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無気力高校生の超自由な毎日
日時: 2015/12/03 20:52
名前: Lost (ID: i1HkXTv3)

おはようございます、こんにちは、こんばんは
初めましての人は初めまして
Lostです
機種変して前の小説は引き上げられなくなったので、新しく書き始めようと思いまして…
あ、これ完結とかありません
作者の気分で書いたり終わったりします
それをご了承のうえでご覧下さいね



キャラクター紹介

皐 神無
今作の主人公。
無気力でめんどくさがり。何かにつけて学校をサボろうと画策している。
ゲームが大好きである故か、かなりのゲーム脳である。
中性的な外見で、服装によってはナンパされたことがあるとか。(本人談)
趣味はネットで女子のふりをして、いわゆる釣りをすることと、コンビニのスイーツの新商品の評論。
そんな彼だが、体育以外の成績はオール5である。

睦月 弥生
神無の親友で、サボろうとする神無を学校に連れていくのも弥生の役目である。
典型的なスポーツ男子である。
成績は神無と真逆で、体育だけは5である。
よく神無にコンビニスイーツを買わされているが、その代わりに勉強を教えてもらっている。

如月 葉月
神無と同じクラスの女子。
神無と弥生のストッパー的役割だが、ミスは多い。
成績は良い方。
ぬいぐるみが大好き。
成績はオール4辺り。



この作品は日常系です。ゲームで言えばどうぶつの森です。
グダグダになること間違いなしです。

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無気力高校生の超自由な毎日 第3月 ( No.3 )
日時: 2015/12/07 23:53
名前: Lost (ID: dKMug2Mp)

─土曜日 デパート─

今日はケーキバイキングの約束。
会場のデパートに待ち合わせしたから、早めに来た神無だったが。
「…意外と早く着いちゃったなあ」
時計を見ると時間の30分前。
「たまには服でも見てみよっかな…そろそろこのジーパン新しいの欲しいし値段だけでも…」
そう思ってデパートの中にある洋服店に入った。

─洋服店─

「えーっと…メンズのジーパンは…あ、あった」
すぐに目当てのものを見つけた。
と、そこに。
「あれ?皐くん」
その声に振り返ると、如月さんが居た。
「ああ、如月さん。君も早く来ちゃったの?」
そう返すと如月さんは首を横に振りながら
「ううん、私は元々ここにも来たかったからね。皐くんは早く来ちゃったの?」
さすがは女子。
「うんまあ…それで暇潰しに来てみただけ。てか、洋服店なら他にもいいとこあるんじゃないの?」
ジーパンを腰にあててサイズを見ながら答える。
「まあ皐くんそういうことに疎そうだもんね。ここ、可愛い服が沢山あるって人気なんだよ」
近くの棚の商品を物色しているらしい。
そんな場所だったとは。しかし僕には関係ないな。
とか思ってるうちに。
「ところで皐くんって、顔立ちが女の子っぽいよね…」
嫌な予感がした。
「そ、そう?」
そう答える顔はひきつっていた。
そう言われるからジーパンにパーカーっていう無難そうな格好にしてるのに。
「あ、ちょっと待ってて!」
そう言って向かっていった先は明らかにレディースのコーナー。
どうしよう、今のうちに逃げた方がいいのかな。ジーパン高いし。
そんなことを悶々と考えてるうちに如月さんが戻ってきた。
「これ、どうかな!?」
目を爛々と輝かせて如月さんが突きつけてきたのはピンクのパーカー。
「嫌だよ…そういう趣味ないし」
冷たく言ったつもりだったが、何を勘違いしたのか
「大丈夫だよ!絶対似合うから!」
と言ってきた。
違うんだ、そうじゃない。
「そういうことじゃないんだって…」
まあネットではやってるけど。
引っ掛かりようが面白いんだよね。
「うーん…じゃあせめてこっち!」
と言って今度は水色のTシャツと黒のパーカーのセットを突きつけてきた。
「んーこれならまあ…」
と受け取ろうとする直前、袖に何かが付いてるのに気付いた。
「…ん?」
よく見てみると、小さいフリルが付いているらしい。
僕はすぐさま押し返した。
「何気にこれもレディースじゃん…」
少し睨むように如月さんを見つつ言う。
「うんまあ…駄目?やっぱり」
苦笑いで答える。やっぱりと思ったなら何故言ったのか。
「当たり前だよ…」
呆れながら答える。が、そこに
「これ着てくれたら、そのジーパンも買ってあげてもいいんだけどなー」
と、僕が手に持っていたジーパンを指差してニヤリと笑う。
「…んー」
これは悪い条件ではないんだけど…。
「ここ、メンズのものが高いって聞くしさ」
なんで知ってるんだろうか。
女子って凄いな。
「まーいいけどさ…それなら…」
なんかもうめんどくさいし、着ないと終われない雰囲気だったから、渋々承諾した。
「やった!じゃあ会計済ませてくるね!」
そう言って急いでレジまで向かっていった。
別にレジは逃げないよ。僕は逃げるかもしれないけど。
と、そこに
「試着室で着替えてっていいって」
と如月さんに促されて試着室に向かった。もうどうにでもなれ。

