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- 吸血鬼。【更新中】
- 日時: 2015/10/12 21:55
- 名前: Cosmos. ◆YBWquB21YQ (ID: SHYi7mZj)
吸血鬼に、恋、したの。
× × ×
*小説開始日
2015.10.10 Saturday
*小説終了日
/Cosmos.
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- Re: 吸血鬼。【更新中】 ( No.6 )
- 日時: 2015/10/12 16:37
- 名前: Cosmos. ◆YBWquB21YQ (ID: SHYi7mZj)
【第1章 入学式と吸血鬼。】
時折自身の頬を擽る風が、気持ち良い。
公園の前を通りかかれば、春風と共に満開に咲いた桜の木が、香りを運んでくる。
今日という日が素晴らしい日になりそうで、私の胸は更に高鳴った。
鳴彩高校までは、徒歩で2、30分。
そこまで近い訳ではないが、この綺麗な景色を見ながら登校出来るため、苦ではない。
新しい気持ちで、新しい道を歩むのは、なんだか不思議な感じである。
と、呑気に歩いていた、そのとき。
「ぅわっ」
「……ってぇ、」
曲がり角を曲がろうとした直後、大きな身体にぶつかった。
私は変な声を出してしまい、更には後ろに倒れてしまう。なんという不運。
一方相手の人は……声からして、男の人。
「いっつ……」と呟きながら腰を擦り、彼の顔を見るため見上げる。
生憎顔はよく見えなかったが、貧血のときのように顔が青白いのは分かった。
「あの……大丈夫ですか?」
「え? ああ、だいじょー……」
「わ、うわっ! え!?」
彼の言葉が途切れたかと思うと、私の方に倒れ込んでくる。
下敷きになることは間違いないのだからと、私はその場で彼を抱き止める。
……が、案の定、私まで地面へと仰向けに倒れてしまった。
身体に、ずっしりと重みを感じる。
朝方の為なのか、道を通りかかる人がひとりもいない。
このままでは不味いと、私は懸命に上半身を起こし、彼とくっついたまま塀に上半身を預けた。
「……綺麗な顔」
私の肩に頭を起き目を閉じる彼の顔は、整いすぎている。
睫毛は影を落とすくらい長いし、鼻筋は高い。それに、身体付きはスマートだ。完璧と言っても過言ではない。
暫く見つめていたが、はっとする。
このままでは遅刻決定だと気付き、彼の耳元で話しかけた。
きっと意識はまだあるだろうし、言葉くらいは聞き取れる筈。
「起き上がれますか? あ、水要ります?」
「ん……水は要らない、から」
「じゃあ、他に何か……って、は?」
水を要らないと言った彼は、驚きの行動に出た。
私の制服のリボンを勝手に緩め、シャツのボタンを2個ほど外す。
混乱のあまり呆然としていると、彼が私に申し訳なさそうな顔をして。
「ごめん、痛いけど我慢して」
そう言うと、首筋に噛み付いた。
- Re: 吸血鬼。【更新中】 ( No.7 )
- 日時: 2015/10/12 21:48
- 名前: Cosmos. ◆YBWquB21YQ (ID: SHYi7mZj)
【第1章 入学式と吸血鬼。】
突然の出来事に、思考回路が追い付かない。
ぢくっ、とした今まで感じたことのない痛みが、首筋から全身を伝う。
思わずぎゅっと目を瞑り、彼の胸板を拳で叩いた。
「ちょ、痛……っ」
「まあ、そりゃ痛いだろうね?」
漸く私の首筋から口元を離すと、勝手に立ち上がる。
それから口の端に少し付いた血を親指で拭い、ぺろりと舐めた。
そのときの彼の瞳の色はなんだか紅く染まっていて、恐怖を覚える。
私がその場から動かずにいると、彼が首筋の噛み付いた部分を指でなぞる。
びくっと身体を強ばらせると、彼は小馬鹿にしたように、ふっと淡く笑って見せた。
「あーあ、強く噛みすぎちゃった」
「……は? あ、貴方何言って……」
「俺の血が足りてなかったから、君のを貰ったんだよ?」
まだ紅く光る目で、見つめてくる。
