コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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俺の幼馴染みが橋の下に住みついたようです。
日時: 2012/08/23 13:21
名前: なちゅら (ID: Fhb4zUz0)
参照: http://www.kakiko.info/bbs2/index.cgi?mode=view&no=6609

 くだらないタイトル、すんません。
 
 はじめますて、現在厨②、なちゅらです。
 変な小説を書こうと思いまして、こうなりました。

 なんかもうグダグダになることが安易に想像できますが、よろしくです。

*〜本編〜*
プロローグ >>1 >>2
第一章 ふざけんなよ馬鹿!!!
①俺の幼馴染みが消えたそうです。 >>3
②俺の幼馴染みが死んだそうです。 >>4
③帰宅 >>5
④神様 >>6
⑤「私……、私—————っ」 >>7


*〜お客さん〜*
・バチカs


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Re: 俺の幼馴染みが橋の下に住みついたようです。 ( No.1 )
日時: 2012/09/07 19:17
名前: なちゅら (ID: d.VkFY9X)

プロローグ ①

 世界は広い。当たり前だ。
 そんな広い世界の中、俺の幼馴染みは、暑い暑い夏の日に、突然消えてしまった。
 まずは、その幼馴染みに何が起こったかを説明させてもらおう。

 ———*

 夏の太陽が、ジリジリと大地を照らしている。
 安積東高等学校の2年B組。彼女は、今日もそこで勉強していた。学生なら当たり前であろう。
 授業中にだけかける、赤ブチ眼鏡。そろそろ変え時かな。見えづらくなってきた。
 セミの声がやけに五月蝿かった。
 時計に目をやると12時15分。そろそろ終わりだ。大半の生徒は、同じことを考えているのであろう。
 
 あー、眠い。昨日、遅くまで漫画読んでたせいかなあ……。

 彼女、臼杵紅浬(ウスツキ アカリ)はそんな事を考える。
 小6の冬、母親が夜逃げ。母がいなくなったときのショックは大きかったが、父が母の分も頑張っているところを見ると、弱音は吐けなかった。父の手伝いや、一人で夕食などを作っていたかいがあってか、家事だけは本当に上手くなった。
 父はサラリーマンだが、家計はギリギリ。切り詰めて切り詰めての生活。紅浬は、高校に行かず働くことを提案したが、父は勉強だけはさせておきたい、と進学を勧めた。父のおかげで、今ここにいれる。それだけには感謝したい。
 
 「きりーつ。」

 ハッ。いつの間にか終わっていたようだ。ふーっ、やったー。今日は午前で終わりなんだー。
 紅浬は脳内で、帰ってからすることを色々考えながら起立した。
「礼。ありがとうございましたー。」
どうにも、やる気がない号令。
 それでも誰も気にしない。どうせ、いつものことだ。

 「ねぇっ、竜輝! もう帰っていいかなぁ!?」
紅浬は幼馴染みの寺井竜輝(テライ リュウキ)に問いかける。幼稚園の頃から、小学校、中学校、そして高校と、クラスも全て一緒。竜輝本人は、五月蝿い幼馴染みとは離れたいと、密かに思っているのだが……。これがなかなか離れない。おまけに、周りにはありもしない噂が渦巻いていて……。腐れ縁という単語がよく似合う2人。
 竜輝は面倒臭そうに、
「あー、……へー、そうだね、帰ればいいじゃん」
と、冷たく返す。しかし、そんな返事に怯む様子もなく、歯を見せて笑いかける。……意味ありげに。
「ちょっと、出かけたいところがあるんだけど、どうせ暇でしょ? いくよ!!」
紅浬は竜輝の返事も聞かずに、竜輝の手を握り走り出した。
「おいやめろ、俺今日パス! 面倒臭ぇ!!」
竜輝は、幼馴染みの手を振りほどいて教室へ逆戻りしようとする。カバンが教室に置きっぱなしだったために。
「拒否権はありません! いいから私に従いなさい!!」
紅浬は竜輝の手を再びつかんだ。
 クッソ、握力40kgの馬鹿力女め!!
 竜輝は、手首に痺れを感じながらも、教室へ向かおうとする。
「おい、手前はいつから俺の女王様になったんだよ!?」
竜輝が怒声を上げても、紅浬は怯む様子1つも見せずに
「何、言ってるの? 竜輝は、ず————っと前から私の下僕でしょ?」
といらだたしく笑ってみせる。しかし、その笑顔は画像だけで見ると、本当に無垢な笑顔だった。
「なった覚えはねぇよっっ!!!」
竜輝は幼馴染みを引きずりながら教室へ戻る。
 教室にはまだ生徒が大半以上いて、皆楽しそうな顔をしている。
 自分の机まで行ってカバンと、机の中からPSPの入ったケースを取り出す。
 またコイツの買い物に付き合わされたんじゃ暇でしょうがねぇからな……。
 そんな事を考えながら、竜輝は幼馴染みを横目で見た。幼馴染みは、拗ねた子供の様な顔で横を向いている。竜輝176cm、紅浬155cm。その身長差、21cm。上から見下ろした紅浬の顔は、竜輝には、よく見えなかったが——……。
 ……どうせ、家帰ってもなんもねぇしなぁ。コイツ、家帰ってもどうせ1人だから、やっぱ、寂しいのかな。
「……で、何? どこに行くわけ?」
竜輝は渋々、紅浬の用事に付き合うことにした。
「んー、行ってからのお楽しみ」
紅浬は教えるつもりはさらさらないようで、竜輝は溜息をつく。

