コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- ムニキス【リメイク】
- 日時: 2015/11/23 17:55
- 名前: はるたろう (ID: Zn9JBKpx)
書き直します。
名前が変わってたりします。
投稿していただいたキャラ様は変わっておりません。
act.0 History repeats itself. >>1
act.1 Losers are olways in the wrong. >>2>>4>>6>>8>>10
act.2 Out of the mouth come evil. >>3>>5>>7>>9
act.* Hugely is the best sauce.>>11
act.3 It is no good to wake a sleeping lion.
つづりとか意味、あってるかな…?
- Re: ムニキス【リメイク】 ( No.4 )
- 日時: 2015/09/14 20:09
- 名前: はるたろう (ID: OSct4JfX)
「おいおい…爪でも剥がされてーのカ…あ?」
「……………」
睨まれ、声を震わせ「わ、わかってんじゃねーカ」笑みを浮かべて、ダリルが言った。拘束された人間を見て笑うなんて、なんと悪趣味なことだろう。と、思ったが、あれは二時間もここにいる自分に呆れたのか。
苦汁を舐めたような顔だったような気がした。多分、爪を剥がすことを思い浮かべると、気持ちが悪くなったのだろう。
ジジが今いる《元》国家軍隊《現》傭兵集団は、沢山の国々から集まった人物で構成されているらしい。ここの反対側から一番遠くから、なんでも《障害付き》ばかりらしい。
目前のダリルも持っているらしいが、何か分からないので考察するのは面白い。気取った事を考えてみて、ジジは楽しかった。そうなると、自分も悪趣味になるが。
「俺様のこと、軽く思ってたら大間違いだゼ」確かに、頭は軽そうだ。外見的にも内面的にも。納得した上で「…軽くは思ってません」というウソをつく。
「オメーはムニキスに関係があるのか?ないのカ?さあ!答えロ」
「…ていうか、僕、言いましたよね?知らないって…」
「おいおいおーい!しらばっくれんじゃあねえゼ」
「アンタは人の話を聞け!!」
「そこまでにしろ…レンツォが帰る。しかも…今から昼寝の時間だ、やかましい」
ほとんど裸の女性が、ドアを蹴り破り部屋に入った。木の破片はダリルの頭に突き刺さり、その場へ倒れて動かなくなった。
目が点になったジジを見て「…驚いたかい?」慣れたように女は訊いた。
年齢は大体、四十代ほどか少し下か。男に見えなくもない、短く、痛んだブロンドの髪を揺らし、女は静かに「ナディアだ」と名乗った。ダリルの痩せ細った体をボロボロのソファに投げ、その横にナディアも腰かけた。
女とわかるのは、岩壁のようにそびえ立つ鍛え上げられた肉体には似合わない、露になった豊満な胸。目のやり場に困るジジだが、ナディアはそんな事を気にしてはいないようだ。
「さて、最初に…このアホがすまなかったな」
「いっいえ、こちらこそ…長居させてもらって…」
「それはいいんだ。しかし、これから…少しだけ質問をしたいんだが、いいか。手短に終わらせる。返答次第ではな」
背筋を伸ばしたジジを見届け、ナディアは続けた。
「我等の仲間にならないか」
と。
- Re: ムニキス【リメイク】 ( No.5 )
- 日時: 2015/09/21 14:52
- 名前: はるたろう (ID: pyK84o2R)
「派手にしてくれたなあ」呆れたように、感心にもとれる声をレンツォはアクセルに漏らした。自慢気に厚い胸板を叩いて笑った。
「いやあね、手と脚の好きなお客様がいてねえ…」四股を引きちぎられた女を我が子のように見つめ「高く売れるのよん、ねえ?」冗談のような声音でアクセルがウィンクをする。
レンツォのまだ水が滴る髪を撫で「お世話になりまーす」と耳元で囁いた。
「ったく、アクセルさんにはかなわないねえ…。人が死ねば儲かる。僧侶かおたくらくらいよ?今の時代」
「なあになに、アンタらは戦争屋だろ。しかも絶対正義の戦争屋。アンタらの方が人様の死で生きてるようなもんだぜ」
戦争屋。
レンツォは心のなかで繰り返す。
「…おっと。すまん」
「なにが?」
「いやあ、こっちの話。てか、ニコちゃん元気?辛いときは俺が話聞くって言っといて」
「だめだめだめ、アイツは俺の女」
「……男だろ?アイツ。お前、なに?そーいう趣味…」
「ばっ、ばかやろう!知ってんのかよ!先に……い…え………」
「どうした?」アクセルは問う。しかし、レンツォから返事はされない。
レンツォの方を見ると、辛うじて死んではいないが、奴には死と同じ。固まったまま。針を持つ手だけは震えていた。
まさか、女が生き返ったなんて…夜中に一人でトイレにもいけないレンツォが見れば、それだけでダメージだ。
「ア…クセルさぁん……」
「いい歳した大人が何を言うか。見てみろ、脚と体がひっついていくだけ…」
「それが怖いんだよぉ!!」
泣き叫ぶレンツォを見て女は何も言わなかった。死体だから、考えまで読み取れない。アクセルの能力が使い物にならない以上、頭脳戦は難しい。死体相手に肉弾戦もいかがなものだ。
「…チッ、なんの障害だぁ?こんなの報告されていね…え!?レンツォ、テメェ!ドーピングは俺に使うな!!」
無言で針を刺し、アクセルの背中に強烈な蹴りをいれる。鋼鉄のような体が宙を舞った。泣きながらもレンツォが針を飛ばすと、女の体は地面にひれ伏し、アクセルの体に挟み込まれる形となり、潰れてしまった。
戸惑うアクセルをどけ、トマトを地面に叩き付けたように目もあてられない状態の女をレンツォは確認の意をこめて踏み潰す。
「…一安心だな!」
「だな…じゃねえ!!これ、お気にの靴だぞ!?お前が死ね!!あーあ、商品が…グチャグチャじゃねーか……」
レンツォは申し訳なさそうに項垂れる。
「…だよなあ……ごめん、あと一時間は効果あるから…」
- Re: ムニキス【リメイク】 ( No.6 )
- 日時: 2015/09/21 17:18
- 名前: はるたろう (ID: TlfXPTG.)