─デパート 待ち合わせ場所─

「…やっぱり似合ってるね」
僕を指差して如月さんが笑う。
「当人はそれどころじゃないんだけど…」
下がジーパンだからまだよかったけど。
ジーパンがただで手に入ったのはラッキーだったけどねえ…
買ってもらったジーパンが入った袋を抱えて考えていると、もう時間らしく他の女子が次々入ってきた。
「あ、この子が皐くん?」
と、女子の一人が僕を指差して如月さんに聞く。
「うん、そうだよー可愛い子でしょ?」
どんな紹介をしたんだ。
「ほんと女の子みたいだねー」
普通に紹介して欲しかったな。とは思ったが
「はあ…どうも」
とだけ返しておいた。
めんどくさいことになったなあ…


第4月に続く

無気力高校生の超自由な毎日 第4月 ( No.4 )
日時: 2015/12/09 00:28
名前: Lost (ID: T6UyDZ1y)

─デパート ケーキバイキング会場─

「おおおおお…!」
思わず声が出てしまった。
流石は大手デパートの主催するケーキバイキング、規模が大きい!
「女子達より反応いいね、皐くん」
如月さんにくすくす笑われてハッと我に帰る。
「ま、まあそれはいいでしょ…それより早く食べようよ」
そう言って先に入っていく。
ざっと見ただけでもなかなかの数だった。
「そうだね、行こ」
他の女子達と如月さんが続いて入ってくる。
一足先に席を確保しておいた。
「お、気が利くねえ皐くん」
女子達の一人がフフっと笑って席に座る。
「いやいや、偶然席が空いてただけだよ」
謙遜気味に返すと、いやいやと言うように
「それでもちゃんと人数分の席を確保してくれてるじゃん、やっぱり気が利くよ」
そう言って、女子達は先にケーキを取りに行った。
僕も早く行かないと。