 校門を出てからも、紅浬は竜輝の手首を握っていた。竜輝はそれが相当気になるらしく、
「おい、いい加減、手離せ。」
と冷たく言い放つが、
「えー? だって竜輝、絶対逃げるじゃん」
と相変わらず、離そうとしない。
「逃げねーっての! ここまで来て誰が逃げるか!」
「逃げるね! 嘘つき竜輝!」
紅浬は、離してくれそうもなく、結局、竜輝は紅浬に手首をつかまれたまま歩く。まるで、無理矢理病院に連れて行かれる子供のようだ。
 これ、他の奴に見られたらどうすんだ。
 ったく、この馬鹿がそこまで考えてるワケもないしな……。どうか、知り合いだけには見られませんように。

 紅浬の家の前(と言っても、築30年のボロいアパートだが)に着く。紅浬は、そこで初めて竜輝の手を離した。アパートの、塗装のはがれた壁が、その存在を際立たせている。・・・悪い意味で。霊でも出てくるんじゃないか。そう思えるほど物騒なアパートだった。最近は、近所のガキも怖がって近づかないほど。
「ちょっと待っててね! 逃げたら手首折るから! 」
物騒なことを吐きながら、紅浬は、アパートの階段を上がっていった。
 逃げるったって、俺の家はすぐそこだろうがよ。
 竜輝の家は、このアパートの前の道路を真っ直ぐに行き、1つめの角を右に曲がったところにある。そんなに新しいわけでもないが、霊などは出ないので、特に問題はない。
 

 ところで、何だ。……すごく、嫌な空気がする。
いや、霊とか、そんな意味ではなく。
 事故が起きそうな、そんな気配。
 
 ……お願いします神様。どうか今日は平穏な日でありますように。 

Re: 俺の幼馴染みが橋の下に住みついたようです。 ( No.2 )
日時: 2012/08/22 19:16
名前: なちゅら (ID: Fhb4zUz0)

プロローグ ②

 赤いペンキがはげた古ぼけたドアを開けると、1つの大きなダンボールがあった。
 ダンボールの上には、手紙。彼女はそれを手に取る。

———————————————
紅浬へ

母さんの居場所が分かった。
すまない、俺はやはり朝実アケミのことが諦められないらしい。
絶対にこの場所へ戻ってくる。本当だ。
この約束を破るつもりはない。
……もし、破ったとしたら、その時は俺を殺してくれ。許そう。
1年以内には、絶対に母さんと、この場所に戻ってくる。
そして、昔みたいに仲良く暮らそう。
今やらないとダメなような気がするんだ。

本当に自分勝手な都合でもうしわけない。
1年間、青森のおじさんの家で預かってもらうよう頼んだから、そのへんは心配することはない。
今日中に青森へ行ってくれ。交通費はダンボールの中に入ってる。
それと、このマンションも今日中に出て行ってくれ。
ダンボールの中身は、全てお前の荷物だ。重いかもしれないが、頑張ってくれ。
本当に申し訳ない。すまない。

絶対に俺は朝実を連れ戻す。
俺のわがままを許してくれ。

母さんと戻ったら、おじさんの家に電話する。
竜輝君や友達にもちゃんと別れの挨拶はするように。高校での転校手続きは済んだから。
青森でも、ちゃんと高校に行くんだぞ!!

