!?」



「ははは、よし! そんなに痛い目にあいたいというんだな、コ、ウ、ハ、イ!」



「イダダ!! ちょ、ちょっとまっ!! せ、先輩! 仕事中ですって! ああっ、アイアンクローきまってます! なんかミシミシ軋む音が頭の中で響いているんですがぁぁ!」







◆◇◆◇◆◇







「そ、それじゃ先輩、お先に失礼します」



 今も尚ズキズキとした痛みが走るこめかみを擦りながら先輩に声をかけるけど、反応はないままで、ただこちらを睨んでいる。
 だけど、中身はどうあれ容姿がいい先輩にこうして見つめられ、もとい睨まれていても恥ずかしいわけでして。ぐっ……いかんぞこれは。このままでは先輩の魔力に毒されてしまうっ。ここは速やかに退散した方が良さそうだ。



「悠」



 その一言に足を止める。



 一瞬誰のことなのかわからなかったが、この場にいる人物で「悠」という名前は僕しかいないだろう。そして僕を呼んだのは間違いなく先輩。だけど、先輩は普段僕の事を「後輩」と呼んでいる。それはこのコンビニでアルバイトを始めた時からずっと変わらない呼び名で、名前で呼ぶことなんてほとんどない、というより今まで一度もなかった。



「な、なんでしょうか先輩? 珍しいですね、名前で呼ぶなんて」



「ああ。いや、あ、あれだ、うん。いつも頑張っている私の可愛い後輩にご褒美として名前で呼んだだけだ。これで後輩は私の奴隷から下僕に輝かしくランクアップしたわけだ。感謝しろよ?」



「いや、それほとんど変わらないですって先輩! それに僕いつから先輩の奴隷になったんですか」



「ええい、いちいちうるさい奴だなお前は! ランクを使い魔に落すぞ!」



「それはなんか微妙な位置づけですね……。っと、それじゃ、もう行きますよ」



「う、うむ。また明日も私の為に働くがいいぞ、悠」



「はい。また明日」



 僕は背中にかけられた先輩の言葉を聞き流しながらそそくさに更衣室へと入った。

 ああ、やばいやばい。今僕の顔を先輩に見られるわけにはいかない。こんな真っ赤になっているだろう顔を見られたら一日中からかわれるのは目に見えているわ。くそ、最後の最後であんなのがあるなんて聞いてないぞ! 不覚にもドキッとしたじゃないか! これは、いつか仕返しをしなければ僕の気が治まらん!



「まぁ……しかし、あんな素で慌てた先輩を見たのは初めてなんじゃないか?」



 確かにあれはなんとも珍しい姿だったのだ。普段は何事も冷静に処理する先輩はまさにクールビューティーの称号に相応しい人物なのだが……それに、先輩。僕の下の名前を呼ぶ時に若干顔を赤くしないでくださいよ。



「こ、これは、嵐がくるかもしれないな」



 外は雲一つない快晴。おまけに可愛い女性天気予報士が今日は晴れで洗濯日和だと言っていたのだが、先輩の慌てた姿と、理由がどうあれ僕の事を下の名前で呼んだ事。これは奇跡が二度起こったのも同然な事態なわけで……うわ、なんかブルッときたわ! いきなり空から槍が降ってきてもおかしくないぞ! 今日はこれ以上外に出ないほうがいいかもしれない。



「というわけで、さっさと我が城へと戻る事にしよう。そしてガンガンに冷えた部屋でギャルゲをやる!」



 一つ気合を入れて、着替え終えた僕は外へと出ると、太陽の日差しだろうか、眩い光を浴びて僕は反射的に眼を閉じた。そして数秒後再び眼を開けると——



「…………へ?」



辺り一面に木々と草花が生えた、まさに森といえる光景が目の前に広がっていました。

どうやら僕は異世界に来てしまったようです。 1-4 ( No.4 )
日時: 2010/07/31 21:38
名前: 村人A ◆UcTzrn55Fk (ID: mZiC8SdU)

どうやら僕は異世界に来てしまったようです。 1-4



「僕……なんでこんな所にいるのだろうか」



 グルリと見回せば、そこはアスファルトで舗装された道路や、密集した住宅達といった人工的なものではなく、辺り一面無造作に生えた雑草と、大きく聳え立つ木々といった緑をベースとした色合いの空間で、まさしく自然あふれるこの場所は「森」と呼べるところだろう。

後ろを見返しても、そこは周りと変わらない風景で、先ほどまでいたバイト先のコンビニは消えていた。



 ——こ、これは夢なのだろうか?