可笑しく恐ろしいことを言われているにも関わらず、私の胸はどきりと鳴る。
彼はそんな私なんかお構い無しに、道路に落ちたスクールバッグを掴んだ。
「強く噛みすぎちゃったからさ、首筋んとこ“痕”出来たから」
私の首筋に視線を落とすと、彼はその場を去った。
私は震える手で、スクールバッグからミラーを取り出す。
そして、恐る恐る噛み付かれた首筋を、鏡に映して見れば。
「何、これ……」
赤い赤い、痕が出来ていた。
しっかり、牙の痕まで付いて。
- Re: 吸血鬼。【更新中】 ( No.8 )
- 日時: 2015/10/14 22:15
- 名前: Cosmos. ◆YBWquB21YQ (ID: SHYi7mZj)
【第1章 入学式と吸血鬼。】
混乱したまま、私はのろのろと立ち上がる。
小刻みに手が震えるせいで、噛まれた痕を指でなぞれない。
膝が笑って、一歩一歩と踏み出そうとしても、足が動かない。
そんな状態のなか唯一私に出来たのは、地面に落ちた鞄を拾うこと。ただそれだけだった。
初対面の誰か分からない人に、いきなり噛み付かれて。
噛み付いたのは何故なのだろうと思えば、私の“血”を貰っただとか。
「何なの、あの人っ……」
込み上げてくるのは、悲しいって気持ちより。
意味が分からなくて、分からなさすぎて、そこから生まれる怒りだけである。
これ以上無い程の、深い深い溜め息をつく。
昨日から……いや、一週間も前から入学式を楽しみに待っていたのに。
まだスタートもしていない高校生活が、もう既に最悪な雰囲気となっている。
全て全て、あの馬鹿みたいな男の人のせい。そう思うと、怒り狂いそうになった。
(でも、ひとつだけ分かったのは……)
怒りのなかでも、彼のことを真剣に考える。
青白い顔をしていたのは、血が足りなかった。所謂貧血みたいなものだろう。
……で、偶然にも曲がり角でぶつかった私の血を、彼は“貰った”と。
こういう流れになったということは。
「あの人、もしかして吸血鬼……?」
- Re: 吸血鬼。【更新中】 ( No.9 )
- 日時: 2015/10/15 22:25
- 名前: Cosmos. ◆YBWquB21YQ (ID: SHYi7mZj)
【第1章 入学式と吸血鬼。】玲Side
自分でも、これはやり過ぎだと思う。
いくら血が足りてなかったからと言って、初対面……しかも、曲がり角でぶつかっただけの子に、噛み付くなんて。
……そう、俺は吸血鬼なんだ。
でも人間の血を吸ったのは、彼女が初めて。
生まれつき吸血鬼で、噛み付くときには目が紅く染まる。
彼女もその俺の瞳を見て、随分と怖がっていた模様。まあ、それもそうだ。
悪いこととは分かっていても、止められないというのが吸血鬼の本能なのである。
彼女と別れた後も、ずっと彼女を考えていた。
あの制服は、俺と同じ鳴彩高校のものである。同じ学校だなんて、なんたる奇跡。
もうひとつ思ったのは、傷痕のこと。
彼女は女だ。あんな目立つところに紅く傷を付けてしまった。
でも、これは仕方がない。
吸血鬼は初めて血を吸う場合、これから先もその人の血だけを吸うことになる。
だからきつく噛み付いてわざと痕を残し、他の吸血鬼に“この子はもう他の吸血鬼の子”と分からせるのだ。
「俺は一生、あの子の血を貰うのか」
良かったのか悪かったのか。
思ったことが、口からぽろりと零れた。
- Re: 吸血鬼。【更新中】 ( No.10 )
- 日時: 2015/10/16 20:32
- 名前: Cosmos. ◆YBWquB21YQ (ID: SHYi7mZj)
【突破記念】
皆様のお陰で、参照100突破致しました!
本当に嬉しい限りです、有難うございます。
まだまだ更新は進んでおらず、ストーリーは第1章ですが、ゆっくり頑張って行きます。
応援やコメント、頂けたら嬉しいです。
これからも宜しくお願い致します。*
*参照100突破
2015.10.16 Friday
/Cosmos.
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