父より
———————————————

 紅浬は、急いでダンボールを開けた。
 大きなダンボールの中には、服、本、漫画、写真、ヌイグルミ。どうやって運べって言うのよ。重くて持てないよ。
 そんなごちゃごちゃした箱の中で、一番最初に目が入ったのは、茶封筒。やけに分厚い。何が入っているのか。
 紅浬は、そっと中を見る。そして、驚愕した。
 諭吉———……、いや、一万円札がわんさかと入っている。
 こんなお金、どこから……!?
 冷や汗がどんどんどんどん流れてくる。
 そんなの、知らないよ。私、ずっとこの場所にいたいよ。青森? 遠すぎるよ、そんなの。この場所から離れるなんて、絶対に嫌。竜輝も、友達も、この場所からも、みんなとさよならするの? 生まれてから16年。ずっと育ってきたこの場所。愛着がわかないほうがおかしい。

 紅浬は階段を駆け下りる。 
 塀にもたれて携帯をいじってる竜輝に、申し訳なさそうにに言う。
「ごめん、竜輝! 今日、ちょっと用事あるんだった!!!」
だらだらと冷や汗が流れてくる。
「はぁ!? 手前、ふざけんのもいい加減にしろよ!!」
竜輝はいらつきながら返す。本気で怒っているわけではないが。
 しかし、紅浬が反発する様子はない。俯いて、黙って、そして、肩を震わせていた。その様子に気付いた竜輝は訊く。
「……お前なんか顔青いぞ……? なんかあっただろ、話せって。」
紅浬は俯いたまま言う。
「何も、ないって………………」
疲れきったような、冷たい声で。
「嘘。嘘つきはお前だろ、嘘つき紅浬。やけに明るかったのに、こんなに暗いとか、ありえねーよ。絶対何かあ


 「うるさい!!!!!!!!!」 


 紅浬は、竜輝の言葉を遮り怒鳴る。脅すように、それ以上何も言うなとでも言うように。
 そして、ハッと気付く。見上げると、竜輝はいつも通り、つまらなそうな顔でそこに立っていた。
「あ……、ごめん、その……
「ほら、やっぱりお前おかしいよ。何があったんだよ?」
竜輝は、紅浬の瞳を見つめながら言う。それでも紅浬は話そうとしない。
「ごめん……。でも、何でもないから……。あはは……。ほんと、ごめん」
紅浬はもうしわけなさそうに言う。
「ごめんはもういい。聞きたくねぇ、そんなん。……まぁ、困ったときはすぐ言えよ。いいな?」
そう言うと、竜輝は踵を返し、帰路についた。
 竜輝の背中を見つめ、紅浬は呟く。

 「竜輝……。言えないよ……、言ったら竜輝に迷惑かかるじゃん……。……でも———


 私、どうすればいいのかなぁ……? 」

 紅浬は空を見上げる。清々しいほどに青い。
 なんで、こうなっちゃうんだろう?
 私が、わがままばっかり言っていたからかなぁ——……? 
 ねぇ、どうすればいい?

 誰か、教えてよ—————……。

 彼女はうずくまる。そして、汗と涙が混じった液体をぽたぽたと地面に落とした。

Re: 俺の幼馴染みが橋の下に住みついたようです。 ( No.3 )
日時: 2012/08/22 19:24
名前: なちゅら (ID: Fhb4zUz0)

第一章 ふざけんなよ馬鹿!!!
①俺の幼馴染みが消えたそうです。

 「紅浬—————っ!!!」 
何時間歩いただろう。何時間走っただろう。3時間くらいか。
 家を出たときは夕焼けだったのに、今ではすっかり真っ暗だ。
 藍色の空には、飛行機が光って飛んでいる。
 くっそ、紅浬の奴どこに行きやがった。
「紅浬———————————!!!!!」
出てくる気配さえしねぇ。どういうこっちゃ。
 誘拐? そんなわけねぇよな。あいつ、身体能力だけはズバ抜けていいし。もし、肩なんか触られたとしたら、理由も聞かずに相手を投げ飛ばすであろう。
 ある意味、最強だからな。
 
