コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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◇__伝えたいこと *実話です!
日時: 2011/07/10 23:38
名前: 祐希 (ID: xJuDA4mk)


はじめまして、祐希ゆうきです。


Ⅰ荒らし*中傷*チェーンメール等はNGの方向でお願いします。
Ⅱたまに、リア友さんとか来るかもしれませんがお気になさらず。
Ⅲコメント、クリックしてくれた方、感謝しきれないです。


≪目次≫

β人物紹介
>>001 ■登場人物//女子   >>002 ■登場人物//男子

βNovel
■プロローグ >>003

■あなただけ
01/>>004 02/>>005 03/>>006 04/>>007 05/>>008 06/>>011 07/>>012 08/>>013 09/>>014 10/>>021 11/>>031 12/>>033 13/>>034 14/>>039 15/>>046 16/>>047 17/>>048 *END*

■「あなただけ」後日談 >>050

■初恋物語
01/>>052 02/>>053 03/>>058 04/>>059 05/>>060 06/>>061 07/>>062 08/>>063 09/>>064 10/>>065 11/>>075 12/>>080 13/>>081 14/>>082 *END*

■「初恋物語」後日談 >>084

■ほんとの言葉
01/>>085 02/>>086 03/>>087 04/>>088 05/>>089 06/>>090 07/>>091 08/>>094 09/>>095 10/>>096 11/>>097 12/>>100 13/>>101 14/>>102 15/>>103 16/>>104 17/>>105 18/>>106 *END*



〓お客様〓

□花瑚さま−初コメ感謝! 素敵小説を書いておられます。
□瑠那さま−コメント感謝! 素敵小説を書いておられます。
□愛心さま−コメント感謝! ありがとうございますっ!
□李華さま−コメント感謝! ありがとうございますっ!
□コウタさま−コメント感謝! 初・リア友以外のコメント! ありがとうございますっ!
□愛来さま−コメント感謝! ありがとうございますっ!
□ミカンさま−コメント感謝! ありがとうございますっ!
□れんじさま−コメント感謝! ありがとうございますっ!
□こはるんさま−コメント感謝! ありがとうございますっ!
□霧屋 朋乃さま−コメント感謝! お久しぶりのリア友以外のコメントさまです! ありがとうございます!

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§ほんとの言葉 ( No.102 )
日時: 2011/07/09 12:52
名前: 祐希 (ID: xJuDA4mk)


//14


 ぼんやり、ラジオを聞いていた。そのうち眠気が襲ってきて、結局寝てしまったけれど。——焼田に逢いたい。そう思って、近所の焼田の家を覗きこむ。だけど、それだけ。そこから動けない。逢いたいけど逢いたくない。

 ねえ。こんなことを考えてしまうあたしっておかしい?

 尽きることの無い悩みはいつしかあたしの心を侵食してしまう。どうしてこんなことになったのか、そんなこと考えてたら長いことかかるんだろうな。



「逢いたい、なぁ……」



 誰に? ——答えはとっくの昔に出てるけど、気付かないふりをする。こんなとき、なつとかるりとかだったら、親身になって聞いてくれるんだろう。まりとなるとあーちゃんなら、面白いこと言って笑わせてくれて。

 みんな、いい人なんだ。あたし、みんなの中にいていいのかな。こんな中途半端な存在のあたし、みんなと一緒にいてもいいのかな。

 ——あーあ、もう駄目だ。ぐっちゃぐちゃで訳分かんない。



「——でも、みんなと一緒にいたいなぁ……」



 頬が濡れてる感覚を覚えた。きっとそれは、俗に言う涙の分類に入るのだろう。

 あたしがいま言った、「みんな」のなかには、あいつも入っているのだろうか。だとしたら、あたしはあいつになんて言えばいいんだろう。

 そばにいて。——図々しいかもしれないけど。出来る限り、なにも聞かずにそばにいてほしい。そんなのはただの我儘なのかな。


§ほんとの言葉 ( No.103 )
日時: 2011/07/10 18:54
名前: 祐希 (ID: xJuDA4mk)


//15


 それから、何をしても中途半端で、当然部活だって勉強だってなかなかうまくいかなくて。あたし、こんな駄目な奴だったかな。何をやろうにも失敗してばっかで。

 そんなとき、お気に入りのラジオ番組でこんな放送をしていた。その内容は、ごく普通の悩み相談だったのだけれど、その悩みに妙な既視感を覚えた。



『 今日は、「何をするにも上手くいかない」という——くんのお悩みを解決しましょう! 』



 ——名前は聞き取れなかった。
 ああ、この人もあたしと同じことになってる。そんな根拠どこにもないのに、何故かそう考えた。——解決法、聞いとこうかな。そうすればいくらかマシになるかもしれないしな。



『 もしもーし、————です! 投稿ありがとう! 今回は貴方のお悩みを解決しまーす! 』

〔 ——よろしくお願いします 〕



 あれ、聞いたことあるかも、この声。聞いてて——安心する声。でも、ラジオを通してだと雑音が入り混じって何が何だかよく分からない。



『 ところで貴方のお悩みは、「何をやっても上手くいかない」ということでしたよね? 』

〔 いえ。 実は、僕の友達がそういった状態で、どうやったらそいつを助けてやれるかなっていう悩みなんです 〕

『 そうなの!? 友達想いのいい子なんだねえ 』

〔 そういう訳でもないです、 〕



 もっとこの会話を聞いていたい。そしたら何か分かるかもしれない。でも、眠気には勝てなくて、気付いたら意識は飛んでいた。


§ほんとの言葉 ( No.104 )
日時: 2011/07/10 22:47
名前: 祐希 (ID: xJuDA4mk)


