コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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Rain
日時: 2015/12/03 19:28
名前: 逢逶 (ID: Ft4.l7ID)

おはようございますorこんにちはorこんばんは


逢逶(あい)です。

Rain
嵐の大野智さんの歌をモチーフに書きます。

短編集です。
episode titleは、嵐の歌のタイトルです。

現在二作同時進行中です。
一日一話書ければいいな、と思います。

よろしくお願いします。


*Short Story EPISODE*
episode0 >>1 episode7 >>8
episode1 >>2 episode8 >>9
episode2 >>3 episode9 >>10
episode3 >>4
episode4 >>5
episode5 >>6
episode6 >>7

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Re: Rain ( No.4 )
日時: 2015/12/03 20:47
名前: 逢逶 (ID: Ft4.l7ID)
参照: http://0ja.jp/song/A2007050201.html

episode3
title We can make it!

今日は彼と付き合って一年の大事な大事な記念日。

なのに…、家に帰ってこない。
知ってるよ…、私が本命じゃないことぐらい。

知ってるよ…、違う女と会ってることぐらい。

最近はめっきり会えなくなった彼。
電話で会いたい、って言っても断れれてた。
もう終わりだってことはわかってる。
だけど好きなんだよ…。

「…好きなんだよ」

一人部屋で呟いた。
なんだか虚しくなってベッドに寝転がった。
寒い季節。温めてくれるのが彼であってほしかった。
私の心は凍えていて。

「会いたいよ…」

彼に届くことのない言葉は、部屋にさみしくこだました。

いっそ、誰か温めて?
涙で視界が滲んで、今晩は眠れそうにないことを悟った。

起き上がって冷蔵庫からプリンを取り出した。
彼の大好物。意外な可愛い一面を知ってからは、いつも冷蔵庫には彼のためのプリンがあった。
それを自分で食べる日が来るなんて、もう終わりだなぁ。

ピーンポーン

インターフォンが響いた。
この時間に誰だろう…。

食べかけのプリンをテーブルに置いて、ドアを開けた。

「一年記念日。遅れてごめん」

「…な、んで?」

花束を持った彼がいた。
あまりに突然のことに思わず涙がこぼれた。
さっきも泣いたのに。

「…泣くなよ」

抱きしめられて、彼の胸に顔をうずめ泣いた。

「…ごめんなぁ、最近会えなくて」

「他に…、彼女いたんでしょ…?」

抱き続けた疑問を投げかけた。

「…中で話そっか?」

答えてくれない彼。
靴を脱いで、家にあがった。

コーヒーを淹れて、彼の前のテーブルに置いた。

「ありがと」

彼は私の食べかけのプリンを悲しそうな瞳で見つめていた。
私は彼の向かい側に座って、次の言葉を待つ。
…でも、中々口を開こうとしない。

「…なんか言ってよ」

「うん。…俺が何したと思ってる?」

「…他に、いるでしょ?」

「どうしてそう思う?」

「…最近会ってくれないし、携帯に〝伊織さん〟って人から着信あったの見ちゃったんだ」

携帯をチェックしてたわけではない。
…この間、私の家に来て彼が風呂に入っていると時、彼の携帯が震えて女の人の名前が表示されて。

「…そっか。ごめん。不安にさせて」

「…」

「ごめん、今日に間に合わせたかったんだ」

彼の意味深な言葉は、私の不安をさらに煽る。

「…どういうこと?」

「俺と結婚してください」

ポケットから出された小さなケース。
それを彼が開けると、中に輝く指輪があった。
…急なプロポーズに目を丸くする。

「…え?」

「…不安にさせてごめん。最近会えなかったのは指輪を頼んでたんだ。伊織さんってジュエリーアーティストに…、プロポーズ用の指輪を作ってもらってた」

無言で指輪を受け取る。
真っ赤なハートの上に彼の大好きなプリンと、私の大好きなかすみ草そして、カラフルな石。
よく見るダイヤの指輪とかじゃなくて…、しっかりと彼の愛が感じられる指輪だった。

「返事は…?」

「もちろんイエス!」

嬉しそうな彼と目を見合わせて笑った。

「好きだよ…」

彼の隣に座って、キスをした。


私のほんの少しの勘違い。




私たちは、すれ違いで…、関係を壊すことができる。

だけど…、
わかりあうことで


今まで以上の幸せを手に入れることができる。


だから…


これからはどんなことでも…

…We can make it!