人は、話をする前に「耳の穴をかっぽじって」なんて言うが、かっぽじる暇がなかったからだろうか。
言葉が聞き取りにくくて「はい」なんて簡単に言ってしまった。
「よかった」大人の女性な微笑みをナディアは顔に浮かべた。扉に向かい、指を鳴らすと待ち構えていた人物が登場した。白髪の長髪が鬱陶しそうな印象的な、端正な容姿の……男?だろうか。息をしているのか疑うほどの青白く細い手を伸ばし、ジジの顔に触れた。
「いひゃいいひゃい…いひゃいれす!」
「フン」
正確には、頬を摘ままれたという感じだ。本当に血の通っていないかもしれない、冷たい手は痛みを倍増させた。まるで氷のようだ。
「ニコラウス、やめろ。お前は昼寝の用意とレンツォの部屋の清掃、アルフォンス様の御帰宅の用意だ。ジジ…と言ったな、君も手伝ってくれ。…なに?不満か?安心しろ、仕事に応じては夜食を豪華にしてやろう、行け」
勝手に話が進められて、何がなにかさっぱり分からなかった。とりあえず、頬から手を放したニコラウスの後ろについていくことにしておこう。
長い白髪が埃とともに汚い部屋で舞い上がり、ジジの鼻を爆発させた。自分は俗に言うアレルギーというやつを持っているのだろうと思った。
ここが『アルフォンス様』の部屋らしい。なにかと、らしいを乱用しているが、これは知らないことばかりだからだ。紹介をされてもいないことを、ペラペラと捏造して話すのもなんだし、これでいいのだろう。
見るからに年季のはいった、コイルの飛び出たソファには土埃が積もり、その横には小さな子供用のブーツが並んでいた。左に並ぶトルソーには子供用のコート。誰が着るのだろう…疑問だ。
「…もう五年は顔を見ていない」急に悲しそうな声を出したニコラウスに、正直いってドキッと心が鳴った。
雪の女王というアンデルセンのお話を知っているだろうか。まさにその女王の如く、物語のなかに生きる者そのもの。思わず息を呑む。
光に透かされ、白く輝いた睫毛を見つめ、「そ、そうなんですか」と戸惑ったような返事を返す。女ならばいいのにと、淡い幻想が脳内を駆け巡り、目の前で扉に痰を吐いた事実のおかげで消え去った。
「これからは、ここに落ち着くらしい。ナディアや…ええと、お前はまだ知らんだろうが……まあ、皆が喜んでな」
「はい」
「……ああ。長くなったな…、お前はそこの部屋の掃除をしていろ。俺はレンツォの部屋を掃除してくる」
「はーい、承知しました…」
ガツガツと白いブーツのピンヒールで木の床を刺し、隣の部屋へと消えていった。
しかし、名前からして男だろう…様付けとなればなにかしらの長となる者だ。子供用のブーツとコートとなれば、男色家なのか、家庭持ちなのか。
「おい」後ろを振り向くと、ニコラウスが物凄い形相で睨み付けていた。
「モタモタするな」
ある意味氷の女王だ。背筋が凍る声にビビりつつも箒を手にとる。
- Re: ムニキス【リメイク】 ( No.7 )
- 日時: 2015/09/24 20:10
- 名前: はるたろう (ID: .rBrFMf.)
