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- 偽りのシンデレラ
- 日時: 2010/08/16 16:36
- 名前: 沙紀 ◆2G93EKwWG2 (ID: lD2cco6.)
【序章】
五年くらい前に、お気に入りの靴をなくした。
そのころのあたしは小学三年生で、ガキで、バカで、
“靴を隠された”
という考えは思い浮かばなかった。
失くしたのは小学校なんだからまず隠されたって考えるのが普通だと思うけど。
それからちょくちょく靴がなくなった。
小4になって、五回目になくなった時、やっと「隠されてるのかも」と気付いた。
先生も、さすがに五回目になると犯人捜しをして、
同じクラスの直希に隠されていたことが判明した。
直希は、幼稚園からずっと同じクラス。
いわゆる幼馴染って奴?
直希はこっぴどく叱られて、うちン家にお菓子を届けにやってきた。
ま、かくして靴事件は解決しましたとさ。
原因は今でも不明だけど。
その直希とは、中一になった今でもクラスは同じ。
靴の事はお互い話題に出しまセン。気まずいから。
——そして今。
また靴がなかった。
女子の仕業?先輩?別にあたしは嫌われても困んないから、直接言ってほしいんだけど。
中学生にもなってチクる気はないし。
ほんと嫌な気分!!
- Re: 偽りのシンデレラ ( No.1 )
- 日時: 2010/08/16 17:01
- 名前: 沙紀 ◆2G93EKwWG2 (ID: lD2cco6.)
【1:慰めとか、マジでそう言うのいらないんだけど。】
直希が、見慣れた靴を持って走っているのが見えた。
——あたしの靴じゃん。
「燈那、お前の靴がグランドにあったんだけど…」
「ありがと。
これ、誰が見つけてくれたの?」
1,2,3,4,5秒の沈黙があって、直希が口を開いた。
「広哉。分かる?」
……マジで?
分かるも何も…あたしの初恋の人だもん。
「嘘、だって広哉って受験したじゃん。
なんでいるのさ。」
「しらねーよ、広哉に訊けよ。」
はいはい分かりましたー。
訊いてきますよ、グランドにいるんでしょ?
靴、ありがとうごぜぇましたー。
「なんだよその態度ー。」
「いいじゃない別に、あんたの手柄でもないんだし。
ほんとあんたって、広哉の事になると反発するよね!」
直希はなぜか前から、広哉にちょっと冷たい所があって、あたしが広哉をかばうと反発してくる。
一方的なライバル意識?
そう言うのなんかウザいんだけど。
「うるせぇなぁ、だからもてないんだよ。」
「はぁっ?!
今それ関係ないじゃん、直希のバーカ!!」
スカン、と直希のすねを蹴飛ばし、大股でグランドへ駆けて行った。
「いってぇ、なにすんだよ!!」
知らない、知らない、知らない!!
ホントむかつく。
——広哉は—…
直希と違う。
だから好きだった。
うるさくて、何かにつけてあたしに突っかかってくるし、靴隠すし…
靴事件の時にかばってくれたのは広哉。
——今は?
て言うか、なんで広哉がいるんだろう。
広哉に、卒業式で告られた。
でもあたしは黙ってた。
あたしも、と言わなかった。
両想いだったのに、二人は交わらなかった。
たぶん、それだけ。
——それだけなんだよ——…
「燈那」と名前で呼ぶのは、今は直希だけになった。
尾上とか、ひぃちゃんとか、皆そんな風に呼ぶ。
燈那って呼んでよ、なんて言えない。
久実だもん。今のあたしは。
燈那は、妹の名前だもん——…
あたしは久実。
皆が大好きな「尾上 久実」。
「燈那ちゃんの事が、ずっと…」
「好き、だった」
広哉、あたしは広哉に「燈那ちゃんが好き」と言われたのが本当に嬉しかったの。
もう先には、燈那に恋してくれる人はいないかもしれないから。
「広哉?」
「燈那ちゃん?」
——君の、振り向く笑顔が眩しかった。
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