コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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魔法使いの宝物
日時: 2011/05/01 21:36
名前: 桜野兎姫 (ID: 6fmHesqy)

はじめまして、桜野兎姫です

クリックしていただきありがとうございます。

この作品は、私が初めて書いた小説なので、至らないところはたくさんあると思いますが、どうか最後まで目を通していただきたく思います。

そしてずうずうしいお願いではありますが、この作品をよりよい作品にするためにアドバイスなどもしていただければ幸いです。


〜目次〜

>>1 プロローグ

>>2 第一話

>>3 第二話

>>4 第三話

>>6 第四話

>>9 第五話

>>12 第六話

>>13 第七話

>>14 第八話

>>15 第九話

>>16 第十話

>>17 エピローグ

>>18 あとがき

〜大切な友人〜

仁都さん

〜この作品をよりよくするため、いろいろアドバイスを下さった方々〜

翡翠さん

ゆnさん

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Re: 魔法使いの宝物 ( No.1 )
日時: 2011/03/29 17:10
名前: 桜野兎姫 (ID: 6fmHesqy)

〜プロローグ〜

ある冬の晴れた日、雪が一面真っ白に降り積もった森の中を俺は一人、紙でできた買い物袋を抱えて家へ向かっていた。吐き出された白い息を眺めながら俺はあの日のことを思い出す。

あの日、俺はいつものようにこの道を歩いていた。この先にある、巨大樹の下で待っているはずだった少女に会うため、まっすぐ巨大樹に向かっていたのだ。しかしその日、いくら待っても少女が現れることはなかった。それどころか、三日、四日、五日、と時がたっても結局少女は現れず、いつの間にか何年もの時がたってしまっていた。

もう巨大樹の下にあの少女が現れることはないだろうと分かっていても、いつかまた何もなかったかのようにあの木の下で待っていて、ゆっくり歩み寄っていく俺を見つけると「遅いよ!」と少しほほを膨らませた後でにっこり笑い、大きく手を振りながら駆け寄ってきてくれるのではないかと考えずにはいられない。

しかしそんな思考もそこで打ち切られることになる。驚きのあまり俺の手を離れた買い物袋が地面に転がるが、まったく気づかなかった。

Re: 魔法使いの宝物 ( No.2 )
日時: 2011/05/01 21:19
名前: 桜野兎姫 (ID: 6fmHesqy)

〜第一話〜

コトコトとポットの温まる音が聞こえる。私は、まだぼんやりしたままの頭で、重い瞼をゆっくり開く。

そこはおとぎ話に出てくるような小屋の中だった。
あたたかな木の壁にドアがひとつと窓がいくつかついている。少しはなれたところにテーブルと小さなキッチンがあり、壁際には、難しそうな分厚い本がたくさん並んだ本棚がある。

「よかった気がついた、買い物からかえったら家の前にルミが倒れてたんだ、びっくりしたんだぞ」

そこには、いつの間にか知らない少年がたっていた。
海のようにすんだ青色をした髪と瞳で、なぜか真っ黒なローブを身にまとった、どこか不思議な少年だ。

はっとしてぴょんととび退くがそこに床はなかった。正確には『ベッド』がだ。ゴツンといやな音がして目の前を星が舞う。

「いったぁ——」

一気に目が覚める。後頭部の激痛と戦っていると上から

「大丈夫か?」

と本当に心配そうな声がふってきた。

ベッドに座りなおすと少年はかわいらしい模様のマグカップに温かい飲み物を注いでくれた。軽くお礼を言って受け取るとその甘い香りが鼻をくすぐる

「いい香り」
「だろ? 今日買ってきたばかりなんだ」

カップには、赤い色をしたどこかでかいだことのある香りの飲み物が入っていた。見た目は紅茶のようだが、香りは紅茶とはまったく違っていた。

その甘い香りに誘われて一口くちに含むと、口いっぱいに甘みが広がる

「おいしい」

初めて飲んだはずなのに、どこか懐かしくて、暖かい味、
夢中で飲むとカップはすぐ空になった。

「そうそう、これ返しとかないとな、引っかかると危ないからはずしといたんだ」

少年はポケットから見慣れないペンダントを取り出し、こちらに差し出してくる。少年の手の中では、銀色のチェーンがついたダイヤ形の黄色い石がキラリと光る。

「私、これ知らない」
「えっ? そんなことないだろ……よく見てみろよ」

もう一度差し出されたペンダントを今度はおとなしく受け取り覗き込む、
すると突然黄色い光が部屋を包み込んだ。あっけに取られて見ている間もだんだん光は強くなる。ひときわ大きく輝いて光がおさまると、さっきまで光の中心だった場所に一人の女性が立っていた。