目の下に大きな手形をつけたレンツォをかつぎ、アクセルはある市場へと向かっていた。
あると言っても職業柄、娼婦や奴隷の並ぶ昔の法では裁かれていた市場へだ。レンツォもそこの出身。奴隷兵として支配国の戦争に出ていた時代、金がつきたために売られ、そこから男娼の道を歩んでいくことに。
ちょっと言えないルートで、ちょっと言えないお仕事をした…と、この前語っていた。まあ、少年愛も珍しくない文化だ。中身はあれだが、外見だけが売りのレンツォにもってこいの仕事だったという。
目の覚めたレンツォは、まず地面の遠さに驚いた。黙って少し泣いたがアクセルの肩の上だと分かると、急にバタバタと動き始め、胎児の如く、外側からだがアクセルの腹を蹴り続ける。
「かってえ…もう治ったのかよ。ってことは、俺、一時間も寝てたの?!」
「……薬使いやがって…苦労したぜ。俺の仕事、手伝ってもらうぞ」
「えーやだやだー、帰りたあーい…あ、ここ柔け」
「尻を揉むんじゃねえ!!」
流石に怒ったアクセルは、コンクリートの床へとレンツォを投げた。短い悲鳴をあげてその場に倒れる姿を見下ろすと、鼻を鳴らして市場へと入る。
兵士の士気をあげるために娼婦を雇う軍は多くないときく。そのような仕事に関わる人物がいるのは入り口の辺り。アクセルの知り合いは少ないが、レンツォは出入りをしているので家族同然の人々が並んでいた。
声をかけてくる女、ひとりひとりにレンツォは博愛に満ちた愛想を振り撒き、横で歩く巨漢の事を小突いてみたりもしてみせる。即座に成敗されてしまったが。
少々正常さに欠けた通りだが、この空気を好む者も多い。BGMは女の猫なで声だが、談笑する者達が好んで飲む、インスタントコーヒーとコーラを割った飲み物。その臭いを近くで嗅ぐことが好きだった。珈琲の深みとコーラの甘い臭い。飲んだことは無いが、一度は口にしてみたいものだ。
奥に進むと、ここから先はアクセルの知り合いの方が多くなっていく。歳のいった、自分の縄張りを持つ男達の中でやっていく自信のあるアクセルだ。そこらへんは見習わなくてはならない。
「……おお、アクセル」
「すまんな急に呼び出して…」話し込んでいた初老の男、二人が飛び出した。レンツォの顔を怪訝な面持ちで睨み付けていたが、すぐに話に戻っていく。
「エドさんの頼みだ。して、俺に任せたいことって?」
「…まあ見てくれば分かるよ。俺たちも、新しいガキを引き取るのは少々ねえ……」横目で顔を見合わせる二人の後ろで、大きな物音が聞こえた。
何事か、二人は建物の奥へと走って消えていく。そのあとへレンツォ達も続いた。
- Re: ムニキス【リメイク】 ( No.8 )
- 日時: 2015/09/24 20:14
- 名前: はるたろう (ID: 0nxNeEFs)
自分をいじめていたとは言えど、町の皆はどこに消えたのだろう。あの少女は今頃、何をしているのだろうか。曇った窓から見える美しい月に問いかけようが、答えはなしだった。
レンツォの部屋は埃ひとつと無くなっている。アルフォンス様とやらの部屋は…どうだ。まるで時間が進まないような部屋だ。掃いても掃いてもきりがない。埃が元にあった場所に、掃いた事実があっても、また元に戻っているのであるかのようだが、それだけ汚れているだけであるが。
「…これからどうなるのだろうか……おお?なにこれ、こんなものあったかなあ……不思議じゃないよね。この部屋なら…」
写真がいつの間にか、ブーツの中に入っていた。手に取ってみると、親子三人が笑って座る、色あせた写真ということが分かる。所々が赤く錆び、かどが丸くなっているが、保存状態が良かったのだろう。撮影日はおそらく西暦二千……あとは分かっていない。
子供を抱き、微笑む母親と父親は幸せに満ちて溢れた顔だ。パン生地のようなふわふわの子供に与える愛は、それよりも柔らかいものなのだろう。
「……母さん……父さん…」
思い出せば、自分の父と母はどうなってしまったのか。
「センチメンタルな気分に浸っているのに、すまないね。ちょっとどいてくれないかな…」
「はっ!?センチメンタ…何を言うんですか!?」
「いや、センチメンタルじゃん。てか知ってるゥ?センチメンタルジャーニーって。伊代ちゃん可愛かったなあ…」
いきなり何を言い出すか。暗くて見えにくいが、声からしてまだ子供のようだ。
「知らないよねえ…なんせ六千年も前の話だからなあ……あ、どきたまへどきたまへぇ〜」首をひねらせる言葉を呟いた。
やっと月明かりで分かった子供の正体に、ジジは目を大きく開いた。
写真に映るあの子供。西暦二千年の時代ともなれば、いまから約五千年前かそれ以上か。
生きている筈がない。五千年前もの人間が、もしかしたら彼の子孫なのだろう。そうとしか信じられなかった。
気味の悪い脂汗をかいた。ジジが震えた手で写真を自分のズボンにしまう。少年は悠々とした態度で、ジジの前に手をさしのべた。一体何が始まるのだろうか。センチメンタルな気分はもう無い。
「僕はアルフォンス。アルフォンス・グッドマンだ。極東の方で流行ったアニメーションにそんな姓の子がいたねえ…ううむ、懐かしい」
思出話を語る老人のように遠い目をしている。握手と言う意味か、この手は。
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