コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- センプウ×マク×セカイ
- 日時: 2015/05/02 08:19
- 名前: 甘栗 (ID: uWXzIoXb)
CLAP
その能力は正義にも悪にも化ける。
世界の裏と表が——夜の世界を激突する。
『センプウ×マク×セカイ(旋風巻く世界)』という小説です!
言うほどアクション多くないかもしれませんがタイトル負けしないようにがんばります!!
あと更新もがんばります!!
どうぞよろしくおねがいします!甘栗ですm(_)m
◎唐沢依頼事務所◎
唐沢峠野(Karasawa・Tohno)20歳。
楽天的。一言おおい。一応ボスとしてやる時にはやる。
紫藤孝也(Shidou・Takaya)21歳。
唐沢の従兄弟にあたる少年。たくさん動くたくさん笑う。
美園キリ(misono・Kiri)17歳。
ニタリ顔か無表情しか浮かべないミステリアスな少女。
最上大(Mogami・Dai)25歳。
とりあえずツッコむ。キレる。ヘビースモーカー&酒豪。
月島雅木(Tsukishima・Masaki)24歳。
好青年。お客のおもてなし係。
- Re: センプウ×マク×セカイ ( No.9 )
- 日時: 2015/02/28 06:44
- 名前: 甘栗 (ID: uWXzIoXb)
ユッケさん
訪問ありがとうございます!
あの大変申し訳ありませんが、たぶん私たち初対面です><
カキコ始めたばかりでまだどの作品にもコメントを残して
いないと思われます。すいません。
でもユッケさんの作品ぜひ見に行きますね!!!!
- Re: センプウ×マク×セカイ ( No.10 )
- 日時: 2015/02/28 14:58
- 名前: ユッケ (ID: s7P63baJ)
あら! 勘違いしてすいません!;
更新楽しみにしています!
- Re: センプウ×マク×セカイ ( No.11 )
- 日時: 2015/03/01 15:10
- 名前: 甘栗 (ID: uWXzIoXb)
Episode、6
「けどよくこの人が谷村だってわかったね」
「駅に入る前から明らかに倉田くんへ妙な視線をおくるヤツがいたんだよ。んでそいつ、ホームに電車きてんのに一人ふらっと隅っこに行くからさ」
「はじめから謎な動きはしてたんだな」
「そんで俺はすぐにピーーンときたわけよ〜。あ、こいつもしや倉田君が乗った電車ごと爆破でもさせる気だってね」余裕のよっちゃん顔をくずさぬ唐沢。
「そしたら案の定、こいつ線路に高電流ながそうとしてたからさ〜ほーんと間一髪〜」
「峠野に、倉田さんを前の車両からホームへ戻せって言われた時から薄々感じてたけどさっすがー」
「ややや、タカちゃんもお見事だったよ」
「すぐメール来たもんな」
そういってケータイの画面に表示された峠野からのメッセージを見せた。
『殻だけしてこっちきて』
なにやら文面が奇妙である。
「最初見た時、誤字にもほどあると思ったけど。ちゃんとわかったよ」
「体消してこっちきて、てひらがなで打ったはずだったんだけどなー。なにいつのまに殻って」
駅にほど近い小さな公園。
砂場でお山をつくる親子、犬と散歩をするおじいさん、その他もろもろ。
彼らの目線は明らかに、ある一か所にとどまっていた。
「なぁタカちゃん、目線が痛いんですけど」と唐沢。
後ろを振り向くにも振り向けぬ。
ブランコの柱に谷村の体を縛りつけたのが残虐にみえてしまったか。
「きっと答えはこうだよ。俺たちにとっちゃ事情聴取。しかし、はた目から見れば高校生二人がおやじ狩りをしてる」
「そっか。まーいぃや。ほれ起きろ、谷村礼二」
バチンバチンと頬をたたいていると、谷村が目を覚ます。
「……え、うわぁぁぁああ!」
驚くのは当然だが、すこし反応が過剰すぎる。
体をじたばたさせて、震えた顔を上下左右にぐるぐる動かす。
「ちょっとアンタ…」
「俺はなにも!!あぁごめんなさい!!!」
「は!?」
唐沢が顔をしかめた。そして紫藤と顔を見合す。
様子がおかしい。先ほどまで強気な態度でいた人物がどうして急に…。
「あぁあぁ…俺は、俺は、俺は……」
「谷村、おちつけ」
「違う違う違う違う!!!うう」
髪の毛を掻きむしり、荒い呼吸を繰り返す。
気味の悪い行動を怪しみ、しだいに公園から立ち去る人々。
「聞け。俺たちはお前に危害は加えない」
紫藤が谷村の肩をおさえて、強く言い張る。
