コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- 【更新再開】怪盗ユア-満月の夜はBad night-
- 日時: 2015/10/14 09:55
- 名前: 明鈴 ◆kFPwraB4aw (ID: uWCnjyP1)
\王道を突っ走るぜ!/
=どなたさまもお気軽にご感想お待ちしております=
●・○【最新にゅーす】最終更新日◇2015.10.14
・mission2 更新
〆早速、潜入捜査よっ!
・亀さんペースな投稿…
●・○【目次】最終更新日■2015.10.14
『登場人物』>>01
『序章』>>02-04
『mission1』>>05-10
『mission2』>>10-次回更新予定…
…*☆*……………………………………………………………
初めましての方は初めまして!
中学生の頃の黒歴史を振り返っていたら
こんな題材の小説もどきが発掘され…
ん、じゃあこの機会に完結させよう! と思い立ち、
スレを立ち上げた次第。。
需要があるのかはさておいて、
めくるめく怪盗さんの世界へ(・∀・)
ドウゾごゆっくり( ^^) _旦~~
…*☆*……………………………………………………………
執筆開始 2015.07.08
- Re: 【毎日更新】怪盗ユア-満月の夜はBad night- ( No.7 )
- 日時: 2015/07/15 17:56
- 名前: 明鈴 ◆kFPwraB4aw (ID: DBM1eX7d)
「くり須さーん! おーい!」
ご丁寧に名前を叫びながら、ついでに全力で手を振りながら駆け寄ってくる。
——ワカメ頭の、男子生徒。
見慣れた容姿に、くり須は「げっ」と顔を引き攣らせ、その隣で柚亜は「ごしゅーしょーさまー」と笑顔で呟いた。
「あの子……一年生の……南沢礼人(みなみさわ れいと)じゃ……」
「だねえ」
目の前でぜぇはぁと息を切らし、しかし、くり須が目の前にいると自覚すると、男子生徒はすぐさま、ばばっと姿勢を正し、
「おはようございます、くり須さん。今、ご登校で?」
「見りゃわかるでしょ」
「常に学年トップ成績優秀、それに容姿端麗、性格良し! ……そして、いつ見ても麗しいっ……。憧れです! くり須さん!」
「それはどうも」
「くり須さんはこの学園の女神さまですっ。いつも応援してますから!」
「そう。……いつも見かけたら声かけてくれるもんね。ありがとう」
「そそそんなっ……! 僕なんかにお礼のお言葉などっ……いや、もったいない……」
「…………」
「ぼ、僕っ、いつまでも応援してますからっ……! だから、その……!」
「ちょいちょい、」
「は、はい……?」
必死になりすぎて思わず目を瞑っていた南沢礼人は、柚亜に声をかけられ、我に返った。
「南沢君、だっけ。くり須なら、とっくに向こう行っちゃったわよ」
校舎の方を見やると、鞄を揺らしながらくり須が今まさに校舎に入っていくところであった。
「あああ……くり須さああん……」
「はいはい。まあ頑張ってね、フウキイインサンっ」
嘆く風紀委員の肩にポンッと手を置くと、柚亜はくり須の後を追って、校舎に入ったのだった。
******
「予告状……?」
さて。二年B組のクラスの一角で、柚亜は思わず声を上げていた。
「そうなの」
「めるちゃん、それ、本当?」
くり須が訝しむようにクラスメイトに問う。
「本当よう。確かに私、聞いたんだからあ」
疑われてることに苦痛を感じたのか、長く垂らしている横髪をガジガジと噛む少女。
彼女の名前は久米瑠花(くめ るか)。本名から、『める』という愛称で呼ばれている。
実の父親は病院の医院長をしており、かなりの資産家であるとのこと。
——私以外は大抵の子がお金持ちなんだから……。
悲しいかな現実を突きつけられ、思わずため息をつくくり須であった。
