コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- ぶりっこ男子
- 日時: 2015/10/29 14:36
- 名前: あんずa-me (ID: 0K0i.3Zc)
アタシ、ほのか! 可愛い女の子
..ってわけじゃないけど、一応女子..
そんな私が、アイツと出会ったのは、
私がある高校に転校した日からだった。
上目遣い に 甘え上手
顔だけはクールなのに〜〜
そんな男子ってありなの!?
「ぶりっこ男子 」
宜しくお願いします♪
初めての投稿です。
作者 あんずa-me
アレンジ 村島モモ
- かなちゃん&I ( No.9 )
- 日時: 2015/10/29 14:52
- 名前: あんずa-me (ID: 0K0i.3Zc)
翌日。
「おはよう! 昨日はありがとうね」
滝下くんがそう声をかけてきてくれた。
転校した次の日、私は滝下くんから話しかけられて、
今にも飛び上がりそうなほど喜んでいた。
けど、それは、彼が外見も性格もいわゆる
“イケメン”だと思っていたからだ。
私は微笑みながら話しかけてくれる彼に対し、
あいまいな笑みしか返せずにいた。
放課後。
「宮下—、ちょっといいか?」先生から名前を呼ばれた。
「お前、まだこの学校に慣れてないだろう。
だからな、学校案内をしようと思ってな。
滝下に声をかけておいた。滝下、知ってるよな?」
正直、2人きりになったら、何を話せばいいのかわからない。
滝下くんに対して接すればいいのか、
かなちゃんとして接すればいいのか、
まだつかみかねている私は、この提案をありがたいと思いながらも、
断ろうとしていた。
「おー。滝下、ちょうどいいところに来た。じゃあ、頼んだぞ」
滝下くんの肩をポンポンと叩いて先生は去って行った。
残されたのは、私と滝下くん。
(き、気まずい……。どうしよ……)
「ほのかちゃん、時間、大丈夫? 今日、部活は? 塾とかないの?」
どうやら気まずいと思っていたのは私だけのようで、
滝下くんは、昨日までと同じように接してくれていた。
「……大丈夫です」
私もいつもどおりに、と思うけれど、
落ち込んでしまっている気持ちは簡単には復活してくれなくて、
私は、ぼそぼそと小声で返した。
「あ、じゃあ全体まわれるかな、行こうか?」
それから私は、滝下くんから学校案内をしてもらうことになった。
この特別教室はいつ使うとか、
学食まで最短で行くにはどうすればいいのか、とか、
滝下くんは、私を気遣いながら丁寧に教えてくれた。
そんな彼の態度に、私は自分の行為を反省する。
「さっきはごめんね。滝下くん」
「だから、僕の名前はかなちゃんだって」
「あっ、そっか、かなちゃん」
彼をそう呼ぶことに、もう何の躊躇いもなかった——。
そして、私と滝下くん、いや、かなちゃんは、
初めて一緒帰ることになった。
- かなちゃん&I ( No.10 )
- 日時: 2015/10/29 14:56
- 名前: あんずa-me (ID: 0K0i.3Zc)
その帰り道でも、
そのクールな外見とは対照的な、可愛らしい口調を続ける彼。
「それでね、それでね、
そこのお店のクレープがとってもおいしくて、
3つも食べちゃったの」 こんな感じ。
戸惑いがすべて消えたわけじゃない。
でも、こんな男子も意外に面白いと思った。
「ねーねー、プリクラ撮らない?」
「え、うん、いいよ。撮ろう」
「僕、撮りたい台があったんだよね、あっちあっち!」
私の手を引っ張っていく彼。
ふつう、逆じゃないかなと思いつつ、私は彼に合わせて走って行った。
目当ての台を見つけたのか、彼が足を止め、私の顔を覗き見る。
私の答えを待っているんだろう、と思った私は、笑顔で微笑みかけた。
中に入ると、再びかなちゃんが私の顔をのぞき見た。
「えっとぉー、どうする?」
「私、こういうの詳しくないから、よければかなちゃんが決めて」
「うん!」
慣れたように、フレームや明るさを選んでいく彼。
私は待っているだけでよかった。
「まずは、ふつうにね、ピース」
「次は、全身、背中合わせ!」
「最後に、嫌じゃなければ、両手を合わせてハートとか作ってみる?」
彼に合わせてポーズを撮っていく。
イヤではなかったけれど、最後のポーズは、
きっと私たちのことを男女の関係と思っていないんだろうなと
痛感させられて、ちょっぴりだけ寂しくはあった。
女友達、きっとそれがかなちゃんの中での私の位置づけだっただろう。
「あとは、ラクガキだね!」「うん……」
実を言うと、私は前の学校でも数える程度しか
プリクラを撮ったことがない
(というか、プリクラに限らず、女の子らしいことって
ほとんどしたことがない)。
だから、私はラクガキと言われても、
既にあるスタンプを押すくらいしかできなかった。
かなちゃんは……、と隣の画面を覗き見る。
私はその画面を見て、思わず吹き出してしまった。
「あはははは」「え? どうしたの?」
「あははは。かなちゃん、すごすぎっ!!」
女の子のようなまるい文字で、
今日の日付や、コメントを加えていたかなちゃん。
私の顔にさりげなくメイクまでしてくれている。
「お、おかしいかな?」
「ううん、ぜんぜん! こういうの好きなの?」
「うん、好き!」 迷うことなく、即答する。
これが彼の素の姿なのだと、私は理解した。
それなら、女友達として、彼が過ごしやすいように付き合おう、っと。
彼が求めているなら、そのように振る舞おう、
それが私にできる彼への優しさだと思った。
- かなちゃん&I ( No.11 )
- 日時: 2015/10/29 15:00
- 名前: あんずa-me (ID: 0K0i.3Zc)
その日から私たちは、2人で過ごすことが多くなった。
「じゃぁ〜ん。みてみてー!