しかし、聞く耳を持たず、次々に卑小な言葉を発した。
「だめだコイツ」
こんなところに警察なんて通ったら、確実に勘違いされる。
場所を変えよう。二人がそんな話をしていると、
「!! うううぅ!!」
突然口をつぐむ谷村。吐き気が襲ったような顔だ。
「吐くのか!?ちょっと待て」
すぐさま縄をほどくと、唐沢と紫藤の間をすりぬけて駆け出した。
「あいつ!」逃亡かと思いきや、すぐそこの水道場に駆け寄る。
げほげほっと咳き込み、苦しそうに捻った声をあげる。
本格的に吐きそうだったので、二人は谷村から視線を離す。
数分後、声がおさまったので、振り返り谷村に近づく。
「大丈夫か?」
唐沢がきくと、谷村は何も答えず朦朧とした顔つきでどこか遠くを見ていた。
「……涼子」
か細い声でつぶやく女性の名前。
それが倉田の婚約者のことであると悟った二人。
「気持ちはわかるけどさー、諦めようぜ?な?」
谷村の肩をポンポンとたたいて決断を勧める。
しかし、彼の顔には悲しみだけが広がっていた。
「……?」
なにかが、おかしい……。
ホームで攻撃してきたときと別人のように思えてならないのだ。
「お前は谷村礼二か?」
怪訝そうに唐沢をうかがったあと、「……そうです」と答える。
「なぜあんなことをしたんだ?」
「え……」
「倉田さんのことだよ」
「は……」
身に覚えのない事柄を質問されたような表情だ。
しらを切る気かと思ったが、これがもし、率直な彼の反応だとするなら……。
瞬間、唐沢の脳裏に———ある一つの恐ろしい推測——が浮かび上がる。
- Re: センプウ×マク×セカイ ( No.12 )
- 日時: 2015/03/01 20:11
- 名前: 甘栗 (ID: uWXzIoXb)
Episode、7
「谷村。よく思い出せ、ちゃんと」
肩をゆさぶり、答えを問いただす唐沢。
谷村の顔はこわばっていた。
「峠野、一体…?」紫藤がたずねる。
「なーんか、俺悪い予感するんだよね……」
いつものニタリ顔に多少困惑が浮かんでいた。
珍しくまじめな顔をして、「聞け」と谷村を見る。
「俺が知っているお前の情報を今から言う」
「情報って…」
「お前は倉田という男とその婚約者の結婚に猛烈に反対し、入籍をいれたら倉田を殺すと脅しをかけていた」
これは確かな真実なはずだった。
だが、真実かと思われたその言葉を聞いた当人は、
「……」わけのわからぬ顔をしていた。
「お前は婚約者の元カレだったそうだな。お前は昨日、その倉田の前でまたも脅しをかけるように電車で人を殺した。そして今日、ついさっきだ…お前はその倉田を殺そうとした。そして俺たちはそれを止め、お前の攻撃を受けた」
唖然と聞いていた谷村の顔に、わずかに震えが見えた。
すると、その震えがみるみる増す。
「……ぁ、ぁ、ぁ…はぁ」
谷村の脳裏に衝撃が走っている。
正常な思考回路が、ますますおかしくなった。
地面に手をつき、荒い呼吸をはじめる谷村。
「—————!」
そのとき、確実に彼の脳裏にも一つの答えが浮かんだ。
もっと言えば、重要な記憶を思い出したのだ。
「倉田……倉田。あれ…——————————あ、あいつだ…!!!倉田だ!!!」
驚くべき答えだった。
紫藤はなぜその名を発したのか疑問だったが、唐沢は予測していたかのような顔である。
さきほど彼の脳裏に浮かんだある一つの恐ろしい推測、
それは、倉田の————“自作自演”————から始まった今回の出来事である。
「はやく倉田を!!はやく!!」
声を張り上げ、唐沢にしがみつく。
「落ち着け」
「おい峠野。まさかだと思うけど……倉田さんは…」
「もう答えは出たっしょ?そゆこと」
「…マジかよ。くそ〜〜」
「しまったな〜まんまと罠にはめられちゃったよ〜」
「じゃあ今までの証言はあれでも、さっきの出来事はどう説明する…」
「つじつまを合わせるには、倉田君も能力者だっていう仮定が必要だね」
「CLAP!?あんな知らない顔してたのに」
「たぶん、人の記憶をいじくれるんだろうね。まずは谷村の記憶を。そして、怪しまれないように自分の記憶も」
「くぁー。万能だなー」
「そして今谷村が記憶を取り戻しはじめてる。てことは、今頃倉田も徐々に思い出してんだろうね〜」
「絶対勝ったって思ってるよ。悔しい!峠野!俺らも黙っちゃおれん!唐沢兄弟を怒らせたらどうなるか見せてやろう」
穏やかな紫藤の顔に、火がついた。
裏切られたこと、利用されたこと。全部ひっくるめてやり返す!
