コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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KEEP THE FAITH【END】
日時: 2018/01/08 00:51
名前: 水無月 紅雪 ◆zW64EWZ0Wo (ID: 5YqwrR3X)

 永遠に刻もう。私のみてきた全てのことを——。


 紅雪です。高校入学しました!更新スピード落ちます(元から

 ついったーなるものを始めて見たのですが、なかなか機能が掴めなくてひとりゾクゾクしております。絵とか出せたら良いなとか思っています(どうでもいい)。


 おそらく今回が最後でしょう。そんなことはなかったです。


〜ルール
・荒らし、チェーンメール等はいらないです。
・矛盾・趣旨の食い違い等はいつものこと。
・亀更新。活動時間は主に夜かと。
・アドバイスがあればお願いします。
・パクリは気にしない方向で。無法地帯です。
・宣伝歓迎。見に行きます。コメントは言われたらします。
・コメントは上記のとおり大歓迎。コメントください。
・薔薇と百合が入り乱れる可能性。
・作者の厨二病はリア友を巻き込むレベル。
・ギャグとシリアスが同盟を組んだようなお話。
・自己満足小説です←
・コメディはコメディでもハートフルボッコメディです←
・文字数が超えたので>>0がすでにごちゃごちゃしてます。

〜もくじ

登場人物紹介>>1
目次→>>10


 〜れんらく

・12/14 4:03スレ誕生
・12/21 参照50突破*
・ 1/ 7 参照100突破*
・ 1/19 参照150突破*
・ 1/25 参照200突破*
・ 1/28 今週のお知らせ>>44
・ 1/31 参照250突破*
・ 2/4 参照300突破*
・ 2/6 参照350突破*
・ 2/9 参照400突破*
・ 2/9 五十話突破!
・ 2/14 参照450突破と言うのに気付いた日*
・ 2/16 参照500突破*
・ 2/20 参照550突破*
・ 3/2 参照650突破*
・ 3/6 参照700突破*
・ 3/10 参照750突破*
・ 3/15 参照800突破*
・ 3/20 100コメ突破(
・ 3/22 参照850突破*
・ 3/29 参照900突破*
・ 4/12 参照950突破*
・ 4/19 参照1000突破
・ 4/26 参照1050突破
・ 5/2 百話突破!
・ 5/5 参照1100突破
・ 5/17 参照1150突破
・ 5/24 参照1200突破
・ 5/28 参照1234突破ネタ
・ 5/28 修学旅行 >>130
・ 6/1 修学旅行 >>131
・ 6/1 参照1250突破
・ 6/5 参照1300突破
・ 6/14 参照1350突破
・ 6/21 参照1400突破
・ 6/26 テスト終わった知らせ(?)>>142
・ 7/7 参照1500突破
・ 7/15 参照1550突破
・ 9/20 紅雪引っ越し終了→復帰のおしらせ的な(>>151
・ 9/20 参照1800突破
・ 9/27 参照1900突破
・10/1 第一章終了!
・10/9 参照2000突破
・10/24 参照2100突破
・10/30 参照2200突破
・11/10 参照2300突破
・11/27 参照2400突破
・11/29 参照2500突破
・12/30 参照2600突破というのに気付ry
・ 1/27 参照2800突破と(ry
・ 1/? 銀賞とった……ぽい(
・ 2/14 参照2900突破
・ 3/4 参照3000突破
・ 4/2 参照3200突破
・ 4/10 参照3300突破
・ 4/21 参照3400突破
・ 5/22 参照3500突破と(ry
・ 5/27 参照3600突破t(ry
〜参照まともに見てなかった6月〜
・ 7/11 参照4000突破
・ 8/30 参照4300突破
・ 9/22 参照4700突破
・ 11/5 参照5600突破

・2018 1月8日 完結。

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Re: EUREKA ( No.88 )
日時: 2015/03/11 14:43
名前: 水無月 紅雪 ◆zW64EWZ0Wo (ID: nlCdadAl)
参照: 震災記念日ですね


