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- グリフィスさんの童話
- 日時: 2014/02/09 01:01
- 名前: バーミンガム・プディング (ID: N4wrpgBO)
以前までは他のサイトで別の名前で
書いていましたが、今回から
こちらの小説カキコに移動しました。
これが初の作品となります。
まだまだ未熟者ですが、よろしくお願いいたします。
感想、お待ちしております。
(この作品にはパロディネタやメタネタが含まれます。)
※筆者はウィキペディアを利用しています。
利用者名はバーミンガム・プディングです。
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- Re: クレイジー・ファンタジー ( No.2 )
- 日時: 2014/02/09 14:58
- 名前: バーミンガム・プディング (ID: N4wrpgBO)
父の葬儀後、ヴィクターは実家にある父の書斎に
足を踏み入れた。
書斎の机の上には一冊の本が置かれていた。
本の表紙には「グリフィスさんの童話」と書かれていた。
「なんだこれ?」
ヴィクターは本のページをめくってみた。
本の目次には、「不思議の国のアリス」や「ラプンツェル」などの
定番的な童話が並んでいた。
しかし、本自体は「不思議の国のアリス」が途中までしか執筆されていなかった。
「何だよこれ、書きかけじゃん」
ヴィクターが本を閉じようとすると、本の隙間から
一枚のメモが落ちてきた。
メモの内容はこうだ。
「敬愛なる息子のヴィクターよ、私はもう長くはない
先日私は末期の肝臓ガンに侵されたからだ、
この本も書き上げることは無いだろう
だからヴィクターよ、私に代わってこの本を完成させてくれ、
なお、この本に私は一つの願いを捧げておいた、
大事な場面ではこの本を持っていくといいだろう
私はいつだってお前を守ってやる
敬愛なる息子のヴィクターへ
父、ジャック・グリフィスより」
メモを読み終えたヴィクターは本を家に持って帰ることにした。
大好きな父が残してくれた財産の一つとして
大切にしようと思ったのだ。
- Re: グリフィスさんの童話 ( No.3 )
- 日時: 2014/02/09 15:23
- 名前: バーミンガム・プディング (ID: N4wrpgBO)
一ヵ月後、ヴィクターはバーミンガムの
グリフィス・モータースに戻って来ていた。
再び仕事に戻るためだ。
店の奥で中古車の修理をしていたヴィクターは
休憩のために外に出ようとすると、
一台の黒いBMWのセダンが店の前に停まったのに
気づいた。
車から黒いスーツに山高帽の男が二人出てきた。
一人は右手にゴルフクラブを握っていた。
「あいつらだ……」
ヴィクターはこの二人のことをよく知っていた。
男が突然、店の外に展示されていた中古車の
ボディにゴルフクラブをたたきつけた。
「何するんだよ!」
ヴィクターが怒鳴りつけるも、男は車を壊し続けた。
車のボディは凹み、ライトやフロントガラスが割れていた。
「さっさと金を返さないからこうなるのだ」
男がゴルフクラブを突きつけてヴィクターに凄んだ。
「だから必死に金を作っているんじゃないか、
だけどこうしてお前が商品をぶっ壊すせいで
返せるものも返せねーんだろ」
ヴィクターが反論する。
すると、もう一人の男がヴィクターの胸ぐらを掴んだ。
「お前はもう半年も借金を返せないでいるだろ?