「まあそれは必須だけど…。ねえ、谷村。君の口から真実を教えてもらえる?」
めまぐるしく、真実が入れ替わる。
「倉田の婚約者と言うのは、現に俺の彼女である涼子です。そして倉田は、高校時代からの涼子のストーカーです」
これも驚くべき真実である。
婚約者だなんてレベルからかけ離れた存在だった。
「うっわ、ストーカーって」紫藤が顔をしかめる。
それをまったく感じさせなかった態度が今になって恐ろしい。
「それが最近になって、俺たちが結婚することを聞きつけたのか何度も家に来ては認めないと言って…」
「倉田君の証言と逆パターンじゃん」唐沢がプッと吹いた。
「そしたらある日、仕事から家に戻ると…なぜか倉田が当然のように家にいたんです。涼子も仲良くしていて。どうなってるんだ、と思ったら今度は俺に非難の目を向けるんです。まるで俺がこの場にいることがおかしいみたいな」
「彼女の記憶も改ざんされてしまったわけだ。たしかに昨日俺ら泊まったときも普通にラブラブだったしね〜」
その言葉にショックを受けたのか一層悲しそうにする谷村。
こぶしを握り締め、怒りを含んだ声でまた語らい始める。
「涼子も、家も奪われて。そしたら倉田が『可哀そうだね。君には納得のいくシナリオを用意してあげるよ』って言って———そこから、何をされたかわかりませんが、俺はこんなことに」
「アンタは元々能力を持っていたの?」
「…それなんです。俺今までこんな力使ったことなんてないんです無意識に使ってて」
「そのへん怪しいな。まあ、そこは倉田本人に問いただそう」
谷村の肩をポンとたたいて、大きく笑ってみせる。
「彼女さん、きっと記憶戻ってるよ。帰ってやんなさいな、何日も会ってないんでしょ?」
「でも俺、この手で倉田をブッ倒したいです」
ほう、男前。などと感激しながら「じゃあおいで」と誘う。
「乗り込むよ、タカちゃん」
「おうよ」
学生服を着た二人、青春ブッ壊し犯の成敗に挑む。
- Re: センプウ×マク×セカイ ( No.13 )
- 日時: 2015/03/08 13:24
- 名前: 甘栗 (ID: uWXzIoXb)
Episode、8
某オフィスビルの20階では、デスクワークの人間が大勢いた。
その中に倉田の姿があった。
普通のサラリーマンのように業務に従事している。
しかし、つかの間、
「!」
キーボードを打つ手が止まり、脳裏に何らかの衝撃が走る。
カクッと垂れ下がる頭が、次に起き上がった時、倉田の口元に不気味な笑みが浮かぶ。
(やった…成功だ。シナリオ通りだ)
溢れる喜びをぐっと我慢し、それでもニヤけないでいられない。
今頃奴らはどうしているだろう、きっと悔しがっているだろうな…。
そう考えただけで高笑いしたくなる気分であった。
(唐沢さんたちに教えた会社の場所もデマだしわからんだろう。彼女も違う家に引っ越しさせたし…)
なんとスムーズに事が運んだのであろう。
家に戻れば当然のように彼女が待っている。
そしてもう邪魔する者はひとりもいない。
これからが自分の人生の至福の時間なのだ。
倉田は満足感に浸っていた。
そんな彼のもとへ、思わぬ参入者がくる。
「失礼します。倉田さんに来客者が来てます」
OLの女性が教えてきた。
「来客?そんな予定なかったけど」
「そうなんですか。…ですが、もうあちらの部屋にお連れしてしまいました」
少し困ったような顔をする女性を見て、まあいいか、と今日は機嫌がいいために笑顔で承知する。
奥の応接室へ向かい、部屋の前に立ち止まったとき、
「そういえば、どんな相手?」
ドアノブを握り、ゆっくり開けながらOL女性に尋ねた。
「えっと、お二人連れで……」
部屋の中が見えてきた。
「学生さん?でしたね」
「え!」