 お決まりの如く頬を抓るけど……うん、痛い。痛覚は正常に機能しているようだ。

というか、夢ならば、この暑さによって滲み出た汗が服にくっつく不快感は味わえないだろうし、なによりも、僕はさっきまで寝ていたわけではない。



 だけど、一体何故僕はこんな森の中にいるのだろうか? さぁいざ自宅へ帰ろうとしたら森の中で……。



「そうだ、時間」



ふと、ズボンの後ろポケットから携帯電話を取り出して、ディスプレイに写る時刻を見る。



「時刻は……。ここに来る前と変わらない?」



ん、ちょっとまてよ。だ、だとしたら一瞬にしてこの場まで移動した事になってしまうじゃないか。

いや、そもそも僕は移動したのかが怪しい。周りが変化したのではないのか? はは、そんな魔法みたいに非現実的な事は……い、いやいや! だからこれは現実だ! 感覚もあるし、鼻につくこの緑の香りも現実。



「わ、わけがわからない」



 まるで元から合っていないピースを組み合わせるように考えようにも考えれば考えるほどわからなくなってしまい、次第に焦りと不安が汗と一緒に滲み出るような感覚に襲われる。



「はぁ……」



 やっぱりこれが現実だとしても、結果的に、僕が森にいるのは変わりない。てか、もし瞬間移動したとしたら、いつからそんなスキルを身につけたんだよ僕。そんな孫○空みたいな事できないよほんとに。

これはもしや、テレビアニメや漫画等でよくあるように、ある日突然異端な能力に目覚めた主人公みたいに僕も「瞬間移動」という能力に目覚めたのだろうか?

だとしたら……なんて地味な能力なんだよ! ビームが出せたり魔法が使えたり、はたまたどんな魔法も右手で打ち消せたり、いや、これはプラスαが厄介だからいらないか。まぁともかく、もっとカッコイイ能力が欲しいよ! 確かに瞬間移動があれば学校の登校とかなにかと移動手段には困らないだろうけどさ……これでも僕は純粋な夢見る青少年ですよ? ビームくらいだしたいさ。



「……って、こんな時に何を考えてるんだ僕は」



 少しずれた事を考え、気づかぬうちに現実逃避をしていた僕は、今自分がするべき事を考える事にした。

どうやら僕は異世界に来てしまったようです。 1-END ( No.5 )
日時: 2010/07/31 21:39
名前: 村人A ◆UcTzrn55Fk (ID: mZiC8SdU)

どうやら僕は異世界に来てしまったようです。 1-END


 このままこの場に止まっていても何も状況は変わらない。携帯電話の電波マークが一本も立っていないことから、家へと連絡もとれない状態だし……。それに、人に助けを求めようにもこんな人気のない場所で人と出会える確立なんて低いと思える。

森を抜けられれば携帯の電波が回復するかもしれないし、万が一電波が回復しなくても、森の外ならば人がいるだろう。

と、そこまで考えて、自分自身この状況によく落ち着いていられるなと思う。いや、実際にはパニックを起こしてはいるのだけど、あまりにも突然すぎる出来事に、現実味がなく、実感がもてていないのかもしれない。