「ごめんごめんって。で? 確かに予告状ってやつが、めるンとこに届いたっての?」
柚亜があっけらかんとした振る舞いで瑠花をしたためる。
「それが……予告状を受け取ったのは私の所じゃなくて、この学校を取り仕切っている、私の大叔父様のところに、なんだけどお」
「そっか。めるちゃんの大叔母様って、この学校の理事長だったわね」
「……オオオバ様……?」
頷くくり須の横で、柚亜はぐるぐると頭の周りをはてなマークが飛び交わせていた。
そんな状態の柚亜に、くり須はため息混じりに説明する。
「『大叔母』よ。めるちゃんのお婆さんの、お婆さんに当たる人物よ」
「ほおーお。さっすがくり須。あったま良いー」
「これくらい常識じゃないの」
「くり須の中の常識でしょおー」
「世間一般のですー!」
「あのお……喋っても、良いかなあ」
「「どうぞどうぞっ!」」
声を揃えて瑠花の言葉を促す柚亜とくり須。
瑠花はこくりと頷くと、おずおずと話を続けた。
「その理事長宛に届いた予告状の内容なんだけど、…………変なのよう」
「変、って、なにが?」
「普通、予告状っていうと、『これから○○を頂きに参上致します』って具合でしょお? でもね、今回のは、……変なの」
「だから、……どう『変』なの……?」
くり須はそう問いかけながらふと隣の柚亜を見て——その怪盗見習いの表情は、いつにもまして思いつめていた。
- Re: 【毎日更新】怪盗ユア-満月の夜はBad night- ( No.8 )
- 日時: 2015/07/18 14:02
- 名前: 明鈴 ◆kFPwraB4aw (ID: XetqwM7o)
疑問に思ったくり須であったが、そのことには触れずに、瑠花の話に耳を傾ける。
「『ある生徒の秘密を奪いに参ります』だってえ。……ね、抽象的過ぎない?」
「『秘密』……ねえ」
「そうなのよう……。この予告状の内容だと、『誰』の『何』を奪うのかも分からないし……。こんな予告状を警察に見せたところで、相手にしてもらえないだろうしい……」
「まあ、それもそうね……」
瑠花の言葉に、頷くくり須。
——確かに、警察に届け出たところで、このような内容の予告状では、相手にしてもらえないだろう。
くり須は、本当よう、信じてよう、と訴えかけるような眼差しの瑠花をなだめるように、その肩に手を置いた。
「私、めるちゃんの話、信じるわよ」
「くり須ちゃん……!」
瑠花の目が、うるうると涙ぐむ。
「くり須ちゃんが信じてくれて……私……! ……うっ……」
「いや、そこまで切羽詰まってたのね、めるちゃん……」
よしよしと瑠花の頭を撫でるくり須の横で、柚亜はしばらく顎に手を当てて黙り込んでいた。
その表情は、いつになく真剣であった。
そんな柚亜の状態に気づいたくり須は、ふと柚亜を見て、
「いつにも増して真面目な顔しちゃって、……一体、どうしたのよ」
「いつにも増してって、失礼な! ……ね、める。送ってきた相手、分かる?」
その言葉に、くり須は思わず柚亜を振り返った。
「えっ。柚亜、それってどういう……」
瑠花は「んー、それがねー、」と、若干躊躇いながらも、口を開く。
「それが、聞きなれない相手なの」
「逆に、聞きなれた相手から脅迫状届く方が怖いわよ」
「それもそうだよねえ……」
「で? なんて奴から届いたの、その予告状ってのは」
柚亜の言葉に瑠花はこくりと頷くと、その名前を口にした。
「『怪盗ローズ』だって」
- Re: 【更新再開】怪盗ユア-満月の夜はBad night- ( No.9 )
- 日時: 2015/09/30 12:36
- 名前: 明鈴 ◆kFPwraB4aw (ID: IxtPF2j4)
*********
「『怪盗ローズ』だとお?」
柚亜は帰宅するなり、今朝瑠花から聞いた事をそっくりそのまま実の父親に伝えた。何故かくり須を道連れにして。