驚いて、視線をすぐさま部屋の中にうつす。
そこにいたのは、ソファーでくつろぐ制服姿の男子2名。
「よーっす、倉田くん」
「さっきぶり、倉田さん」
顔は笑っているが、背後にはなつオーラは異様な黒さだ。
あとずさろうとする倉田。
「逃げたらカッコ悪いよ。ほら、ここに来な」
目の前のソファを指さし、座るよう促す。
驚愕した表情のまま、倉田がゆっくり腰掛ける。
OL女性は不思議そうにしながら、ドアを閉める。
狭い空間は3人だけのものとなった。
「えっと…」
「もう取り繕わなくていいよ。全部わかってるから」
唐沢がお得意のニタリ顔を浮かべ、偉そうに足を組む。
もう無駄だと悟った倉田は、緊張がほどけたようにガラリと態度を変えた。
「はーあ、とんだ誤算があったんだな〜」
天井を見ながら、ため息をつく倉田。
「誤算ってゆうより、そもそも倉田くんのシナリオは簡潔すぎなんだよねえ」
片手をブラブラ振りながら見下すように言う。
倉田は会社の上司に言われるような気分で腹が立った。
「こうしてこうしてって、箇条書きみたいシナリオだから仮定が少ないわけよ。もしもこうなったら、ああなったらって全然考えてないしね」
「何だよ。そういうわりにまんまと俺に騙されたくせに」
意地悪な顔で言う。
ムカッと頭にきた紫藤が立ち上がるなり、
「ああそうだよ!俺たちはお前を一人の困っている依頼人だと真摯に受け止めたからな!騙されて当然な馬鹿だよ俺らは!」
「俺らって—…。俺も馬鹿なんだ…はは」少しショックな唐沢。
「だけど倉田くん、裏切られたからには容赦ないよウチのメンツ」
倉田に嘲笑いを向ける。
「なんたって最強だからねえ。記憶操作以外ノーマルな君なら俺一人で潰せるしね」
完全に馬鹿にされたような言いぐさだ。
頭に血が上り、倉田は怒鳴る。
「うるっせええええ」
間におかれたテーブルをドォンとひっくり返す。
少しは凶悪さを見せようとしたようだが二人にはビクともない。
「おお。見事なちゃぶ台返し」
「星一徹。わぉ」
余裕をこいて拍手なんてする始末だ。
「なめやがって」
「君の疑問、解いてあげよっか?まずどうして君の会社が分かったと思う?」
「ドゥルルン!正解は追跡機をあんたに装着してたからでした!」
唐沢の言葉を追うように紫藤が同調した。
「あれぇ?何で追跡機なんかをー?」
子どものような声をつくって首をかしげる唐沢。おまけに頬に人差し指なんて添えている。
「それは今朝、もしも連れ去られた場合を考えて最上さんから頼まれていたからさ!」
「わーお、すごーい」
明らかにバカげた茶番劇である。
「うざっ」
「うざいと思うけどさー、君のシナリオはこういう「もしも」の場合が欠けてたんだって〜ちゃんと仮定を用意しておけば完璧だったろうにね」
「というわけで倉田さんの今回のミスは警戒心ゼロと大ざっぱってトコ」
「結局はすべて自分のせいだね。残念でしたーまた来週〜なんつって」
余裕も自信も持ち合わせた二人を見ながら、怒りだけが募る。
そんな倉田をおいといて、唐沢は続けた。
「それと君の………じゃなくて谷村の彼女さんも今頃彼と一緒にいるよ。さっき連絡あった」
わざとらしく間をおき、谷村という部分を強調した。
「…っ」
「馬鹿だねえ、あ俺がバカとか言っちゃだめだけどー」
少々笑ったあと、鋭い目で倉田を見る。
「なんか引っ越しさせようとしてたらしいね。でも途中記憶戻ってすんなり前のおうちに戻ったんだって。そりゃそうだよね短期的な記憶操作だし」
唐沢がそう言い終わると、倉田は力なくソファに体を落とす。
敗者は自分だと実感した瞬間、とてつもない喪失感が襲う。
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