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VISIBLE(完結) 良ければコメお願いします!
日時: 2013/07/30 16:34
名前: すをん (ID: rMENFEPd)

「幽霊」
この世に未練が残り、成仏できない死者の魂。

幽霊は未練に縛られ、この世を憎み苦しんでいる。
そう思われがちですが…。

「彼らは、意外と幽霊ライフを楽しんでいます(笑」

時に、人間を脅かしてみたりする事もありますが…呪い殺す事などできるわけがありません。

しかし、訳あってこの世に留まっている事は確かです。

これは…そんな彼らの声を聞く事ができる…1人の高校生の物語。



これは、小説では無く…一つの物語として見て貰ったら幸いです。

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プロローグ ( No.1 )
日時: 2013/07/30 15:57
名前: すをん (ID: CWUfn4LZ)

2011年 6月25日

私の通い慣れた校舎に、真っ赤な炎が踊りだす。

校舎の周りに大勢の街人が集まり、生徒や先生の無事を祈っていた。
すでに救出された生徒も、咳こみながら救急車に乗り込む。

そんな、生と死のやり取りのど真ん中に…私はいた。



「くそっ!下の階段はもう駄目だ!」
「どうしよう!?」

私、そして私の彼は2人…燃え盛る校舎の3階に取り残されていた。

周りはすでに炎に包まれていた。
逃げ場などとっくに無くなっていた。

「屋上から降りてくればこのありさまだよ!なんとかなん無いのか!」
「あ!あの避難訓練で使ってたスローター!あれ使えないかな!?」

炎に囲まれているため、暑さで頭がぼーっとする。
そう長く考える時間は無いようだった。

「……それだ!それしか無い!」
「確か…2年の廊下にあったはずだよ!早く行こ!!」


そうして、走り出した瞬間だった。

大きな音を立てて、燃え盛る柱がこちらに倒れてきたのだ。


「きゃあああ!!」

「麗愛!!」





あ、そっか…。



私は死ぬんだ…。





失意のうちに意識が飛んでく。





真っ白だ…ああ…ここが天国か…。









病院の白壁の天井だったと、気付くのは少し時間が掛かった。

ゆっくり横を向くと、一緒に取り残された人が私をじっと見ていた。

「す…ばる…?」

そう呼ぶと、その人は少し驚いた後に…また優しい笑顔を私に向けた。

「すば…る…私…確か…。」

そして、その人は口を開いた。

「良かった…麗愛…助かったんだよ?」

「そっか…私…生きてるんだ…。」

「守春…。」

そう言って、私はその人に触れようとしたが…避けられてしまった。

「守春…?」

その人は俯いたままだった。





その時、私のお母さんが病室に飛んで入ってきた。

「麗愛!!良かった!目が覚めたのね!」

「お母さん…ごめんね…心配かけて…。」

「守春も…無事で良かった…。」



すると、お母さんは言葉を失った。

「守春君は…火柱の下敷きになって…。」

私は硬直した。

「え…だって、ここに…。」

















「麗愛…ごめん。」





「守春…?冗談だよね…?お母さん!守春はここにいるじゃない!ねぇ!お母さん!」

お母さんは、悲しんだ顔で言い放った。

「いないわ…。」


私はその人に向き直った。

「守春!?」


その人は、私に優しく語り掛けた。

















「幸せになれよ…。」








その人は、光に包まれ…満足そうな表情で消えて行った。







私をかばって、死んでしまった私の大切な人…。















2011年6月27日

この日から…

私は見えない「者」が見えるようになった。













EP1「幽霊が見える!」 ( No.2 )
日時: 2013/07/30 15:59
名前: すをん (ID: 57S6xAsa)

「行ってきます!」

そう言って、私は元気良く家を飛び出す。


あの事件があって3年。

私「夕凪 麗愛」は高校3年生になりました。

高校に入ってから髪を短くして…外見も心も新たに高校生活を送っている普通の高校生。







ただ一つを除いては…。








(あ、あの人…。)


私は、見知らぬ老人が道路の真ん中に仁王立ちしているのを目撃する。

すると、車が真っ直ぐ老人の方に走ってくる。






ぶつかる!っと思ったその時!



車は老人をすり抜け走り去って行った。







「あっひゃっひゃ!!やはり、このゾクゾク感はたまらんのう!?」











妙に楽しそうであった。









(死後もアグレッシブなおじいさんだなぁ…。)

私は苦笑いをして、その場を後にした。






私は、普通の人には見えない幽霊を見る事ができる。

街を歩けば、あちらこちらにいる。

人の家に勝手に入って、テレビを見ていたり。

痛くない事を良い事に、わざと高い所からひも無しバンジーしてみたり。

とにかく、幽霊にしか出来ない事を楽しんでいるようだ。


幽霊が見えるようになってから3年…私はこの光景に慣れてしまっていた。

街を歩けば、常に私の視界では人がビルから飛び降りている。



もっとも、お風呂に入っている時に壁から人の顔が出てくるのは、永遠に慣れる事は無いと思う。



彼らは、現実世界の物は触れる事ができないらしく、声も聞こえない。そして、幽霊同志なら話せるらしい。

まだまだ、謎だらけだけど。



そんな非日常な光景が日常になった私は学校へと向かう。


もちろん、学校にも幽霊はいる。

「れあ!おはよー!」

「うん、おはよー。」

そして、私には生きている友達はいる。

幽霊が見える事は誰にも話していない。

幽霊にも。

普通の高校生なのだ、私は。















この学校の初代校長とかが見える事以外は…普通の高校生なのだ。








ちなみに言っとく、幽霊と生きてる人の区別は見た感じでは見分けはつかない。

ただ、幽霊は大抵おかしな事をしてるので…判断はつく。







たとえば…今授業中なんだけど…黒板の前に先生以外のおじいさんが立っている。




うん…間違いなく幽霊だ。







ってか、黒板の前に立つなよ…見えないじゃないか、早くどけてよ…。



あれ…由美ちゃんに近寄ってきた。







ちょっと!何匂い嗅いでんの!匂いなんて分からないくせに!

この光景見るの、何回目だと思ってんの!!変態幽霊め!













あ、成仏した。














と…まぁ、これが原因で私の成績はガタ落ち。

正直言って、私はこの能力は嫌いだ。

みんなも、幽霊が見えるようになれば分かると思う。









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