パパさんはリビングのソファで横になりながらその旨を聞いていたのだが、最後に柚亜が口にした言葉を聞き、今回の予告状の送り主なる人物の名前を反復する形で、ソファから飛び起きていた。
「なんだっ、その、ふざけた名前の奴は」
「それはユアのセリフだっての」
「……ま、まさか。ユア……お前、私に黙って勝手に予告状を送り付けたんじゃあなかろうな。……しかし、ダサいネーミングセンスだ」
「そういうパパさんこそだよっ! 真夜中にこそこそ家を抜け出してなにをやってるのかと思えば、ユアに内緒で新しいターゲットを探してたんでしょっ……!」
「なんだとっ……?! 仮にそうだとして、ユアの通う学校に盗みに入るだなんて卑劣極まりないことをこの私がするとでも言うのか…?!」
「ええ、ありえるねっ!」
「なにをおっ! なんだユア、このパパさんが信じられないとでも言うのか……!」
「あのお〜……」
突如、父娘ゲンカが目の前で始まってしまい、気まずそうにおずおずと手を挙げるくり須。
二人の動きがはたと止まる。
「あのー私、ここにいたらお邪魔なようなんで、これで……」
「あははは〜ゴメン、ゴメン。くり須。連れて来てたの忘れてたよ……」
柚亜は頭をかくと、くり須にソファに座るよう促して、自分はそのままキッチンへと姿を消した。
くり須はパパさんに一礼すると、その真正面に腰掛けた。
そして、
「私、今日の予告状の話を聞いて、てっきり柚亜かパパさんが出した予告状だと思ってたんですけど……」
「私は『怪盗ローズ』などというダサいネーミングはつけないっ!」
「そう、同意!」
紅茶の入ったカップをテーブルに置き、くり須の横に腰掛けた柚亜が、目の前の父親に強く同意する。
「あ、ですよねー」
その様子を見て、あははと乾いた笑い声をたてて、くり須は柚亜が用意してくれた紅茶を静かにすすった。
——結局、似たもの同士なのだ、この二人。
- Re: 【更新再開】怪盗ユア-満月の夜はBad night- ( No.10 )
- 日時: 2015/10/01 13:14
- 名前: 明鈴 ◆kFPwraB4aw (ID: iGp9Ir2k)
「しかし……一体全体、誰が何のためにユアの学校の理事長に予告状を送り付けたのか、だが……」
「まだ一切犯人の目星はついていないし、ましてや何の目的で今回予告状を理事長に送り付けたのかすら、謎なんだよね」
柚亜とパパさんの二人は、うーむ、と腕を組んで、同じように考え込むポーズをとっている。
くり須は「さすが親子ね……」とぼやき、再度紅茶に口をつけた。
と、ふと気になった疑問が頭をよぎる。
「ねえ、柚亜」
「ン? どした、くり須」
「予告状の内容なんだけどね、」
「『ある生徒の秘密を奪いにきます』ってやつ?」
「そう。『とある生徒の秘密』……これって、なんだと思う?」
「……、くり須ちゃんは、どういう、意味だと思うのかな」
テーブル越しに、パパさんが身を乗りだして聞いてくる。
「あの、ですね。少し気になったんですけど。……『ただ』の生徒の『秘密』なんかを奪って、一体誰が得するんだろうなーって思って」
「犯人のメリット、ということだね」
「はい。あ、あくまで私のふとした疑問なんですけど……」
リビングに沈黙が流れる。
しばらくして、
「今はまだ情報が足りないね。……そうだ、ユア」
パパさんの目が、きらりと光った。ように見えた。
「なあに? パパさん」
「ユア、怪盗として、師匠からの指令だ。『怪盗ローズ』の正体と、その目的を暴くこと。……いいね?」
「ええーっ?!」
柚亜がいつにも増して大きな声を上げる。
「パパさん、そりゃ突然過ぎるってば!」