今日は、かなちゃん特製たこさんウィンナー☆」
屋上で、手作りお弁当箱を嬉しそうに広げて見せる彼。
「ほんとだ、かわいい、かわいい」適当に相槌を打ちつつ、
彼の弁当箱に箸をのばし、卵焼きをひょいっとつかむ。
「んー、うまい!」
「あ」
「ウィンナーもいただきっ!」
「あ」
かなちゃんが「むぅ……」とすねるものだから、
私はなんだか居心地が悪くなって、フォローを入れることにする。
「朝からよくやるよね〜、
おかげで美味しいお弁当が食べられて助かってるわけだけどさ」
「うん。こういうお弁当をつくるのが夢だったんだ」
「あら、可愛らしい夢だことで」
(このベーコン巻き美味しい。
チーズ巻くだけで簡単だし、今度やってみようかな)
「もぉ〜〜。僕の話より、食べるのに夢中じゃんか!」
「あはは、ごめんごめん。あまりに美味しいものだからさ!」
それはお世辞でも何でもない、本心だ。
本当にかなちゃんの料理は美味しい。私よりも断然、
ひょっとしたらお母さんよりもうまいかもしれない。
次の休み時間。
先生に頼まれた私は、大量のプリントを一人、運んでいた。
(結構、重いんだよね……、これ。
先生、私が女ってこと忘れてないかなぁ?)
その時、向こうから歩いてくるかなちゃんを見つけ、
手伝ってもらおうと声を掛けた。
「いーやーだー」
「お願い」
「いーや」
今、私は、彼のもう一つの顔を発見した。
彼は、優しくて丁寧…なんじゃない、ただのわがままなんだ。
「お願い! ね、もう、腕がちぎれちゃいそうなの〜」
「大丈夫だよ。ほのかちゃん、
かなちゃんと違って男の子みたいだから、持てるよ」
カッチーン。 男はあんただろぉーがーーー!
「持て、奏多」
「だから僕の名前はかなちゃんなんだって。いい加減覚えてよ」
ブツブツ言いながらかなちゃんは持ってくれた。
—— やっぱり優しい奴なのかもしれない。
そんな——かなちゃんに振り回される——日々を送っていた。
- かなちゃん&I ( No.12 )
- 日時: 2015/10/29 15:03
- 名前: あんずa-me (ID: 0K0i.3Zc)
彼は、きっと私にお願いごとを叶えさせる方法を知っている。
それは、別の日の放課後。
今度はかなちゃんが先生から用事を頼まれたときのことだった。
「ねーー、ねーーー、ほのかちゃーーん」
あの時のかなちゃんと同じように、
部活へ行く途中に呼び止められた私。
「これ、持って?」
事情を説明するでもなく、彼が私に伝えたのは、それだけ。
肩を落としている彼は私を下から見上げ——そう、
上目遣いをしてみせた。
前回の借りがある私は、そんな彼を無下にすることもできず、
「いいよ」と頷く。
そうして、半分を私に渡した彼は、満足そうに笑うのだった——。
そんな彼の“得意技”がよく披露されるのは——、
私たちが2人で寄り道をして帰るときだ。
いろいろな種類を食べたいという彼は、
私の選んだのも一口欲しいとねだってみせた。
「お願い、ほのかちゃぁーん。あ〜ん」
と口を開けられると、なんだか断ることもできず、
私はいつもかなちゃんのお願いを叶えていた。
そんな日々は、私にとって、決していやなものじゃなかった——。
手のかかる弟ができたみたい、というのが素直な心境だったと思う。
- 転校生 真田春樹 ( No.13 )
- 日時: 2015/10/29 15:06
- 名前: あんずa-me (ID: 0K0i.3Zc)
夏休みもまもなく始まるという頃、1人の男子生徒が転校してきた。
「彼は転校生の、真田春樹だ。みんな、仲よくしてやってくれよな」
東京から引っ越してきたという彼は、
肩まで伸びた髪をさっと掻き上げてみせる。 ナルシストな人、
私はどちらかというと嫌悪感に近い感情を抱いたんだけど、
クラス中の女子の反応は私とは真逆だった。
今にも黄色い悲鳴をあげそうな、そんな感じ。
「よろしく」笑うと同時に、白い歯がみえる。
(あんたは、芸能人かっ!)
“爽やか”
そんな形容詞がとてもよく似合いそうだったけれど、
私の好みではない。
だから、次の休み時間に多くの女子生徒が彼の周りに集まっても、
私はいつもどおり、かなちゃんと一緒に過ごしていた。
(ほんとキザな人だなぁー……)
その行動を観察すればするほど、
これまで周囲にいなかったタイプだと驚かされる。
それが物珍しくて、私は自分でも気づかないうちに、
彼ばかり目で追っていたのかもしれない。
「ほのか……ちゃん?」
その声にハッとしてかなちゃんを見るとかなちゃんは、
黙って教室から出て行った。
(どうしたんだろう……?)
かなちゃんの出て行ったドアから視線を戻すと、
真田くんたちは学校で行われる肝試しの話で
盛り上がっている様子だった。
「俺、ペアになりたい子がいるんだよねぇ」
もったいぶったその発言で女の子たちのテンションはMAX。
それから、真田くんのいない場所でもクラスの女の子たちはみんな
「真田くんが誰とペアになりたいのか?」と持ちきりだった。