コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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魔法使いの宝物
日時: 2011/05/01 21:36
名前: 桜野兎姫 (ID: 6fmHesqy)

はじめまして、桜野兎姫です

クリックしていただきありがとうございます。

この作品は、私が初めて書いた小説なので、至らないところはたくさんあると思いますが、どうか最後まで目を通していただきたく思います。

そしてずうずうしいお願いではありますが、この作品をよりよい作品にするためにアドバイスなどもしていただければ幸いです。


〜目次〜

>>1 プロローグ

>>2 第一話

>>3 第二話

>>4 第三話

>>6 第四話

>>9 第五話

>>12 第六話

>>13 第七話

>>14 第八話

>>15 第九話

>>16 第十話

>>17 エピローグ

>>18 あとがき

〜大切な友人〜

仁都さん

〜この作品をよりよくするため、いろいろアドバイスを下さった方々〜

翡翠さん

ゆnさん

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Re: 魔法使いの宝物 ( No.9 )
日時: 2011/05/02 08:57
名前: 桜野兎姫 ◆hGvsZemfok (ID: 6fmHesqy)

〜第五話〜

「あーこの古い紙切れ一枚が50万ルスだなんて」

シウルはさっきからずっとこの調子で、ぶつぶつ言っている。しかし、そんなことを言っているわりに、地図は気に入ったようで、ずっと地図の場所について、ぶあつい本で調べている。だが突然私のほうを向くと

「忘れてた!」

と叫んだ。びっくりしてびくっと身を震わせる私に、シウルは驚かせて悪いと軽く謝り、話し始める。

「あの後、部屋に入ったか?」

部屋とは、あのホコリだらけの部屋のことだろう。

「行ってないけど」
「行ってみてくれ! きれいになってるはずだ! あと、家具は俺が適当に選んだから、気に入ってもらえるか分からないが、そろえておいた」

いつの間にそんなことをしたのだろうか? シウルが帰って来てからずっと、私もシウルも、この部屋にいたはずだ。不思議に思いながら、私は例の魔法というやつだろうと、本を奥へ押し込む。

スッと開いた本棚の間を通ると、何も言ってないのに、シュネが明かりをつけてくれた。

「ありがとう」

お礼を言って上へのぼる。階段はさっきとまったく変わらず、狭くて薄暗いままだ。

階段の一番上までのぼると、ここにもさっきとまったく変わらない、ドアがあった。私は期待をこめてドアノブをまわす。

カチャっと気持ちのいい音がしてドアが開くと、そこは別世界だった。
明るい色を貴重とした、かわいらしい部屋は、さっきまでホコリだらけだったなんて思えない。

さっきまで家具がひとつもなかったはずなのに、ハート模様のカバーがかかった、ベッドやクッションもあり、しまっていたはずの灰色のカーテンも、かわいらしいピンクに替わり、開いている。

私は急いで階段を駆け下りると、シウルに向かって叫ぶ。

「ありがとう!」

まだ、分厚い本で調べ物をしていたシウルは、本から顔を上げると、

「喜んでもらえたならよかった」

と少し笑った。

「そういえばシュネの部屋はどうするの?」

私はふと思いついたことを口にする。

「魔神の私に部屋は必要ありませんよ」

答えたシュネは、悲しそうな目で、ペンダントを見た。

「でもあったほうが便利なら、下に一部屋空いてるけどな」
「えっ、いいんですか?」

シュネの顔がぱっと輝く。こうして笑うと本当に天使のようだ。

「ああ、下におりて一番奥の部屋だ」
「ありがとうございます」
「ねえ行ってみようよ!」

私は、うれしそうなシュネの手を握り、本棚に手をかける。
すると、まだ本を押し込んでいないのに、本棚がスッと開いた。


Re: 魔法使いの宝物 ( No.10 )
日時: 2011/04/07 21:00
名前: 仁都 (ID: Fzlu8rIh)

5話、楽しみにしてましたっ
シウルくん何気にやさしい...!シュネさんも可愛いです!
どんな部屋なんでしょう??w
六話も楽しみにしてますね

Re: 魔法使いの宝物 ( No.11 )
日時: 2011/04/10 17:15
名前: 桜野兎姫 ◆hGvsZemfok (ID: 6fmHesqy)

楽しみにしていていただいたなんて! 感激です! ありがとうございます!