「怪盗ローズはユアの学校を狙っている。とすれば、盗みに入る学校を偵察しているはずだ。当然、学校周辺に怪盗ローズが巣食っているに違いない。となれば、普段から学校に通うユア、お前が学校周辺を調べるのが、一番怪しまれずにすむ」
「まあパパさんが学校周辺を嗅ぎまわってたら、確かに不審者だわね」
「つまり! ここはユア、お前が調べるのが安心安全というわけだ」
「……そうだね」
「無論、パパさんもユアがピンチの時には駆けつける。それまでは怪盗ユア、見習いのお前に、この問題を託す。分かったね」
「…………」
しばらく口を一文字に結んで、眉をしかめてパパさんを見ていた柚亜だったが、ふう、と息を吐くと、
「分かった」
こくりと首を縦に振った。
途端にパパさんの表情がぱっと明るくなり、「良かった、良かった」としきりに頷く。
「ただしユア、無理は禁物だからね」
「どこぞの中年怪盗さんみたく、無茶はしませんよーだ」
「そっ、それは誰のことだ、ユア!」
「さあね〜?」
「はぐらかすな! コラっ、ユア!」
突如言い合いを始めた親子(主に、パパさんの一方的なアレであったが)を尻目に、くり須はカップに口をつけて、アハハと苦笑するのであった。
何故か、胸騒ぎを覚えながらも——。
【mission1、完了。】
- Re: 【更新再開】怪盗ユア-満月の夜はBad night- ( No.11 )
- 日時: 2015/10/14 09:50
- 名前: 明鈴 ◆kFPwraB4aw (ID: uWCnjyP1)
【mission2:カイトウさん最初の任務】
正統な怪盗の血筋である海東 柚亜が実の父親から指令を受けてから一夜明けて——。
何故か柚亜の協力関係者として巻き込まれてしまった相原 くり須は、登校するなり教室の自分の机に勢いよく突っ伏していた。
恥ずかしながらその際にゴンっと鈍い音をたててしまったが、気にしないことにする。
「あっれー、相原ちゃん。どうしたのー?」
そこへ、誰かが声をかけてきた。
くり須はその甲高い声が特徴的な主に応えるべくゆっくりと顔を上げる。
「ああ、千咲。おはよう。……うん、ちょっとね」
「いつも一緒に登校してくる柚亜っちが見当たらないけどー……お休み?」
「…………」
そうなのだ。
その《柚亜っち》こと《海東 柚亜》であるが。
くり須が朝からこんなにも疲れている原因ははからずもこの少女にあった。
昨日、パパさんから『怪盗ローズ』なる者の正体を調査せよとの指令を受けた柚亜は、朝から異様に張り切っていた。見習いながらも《一人の怪盗》として指令が下ったためだろうか。
とにかくくり須が朝の待ち合わせ場所に行くと、そこに仁王立ちで構えている柚亜の姿があった。
「……お、おはよう柚亜。早いわね。まだ7時よ。いつもの集合時間より一時間も早い……」
おずおずと切り出したくり須に、柚亜がビシッと指を突きつける。
「遅いぞっ、くり須。いつどこで奴が嗅ぎ回っているともしれないんだからね! ほら、行くわよ!」
「……す、凄いやる気ね……」
ほらほら、と急かされて、くり須は仕方無しに学校に向かって歩き始めた。
その隣を、何故か突然サングラスをかけて前かがみになって歩き出す柚亜。
周囲をゆっくり訝しげに見回しながら歩いている柚亜に気づき、くり須は思わずギョッと目を見開いて凝視していた。
「……柚亜。なにその歩き方。どこぞのスパイみたいね」
「フフフ、そうよっ。いつどこで《奴》が怪しげなことを企んでいるとも分からないからねっ。こうして、しっかり私が見張らなくっちゃ!」
「…………あのねえ」
くり須は肩をすくめると、なおも怪しげな行動をしている柚亜の背中に向かって、
「……柚亜、私先に行くわね」
不審者極まりない態度の柚亜の返事も聞かずにくり須は一人学校へと向かったのであった。
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