数分後。
全員がケーキを取って席に戻ってきた。
「一度でいいからこんな沢山食べてみたかったんだよねー!」
そんなことを言いながら女子達が食べ始めた。
僕も食べよう…
「はむ…ん!」
クリームが甘すぎなくていい。
スポンジにも何かしらの工夫がしてあるみたいだ。
そんなレビューをしながら食べていると、やがて視線が集まっているのに気付いた。
「な、何?」
一瞬パーカーの事がバレたのかと思ったけど、それは違ったらしくて。
「皐くんって凄く美味しそうに食べるよねーって。それに綺麗に食べるし…」
如月さんが他の人を代弁して言う。
そんなに表情に出てたのか、僕。
「まあおいしいものはおいしいからねー」
それだけ返してまた食べ始める。
あっという間に食べ終わって、皆次のを取りに行く。
なかには「全種類食べるまで帰らない」と言う人も居たけど。
皆平気で五皿とか食べてるし。甘いものは別腹とか聞くけどあれはどうやら本当らしい。
僕が三皿程で食べ終わると、それを見た如月さんが
「あれ、皐くん意外と早いね」
自分のケーキを口に運びながら言ってきた。
どうやら他の人はまたケーキを取りに行ったらしい。
いや、君達が異常だと思うんだけど…。
「まあ、もう一皿までは食べられないというか…」
僕が本当のことをそのまま話すと、如月さんはクスッと笑って
「じゃあ、これ食べる?これは食べてなかったでしょ」
と言って、食べていたチーズケーキを少しフォークに刺して差し出してきた。
えっと、これは…。
「はい、あーん」
ですよねー。
特に拒む理由もないし、素直に貰った。
「んー…あ、これも美味しいなあ…食べとけばよかった」
僕がそう言うと、如月さんはしめしめというような表情で
「はい、あーん」
ともう一口差し出してきた。
貰えるのはいいんだけど…
「流石にちょっと恥ずかしいんだけど…」
そう言うと如月さんがクスクスと笑い始めた。
「皐くんってなんかこう…子供みたいな可愛らしさがあってさ」
いや、それは褒めてるのか…
「それはどーも…」
顔を背けてそう答えると、他の人達が戻ってきた。
「お二人さん、いちゃいちゃするならお家でな」
「いいなー、私も皐くんにあーんしたーい」
なんでそうなる。しかも見てたのか…
如月さんはにやけ顔で
「あはは、ごめんごめん」
と答えていた。
そして僕は女子達の『あーんをしたい』って要望でずっとあーんされてた。
普通、男性の方からするもんじゃないの?
そんなこんなしてるうちに。
「あっ、もう時間だね」
女子の一人が気付く。
「いやー食べたねー」
如月さんが笑いながら言ってたから、仕返しと言わんばかりに
「でも太るよ」
と言い放った。
途端に女子達から呻き声が聞こえた。そんなにか…
ひとまず一人がチケットを渡すだけの会計を行っていた。
「今日はありがとう」
レジを待っている如月さんの横に立つ。
「いやーむしろ来てくれてありがとねー」
如月さんがニコッと笑ってこちらを向く。
それで済めばよかったんだけど。
「それにその服まで来てもらっちゃってー」
その言葉に他の女子達の視線が僕の服に向く。
逃げたいけどここで逃げた方が不自然だよね…
ひとまず冷静を装って
「なんのこと?」
と言った。
にも関わらず、女子達の視線はそれてくれない。
そして一人が。
「ねえ皐くん、そのパーカーの中に着てるTシャツ見せてみて?」
と言ってきた。
そして僕の返事を待たずにパーカーを脱がしてきた。
元々パーカーは袖を通してただけだから、すぐに脱げる。
「ちょっ…やめてよ…!」
慌てて袖を戻そうとしたけど、抵抗虚しく
「あっ!このTシャツ…袖にフリル付いてる!」
どうやら気付かれたらしい。
女子の間での噂の広がる早さってすごいらしいし、終わった…とか思ってたところにかかった言葉は予想外のものだった。
「可愛い!」
は?という顔を向ける。
そして周りの女子達からも歓声があがりはじめた。
「き、如月さん…どうにかして…君が元凶でしょ…?」
最早涙目で如月さんの方を振り返った。
と、その瞬間。
パシャッ。
「え…?」
僕が一瞬フラッシュの眩しさから目を背けると、如月さんは
「あ、ごめんねつい」
と舌を出して形だけ謝ってた。
「う、ううう…」
頭のなかが真っ白になる気分でその場に崩れ落ちた。
「ああ、大丈夫だよ皐くん…広めたりしないから」
如月さんが僕の頭を撫でながら慰めてきた。
誰のせいだと思ってるんだ。
「…本当だろうね」
顔だけ上げて聞くと、如月さんは
「うん、だから今度一緒にどこか行くことがあったらまた…ね♪」
と、とどめをさしてきた。
「も、もう帰る…」
パーカーを羽織直して、今度はちゃんとチャックをしめる。
家に帰ってから即着替えたのは言うまでもない。

無気力高校生の超自由な毎日 第5月 ( No.5 )
日時: 2015/12/10 00:14
名前: Lost (ID: fB0eWe15)

