コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

和風本家
日時: 2010/08/14 12:34
名前: 愛純 (ID: a32fGRWE)


 いらっしゃいませ、

 ここは和風本家で御座います

 ここに来るのは和に選ばれし者......


 様々なお悩みがありますでしょう、

 ですから私がお助けするのですよ、

 勿論、お代も要りませんし、

 何にも請求はしませんよ?



 ですが——


 相談して実行する事だけは

 して頂きたいと思うております


 またマナー等も一般の人も

 自由に来てくだされば良いです



 今宵も迷えるお客様が

 三日月の夜に現われますね

Page:1 2 3 4



Re: 和風本家 ( No.10 )
日時: 2010/08/16 16:34
名前: 愛純 (ID: a32fGRWE)

 01*/ 赤い百日紅の花


 今日の季節は暑い中で懸命に生きてる、
 百日紅の木の花々が誠に綺麗に咲き誇り
 今日の暑さを忘れさせるように感じますね


《チリリン》


 今日のお客様は泣き顔で店に入ってきました。
 これは男女関係だと思い、私は焦りながらも、
 お客様を奥にへ案内しました。


「では、和菓子を頂ますぅ・・・・」


 お名前は神崎アンナさんという方でした。
 私の予想は的中し、やはり男女関係でした、
 如何しましょ、こういうのは疎いんですよね
 果たしてちゃんと相談が成り立つのでしょうか。


 そこへアンナさんが食べ終えたらしく、
 真面目な顔で私に相談をし始めました。



「— 信じていた親友の茉莉に裏切られたんです」

「まぁ・・・」

「あんなに好きだと言ってたはずなのに、
 『お前とは遊びだったんだよ、本命は茉莉だし』
 ・・・そんな事を言うと茉莉もバカにしてきて・・
 忘れようにも忘れられませんッ!
 悔しさと惨めさが一気に思い出すだけで・・・
 ・・・もう、顔も見たくも無いのにっ・・・・・」


「ああ、まずは泣いてしまいましょ
 泣く事で気分転換なさると宜しいし・・・」



 それにしても酷い付き合い人ですね、
 何度もアンナさんを騙した挙句に、
 今度は信頼なさってたお友達にも手を出し
 そのお友達もアンナさんを裏切っただなんて。


 まったく、厭らしい人達ですよ。
 こんな人達の事を早く忘れたいでしょう、
 ですが、学校の同級生だから無理ですよね


「・・・これから如何すれば良いんですか?」

「これは難しい問題ですね。・・・・うーん。
 まずは綺麗になって見返すという方法もあります
 それか他のご友人に浮気されたと相談する形で、
 周りの人達により、二人の評判を落とす形もあり、
 考えれば考える程、法には当たらない方法ですね。
 また努力で綺麗になり、相談する形で仕返しをすれば
 一石二鳥になりますね。」




 アンナさんは黙ったままでしたが、
 私の仕返しに満足したのでしょうか
 笑顔でありがとう。と言うと別れました


 さて、この後は如何なる事やら

Re: 和風本家 ( No.11 )
日時: 2010/08/16 17:02
名前: 愛純 (ID: a32fGRWE)

 02*/ 反省せざる者

 あの日以来からアンナさんは来なくなりました。
 来なくなったという事は成功しているのでしょう
 これは微笑ましい事ですね。


「キャンッキャンッ!」

「おやおや、お腹が空いたのですか?
 さあ、美味しいご飯を食べましょうね—」


 私が桜にご飯を上げている処に不機嫌なお客様が
 香水の香りがキツく、桜はお客様を避けてます。
 それに最近の流行の服装らしく、露出が多いですね
 まあ、失礼と思いますが、はしたない事です。