Re: Rain ( No.5 )
日時: 2015/04/15 22:02
名前: 逢逶 (ID: 6nOSsJSp)
参照: http://0ja.jp/song/A2011022302.html

episode4
title ever

元気にしてるかな…
…とっくの昔に別れた彼女のことをずっと忘れられないなんて、自分に呆れてる。
でも、この気持ちは永遠に続いて行くんだ。
最初で最後の恋。
次になんて踏み出せないよ。

ねぇ、あず…

君は今どこにいるの?

高校一年生春。
俺とあずは出会った。
同じクラス。人気者のあずはいつも輪の中心にいた。
俺は群れるのが嫌いだからそんな様子を不思議に見てた。

ある日授業をサボって図書室で寝ていた。

がらっ、と扉が開く音に目を覚ました。
入って来たのはあずだった。

「…あ、頼都」

話したこともないのに下の名前で呼ばれ、馴れ馴れしい感じがしてイラついた。

「…なに」

俺はふてぶてしくそう答えたけど、あずは綺麗な顔で笑って言ったんだ。

「私と一緒に抜け出さない?」

「はぁ?」

…抵抗も虚しく、強引に腕を引かれ連れ出された。

カラオケ、ゲーセン、買い物…色々付き合わされたが何気に楽しかった。

「…じゃあね、頼都。また付き合ってね」

その笑顔に、俺はすぐやられた。
その後も沢山二人で抜け出した。


「…ねぇ、頼都?」

「んー?」

「私のこと好きでしょ?」

「好きじゃなきゃこうやって遊んでねーよ」

「そういう意味じゃなくて」

「好きだよ?女として」

生まれて初めての告白。
あずは、照れくさそうに笑って

私も、と言った。

付き合い始めた。
幸せに順調な二年を過ごした。

高校三年生夏。
俺の家でゲームをしている時、あずは言った。

「…私ね、留学するんだ」

突然の報告に、俺は頭が真っ白になった。

「…な、に言ってる?」

「海外留学…するの」

学年トップの成績を誇るあず。
特に不思議なことではなかった。

だけど…急すぎた。

「…だからね、別れよ」

「…嫌だよ」

「離れていたら頼都も、私も別の人に目が行っちゃう。近くにいる人に目が行っちゃうじゃん」

「そんなことない」

別れるなんて嫌だ…
こんなに好きなのに…、
でも…あずが泣いて、別れよう、なんて言うから俺はあずを抱きしめて言った。

「元気でな、」

「…うん」

最後のキスをした。

俺は見送りにも行かなかった。
泣いてしまいそうだったから。

あれから七年。
あずのことをまだ想ってる俺。

空を見上げる。

君は今どこにいるの?
ねぇ、お願いだから僕の前の現れて?


「頼都ー!」


え?!俺は振り向いた。
この声は…、

「あず…」


そこには、ずっと想い続けたあずがいた。
手を振りながら俺の元へかけて来る。

俺は動けずにいた。


あずは俺に抱きついて耳元で、久しぶり、と言った。

俺はあずの背中に手を回し、あずがここにいる幸せを噛み締めた。

「…久しぶり」

俺も答えた。
長い良い匂いのする髪が顔に当たってこそばゆい。

体を離す。
あずは涙ぐんでいて、なんだか嬉しかった。

「…あず。会えて嬉しい」

「私も」

その瞬間、俺のたまっていた涙がこぼれた。

「頼都泣いたしー」

「うっせ、あずも泣いてるじゃん」

「泣いてませーん」

「頑固は変わんねーな」

「頼都は変わったね?」

「えー?」

「かっこ良くなった」

「そう?笑 あずは可愛くなった」

顔を真っ赤にしてあずは俯いた。
可愛い。

「あずは俺のことどう思ってる?」

「頼都から答えてよ。私のことどう思ってる?」

「好きだよ、女としてね」

「…私も頼都のこと男として大好き。もう、離れない…遅くなってごめんね」

俺はあずを抱きしめて言った。

「おかえり」

あずは小さく呟いた。



「ただいま」

永遠にあずを愛する。

遅くなったけど、二人の愛は変わらない。

だから…、



二人で永遠の未来を描く。



ever…

Re: Rain ( No.6 )
日時: 2015/04/16 06:34
名前: 逢逶 (ID: 6nOSsJSp)
参照: http://0ja.jp/song/A2003070905.html

episode5
title ONLY LOVE

愛はきっと…、疑わないこと。
そんなの幻想。
僕は今までどれだけの女に裏切られてきたことか。
付き合ってはフられて…、軽い女性恐怖症。

只今…、
合コンに来ているけど信用できそうな女はいないからテキトーに相槌をうっている。
俺の向かい側に座っている子はおしとやかそうで、なんとなく安心する。

「…名前教えて?」

その子に尋ねると少し俯いた。
名前教えたくないのかな…?