ウィリアムソン様ももう堪忍袋が切れたんだよ」
実はヴィクターはかつてギャンブル依存症になっていて
地元でも悪名高い金貸しのウィリアムソンから
300ポンド(日本円で500万円)の借金をしていた。
「とにかく明日まで待ってやる」
「ふざけんな、そんな大金用意できるわけ無いだろ」
ヴィクターが反論すると、男がボロボロの中古車を
指差した。
「明日金が払えないならお前もああなるぞ」
男は胸ぐらから手を離すとBMWに乗って帰っていった。
ヴィクターが車を睨みつけた。
- Re: グリフィスさんの童話 ( No.4 )
- 日時: 2014/02/09 15:52
- 名前: バーミンガム・プディング (ID: N4wrpgBO)
その日の夜、ヴィクターは一軒のパブに入った。
「ご注文は?」
店員が尋ねると、ヴィクターは応えた。
「今日は勝負に来たんだ」
すると、店員はポケットからリモコンを取り出して
スイッチを押した。
すると、後ろのボトルの棚が二つに分かれて
地下へと続く階段が現れた。
「ご健闘をお祈りいたします」
店員がヴィクターにサムアップを見せる。
ヴィクターが階段を下る。
実はこのパブの地下は巨大な裏カジノになっており、
様々な違法ギャンブルが行われていた。
ポーカー、バカラ、ルーレット、スロットといった定番ゲームから
ヨーロッパでは馴染みの薄い麻雀や花札、チンチロリンなど
様々なギャンブルが行われていた。
ヴィクターが雀卓に座った。
そこには羽振りのよさそうな若い二人の男と
老人座っていた。
さらに老人の後ろには昼間中古車を壊した
あの二人組が立っていた。
「ウィ、ウィリアムソンさんじゃないですか」
ヴィクターが驚いた。
実はこのカジノの運営はウィリアムソンがしていたのだ。
「何故ここに来た?」
ウィリアムソンがヴィクターを睨みつける。
「金を稼ごうかなと思いまして……」
「そんなことだろうと思ったよ、
ならば始めよう」
ヴィクターの運命を賭けた
対局が始まった。
- Re: グリフィスさんの童話 ( No.5 )
- 日時: 2014/02/09 22:26
- 名前: バーミンガム・プディング (ID: N4wrpgBO)
対局が始まってみれば、ヴィクターは自分の運の悪さを呪った。
麻雀を久しぶりにやるということもあったのか、
全く勝てずにいた。
「タンヤオ」
ウィリアムソンが再びあがった。
「くそっ……」
ヴィクターは苛立ちからタバコを何本も吸っていた。
ヴィクターにはツモを察知する能力も
ステルス能力も持ち合わせていなかった。
ヴィクターは牌に愛された男にはなれなかったのだ。
そして、最終局が始まろうとしていたその前に、
ヴィクターは自分のカバンから
「グリフィスさんの童話」を持ち出した。
「父さん、オレを守ってくれ……」
ヴィクターは祈りを込めながら本を握り締めた。
「ウィリアムソン様、この男ももう終わりですよ」
ウィリアムソンの後ろに立っていた男が
こんな提案をした。
「破滅したものは命を持って償うのが
我々のルールですよね?
ならば今回この男が負けた場合には
命を持って償わせてはいかがでしょう?」
「ふざけんなっ、そんなの無理だ!」
ヴィクターが反論する。
「ならば勝つことだな」
ウィリアムソンがあざ笑った。
絶対に負けられない戦いが始まった。
牌のセットが出てきた途端、ヴィクターは
驚嘆の声を出した。
「こ、これは……」
- Re: グリフィスさんの童話 ( No.6 )
- 日時: 2014/02/09 22:50
- 名前: バーミンガム・プディング (ID: N4wrpgBO)
「和了!」
ヴィクターがウィリアムソン達に
セットを見せつけた。
「うおっ!」
一同が驚いた。
ヴィクターは天和(配られた時点で役が完成していること)を出していた。
さらに驚くべきことに、その役は九蓮宝燈だったのだ。
この役の出現確立は0.00045%といわれており、
いかにこの役の出現が難しいかが分かる。
「す、すげぇ……」
ウィリアムソンの護衛が唖然としている。
「私の負けだ、こんな奇跡を見ることが出来るとは……
とてつもない感動をありがとう、参りました」
ウィリアムソンが頭を下げた。
「今までのあなたの借金は全て帳消しにいたしましょう、
さらに昼間壊した中古車の弁償もさせて頂きます」
ウィリアムソンからこんな申し出が出た。
「今までの無礼をお許しください」
ウィリアムソンの護衛が頭を下げた。
「やった!」
人生最大の勝負に勝つことが出来たヴィクターは
何度もガッツポーズをした。
翌日、そこには今まで異常にハツラツとした
笑顔で仕事に取り組むヴィクターの姿があった。
借金の苦悩から解き放たれ、自由を手にすることが
できたからだ。
「これも父さんのおかげだよ」
ヴィクターは自宅の寝室に
「グリフィスさんの童話」をお守り代わりに置いていた。
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