Re: 魔法使いの宝物 ( No.12 )
日時: 2011/05/01 21:07
名前: 桜野兎姫 ◆hGvsZemfok (ID: 6fmHesqy)

〜第六話〜

「きゃっ」

中から出てきた少女と、危うくぶつかりそうになる。出てきたのは、きれいな栗色の髪を、見事なたてロールにし、黒いドレスを身にまとった少女と、二十代くらいの男性だ。

「だれ!?」
「本日よりここでお世話になることとなりました、シュネライアと申します。シュネと呼びください」

男性の分かりやすい問いかけに、シュネはあわてることなく淡々と答えた。さすがシュネというべきか。そんなシュネの斜め前であたふたしている私を、シウルが紹介してくれる。

「そういえばまだ紹介してなかったな。そこであわててるのがルミだ! 二人ともここで暮らすことになったから、仲良くしてやってくれ」
「私、ジェラーニと申しますの。仲良くしてくださいな」

ドレスの子が手を差し出してくれる。私はその手を握り、

「こちらこそ」

とにっこり笑った。

「俺はジニアスだ! よろしく」

こっちはさりげなくシュネに手を差し出す。

「ジニアス、鼻の下が伸びきてるぞ?」

シウルの言葉で、ジニアスは残念そうに手を引っ込めた。

「それにしても、シュネライアってどこかで聞いたことがある名前なような……。どこかであったっけ?」
「そういえば、私も聞いたことがありますの」

シュネはそんなに有名人なのだろうか? 私は不思議に思いながら、シウルを見る。すると本を片付けようと立ち上がったシウルが、その疑問の答えを口にした。

「ニュースで聞いたんじゃないのか? 三年位前にテレビが大騒ぎしてたからな」
「あ! あの時の! 大ニュースだったもんなーって本物!?」

また三年前という言葉が出た。何か私に関係あることなのだろうか? 三年前、私がなくした記憶の中に何が隠されているのだろうか? 今となってはそれを知る者は数少ない。

「ねえそのニュースって?」

シュネはよく知ってるはずだ。きっとこの部屋にいる全員が同じことを考えたのだろう。より正確な情報を求めて、視線がシュネに集中する。しかしシュネは少しうつむいて黙ったままだった。

「まあそんなことより、バラの香りがするということはあいつが来たのでしょう? 今日は何の用でしたの?」

シュネの気を察したジェラーニが話題を変える。それにしてもあいつという表現は、上品なジェラーニらしくない。

「また地図を持ってきたんだよ。買ってみたけど昼から一緒に行ってみないか?」
「おお、それはいい賛成だ」
「私も賛成ですの」
「ルミとシュネさんはどうだ?」
「えっ?つれてってくれるの?」

私は思わず聞き返す。一緒に行けるなんて思っても見なかったのだ。

「当たり前だろ? まあ行きたくないなら仕方ないが」
「いくっ! いきたいっ!」
「シュネさんは?」
「もちろん行かせていただきます」
「よし! 決まりだな! 昼を食べたらすぐに出かけよう!」

シウルの言葉を合図に全員がそれぞれ準備に取り掛かるのを、私はうきうきしながら見ていた。

Re: 魔法使いの宝物 ( No.13 )
日時: 2011/05/02 08:59
名前: 桜野兎姫 ◆hGvsZemfok (ID: 6fmHesqy)

〜第七話〜

私は今、山の中を歩いている。斜め前を歩くシウルは、ありえないほど大きい荷物を背負ってずんずん歩いていく。私は荷物を何も持っていないにもかかわらず、もう山登りに疲れてしまっていた。

「ねえ、はやいよ」
「もう疲れたのか?」
「うん、だってあんまり山のぼりはしないもん」
「山登りは嫌いか?」
「ううん、好きだよ? 冒険みたいで面白いじゃん」
「じゃあもう少しがんばるか。そうだ! いい物をあげよう」

私を振り返って立ち止まったシウルの足元に、青い魔法陣が開く。とたん、シウルの手から白い煙が出はじめた。白い煙は5秒間ほど出続け、収まるとシウルの手の中に、氷でできたハートが出現する。

「なにこれ……。すごい……」

目を丸くする私にシウルは優しく笑いかけた。

「元気が出るお守りだ」
「ありがとう!」
かわいらしいハート型の氷を受け取ると、前を歩いていたジニアスたちが振り返る。

「おーい遅いぞーっ何してるんだーっ」
「あー、今行くーっ」
「行こう!」

シウルは大きい声で返事をした後、私の頭をくしゃっとなでてまた歩きはじめた。私は、ハート型の氷を右手で包み、その後を追う。しかしそこで、ふと前にもこんなことがあった気がして立ち止まった。

「どうした?」

不思議そうに立ち止まるシウルに、

「ううん、なんでもない」

と答え、もう一度歩き出す。確かに前にもこんな事が会った気がする。しかし私には、山登りをした記憶などない。これが失った記憶の一部なのだろうか? 気のせいかもしれない、だがもしも記憶の一部なら……。


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