「よし。そ〜う〜と〜決まれば」



僕は妙なリズムで鼻歌を歌いながら近くに落ちていた小枝を拾い上げた。

ああ、なんかテンション上がってきたぞ。確かに今の状況に不安は、そりゃもういっぱいあるけど、それと同時にこれから自宅への帰路に起きるであろう出来事に、興奮と期待をよせている自分がいるのも確かで。こう、小学生の頃、帰宅時にいつもとは違う、通った事のない道で帰る時のような感じに似ているのかもしれない。冒険心が久しぶりに蘇った感じだ。



僕は足で地面を平らにしてから、おもむろに手に持っている小枝を立てて、そして一言——。



「神よ! 我を甘くてエロエロの煩悩にまみれた楽園へ誘いたまえ!!」



ここは雰囲気作りという事で適当な御まじないをかけた後、ぱっと手を離すと、当然凸凹とした棒状の小枝は倒れるわけで、僕から見て左上へと倒れた。どうやらその方向に出口があるらしい。いや、すごく適当だけど、出口の方向がわからない今の状況、原始的かつ優柔不断の僕にとっては効率的な決め方だ。



「それじゃぁ気合を入れて、無限の彼方へさぁ行くぞー!!」



頭の隅に残っていた誰かのセリフを木々しか見えない前方に向かって叫び、僕は早速小枝が示した方向へと歩き出した。



【どうやら僕は異世界に来てしまったようです。 第一話 終】

男性Yの異世界譚 2-1 ( No.6 )
日時: 2010/07/26 09:20
名前: 村人A ◆UcTzrn55Fk (ID: E/MH/oGD)


男性Yの異世界譚 2-1

 歩く。歩く。何のためにかって? そりゃここから出るために決まっているじゃないか!
あれから出口があるだろう方向へ歩いてきたけれど……。歩き出してから何十分、それとも何時間? 歩くも歩くも今だ出口が見つからずにいる。

「はぁ……」

 ほんと、このまま野垂れ死んでしまうんじゃないだろうか……。

 ふと、そんな事を思ってしまい、人気のない森の中で一人寂しく朽ちていく自分の姿を想像すること数秒、僕は慌てて思考を中断した。

「そんなのごめんだ! こんなところで死んでたまるか!」

 パシンと一つ頬を叩いて気合を入れ、すでに疲れが溜まった足を無理やり動かし、再度見えない出口へと向かって歩きだそうとした——瞬間。


短い悲鳴。


「っ!?」

 悲鳴なんてテレビのドラマやアニメぐらいでしか聞いたことのない僕は、その、本物の悲鳴を聞いてしばし呆気に取られた。

 ——今の悲鳴って、声からして女の人……だよね?

 男にしては高すぎるだろうとその悲鳴は女の人によるものだと決め、早速悲鳴が聞こえた方向へと走り出す。

だけど、数歩行った所で足を止めた。

 ——悲鳴が聞こえたという事は、誰かがピンチ、もしくは自身が危険な事にさらされているという事じゃないか? だとしたら、今僕がその人の方へいったら僕までもが危険な目に合うのではないだろうか。もし、命の危険にさらされることなら尚更。今の僕、というよりも僕に助けだせる程の力があるのかわからないし、ここは無闇に助けに行かなくてもいいんじゃないか?

 そんな事をつい考えてしまい、また溜息を吐く。

「だ、駄目だ。凄くネガティブになっているよ……。ここは……うん、深呼吸だ。深呼吸」

 数回深呼吸を繰り返すと、ほんの少しだけど、自分の中で熱していた何かが冷えていくのがわかった。

 ——そうだ。危険な状況に陥っている人がいるのを知っていて、知らぬ振りして見捨てるのは最悪な行為ではないだろうか? もし、死んでしまったら、いや、 実際に死なないかもしれないけど……だけど、この先生きていく中で「見捨てた」という事実が一生付きまとわってくるのは確で……そんな中、これから生きていくなんてたまったものじゃない。

「はぁ」

 自然と溜息が漏れた。それはあきらめという合図なのかもしれない。

「あー!」

 そして、僕は意味もなく声を上げ——。

「命に関わるような事じゃないように!」

 そう強く願いながら悲鳴の聞こえた方へと走りだした。

男性Yの異世界譚 2-2 ( No.7 )
日時: 2010/07/26 09:21
名前: 村人A ◆UcTzrn55Fk (ID: E/MH/oGD)