まっすぐな金髪を長く伸ばし、やさしそうに笑う口元は女神という呼び方が最もふさわしく思える。大きめの青い瞳はサファイアのように美しく輝き、冬であるにもかかわらず肌を見せた服は、不思議なことに少しも寒いという印象を与えない。とても美しい女性だ。

「誰だ!」

少年は私をかばうようにして立ち、さけぶ

「そんなに警戒しないでください 私、シュネライアと申します。長いですからシュネとでもよびください。私は、本日……いえ正確に言えば三年前からルミ様にお仕えするものです。」
「知ってるのか?」

少年の問いかけに黙って首を振り考える。
三年前……それは——。

Re: 魔法使いの宝物 ( No.3 )
日時: 2011/04/04 11:03
名前: 桜野兎姫 ◆hGvsZemfok (ID: 6fmHesqy)

〜第二話〜

三年前、私はおじいさんの家で目を覚ました。私にはそのときより昔の記憶がない。気がついたらおじいさんの家のベッドで眠っていたのだ。おじいさんは倒れていた私を拾ってくれたそうだ。自分が何者なのかすら分からない私におじいさんは優しくしてくれた。思い出せないならムリに思い出さなくていいとやさしく笑い、素性の分からない私を家族として認めてくれた。

しかし、私はそのとき大きな不安のようなものを感じていた。何かとても大切なことを忘れている、そんな気がしてならなかったのだ。それが今から3年前のことだ。

そして今、もう一度強く感じた。私はとても大切なことを忘れているのだと。

ふと気になり少年のほうを見ると、さっきより警戒を強めたような険しい表情でたっていた。そんな少年に対しシュネライアと名乗る女性はどうどうと口を開く。

「オルガ様からお二人に手紙が届いております、お受け取りください。」
「へ? おじいちゃんから?」

オルガとは私のたった一人の家族である、おじいさんの名だ。渡されたかわいらしい桃色の封筒にはおじいさんの字で、『ルミちゃんへ』と書かれている。

なぜ家へかえればいつでも会えるおじいさんから手紙が届くのだろうか? 私へとどくだけならまだ分からなくもない。だがなぜ今日はじめてあったはずの少年にも届くのかどうしても分からない。しかし今は、中身が気になり、封筒にはってある桜の形をしたシールをそっとはがす。中から出てきた封筒と同じような桃色の便箋を急いで開き、目を走らせた。
手紙には、とても急いで書いたというような字でこう書いてあった。

——ルミちゃん、突然のことに混乱しているかもしれんが、分かってほしい。わしは娘と暮らすことになってもうルミちゃんと暮らすことはできなくなった。じゃからルミちゃんには、そこにおるであろう少年と暮らしてほしいんじゃ。少年に話は伝えてある。きっと力になってくれるじゃろう。ルミちゃん元気でのう——。

あまりのことに、手紙を持ったままその場に立ち尽くしてしまう。会ったばかりの少年と一緒に暮らせといわれて混乱しないほうがおかしい。どうしていいか分からずそのまま立ち尽くす私に、少年は遠慮がちに話しかけてきた。

「あの、ルミ? えっと自己紹介がまだだったな……。俺の名はシウルだ! よろしく。部屋に案内しようと思うんだがいいか?」

反射的にこくりとうなずいてから首をかしげる。さっき見たとき、ドアは一つしかついていなかったからだ。

シウルは本棚の前まで来たところで、突然振り返り

「早く!」

と大きめの声で言った。私が小走りで本棚の前まで行くと、

「推理小説とかでよくこういうのあるだろ?」

と自慢げにつぶやきながら、何冊かの本を同時に奥へ押し込んだ。



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