─月曜日 神無の家─

「ん…もう朝…」
瞼をこすりながらベッドから起きる。
いつも寝不足気味なので大体毎朝こうである。
「今日は…如月さんが早く来てって言ってたなあ…」
土曜日の帰りにアドレスを聞かれてて、昨日の夜に早めに来てほしいと言われた。
睡眠時間が…
「行ってきまーす…」
一人暮らしの部屋には誰も居ないが、習慣である。

─教室─

「あ、皐くんおはよ…って、かなり眠そうだね…」
教室に入ると、早速如月さんが声をかけてきた。
「おはよお如月さん…ふあ…」
おっとあくびが出ちゃった…
挨拶を返すと如月さんは僕の手を引っ張って
「ちょっと来て」
と僕を二つほど隣の使われていない教室に連れていった。
「…で、何の用事?」
僕は手頃な机の上に座る。
如月さんは立ったまま話し始めた。
「それがね、生徒会の一人がインフルエンザにかかってて、数日は学校にこれないの」
ああ、そういえば如月さんは生徒会の副会長だ。
「それは災難だね、文集作りとかもあるんでしょ」
この時期から学校の文集を作り始める。
クラスでも活動が始まる頃だ。
「そうなんだ…それでさ、皐くんって成績もいいし、役員の人が休んでる間の代理をやってくれないかな?」
めんどくさっ。
「僕なんかじゃろくに仕事しないよ」
事実を述べると、如月さんは違う違うと言わんばかりに
「いや、ほぼ居るだけだよ」
聞くところによると、役員がそろってないと教室が借りられないそうで。
「ふーん…それならまあいいけどさ…僕、タダじゃ引き受けないよ?」
利益にならないことはほとんどしない。
損得勘定でものを考える性格はどうも直らない。
「まあタダでとは言わないよ、私が何か買ったげる」
まあ、服じゃないだけいいか。
「じゃあ契約成立だねー」
引き受けることにした。
ある程度スイーツ奢ってもらおう。

無気力高校生の超自由な毎日 第5月 ( No.6 )
日時: 2015/12/14 01:06
名前: Lost (ID: QToqV7v1)

─放課後 生徒会室─

「こちらが代理を務めてくれる、皐 神無くんでーす」
ひとまず紹介するとのことで、メンバー全員の注目を集めた上で如月さんが紹介した。
「よろしく、神無くん」
そう言って握手を求めてきたのは会長さん。
「よろしくー…」
握手をやんわり返す。
と、途端に庶務らしき人が
「メンバーの代理がおるんやったら口実は出来るし、はよいこか」
なんで関西弁。
なんで今関西弁。
なんでこの人今関西弁使ったの?
大事なことなので三回言ったよ。
「そうだね、行こっか」
そう言って如月さん達が部屋を出ていく。
僕はのろのろとそれについていった。