「疲れたもう眠いおやすみ」
「おい」
「一応あの子は今日ファインプレイだったので、休ませてあげて下さい」
「……おう」

 これは、その場の全員が寝静まった、夜の話。

「昨日はやってくれましたね」

 荷車から降りて、菫色の髪の少年は独り呟く。草原に座り目を閉じると、詩音は精神世界へ辿り着く。
 目を開くと、そこに草原はなかった。赤黒い雲に覆われた空。紫など、暗い色をベースにした大きな屋敷の庭に立っていた。その景色に詩音は吐き気すら覚える。屋敷の玄関を勢い良く開けると、正面には大広間と、その奥には階段が見えた。階段を上がり、一番右の部屋を開ける。
 そこには自分と同じ姿の存在——シルアがいた。

「よ、久しぶり?」
「久しぶり? あなたとここで会うのは初めてです」
「あー、そうだっけ? そっか。お前寝てる時こっちでも寝てることが多いもんな」
「誰だって寝るときは寝ますよ多分」
「昨日は大変だったな」
「……放っといて下さい」

 シルアが椅子に座り、詩音は溜め息を吐いてその前の椅子に腰を下ろす。

「……昨日は大活躍でしたね」
「だろ。結界張ったから生きてるが、トラウマにはなったかもな。ってかあそこで不便なのは“俺以外の出した怪我は治らない”とこだよな」
「それはあなたにとって好都合でしょう。で、そのトラウマの対象は?」
「お前だな☆」
「てめぇ……」

 今すぐにでも殴り飛ばしてやりたい衝動を抑え込み、詩音は再び溜め息を吐いた。

「えーっと、なんだっけ? あーそうだ。リンゴの保存方法」
「それは全く関係ないですよね。それで何を語り合えばよろしいのでしょうか? そんなことではないですよね? ね?」
「お、おう……。すまん。えっとだな……、そう。これからの方針」
「……まあ、そうですね。はい」

 とうとう頭を押さえて首を振る詩音に、シルアは苦笑した。

「はい。私は穏便に済ませたいのです」
「俺は暴れたいんだよ」
「知らんがな」
「いやいやお前人のこと言えないからな?」
「まあそうですけども。……そうじゃなくてですね」
「おう、わかってるぜ? 人傷つけたくない系男子だろお前」
「何ですかその系統。そう言う訳ではありませんよ」
「じゃあどういう訳だ?」
「さあ、どうでしょう」
「「……」」

 淡々とギャグに持ち込まれる会話だったが、沈黙が訪れる。時計の音だけがその場に鳴り続ける。

「……つかお前、記憶共有なんとかかんとかみたいなやつさ。確実に把握してるよな」
「さて、どうでしょうね? ……私はあくまでも“記憶していない”という設定です」
「お前ホント変なとこで面倒だよな」
「それは褒め言葉として受け取っておきます」


 *

「結論は?」
「人前では基本出ない。相手にトラウマ埋め込まない。常用外は詩音自身の許可が出た時と、詩音が死にそうな時」
「最後のは言ってませんが?」
「良いだろ。そんくらい」

 本日何度目になるかわからない溜め息を吐き、詩音は机に突っ伏する。シルアが頭を撫でると、素早く詩音の右腕が頭を撫でていた手を叩いた。

「まあ、ゆっくりして行けよ」
「私が本体なのですが……」

Re: EUREKA ( No.89 )
日時: 2015/03/12 16:50
名前: 水無月 紅雪 ◆zW64EWZ0Wo (ID: nlCdadAl)


 皆が寝静まり、虫の鳴き声のみ響き渡る頃。荷車の中で目を覚ました人物がいた。起き上がると藍色の髪が遅れて揺れる。目を擦りながら開き辺りを見回すと、人数が足りないことに気付いた。
 少年は溜め息をこぼし、荷車から出る。近くの草原に見覚えのある菫色を見つけ、その隣に座る。目を閉じているため、寝ているのだろう。

「……詩音?」

 豪雷が声を掛けるが、反応はない。
 ——“もう1人の詩音”の存在を豪雷は知っていた。と言うより、“もう1人”が誕生した瞬間を最初に見ていた。本人の性質上、気付いているとは思うが、なかなかそのことを言えずにいた。
 反応がないどころか、呼吸の音も聞こえない。