 そんな俺の幼馴染みが、“失踪”した。
 母さんが紅浬のボロアパートにちょっと届けものをしに行ったところ、家には誰もいなかったらしい。その上、家具もない。紅浬の脳内同様、スッカラカンの状態だった。
 それで、探して来い、と。
 まさに“俺損”じゃねーかよ。疲れる、時間は無駄になる。学生ってのは1時間1時間がすっげー大事なのによ。
 メールも電話も、応答無し。マナーモードにでもしてるのか、はたまた、分かっていて無視しているのか。
 竜輝は頭をかく。汗が冷えて少し寒い。
「くっそ〜、ふざけんじゃねぇよ」
ここらのコンビニは既に20件以上まわった。それも、何回も。他にも、紅浬が行きそうなところにはほとんど。他に、あいつが行きそうなところって———……。
 思いつかない。それでもまた歩くしかない。このままじゃ、気が済まない。
 次は、——そうだな、本屋でも行ってみるか。本なんかは、絶対に読まないが、漫画だけはめちゃくちゃ持ってるもんな。もうヤケだ。
 駆け足で、近所の夜10時まで営業の本屋に行く。
 しかし、いない。
 ひょっとしたら、この町にはいないんじゃないか。そう、思えた。

 「あ。」

 そういや、1つだけ、あたってないところがあったな……。
 ダメもとで行ってみるか。
 
 そうして、竜輝は駆け出す。
 道路を照らす街灯に、蛾が集まる。外灯の下を、彼はひたすら走った。
 
 辿りついたのは、河川敷。近くには大きな橋もある。
 彼の思い出の中で、彼女は何か嫌なことがあると、ここの河川敷に来ていた。竜輝が来たときには既に泣いていて、竜輝が来たのが分かると、彼に八つ当たりして、蹴飛ばして、それでまた泣いて。竜輝は散々な目にあっていた。
 

 「竜輝……?」

 
 ふいに、後ろから、昔からずっと聞いてきた声が聞こえた。
「紅浬・・・・・・。」
竜輝は、慌てて声の方を向き、声の主の名前を呼ぶ。
 彼女は、やはりそこにいた。

 「どうし
 「ふざけんじゃねーよ、手前はよぉ!!!」

 紅浬の言葉を遮り、竜輝は怒鳴った。紅浬はビクリと肩を震わす。
「あ? 手前、何がしてーんだよ? ふざけんなよ馬鹿!!! 勝手にいなくなって俺が喜ぶとか思ってんのかよ? 馬鹿だろ? ほんっとに馬鹿! どんだけ心配したと思ってんだ!!!」
そこまで言うと、竜輝はへなへなとコンクリートの地面へ座り込む。
「あー、もう疲れた。帰るの面倒臭ぇ。」
胡坐をかいている竜輝に対し、紅浬は微妙に泣き顔。
「竜輝……。あのさ、それって……。私のこと心配とか、喜ばないとかって……。」
紅浬が俯いて言っていたせいか、竜輝にはよく聞こえなかったらしい。
「あ? なんだよ、こっちは疲れてんだっつーの。まだ何かあんのかよ。」
ややご機嫌斜めの竜輝に、それ以上何か言う気にもなれず、紅浬は白い歯を見せてにっと笑った。
「何でもないよ」
と。

 そして、竜輝の傍に座る。
 川のせせらぎだけが、静かに響いていた。涼しい夜だった。
 外灯が照らす、竜輝の顔は本当につかれきっている。竜輝の体を支えている右手に、紅浬は左手を置いた。
 竜輝は、少し、いやかなり驚いた顔をしたが、何も言わなかった。疲れているせいか、はたまた、呆れているのか。
 そして、空を見上げる。携帯を開くと、時刻は午後9時55分。それでも、帰ろうとはしなかった。
「紅浬、あのさ」
竜輝は声を上げた。
「えっ、何?」
振り向いた時、紅浬と目が合い、気まずそうに竜輝は目を逸らした。
「やっぱいいや」
「は!? えっ、何!? 私、何かした!?」
慌てる紅浬に対し、竜輝はけらけらと笑った。
「今、お前と目合わなければ言ってた。」
「はぁ!? じゃあ、次は目、合わせないから! ずっと、あっち見てるから!!」
「無理ー。チャンスは1回きりでーす。1回1回を大事にしてくださーい。」
「ちょ、冗談きついよ〜・・・。ねぇ、いいじゃん。」
「やだ。つーか、お前叩くのやめろ。今すぐやめろ。」
言う気が無くなった竜輝の背中をバシバシ叩きながら、紅浬は携帯を取り出し、誰かにメールを送る。
 ふと、竜輝の携帯のメール着信音が鳴り響いた。
「誰だよ……、こんな時間に。」
ぶつくさ文句を言いながらも、メールを開くと、そこには紅浬からのメールが。

————————————————
2012/7/12 22:07
紅浬

何て言おうとしたの?
教えないと、頭ぶち抜くぞ♪

———————————————— 

 にやにやと笑う紅浬。竜輝はわなわなと震え上がり、
「てんめぇぇぇぇ————っ!!! ふざけるのもいい加減にしろこのクソガキがぁぁぁあ!!!」
そんなことを言いながらも、竜輝は鬼の形相でメールを作成した。そして送信。
 紅浬はメールを受信したのを確認すると、メールを開いた。

————————————————
2012/7/12 22:08
竜輝

……何?
もしかして期待してんの?
 