「…あ、なんかごめんね」

若干その場の空気も盛り下がり、一緒に来ていた奴は俺に気を遣ってビールを差し出した。
いや、別に呑みたくねぇし。

「…ごめん、教えたくないとかじゃなくて」

その子は目をきょろきょろ泳がし、戸惑いがちにそう言った。

「…え、と?」

「あの…、だから…。覚えてないんだなぁ、とか思って…」

どういうことか理解できず、首を傾げた。
周りの目が気になって、移動しよう、と小声で言った。

小さい居酒屋だからゆっくりできる場所があるわけではなく、誰もいないトイレの前で話すことにした。

「…で、どうしたの?」

「…私、千野香澄。覚えてる…?」

覚えてないわけがない…。
千野香澄は、俺が初めて付き合った子。
そして、俺をフった子。


全然気付かなかった。
香澄の雰囲気は付き合ってる頃に比べて大人になった。

「…元気だった?」

そんな言葉しかかけれない。
お互い相手の様子を伺って、踏み込むことが出来ない。
肝心なところには触れない。

「…うん」

「香澄は彼氏とかいるの?」

「いたらこんなところ来てないよ」

ふふっ、と小さく笑った香澄。
この笑顔が好きだったなぁ、なんてちっぽけな青春を思い出す。
ちっぽけでもなんでも色をつけてくれた香澄がいたことは俺の生涯の財産だろう。
…だけど、それを受け入れられるほど簡単にはできていない。
俺がフられたという苦い過去は、青春にどす黒い影を落とした。

「…ねぇ、なんで核心に触れてこないの?」

香澄は涙声で訴えかけるように言った。

「…どうして俺のことフったの?」

恐らく核心とはこのことだろう。
気になって気になって…、でも怖くて聞けなかった最大のクエスチョン。

「…彼氏がモテると大変なんだよ?私が勝手に不安になって二股かけられてるってデマ信じちゃった…、好きだったのに信じられなかった」

「うん、」

「私はずっと好きだった。ごめんね…」

「謝んないで」

「私ね、会えたこと凄い嬉しいんだ」

あ…、
今どうしようもなく胸が高鳴った。
俺はまた人を好きになってしまいそうで怖かった。

多分、これからまた会えば香澄のこと好きになる。

「…俺も嬉しい。また会おう?」

「うん」



もう、とっくに恋に落ちていたのかもしれない。

香澄と恋をしたあの青い春から月日は流れ、また香澄と出逢う。

巡り合わせとは神が起こした最大の奇跡だと思う。

その奇跡を見つけることこそが、俺たち生物の役割で…

愛する人を探し見つける。

とんでもない確率で、出逢えたパートナーは一人だけ。

それが誰だとしても世界にただ一人のONLY LOVEであることに変わりはない。

Re: Rain ( No.7 )
日時: 2015/07/20 21:21
名前: 逢逶 (ID: GlabL33E)
参照: http://0ja.jp/song/A2006070512.html