(ああ、そうだった)

 豪雷は詩音の服の裾を掴み、その場に転がって目を閉じる。

「……」

 巨大な門の先に、物騒な色合いの屋敷が見える。門は少し開いていて、その隙間から入ることができた。無駄に広い庭を足早に通りすぎ、玄関を開き薄暗い光を確認した時、上の階で物音がした。階段を上がり、物音のした部屋の前に立った時、扉が開いた。

「し……。シルアだな」
「おう、よく分かったな! ってかどうやってここまで来たし」
「小さい頃、詩音がよく話していたからな。一度来たこともある」
「うっそマジかよ想定外。いつの話だ!?」
「三年ほど前だな」
「んなもん知るか!」
「だろうな」

 シルアは扉を閉めると、その隣の部屋の扉を開けた。

「どうぞ、お客さん。暇なんだよ少し付き合え」

 俺は詩音を見に来たんだが。そう思ったがもう手遅れ。豪雷は溜め息を吐いてから部屋に入る。シルアが扉を閉めて指を鳴らすと、大理石の床はたちまち畳へと姿を変えた。

「今日は溜め息の日かよ」
「?」
「いんや、なんでもない。ちなみに詩音は隣の部屋で熟睡してるぞ」
「そうか。何があった」
「あいつは基本的にここでは寝てるからな。そっちの方はこの世界での詩音の部屋で、ここは基本使われてない」
「お前の部屋は?」
「この階の一番左」
「間逆か」

 シルアは欠伸をしながら畳に寝転がると、豪雷を指さした。

「お前、好きなヤツいるだろ!」
「はあっ!?」
「……まさか、図星か? おい」
「知らんうるさい黙れ」

 そう言って豪雷は顔を隠してその場にうずくまる。シルアはそれを見ながらニヤニヤと笑っているのであった。


 *


「……」

 昨日早く寝たぶん、いつも以上に早く起きてしまった真白は年長2人組がいないことに気付く。気分転換がてら探そうと立ち上がり、荷車から飛び降りる。荷車って屋根とか普通ないはずだが、と余計なことを考えながら目の前に広がる草原を見る。

「……僕、ツッコミ役じゃないんだけどな」

 そしてその結果、眠っている詩音とその詩音を抱き寄せて寝ている豪雷を視界へ入れてしまったのである。
 ——この光景を鈴芽が見ていたら、どうなったのだろう(一応腐女子な鈴芽)。

「別に僕、同性愛とか否定しないけどさ。勝手にやってろと思うよ。でもさ、夜中に外出てそれして寝るとかさ。大丈夫かなこの2人」

 自分に言い聞かせるようにぶつぶつと呟いていると、後ろから物音とともに人影が——

「ましろん、Good morning♪」
「……おはよう鈴芽。そしてあの光景を見てどう思う」

 その後、鈴芽はSAN値を大幅に削ったという。

Re: EUREKA ( No.90 )
日時: 2015/03/12 23:14
名前: 水無月 紅雪 ◆zW64EWZ0Wo (ID: nlCdadAl)


「……反省の言葉を」
「すまない。本当にすまなかった……ッ」

 ただいま反省タイム。ちなみに鈴芽も本当はその場にいなければならないのだが、卒倒してしまったため不参加。真白はそんなことどうでも良いと言わんばかりにカインの隣で黙々と読書。ちなみにこじつけだが氷族なので酔いません。ついでに言うと今現在ニベアに教えた操縦方法を根性で覚えようと四苦八苦しているの日向は第3の運転手候補である。

「ねえねえ、ごーらいとシオン、何かあったの?」
「……世の中には知らない方が良いこともあるんだよ。うん。風蘭にはまだ早い」
「?」

 ある程度情報を持っている蓮が穏やかな笑み(ただし威圧)を浮かべて風蘭に対応する。
 ——午前九時。千破矢起床。

「な、何だこの空気……。おい、患者増えてるぞ真白どういうことだ」
「……偶然と不可抗力と運命が同盟を組んだ。それだけだ」
「わけわからんぞおい」
「我が軍は黙秘権を行使する」
「あ、ああ。なんかごめん反省してる許してくれ」
「……ちなみにこれは関係者に聞いた瞬間、僕直々にビンタだから」
「はい」