─パソコン室─

職員室で先生達に鍵を借りて、ここに来たけど。
皆はひとまず集まった原稿とかの打ち込みらしい。
「皐くんは、プリントを渡しに来た人が居たら受け取ってあげてくれる?」
如月さんが声をかける。
まあ流石に一般生徒に文集の内容見せるのはね。
「はあい…」
あくびをしながら返すと、手元に紙袋が置かれた。
中には衣類。
「一応代理とはいえ生徒会として活動してるし、放課後の間だけはその制服着ておいて」
如月さんが置いたらしく、席に戻りながら言われた。
「着替えるんならそこの準備室使いなよ。」
と、会長さんが部屋の一角にあるドアを指差した。
「はーい、ありがとうございまーす…」
とりあえず言われた通り、準備室に入った。
少し埃っぽいなあ…
さっさと着替えを済まそっと。
そう思って制服を取り出したときだった。
Yシャツ、特別なブレザー、生徒会用のネクタイ…スカート?
どうやら女子制服らしい。
「如月さーん、これ間違って女子制服入ってるけど」
ドア越しに呼び掛けると、えっ?などと聞こえてきた後に
「うーん…でもスペアはそれしかないのよねー…しょうがないから、それ着ておいて」
ちょっと待て。
それなら普通のズボンでいいだろうに。
「いや、それならブレザーを替えるだけでいいでしょ」
ひとまず異議を申し立てる。
「ズボンは結構違うのよー、知らないの?」
駄目だ、論点が合ってない。
どうしようか。
確かにズボンは色からして違ったはずだから、見た生徒は困惑するだろう。
かと言ってスカートって。
ここは学校なんだけど。
早く着替えないと、この部屋も寒いし。
「会長さん、なんとか言ってあげてくれませんか?」
苦し紛れだが、会長さんに言ってみる。
「あはは、まあいいんじゃないか?」
他人事だと思って…こんな軽い会長でいいんだろうか。
この学校が心配になってきた。
「くしゅっ…会長さん、本気で言ってます?」
段々寒くなってきた。
そして会長さんも会長さんだ
「うんまあ、如月も可愛いってよく言ってたしそれなら似合うんじゃないかって思ってさ」
似合う似合わないの問題じゃないんだけど…
しょうがない、今日は下に短パンはいてきたし…短パンはいてればまあまだ…
こんな感じなんだろうな、先輩とかに進められてタバコ吸っちゃう人って。
そんなことをぼんやり考えながら着替える。
引き受けなきゃよかった…
まあ引き受けたものはしょうがない、お仕事お仕事。
着替えて準備室を出た。
と、その音に反応して皆がこちらに目をやる。
会長さんが驚いたような表情で立ち上がった。
『なん…だと…(ガタッ』みたいな。
「…えっと、皐くんって男子だったよな?」
「そろそろ殴りますよ?」
少し睨むように見つめる。
「あはは、ごめんごめん。普通に女子だったもんだからって痛っ!痛いよ皐くん!」
殴りはしないけど。
ひとまず耳たぶを引っ張ってやった。
「次言ったら助走つけて殴られるくらいに思っといてください」
とりあえず入り口近くの机に座る。
「その態度だと皐くんだってバレるんじゃない?」
思い付いたように如月さんが恐ろしい事を言う。
そうだ、ここは学校だ。
僕と面識のあるやつも来るわけだ。
「愛想振る舞った方がバレないよ、頑張って〜♪」
この人絶対僕で遊んでるな。
そんな話をしてる間に
「失礼しまーす、プリントの提出ってここですよね?」
どこかのクラスの生徒が入ってきた。
僕のクラスではないようだけど…
「そこの手が空いてる子に渡して」
と、会長さんが顔を上げずに言う。
仕事してるときとのギャップがあるなこの人。
「じゃあ、お、おねがいします」
なんで今僕を見てキョドったんだ。
バレたか。
「は、はい。お預かりしますね…」
恐る恐る受け取る。
「そ、それじゃあこれで。お疲れ様です」
足早に帰っていった。
と、これはどこに置けばいいのかな。
「皐くん、こっちこっち」
如月さんが手招きしていた。
「そのプリントは私の担当だからねー。ところでさっきの生徒、皐くん見てドキッとしてたねー」
「そろそろ僕はこの事態にいちゃもんをつけてもいい気がする」
無愛想にプリントを半ば投げるように渡した。
「あ、皐くんちょっと」
今度は会長さんだ。
「なんですか、会長さん」
会長さんが使っている机のそばまで来ると、いきなり会長さんが手を引っ張って僕を膝に座らせてきた。
「どうかな、文章に変なとこないかな」
それだけを聞くためにこんなことをしなくていいと思うんだけど。
「ちょっと待ってください。えーっと…」
ひとまず文章をチェックするのに、マウスを動かしてスクロールする。
しばらく見ていると、会長さんが退屈なのか脇腹をつついてきた。
「ちょっ…冗談はやめてくれませんか。明日から来ませんよ」
振り向かずに答える。
そして文章をチェックし終えて膝から降りる。
「ここと、ここ…それにここに脱字がありますし、ここは漢字が違います」
腰を折ってパソコン画面を指差す。
「おっけー、ありがとう」
指摘された箇所を確認しながら会長さんが頷く。
「なんか他に僕に言うことありません?」
背筋を伸ばして、片手を腰に当てる。
「そうだねー、まるで女子生徒が居るみたいで新鮮な感じが」
ゴンッ
「いい加減にしてください。それでよく会長が務まりますね」
それだけ吐き捨てるように言って、入り口近くの机に戻る。
と、そこに。
「すいませーん、プリント出しに来ました」
意外と頻繁に来るんだなあ、ここ。
「あ、はーい…」
そんな調子でしばらく作業のお手伝いをしていた。
「…疲れた」
帰り道で如月さんに話す。
「あはは、助かったよ」
ニコニコしながら答える。
「あの会長さんどうにかしてよ」
ため息をつきながら話すと、如月さんは
「気さくでいい人だよ?」
「やだよ、あんなセクハラ会長…」
脇腹に触ってきたりしたことを話すと、如月さんは
「へー…めずらしいね、あんまりそういうことしない人なのに。好きな人をからかうみたいな感じなんじゃない?」
笑いながらそんなことを言ってきた。
あくまで僕は男子だってのに。
でも、それなら僕からからかってみるのもありかもね。