episode6
title CARNIVAL NIGHT part2

知ってる?楽しい夜にも終わりがあるんだよ。

煌めく街。
輝く夜。

待ち侘びてたこの夜を。

たった一人。
初恋のあの人は初彼でもあって、今日は中学の同窓会。
久しぶりにあの人に会える。

忘れられないとかそんなんじゃない。
ただ会って話したかっただけ。
私と別れた後の彼の人生が賑やかであることを祈っているだけ。

未練なんて、私から別れを告げたのにあるはずないじゃん。


会場は少し大きめの居酒屋。
二階を貸し切ってるらしい。

誰が企画したんだろう、と思ったらあの人だったみたい。


もわん、とした暖かい空間。
ぞろぞろと懐かしい顔が集まって来て、久しぶりー、と声をかけ合う。

「えー!桜久しぶりー!」

「えっ?!沙英?!超久しぶりじゃん!」

桜は昔よく一緒にいたメンバーの一人。
中学の卒業依頼、なんだか連絡するのも気が引けて疎遠になっちゃったんだよね…。

元委員長の奈帆子の乾杯の音頭で正式に同窓会が始まり、次々に美味しそうな料理が運ばれてくる。
私はそれを口に運ぶ。

美味しい。


「…ねぇねぇ、沙英?やっぱりサトくんのこと気になっちゃう?」

酔っ払った桜はわざとらしく厨房に目をやる。
うん。
ちらちら厨房から見えるあの顔。変わってないね。
優しい雰囲気はそのままで、でも男らしさがプラスされてる。

別れた理由は単純でお互いどう向き合ったら良いかわからなくて結局私からさよならを告げた。

私はビールをぐびぐび飲む。
酒に強い私。
ダウンして行くみんな。
残っているのは酒を飲めないメンバーと私。
会話も対して盛り上がらなくて。

「…沙英」

頭上から聞こえてくる声。
低くなったね、でもわかるよ。

顔をあげるとやっぱり成長したあなたの顔。

「久しぶり」

にっこり笑ったその顔。
あぁ、時間は流れたんだな。

「久しぶり。元気だった?」

「うん。そっちは?」

「まぁ、元気かな?」

「良かった」

「…沙英結婚するんだって?」

はぁ?

「誰から聞いたの?」

「桜」

「ごめん、それデマ。彼氏すらいないもん」

「えぇ?!笑」

「笑うなよー。サトは?彼女いるの?」

「いないよ笑 沙英…どう?俺」

「うーん?笑 良いんじゃない?」

「テキトーだろ笑」

「ばれたか笑」

良かった。普通に話せる。
その後は昔の話で盛り上がって、あっという間に時間になってしまった。

「そろそろ帰るね。じゃあね」

寝ているみんなを起こしてから店前でタクシーを拾った。

「沙英!」

乗り込もうとした時、後ろから声がした。

振り返るとサトがいて。

「何?笑」

「俺、別れてからもずっとお前が好きだった。すげぇ好き。忘れようとしたけど会って気持ち抑えられなくなった」

突然の告白に涙が止まらなくなった。

「ばか!私も大好きだっつーの!」


私たちは二人抱き合った。



楽しい夜には必ず終わりがくる。

だけど会いたいと思えば何度だって夜は訪れる。

この夜に続きがあることを私は確信した。

part2でもpart3でも楽しい夜を私たちはこれからも満喫するだろう。

あなたの居酒屋と中学時代の淡い初恋と共に。

Re: Rain ( No.8 )
日時: 2015/12/03 19:30
名前: 逢逶 (ID: Ft4.l7ID)
参照: http://0ja.jp/song/A2014102213.html

episode7
title キミの夢を見ていた


もうすぐ眠りそうだったのに、小鳥の声で目を覚ます。

俺はおとぎの世界にでも行ってしまったのだろうか。


ぴぴぴぴっ

現実に引き戻したのは、目覚まし時計。
いつもいつも同じ時間に騒ぎ立てるこいつ。
相当暇だな。


♪♪♪♪♪

今度はなんだよ!
携帯が鳴る。

「もしもし?」

《もしもしじゃないよ!今日は子供達と遊んでくれるって言ったでしょ?!》

「ごめん、すぐ行く」

…元嫁の玲架である。

三年前に別れた。
子供は二人。

玲架とは中学生の頃から付き合って結婚までした。
が、終わりはあっけない。

すれ違いがすれ違いをうんで、最後は互いのことを全然わからなかった。

親権は玲架。
俺は毎週末会いに行く。



電車にゆられること三十分。

玲架と子供達は家の前で待っていた。


子供達が飛びついて来て、俺は小さな頭を撫でる。

こんなに愛しているのに会えるのは週末。
子供達の為に離婚なんてやめときゃ良かったかな。

「久しぶり。…って、先週も会ったか」

玲架は照れ臭そうに微笑んだ。
こんな表情するんだ…。


「中入って」

週一回のこの平屋。
とても慣れない。

自分の生活とはあまりに違いすぎて。

「…どーぞ」

出されたコーヒーを啜る。

「仕事どう?」

「最近は楽しくやってる」

玲架の質問に当たり障りない答えを出すけど、どこかぎこちなくて。

「玲架は?」

「うん、普通?笑」

不覚にも…その表情が可愛らしく見えて。
忘れていた胸の高鳴りが襲う。

「普通ってなんだよ笑」

「だって本当に普通なんだもん笑」

「はは笑」




もし君の夢をこれから毎日見て、会いたくなったとしても…


離婚間際には見られなかった玲架の笑顔と、たまに会った時に思い切り抱きついてくれる子供達がいるから…


近い将来、「ずっと君の夢を見ていた」と言える日が来ると信じてるから…




今はまだこの距離のままでいてもいいかな…。


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