 本で目より上しか見えないが、言ってることが本気なのは千破矢が一番よくわかっている。——絶対に聞かないでおこう。千破矢は心からそう誓うのであった。
 ……この時点で豪雷は(精神的なダメージで)ぶっ倒れており、その隣では鈴芽が唸っており、そのまた隣では詩音が座り込んだまま何かぶつぶつと呟き、髪を結んでいた紐で遊んでいる。そしてその詩音の隣に真白が座っていて、カインはまだ目覚めない。
 なお、蓮と風蘭は空気が悪いという理由で荷車の屋根の上に避難している。日向はロボ2体と相変わらず四苦八苦。

「……カイン・クロウド、だっけ? 起きねェな」
「見たところ疲労があった。……おそらく今日には目覚めるだろう」
「なんであんなところにいたんだ?」
「おそらく、この前のトイフェルの件だろうな」
「うげ、砂漠離れちまったぞ大丈夫か?」
「当事者の僕らで説明すれば良いだろう」

 本を閉じ、真顔で受け答えをする。千破矢はその反応に違和感を覚え、今までの経験で確信する。

「お前、また感情を……ッ」

 そう言って胸倉に掴みかかると、真白の持っていた本が音を立てて地面に落ち、その音に詩音が反応した。

「ちょ、何してるんですか!?」
「……」
「……悪い。取り乱した」

 手を離し、それから少し離れる。真白は黙って千破矢を睨みつけ、その様子の異様さに詩音は吐き気すら覚えた。目を伏せたままこちらを見ようともしない千破矢と、黙ってそれを見据える真白。

「……君は、どうして欲しいの?」
「は……?」

 真白は立ち上がり、千破矢を見下ろす。

「僕にどうして欲しいの? 君も僕を縛るの? 結局君もあいつらと同じ、僕を“もの”として扱うの? 別に僕は君を否定しないよ。人なんてみんなそう。自分にとって都合の悪いものは“悪”。良いよ、別に。なんだかんだ言って結局僕も、自分の行く手を阻むモノは排除してきた。竜人、オンディーヌ、トイフェル、歌姫、バンシー。僕の踏み台にされた存在。正義って何? 悪って何? 希望、思い出、過去、未来、好き、嫌い、感情。アイ。わからない。理解出来ない。……わからない、よ」

 その時久しぶりに見た涙は、音を立てて地面に転がった。

Re: EUREKA ( No.91 )
日時: 2015/03/13 19:38
名前: 水無月 紅雪 ◆zW64EWZ0Wo (ID: nlCdadAl)
参照: 今日は卒業式でした。ご卒業おめでとうございます!


「……すまない」

 そう呟くと真白は糸が切れたようにその場に崩れ落ち、すぐ隣にいた詩音が素早くそれを受け止め、ゆっくりと床に寝かせた。

「お、俺……」
「落ち着いて下さい。そして、説明して下さい」

 そう言った詩音の声はとても優しかった。真白たちの正面にある壁にもたれかかり、千破矢はそれに続いて隣に座った。その手には、透明な小さい玉が一粒握られている。

「あなたは、知っているのですか?」
「……?」
「いえ、それなら良いのです」
「この前、入れ替わった時あっただろ。マフラー外すなって言われたけど、こっそり見たんだよ、あれ」
「……」
「針みたいなので引っ掻かれたみたいな傷があってさ。その時は気にしなかったんだけど、あとから考えるとおかしいなって」
「何故?」
「あいつ、どのタイミングであんな怪我したんだ? っていうか、真白に限ってそんな怪我するもんか……?」

 事情を聞いている詩音は厄介なことになったと思いながら苦笑する。千破矢は「それに」と続ける。

「……あいつ、ある日から口調が変わったんだ。最初の方でさ、硬い感じの話し方してただろ?」
「あー、今は大分……? 少し感情が読みやすくなりましたね」
「俺が初めて会った時、たしか9歳くらい。あの時なんて、風蘭レベルだったからな。一人称「僕」とか「我」とかじゃなくて「しろ」だったし」
「えっ」

