コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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Rain
日時: 2015/12/03 19:28
名前: 逢逶 (ID: Ft4.l7ID)

おはようございますorこんにちはorこんばんは


逢逶(あい)です。

Rain
嵐の大野智さんの歌をモチーフに書きます。

短編集です。
episode titleは、嵐の歌のタイトルです。

現在二作同時進行中です。
一日一話書ければいいな、と思います。

よろしくお願いします。


*Short Story EPISODE*
episode0 >>1 episode7 >>8
episode1 >>2 episode8 >>9
episode2 >>3 episode9 >>10
episode3 >>4
episode4 >>5
episode5 >>6
episode6 >>7

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Re: Rain ( No.1 )
日時: 2015/04/09 07:22
名前: 逢逶 (ID: FpNTyiBw)

episode0

雨の音響く 君の声消えた
受話器の向こうに

君は誰といるの? 秘密を隠して
僕に好きと言う

くちびるを ぼくのそれ重ね
抑えて 抱き寄せる

Hey, Now I Don't Wanna Give Up. This Is Only The Beginning
君の香りが そう頼り
Baby, Why We Gonna Give Up? This Is Only The Beginning
一人危ない目で 走り出す

雨の後届く 沈黙のsqueal
ガラスの割れる音

君は今 どこにいるの? このまま待てば
君は来るの?

ポケットを探る この手の中に
キケンなものを持つ
(All Need Is Love Just Waiting For You, Understand?)

Hey,Now I Don't Wanna Give Up. This Is only The Beginning
君の気配が そう頼り
Baby, Why We Gonna Give Up? This Is Only The Beginning
その向こう側まで 走り出す

赤いルージュの グラスのあと
心に刺さるような 痛み残し Yeah!

Hey,This Is Only The Beginning これはゲームじゃない
This Is Only The Beginning 誰も愛しちゃいない
This Is Just The Beginning 君に届かないさ
(This Is The Beginning, This Is The Start)

Hey, Now I Don't Wanna Give Up. This Is Only The Beginning
君の香りが そう頼り
Baby, Why We Gonna Give Up? This Is Only The Beginning
一人危ない目で 走り出す

Re: Rain ( No.2 )
日時: 2015/04/15 22:00
名前: 逢逶 (ID: 6nOSsJSp)
参照: http://0ja.jp/song/A2002071710.html

episode1
title 愛してると言えない

別れてすぐに会いたくなるのは貴方のことが好きだから。

貴方は私じゃない人のところへ。私は貴方じゃない人のところへ。
もうずっとこんな関係が続いている。

私も貴方も既婚者。

貴方と出会ったのはとあるレストラン。
私は夫と来ていて、貴方も奥さんと来ていて。
お互いに一目惚れだった。
夫との関係は結婚二年目には冷め切っていて、だけど別れてくれないのは夫が私を愛しているから。

貴方とトイレで電話番号を交換して…、そういう関係はあっさりと作られた。


「…ただいま」

家に帰ると、夫が不機嫌そうな顔でソファーに座っていた。

「…」

「…どうかした?」

「俺、お前と別れなきゃいけねーの?」

「…なに、言ってるの?」

今にも泣きそうな夫は、立ち上がって私を抱きしめた。
夫の腕の中が落ち着かないのは貴方の体温を覚えているから。

「…俺は、こんなに愛してるのに。お前は…、俺じゃない奴を見てる」

バレてる…?
平静を装って、夫の背中に腕をまわす。

「好きだよ…?私もちゃんと好きだから」

愛してる、とは言わない。
貴方だけを愛してる。

「…俺と別れて?」

「…ど、うして?」

「お前は本当に好きな奴と一緒になって…、幸せになって」

「…」

揺れる瞳はまだ私を必要としていて。
今更だけど胸が痛んだ。

「…ごめんね」

私はそう告げて家を出た。
夫の最後の悲しそうな表情が胸から離れなくて、過ちの大きさに気づいた。
どうして愛してあげられなかったんだろう、と悔やんでももう遅かった。