男性Yの異世界譚 2-2

 僕の日常を一言で言うと「平凡」と呼べる日常だった。毎日決められた時間に朝起きて決められた時間に学校へと登校する。
 学校でもまた決められた時間割通りの授業を受け、そして決められた時間に終わる。
そんな「決められた」毎日を僕は送っていた。別にそんな日常に嫌気が差すわけでもなく、確かに退屈な日常かも知れないけど、僕にとってはこのぼのぼのとした平和な日常に満足をしていた。だって、ただ毎日決められたことをすれば良いだけのこと。そんな決められたレールをわざわざ外れる必要もないわけで、川の流れに従うように僕は日々を流れていくだけ。ただそれだけだった……。
 当然命に関わる事なんてなかったし、交通事故にあわない限りは生きていく中で「絶体絶命」という場面には合わないだろうと思っていた。

 そんな事を思っていた僕の眼に写るのは、一人の女性、というべきか、外見からしてまだ少女と呼ばれるであろう女の子が木を背に、尻餅を付きながら震えている姿だった。

 少女が怯えた瞳を向けている方へと眼を向けると、そこには、眼を真っ赤に充血させて、鼻先に皺をつくり、鋭い牙を彼女に向けている、一見、熊にも見えるけど、凶暴という言葉を具現化させたような生物が、全身を覆う藍色をした毛並みを逆立てて「ぐるる」と唸り、今にも少女に遅い掛かろうとしている。

 僕はこの光景を木の影から見ていたが……まさに「絶対絶命」と言う状況だろう。
 あれから走るに走って、悲鳴が聞こえた元へとたどり着いた僕だが、人生そんな甘い事はなく、僕の願いとは反してかなり危険な状況で……。
 頭の中に居座る天使と悪魔が「あれに関わると死にますよ? 逃げたほうがいいって!」と両方意見一致で僕に警告をだしている。実際、膝がガクガクと震えて、体に力が入りませんよ。
 うん。今更だけど、ほんと、考え無し来たのが失敗だった。 なにあの化け物は? 熊っていうよりもRPGに出てくるモンスターだよ! それに助けるにしたってこのまま素手ではどうしようもないし。何か武器になる物……って、いやいや、実際にあの化け物と戦っても適うわけもないっ。
ここは化け物と戦うのではなく、彼女から僕に標的を変えて、化け物が僕に気を向けている内に彼女が逃げて僕も逃げるという作戦でいこう。

 僕は周りに何か投げられる物はないかと探してみると、あの少女の手元の近くに置かれた籠から転がる黄色い楕円状の物を見つけた。
 それを拾い上げて、化け物を睨みつける。
 未だ化け物は威嚇するだけで動きはないけれど、いつ少女に襲い掛かるかわからない。

 ——男を見せろ僕!

 自分に活を入れ、若干やけになりつつも手に持っていたものを化け物に向けて大きく振りかぶり、投げつけた。
 手から離れたそれは、綺麗な円状を描き、化け物へと向かっていく。

 そして、鈍い音と共に化け物は外見からそぐわない可愛いらしい泣き声を上げた。

「…………あ」

 しばしの沈黙後、まさかのヒットにあたふたとする僕だが、すぐ我にかえり、今のうちにと彼女に逃げるよう、声を張り上げた。

「今のうちに逃げて下さい!」

「っ!?」

 そう叫ぶも彼女は今の状況に付いていけないようで、僕と今だもがいている化け物を交互に見ている。僕はそんな彼女の様子に痺れをきらして荒々しい声で叫んだ。

「早く逃げろってっ!!」

 その声に少女はビクッと肩を震わせ、僕に向かって一つ頷き、この場から逃げようとする。だけど、地面に付いた腰が上がらないのか、何度も立ち上がろうとするけども、やはりうまく立てないでいた。

「腰が抜けてる!?」


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