「相談、良いですかぁ?」

「えぇ、では奥に案内しますわ」


 奥に連れて行くと正座が嫌なのでしょうか、
 更に不機嫌な顔になり、苛立っています。
 和菓子もダサいから言いそうに食べてません。


「では、相談とは何でしょうか」

「ねえ、アンナにアドバイスしたのは、
 アンタでしょ。お陰でコッチは酷い目にあったし
 てか、アンナが急に和風美人になりやがったから
 男子に超モテモテだし、コッチは評判が悪くなるし
 もうアイツの所為で人生が真っ暗なんだけど?
 慰謝料払え的な感じにしよーと思ったけど、
 んな事をしたら、二股がバレたら、やばくね的で
 そんで、代わりにアンタに相談しよーと思ったの」

「・・・では、・・・どんな内容で?」

「で、アンナよりも越えて可愛くなりたい」




 何という方なんでしょうか。
 まったく反省してないなんて、
 どれだけアンナさんが傷ついたか知らずに
 ただ呑気に生きているという感じがします。


 それに私に慰謝料を払えと請求しようとしただなんて



「好い加減にしなさいましッ!!!」

「・・ちょ、はっ。何キレてんの?」

「アナタにオシャレをしても無駄ですわ、
 何故なら人格的に『最低』なのですからね。
 そもそも、こんな原因になったのは何でですか?
 それはアンナさんを裏切って彼と二股したでしょ
 アンナさんは酷く傷つき、私に相談したんです
 元々は慰めるべきなのに、逆に罵倒しただなんて
 少しは人の気持ちを考えられないのですか!
 遊びならば、ご自由に。だけど評判が悪くなるだけ
 評判が悪くなったというのも、それを承知して、
 アナタ方は二股をしてたのでは無いのですか!?
 もしも、今度彼がアンナさんと同じようにした時に
 アナタはアンナさんみたいにならないと言えます?
 ・・・・それでも宜しいなら、勝手にどうぞ・・」



 茉莉さんはしばらく黙ったままでしたが、
 何かを悟ったのは急に礼儀正しくなり、
 今までの態度と今後はアンナさんに謝罪する
 仲直りしたいと意志を伝えました。


「・・・でも、元々は無理やりな感じだったんです」

「それは如何いう事ですか?」

「何かいくら断っても、超しつこいし・・・・
 それにアタシと付き合ったら、アンナと別れると」



 如何やら柚木真吾さんに問題がありますね
 これは三人で解決し合うのが良いでしょう。
 油に火を注ぐような事をせずに、
 静かに解決する方法が好ましいでしょう。



「では、今度の土曜に三人で来てください
 これは、もう真吾さんの問題ですからね」

「はい・・・」



 まったく真吾さんは人間的に疑わしい方です。
 もう茉莉さんは反省して良い人に変わりましたのに

Re: 和風本家 ( No.12 )
日時: 2010/08/16 21:08
名前: 愛純 (ID: a32fGRWE)

 03*/ 見境の無い人

 遂に土曜日になりました。
 私の店にアンナさん達が来ますから、
 和菓子やお茶を用意して待っていると


「失礼しまっす!」

「失礼しまーす」

「・・・失礼します」


 何やら明るい真吾さんは陽気でした。
 今から修羅場が始まるのを知らずに、
 何だか、ある意味、可哀想な方ですね


「アナタにお話があって来て頂きました」

「えー、何々?」

「アナタと別れたいと茉莉さんは仰ってます」



 一瞬で場は静まり返りましたね。
 心なしか真吾さんが怒っているような気がします
 


「・・・っざけんなぁあああ!!」

「キャアアアッ!」



 真吾さんは急に茉莉さんを殴ります、
 私はこう見えても柔道を習ってますから
 胸ぐらを掴むなり畳に叩きつけちゃいました


《 ドンッ・・・ 》


 鈍い音を出すと同時に真吾さんは痛がります。
 まあ、勢いよく投げつけたからでしょうけど


「ねぇ。アタシはアンタと別れたいの、
 もう、評判を悪くさせたくないし・・・
 それに二股はイケない事だからさ...?
 アンナと仲直りしたもんね、だからだよ」

「—— ッ。俺は・・・俺は・・・・」

「俺は何なの、何か言いなよっ!」


 止めを指すアンナさんに苛立ったのか舌打ちをし。
 立ち上がり。



「あんなに愛してやったのに・・・まあ、良いぜ
 どうせ、お前は遊びで付き合ってたんだからな、
 ・・・俺は絶対に浮気をやめねぇからな?
 浮気は俺には、最高の麻薬みてーなもんだから!」