————————————————

 紅浬の顔は真っ赤に茹で上がる。
「ふっ、ふざけないでよ馬鹿っ!! 何考えてるの!? 死ねば!?」
罵声を竜輝に浴びせ続ける紅浬。
「いや〜? 別に紅浬ちゃんがしつこく聞いてくるから、そうなのかなぁーって思っただけ〜。」
竜輝はわざとらしく返す。実際、わざとだが。
「さーて、そろそろ帰んぞ。もう眠ぃし。」
立ち上がる竜輝、しかし、紅浬は座ったままで、立ち上がろうとしない。
「おい、紅浬? おふざけはもう無しだ。」
竜輝は呆れながら紅浬を見下ろしていたが———……。
「紅浬? もう本当にいい加減にしてくれよ? 今日は俺の家に泊まればいいから。」
なかなか立ち上がらない紅浬に対して、竜輝はなお声をかけ続けるが——……。

 「竜輝、あのさ——……


 私、死んじゃったんだけど、どうすればいい?」

と、気弱に笑ってみせるのであった。

 

Re: 俺の幼馴染みが橋の下に住みついたようです。 ( No.4 )
日時: 2012/08/22 19:28
名前: なちゅら (ID: Fhb4zUz0)

②俺の幼馴染みが死んだそうです。

 「はああああああああ———————————————————っ!!!??? お前いい加減にしろよっ!!!!!」
そうして、竜輝は紅浬に拳骨を一発くらわせる。
 鈍い音が響き渡り、紅浬は唸る。
「痛ぁぁぁっ!? 何すんのよ!!」
紅浬は絶叫しながら、先を歩く竜輝にとび蹴りをする。
 竜輝は、思いっきり転ぶと、血が赤く滲む肘を押さえながら
「痛ってぇなこんのクソ女ァァアアァッ!! 死んだとか訳分からねぇこと言ってんじゃねぇぞ!! 死んだら霊感ねぇ俺に見えるハズねぇだろうがぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
竜輝は腹の底から怒鳴る。
「あるのかもよ!!」
紅浬は、頭を抑えながら言う。
「ねーよ!!!」
竜輝は立ち上がり、ズカズカと前を歩きながら言う。仕方なく紅浬もついていく。ふいに、竜輝が外灯の下で立ち止まる。つられて、紅浬も立ち止まる。外灯の明かりが、2人を照らし、影を作った。竜輝はゆっくりと口を開いた。
「紅浬、知ってるか? 幽霊には影がないこと。」
その口元は、微かに笑っていた。
「知ってるよ、前、一緒にテレビで見たじゃん?」
紅浬は、なんでそんなことを突然聞くのか分からない、といった表情だ。
「じゃあ、何、それ? 」
そう言って、竜輝が指差したものは—————・・・。
 紅浬の“影”だった。

 「あっ!?」

 素っ頓狂な声を上げる紅浬に対し、竜輝はクツクツと笑っている。
「あー、そうだ、ついでに言うと、幽霊って実在しないんだってよ。」
「えっ!? 嘘!!」
「ほんとー。影になって写真とかに写ることはあっても、触れることはできないんだとさ。」
竜輝は誇らしげに語る。全てテレビでどっかの学者が言っていた言葉だが。
「えー、なんだー、残念。」
紅浬はつまらなそうに呟く。
「ということです。……それで、紅浬ちゃんは何がしたいのかな? え? 言ってみろこの野郎。」
竜輝はいらだちを隠せないようで、最後の方はほぼ暴言。そんな問いに紅浬が答える筈もなく———……。
「まぁ、いいじゃんいいじゃん。じゃねっ!!」
紅浬は今まで辿っていた道を逆戻りする。
「おい!? 紅浬!? どこ行くつもりじゃボケがコラァァッ!!!」
竜輝は紅浬を追いかけようとしたが、やめた。

——————————————————
2012/7/11 22:19
紅浬

私は大丈夫(死んでないしww)!!
竜輝も早く帰らないとお母さん心配するよ!

——————————————————

 彼を踏みとどまらせた1件のメール。追いかける気も失せた。
 何がしたいのかサッパリだ。
  
 


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