コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- とったま!!
- 日時: 2014/07/29 12:45
- 名前: かおる (ID: HYBdaZWe)
あの日見た情景が忘れられない。
いつまでも僕の脳内を駆け巡る。
一言で言い表すと、壁。
コートを守る、壁。
僕も、壁になりたい。
何かを守る、壁に。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
月見山高校
【>>16】
目次
#1【>>2】#2【>>3】#3【>>4】
#4【>>5】#5【>>6】#6【>>9】
#7【>>14】#8【>>15】
- 注意書き ( No.1 )
- 日時: 2014/07/13 23:36
- 名前: かおる ◆D7srdkd1KM (ID: YC5nxfFp)
注意
・バレー小説です。
・作者の落書き漫画が原作。
・バレーの知識はあんまりないっ!
・描写とか苦手!
・シリアス入るかも?
・あったかいコメント御願いします!
・荒らしは無しヨ
↑に注意して読んでってね!
高井「何か、一部の登場人物の名前秘密があるんだって?」
かお「まあね。でも探すの難しいかも。」
高井「ヒントは?」
かお「“漢字”、かな………?」
高井「ふむふむ……。あ!ゴニョゴニョ…………。」
かお「せいかーい!!」
- Re: とったま!! ( No.2 )
- 日時: 2014/07/15 00:03
- 名前: かおる ◆D7srdkd1KM (ID: YC5nxfFp)
一階で誰かが騒いでいる気がする。
教科書を捲る手を止め、宏太は階段を降りた。
「うるさーいっ!!!」
御前がな、と言われそうな程の大声でリビングの扉を開いたこの少年がこの物語の主人公、高井 宏太(タカイ コウタ)である。
【#1 壁】
「………………あれ。」
騒がしい音の正体は、付きっぱなしのテレビであった。
向かいのソファーには、先程までテレビを見ていたであろう弟の祐也が規則正しい寝息をたてていた。
やれやれ、と宏太は一息つくと、其処ら辺にあった毛布を祐也に掛け、テレビを消そうとローテーブルに置いてあったリモコンに手を伸ばす。
その時、
バシーン……!
手とボールがぶつかり合う音がする。
ハッ、と顔を上げると同時にピッとホイッスルが鳴る。
ボールを落とした悔しそうな選手の顔がアップで映った。
ピッ。
またホイッスルが鳴り、黒と赤のユニフォームを着た選手がサーブを打った。
それを反対側のコートの選手が取り、一人がスパイクを打つ姿勢に入った。
「行けっ!!」
宏太は思わず叫んでいた。
きっと入る!そう思った瞬間、飛んだ選手がボール目掛けて腕を振り下ろした。
しかし
バンッ……
ボールは反対側のコートへ落ちずに、そのまま打った側のコートへ落ちた。
宏太は固まった。何が起きたんだ。
「ナイスブロック!」
声がした方を見ると、いつの間にか起きていた祐也が、手を叩いてはしゃいでいる。
ブロック。
その言葉に胸の中で何かが鳴るのを宏太は感じた。
「壁…………。」
宏太は小さく呟いた。
その時、けたたましくスマホが鳴る。
慌てて出ると、それは親友からの物だった。
『おい馬鹿!今何処だよ!?』
「何処って……、家………。」
『あ!?てめーが受験勉強でわかんねー所あるから教えろっつって図書館で待ち合わせする約束したんだろうが!あぁん!?』
ハッとして時計を見る。
午後十三時。
宏太は一気に思い出した。
今日、図書館で勉強する約束と、自分が受験生だということを。
慌てて部屋に戻り、大切そうな物をリュックに詰め込むとスニーカーを履いて家を飛び出した。
- Re: とったま!! ( No.3 )
- 日時: 2014/07/15 18:36
- 名前: かおる ◆D7srdkd1KM (ID: YC5nxfFp)
【#2 女王様と下僕】
十三時二十三分、図書館前。
「俺、何時集合っつった……?」
「ホントウニモウシワケアリマセンデシタ。」
そこにはベンチに踏ん反り返る宏太の親友、滝 流新(タキ リュウシン)と、流新の足を舐めんばかりに地面に這い蹲る宏太の姿が。例るなら、女王様と下僕といった所か。
流新の顔には明らかに怒りが現れており、一触即発状態。どんな地雷を踏もうが怒りだけで街一つ吹っ飛ばせそうだった。
「御前だろ?分からない所あるって言ったの……。」
真っ黒な“何か”を隠した笑顔で流新は宏太に問いかける。
宏太は素直に「ハイ」とだけ答えた。此処で「いいえ」と答えれば、一瞬で喰い殺されていただろう。
「だよなぁ」と、笑う流新。だが笑っているのは口元だけ。それ以外の部位(主に目)は全く笑っていない。
「でも、聞いた人が遅刻したとはどういう事かな?」
鬼に金棒。流新に笑顔。
宏太は流新の(黒い)笑顔に弱い。素直に先程までの事を話す決心をした。
「昨年の……高校バレーの、試合見て、ました……。」
「バレー?」
流新の顔がきょとんとした物に変わった。オマケに頭の上からクエスチョンマークがぴょこぴょこ飛び出る。
「ハイ。僕も壁になりたいと思ってた所、電話が。」
「壁?」
流新の頭の上のクエスチョンマークが更に増えた。
確かに、誰でも「壁になりたい」などと突然言われれば混乱するだろう。
「そう、とにかく凄いんだ!」
先程の流新の女王様っぷりは何処へ行ったのか。いつの間にか立場が逆転しており、今度は流新が宏太の気迫に負け体を逸らし、宏太は興奮した様子でグイグイと詰め寄っている。
「打ったボールが反対側のコートに入るって思った瞬間、背の高い人が飛び出て来てさ、打ったボール弾いたんだよ!凄くない!?」
「分かった、分かった!ほら、
徹底的にやんぞ。」
宏太を押し退けて、ベキボキと手を慣らした流新を見て、「あ、僕死んだな。」と宏太は直感したのであった。
- Re: とったま!! ( No.4 )
- 日時: 2014/07/15 19:34
- 名前: かおる ◆D7srdkd1KM (ID: YC5nxfFp)
【#3 夢の高校へ】
「〜〜〜〜〜〜〜〜っ」
流新は隣に座る宏太を横目で見た。
一応、“分からない所”が分かるようになり、さあこれからだという所で宏太はフラフラと立ち上がり、参考書系の本棚の間を抜け、スポーツ系の本棚が並ぶ列へ向かった。
そしてしばらくすると一冊の薄めの本を手に帰って来た。再び机に向かうと、本を広げ、活字を追い始める。
一体何の本だ、と流新は本を覗き、声を上げそうになった。本のページにはビッシリと高校の名前が掲載されていたからだ。しかも、スポーツの強豪校ばかり。
ページの内容に声を上げそうになったのもあるが、何方かと言えば受験勉強中に何やってんだ、という意味で声を上げそうになったのだった。
流新は意外と不良のような外見(主に顔付き)をしているが、中々勉強に熱心な男なのだ。
「おい……、勉強しろよ……。」
流新は小声で囁くが、宏太の返事は「うん」という何ともシンプルな物だった。
「ああ、此奴逝っちまってる」と感じた流新は視覚を宏太から机に広げたノートに移した。
宏太の他人から「癒される」、「見てたら気が楽になる」と言われる優しめの顔は、完全に本に囚われ、若干にやけ混じりの奇妙な顔に変わっていた。
ただ、流新は一つ思った。
ー此奴、こんな調子で受験受かるか?ー
と。
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