私の足はフラフラとあのレストランに向かっていた。

夫との思い出の場所にでも来れれば良かったんだけど、私はそんなに良い人じゃない。
どうしたって想うのは貴方だけ。

レストランに入り、窓際の席に座った。
貴方がいればどれだけ嬉しいだろう、そんな祈りに近い想像。

注文もしないでただぼーっとしていた。

「なんで…?」

その声に驚き、横を見ると…

…貴方がいた。


咄嗟に抱きついた。
貴方の温もりは出会った頃からずっとそのまま。
私を愛してくれてる、って実感できる。

「…会いたかった」

「私も」

涙が溢れ、それを拭うのは貴方の指先。
なんて幸せなんだろう…。
一目も気にせず力いっぱい抱き合った。

一旦落ち着き、席に座った。
周りの目も今は気にならない。

「…私ね、夫と別れる。…別れることになった」

「うん…、俺も別れた。関係、気付かれてた」

「…うん」

「俺たちさ、結婚しようよ」

「今はまだ…。好きだけど…、愛してるけど…また誰かを好きになったら怖い」

貴方以外を好きになることはこの先無い。
でも…、私は夫がいるのに貴方を好きになった。
だから貴方が夫になったら他の人を好きになるかもしれない。

「…俺のこともっと好きにさせる。俺はこの先お前以外を好きになることは無い。だけど…不安なら恋人から始めよう…?」

私は頷いた。
罪と代償。


だけど手に入れたものは大きい。


貴方と他人の目を気にしないで、手を繋いで外を歩ける。


こんなに幸せなことはない。


だけど不安な気持ちは、二人の心にあって。


…これから、お互いを一番としっかり言えるようになる日まで。




〝アイシテル〟が形になる日まで。

Re: Rain ( No.3 )
日時: 2015/04/15 22:01
名前: 逢逶 (ID: 6nOSsJSp)
参照: http://0ja.jp/song/A2005111602.html

episode2
title イチオクノホシ

声を枯らしてまで伝えたい想いなんて無い。
そう思って生きている。

声が必要な仕事をしている。


私の商売道具は、ギターと声。
それなりに売れていて、音楽番組やフェスへの出演はほぼ毎日あって多忙である。

「続いては花火さんです」

それが私の名前。
爆発的な歌は歌わないけど、花火のように心に響く歌が歌えればいい。

司会者に紹介され、ギターを軽く弾いた。

「…ふー」

音楽番組の収録。
お客さんはいないのに、緊張する。
プレッシャーを感じているんだ。

少し震える声で、歌い切った。


「…お疲れ様でした」

収録は終わり、次の現場へ移動する。
マネージャーが運転する車は、凹凸の無い都会の道路を一定のスピードで走る。
不思議な心地良さから眠りについた。

「…花火!起きて!」

マネージャーに叩き起こされたのは、フェス会場に着いた頃。
眩しい太陽と青い空が、私を迎える。
雲ひとつない空に、手を合わせてフェス成功を祈る。

〝天には神様がいて…、世界中の人を見守っているんだよ。〟

ばあちゃんが言ったんだ。
どこにいるかも、生きているかも分からないばあちゃんが言ったんだ。

…生き別れたばあちゃんが言ったんだ。

突然、家族が消えた。
…家を出て行ったのだ。

私を置いて。

死ぬほど恨んで、死ぬほど泣いた。
でも声だけは私を裏切らなかった。
周囲の期待にも答えてくれるし、何より私を助けた。

歌うことを生き甲斐に感じた。

フェスは好き。
お客さんが盛り上がってくれるから。
私を必要としてくれているから。
…私を捨てた家族とは大違い。


ステージに立ち、ギターに手をかけ息を吸い込んだ。

「ストップ!」

「え…?」

客席からステージに上がってくる男性が一人。
ざわつく会場。

「…花火。久しぶり」

深めに被っていた帽子を脱いで、私に笑いかける男性は…

忘れられない人だった。


「ユウちゃん…、」

「あ、覚えてくれてた…?」

彼は私の幼馴染。
私の事情をよく知る人。
…中学生の時、付き合っていた。
だけど、家の事情が私を暗くして…、迷惑かけちゃいけないと別れを告げた。

「…花火、好きだよ」

…そんなの顔見れば分かるよ。
花火が大好き、って顔してる。

「…私だって」

「…別れてからさ、花火の家族探したんだ。勝手にごめんな。…見つけたら会いにくるつもりだった」

ってことは…

「見つかったの…?」

「…うん。一緒に会いに行こう?」

頷いた。

あんなに苦しめた人に会いたいと思うのは、私が単純な性格だからで…、歌よりも大事なものがあることを知った。

ユウちゃんと私は手をつないで走り出した。

日が沈んで星が出ても私は走り続けよう。
二つの想いが、何倍にもなって…、綺麗なイチオクノホシになる。

…私を苦しめたあの人たちの上にもイチオクノホシが瞬いていることを、今は嬉しく思う。

ねぇ、私は必要ない子だった?

もしそうだとしても…、私を必要としてくれる人はいる。


その人のために、私は星になろう。

そして、一人一人に声を枯らして伝えるんだ。


「ありがとう」



…私の道を明るく照らす、数え切れない星々の一つに目一杯の感謝を込めて。



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