 想像して思わず笑いそうになってしまうが、それどころではない。千破矢の持っている小さい玉を指差す。

「氷族が狙われる理由、知ってますか?」
「……知らん。珍しいから?」
「それもありますね。ですが、他にもありますよ。その理由の1つがこれなのです」
「これ?」
「一見ビー玉みたいな物ですが、一粒売れば一生遊んで暮らせますよ」
「エッ!?」

 思わず手を離し、玉が床に転がって行く。千破矢はその手を見つめ、「マジかよ」と呟く。

「じゃあ、あいつらが……」
「……なんたら施設みたいなところの話ですか?」
「ケーフィ……ヘル? なんだっけ。KHでの話」
「そうですか」

 これ以上は何も聞かなかった。
 詩音は立ち上がり、もとの場所へ戻って真白の持っていた本を開く。一度だけ千破矢の方を見ると、足の間に顔を埋めて震えていた。数秒後、真白が千破矢を吹っ飛ばすことを2人はまだ知らない。

Re: EUREKA ( No.92 )
日時: 2015/03/14 21:37
名前: 水無月 紅雪 ◆zW64EWZ0Wo (ID: nlCdadAl)


「いやいやいやいや」
「なんだ?」
「なんだってお前、さっきぶっ倒れたじゃねェか」
「そう言われても……。起きたらいつもはっちゃけてるやつがすすり泣いてるんだぞ。蹴り飛ばすしかないだろ」
「理不尽だァァ!!」
(なんだかんだでこの2人、仲良いんですよね)

 朝っぱらから意味不明会話をしている2人に、詩音は苦笑する。ちなみに真白はあのくらいで気絶なんてしているはずもなく、寝ているふりをして2人の話を聞いている——という状況だったのだが、本編に言うほど関係があるかと言われれば大分関係あるかもしれないが、サイコロの結果に全てが掛かっている。
 すると、鈴芽が詩音の服をガシッと掴み起き上がった。

「Hello! 時間的に早い? ノンノン、そんなの関係ないよ♪ 今日は朝っぱらからすっごいもの見ちゃったからね!! うん、あたし元気! I'm fine!!」
「……もう一度ダウンしますか? 永久に」
「Oh……遠慮しておくよ」

 鈴芽がそう言いながら詩音の方に豪雷を押し始める。

「……何するつもりですか」
「ふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ」
「「「気持ち悪い!!!」」」

 ……おそらく「ふふふ」=「腐腐腐」だろう。
 そうこうしていると蓮が風蘭をおんぶして窓から侵入してくる。「ただいま」と言いながら地面に着地し、風蘭をその場におろしてから運転席へ飛び込んだ。詩音が風蘭に何があったかを聞く。

「えっとね、びゅうって変な風が吹いて、なんかこの前のすずめの住んでたところとは違う感じの? ふぇ? なんていうのかなぁ……」
「……つまり、コギク村とはまた違う雰囲気の悪寒があったのですね?」
「そ、そうなの!」
(((ごめん、ぜんっぜんわかんなかった……)))
「まあ、この辺ならば仕方ありませんね」

 ある意味両思いだからなのか、これも吸血鬼の能力なのか、理解してしまっている詩音に、話を聞いていた全員が心の中で突っ込んだ。言ってしまえば風蘭が泣いて詩音が激おこぷんぷん丸という厄介なことが起こるのは全員わかっている。
 蓮はニベアとフェルームの間に座って、日向に事情を説明していた。

「上にいたら、風蘭が変な風が吹いてるって。何だろうと思ってその辺見回したら、その道まっすぐ言ったところに変な街があるんだよ」
「えっ、何それどうすれば良い?」
「知らん。あと、下でもなんか変な風がなんたらかんたら言ってたけど、知らない?」
「それこそ知らん。っていうか、変な街って何?」
「うん、それがさ」

 蓮は日向の隣に移動し、真正面の空を指差した。

「ほら、雲が街の上だけに乗ってるんだ」


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