 何も言っても、無駄そうですね。
 目の前で大声で笑う真吾さんは、
 もう人間性が駄目になってます。
 期待した処でも無駄な人なんでしょう


 稀に居るんです、こういう人が。



「・・・うわぁああああああッ!!」

「・・・・あ、アンナァ・・・・」




 真吾さんに一つだけ言わせて貰います。
 アナタは本当に見境の無い人だと言う事を

Re: 和風本家 ( No.13 )
日時: 2010/08/16 21:24
名前: 愛純 (ID: a32fGRWE)

 04*/ 悲しみの過去

「・・・見境が無い人なんですね」

「ああ、?」

「アナタは何故、こんなに二股をするんですか
 その理由もまさか、生まれつきでしょうか?」

「・・・・お前は何も知らないから、
 そんな風に綺麗事を言えるんだよな」


 知りませんけれど、知りたいんです。
 アナタを今、助けなければならない、
 じゃないとまた犠牲者が出ますから。


「— 俺が高校デビューした時の話だ。
 当時付き合ってた彼女に4股されたんだ
 しかも俺が別れた後にすげぇ恥かしい事を、
 そいつ等に話した所為で・・・恥を掻いたから
 それから俺なりに努力して、この容貌を手に入れ
 女子共にもモテモテで順風満帆だった時に・・・
 別れた彼女が偶然にも現われたんだよ。
 ソイツは・・・・アンナ。お前だよ......?」




 指を指された時に何かを思い出したのか、
 アンナさんは青ざめた表情をしました。
 それで『嘘でしょ』と言い、驚いています



「・・・アンナ。アンタ・・・まさか」

「アンナさん。それだったら自業自得ですね、
 でもコレで分かったでしょ、裏切られる気持ちを
 それだったら、これからはそんな事が無いように
 努力しません、とね?」



 アンナさんは泣き崩れました。
 真吾さんは茉莉さんに別れを告げるなり
 店から逃げるように去っていきました。



「あたし・・・悪気は無かったのにぃ・・・・!」

「アンナ。・・・もう泣くのはよそうよ?」




 でも。これで更生するというのならば、
 私は。無理に引きとめませんけどね。


Re: 和風本家 ( No.14 )
日時: 2010/08/16 21:37
名前: 愛純 (ID: a32fGRWE)

 05*/ それぞれの道

 しばらくして私宛にお手紙が来ました


  ————————————————


  あれから、もう時間が過ぎていき

  あたし達は落ち着いてきました。

  真吾に行った行為は許されないけど

  でも、あたし達は道を歩み始めました

  茉莉は憧れだった美容師の修行の為に

  パリで留学しているみたいだし、

  真吾は気まずくなったのか中退した後、

  噂によれば、車工場で懸命に働いてると、

  そんな噂ばかりが聞かれるようになりました

  あたしは今は勉強に集中しています、

  まあ、そんなに成績は良くないですけど(笑)

  これも怜子さんのお陰だと思います。

  あたし達はこれからも仲良くなれるよう、

  これからも努力をし続けます。

  ありがとうございました、怜子さん


     — アンナより —


  ————————————————



「これは素晴しいお手紙ですね、
 アンナさん達も別の道を歩み始めてるんですねぇ」




 水撒きをしていると水飛沫が飛び、
 辺りは涼しくなっていきました。
 さあ、今年の夏も水撒きで過しましょう




 ・完結・


Page:1 2 3 4



この掲示板は過去ログ化されています。