無気力高校生の超自由な毎日 第6月 ( No.7 )
日時: 2015/12/14 01:39
名前: Lost (ID: QToqV7v1)

─火曜日 教室─

「ねえ、皐くん」
僕が机に上半身を預けていたところに如月さんが来た。
「あ、如月さん…おはよ…」
と、如月さんの方に顔だけ向ける。
「今日も大丈夫?」
念のため、ということだろう。
「大丈夫だよ。休んでる間ってことで話したでしょ」
それだけ言ってまた顔を伏せる。
完全に寝る体制。
「そ、良かった」
如月さんもそれだけだったらしく、自分の席に戻っていった。
と、そこに。
「おっはよー」
うるさいなあ。
「弥生…うるさい」
怪訝そうな、ってか怪訝な顔で弥生の方を見つめる。
「お前学校でも寝るのか…」
弥生が呆れ顔で僕の席まで歩いてきた。
「そんなの僕の勝手でしょ」
もちろん授業時間中は起きるけど。
それ以外の時間は基本寝る。
「まったく…ほんと寝るのが好きだなお前は」
と、そこに先生が入ってきた。
もうHRかあ…

─放課後 パソコン室─

「お疲れ様でーす」
一応、そう言って入った。
制服は先に空き教室で着替えてきた。
「あ、皐くん。準備いいね」
如月さんがこちらを見てそれだけ返した。
とりあえず。
「お疲れ様です会長さん。昨日から少しは反省しましたか?」
半ば睨むように見つめて言う。
「や、やあ皐くん…」
ちょっとひきつった顔でこちらを向いた。
まあそれなりに面白かったのでよしとする。
「んじゃ、今日もプリント受け取ってればいいの?」
入り口近くに戻って、如月さんに聞く。
「うーん、プリントの締め切り昨日までなんだよね…今日は本格的にすることないし、適当に時間つぶしててくれるかな…」
片手を立てて『ごめん』ってポーズをして、またパソコンに向き直った。
暇になるなあ…
とりあえず、会長さんの隣に座ってみた。
「隣、失礼しますよ」
返事を待たずに座り、画面を覗きこむ。
「あ、まだ駄目だよ」
慌てて画面を隠してきた。
「ちぇ…だって暇じゃないですか」
キャスター椅子でくるくる回りながら話を続ける。
「悪いね、人数合わせに付き合わせて」
この人、仕事してる姿は普通にかっこいいんだけどなあ…
「まあ家でも暇してるんでいいですけど。ていうかこの前誤字のチェックさせたじゃないですか。あれで少し見られるとは考えなかったんですか?」
会長さんは少し考えるような素振りをして、そういえばって感じの表情をした。
この人馬鹿だな。
「そういえばそうだ…」
そこまで落ち込まなくても。
「なんだったらまたやりますよ?」
ニヤリと笑って冗談っぽく言う。
「ん、頼もっかな?」
会長さんも本気ではないって感じ。
「どうせ暇だし、よければここで見てますよ」
会長さんの椅子に自分の椅子がくっつくくらいに近寄ってみた。
「…皐くんってさ」
「はい?」
「いい匂いするね」
ゴンッ。
「そんなこと言ってる暇あったらお仕事ですよ」
まったく。反省はしてないな。
でもその後はたまに僕が誤字を指摘するくらいで、何も起こらなかった。
ちょっとつまんなかったなあ。


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