//16


 次の日の朝は、なんだかすごく体が軽くて。 今なら何でも出来る気がした。 そして今日は、中学最後の大会——地区総体の日だった。 今までのあたしなら、きっと今日も何しても駄目だったんだろう。 でも、今なら頑張れる気がした。


 ——まひろ、頑張れ——


 ——聞こえる声が、誰のであろうと、あたしはとても安心できた。 きっと昨日のラジオのおかげだろうと、勝手に自己完結してみる。 あの声はきっと——。
 淡い期待はしないほうがいい。 期待を裏切られたときの損傷が半端じゃなく重いから。


 地区総体が、もう少しで始まる。 いつもと違う様子のあたしに、なるは目敏く気付いたらしい。 ——自分のことには鈍い癖に、他人のことには妙に鋭いんだよなあ。 なるのそんなとこが好きだけど。


「もう元気になったの?」
「——んふふ、元気でーっす! つかわたしいつでも元気よ? ご心配なさらず!」
「それならいいけど」


 素っ気なく返すけど、これがなるの優しさなんだろうなあって。 今さらながらに気付くあたしを許してほしい。
 頭の中で繰り返し聞こえる——ここにはいないあいつの励ましを頭の傍らに追いやって、これから始まる大会に気を引き締め直した。


§ほんとの言葉 ( No.105 )
日時: 2011/07/10 23:16
名前: 祐希 (ID: xJuDA4mk)


//17


 多分、この三年間でいちばん頑張った試合だったと思う。 結局、他人に文句ばっか押しつけて、自分は面倒がって何もしてこなかったんだと気付かされた。 これじゃあ何言われたって反論できないに決まってる。 気付かせてくれたなるに感謝。 そんで、——あいつにも。 これに勝ったら、あいつにいちばん言いたい言葉を伝えよう。 たとえかなわなくとも、それはあたしの気持ちなんだって。


 ——今まででいちばん頑張った試合は、あたしを決勝戦まで進めてくれた。
 なんて思うのは図々しいだろうけど。 あれだけ嫌いだった顧問が、少しだけ好きになれる気がしなくもない。 ——まあ、嫌いなことは嫌いだけどね。
 いま、コートでなるが頑張ってる。 ここでなるが勝ったら、あたしたちは優勝することが出来る。 いままで滅多に賞を取れなかったあたしたちが、決勝戦の舞台に立っているというのはすごく光栄なこと。 なる、頑張れ。 なる、頑張れ! 勝てなくてもいいじゃない。 まずここにいる時点ですごいと思わなきゃ。


 ——頑張っても報われないことだってある。 そんなことは今までだってたくさんあった。 だから、なるが負けて帰ってきたとき、すごく悔しそうな顔してたのはつらかった。 少しでも、元気にしてあげられたら。


「——頑張れ、まひろ」
「うん。 頑張ってくるよ、なる。 勝ってくるから!」


 ——本当にしたかったその言葉。 ほんの気休め程度にしかならなかったみたいだ。 圧倒的な強さに押し潰されてしまった。 けど、何でだろう。 不思議と悲しくはない。 もちろん、悔しくともなくて。


 ただ頭を巡っていたのは、あいつに伝える言葉のこと。
 感謝。 懺悔。 ラジオのこと。 それから————。

§ほんとの言葉 ( No.106 )
日時: 2011/07/10 23:35
名前: 祐希 (ID: xJuDA4mk)

//18


「——やきた、」


 久しぶりに呼んだ気がするその名前。 名前の持ち主は、困った笑顔を浮かべて小走りに走り寄ってきた。


「なんだよ、まひろ」
「いや。 焼田に言いたいこと、いっぱいあったのに言えなかったからさ。 いま言ってもいい?」
「——言いたいこと?」


 怪訝な表情を浮かべる焼田に、あたしは笑ってみせた。


「まず、ありがとう。 あのとき、励ましてくれて」
「——おう」
「それから、ごめん。 あのとき、何も言えなくて」
「——分かってる」
「それとさ、————っていうラジオ、あれアンタ出てたでしょ?」
「げ。 何で知ってんの?」
「聞いてたからだし。 てかそのラジオ番組、あたしのお気に入りだったからね」
「まじか……」
「それから!」


 その言葉を伝えるには、一緒にいる年月が少し長かったあたしだけど。


「——焼田のこと、好き」


 短い言葉でも、きっとあいつは分かってくれる。 どこから出てくる自信なのか分からないけど、もはやその気持ちでしか動いていなかった。 いわゆる、あたしって感情的なんですよ。 好き、好き、気持ちが溢れてやまない。


「返事は聞かない。 だけど、嫌いにならないで。 今まで通りに接してくれたら、あたしはそれでじゅうぶ」
「何で返事聞かねえの」

「——ん?」

「何で返事聞かねえの、って言ってんの」
「いや、だって結果なんて分かりきってるし。 焼田があたしのこと好きなわけないだろ」
「決めつけんなよ。 俺はずっと——まひろが、」


 赤面する焼田が愛しい。 てか可愛い。 焦ってるのかどうなのか、ずっとあたしの名前を繰り返してる。




 あいつから言葉が返ってこなくても、あたしはほんとの言葉を伝えることが出来た。
 ——影から励ましてくれてた焼田。 ありがと。 ……そんで、大好き!







 §ほんとの言葉......


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