コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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マーメイド、あなたに恋します。
日時: 2016/01/07 15:02
名前: はずみ (ID: /x8osLDz)

高さ30メートル、億万長者もくやしがるほど、広く美しいビル。

その、3分の2は海水。しかも、東京のど真ん中。

なんのためにあるのか。なぜ、そんな気の狂ったビルを造ったのか。

これを読めばわかる。


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Re: マーメイド、あなたに恋します。 ( No.2 )
日時: 2016/01/07 14:59
名前: はずみ (ID: /x8osLDz)

バイオリンの音が消えた。

朝を告げる歌は、これでおしまい。さっきよりも、窓を開けて欠伸をする人が増えた気がする。

歌で目が覚めたのかな。 そう思うと、うれしくなってくる。こんな、私の声でも、役に立つのかもしれない。太陽が笑いかけてくるみたいだ。下に降りたら、日記に書こう。太陽がまぶしい。こんなに素敵な空は初めてだ。って。

(あの海の空とは違って。でしょ?)

心の中の何かが、意地悪く私に囁く。今日見た夢の中で、しゃべってた人。ちがうな、大きな魚のようなもの。あれとおなじこえ。急に背筋が寒くなる。めまいがして、たおれそうになった。気分が悪い。やめた。日記には何も書かないことにしよう。もう一度、寝ようかな。かぜかもしれない。


そっと、呟いてみた。できるだけ、明るい声。深刻にならないように。

「こんなとき、抱きしめてくれる人がいたら、ど〜んなにいいか。」

「体感してみる?」

           いた。抱きしめてくれる人。後ろを振り返る。自然に顔がにやけちゃう。やだ。とめらんない。


     「     博士!    」


「今日は君の、誕生日だからね。ハッピーバースデイって、言おうと思ったんだけど。それから、プレゼントは何がいいかい?ともね。」


「スマホがいいなって、言おうと思ってたけど。まだ、水の中には持ってこられないかもね。」


ちょっと唇を尖らせて言う。博士は不思議な奴だ。小さいころから見ていたけれど。日記、食べ物、洋服、タンス、ベット...。水につかったら使えなくなるんじゃないの、私は陸で生活していないから、分かんないけど。なん度そう言いたくなったことか。なんでも、水の中に持ってくる。機械以外は。 機械は、改造するのが難しいんだよ。 博士はそういうけど、本当かどうか。 天才だから、何でもできるんじゃないの。  そういったことが、昔あるけれど、「僕は天才じゃ、ないよ。」って、目を伏せて、小さな声で言い返された。言われたくないんだな。って思って、言わないようにしてるけど、心の中では、博士がやろうと思えば、機械を水に持ってくるなんて、楽勝でできると思ってる。

「プレゼントは、ハグがいいかもね。さっき、呟いてたでしょ?」

あ。

そう思ったのは、少し遅かった。さっきのことが、頭を駆け巡る。気持ち悪くなる。そして、めまいがする。体が傾いたけど、そのままにした。だって、さっきとは違う。受け止めてくれる人がいるもん。

目の前が真っ暗になって、気を失う前に、体があたたかい腕に包まれた。

Re: マーメイド、あなたに恋します。 ( No.3 )
日時: 2016/01/25 14:23
名前: はずみ (ID: /x8osLDz)

ひすいのベッドの横で、ぼくは、初めてのことに驚いていた。

一つは、ひすいの寝顔を見たこと。最初は青ざめてうなっていたけれど、今は、とてもいい顔色をしている。大人になったなって、思った。もともとはっきりした顔立ちだったけれど、いまは成長してもっとかわいく、いや、美しくなっている。


もう一つは、昔のことを思い出したこと。ひすいと出会った時、、僕は13歳だった。なぜだろう、こんなこと思うだなんて。





これは、13歳の夏。誕生日祝いの南の島旅行。
「どう、南の島は。」

「うん、かあさんありがとう。さいこうだよ。」

やや棒読みで、そう言う。ばれないかな。だってさ、言えないよ。 友達も一緒がよかった、なんてさ。いちおう、友達より勉強の秀才キャラで過ごしてるし。でも、母さんには見透かされてる気がする。たまに、あんたがキャラ作ってるのなんか知ってるわよ、みたいなことを言うから、そのたびにヒヤッとするんだよな。

「やっぱり、友達も一緒がよかったかしら?」

「いや、いいさ。うるさいだけだから。」

「そう。」

ああ、やっぱり、母さんは全部おみとおしなんだ。

俺がまだ母さんのおなかにいた時、父さんの浮気を見破り離婚し、株で儲けてまだ34のくせに世界富豪ランキング10位に入っている母さん。もしかして、浮気も、そのあとどうすれば金に困らず生きていけるのかも、全部お見通しだったのかもしれない。

「じゃあ、楽しんでね、バァイ。」

母さんは、かってに電話をきった。まあ、長々と話されるより、いいけど。

「じゃあ、海でも行きますか。」

ひとりごとに、「おう、いこうぜ。」なんて答えてくれる奴はいない。あたりまえだ、ひとりなんだから。

まぁ、いっか。

ドアを開けて、色がおそろいの海と空が見えても、人はだれ一人いない。それは、海が近付いてきて、白い砂浜に座っても、同じ。無人島に、一人で来ているのだから、しかたない。

すくっと立って、海に飛び込んでみる。できるだけ、明るい声もつけて。

「ひゃっほう!」

バシャッ。ズテッ。シーン。完全に失敗した。ださい。......空しい。

やっぱり友達も呼ぶべきだったかな、今からでも間に合うかもしれない。迎えの飛行機が来るのは3日後。

砂浜に寝っ転がったら、高い青い壁が前にあった。津波か?とおもったたとき、どどどど!っと、何かが崩れる音がした。やばい!、逃げなきゃ、と思ったけど、あしは少しも動かない。役立たずいの足があろうことかふるえている。

怖いんだったら逃げろよ、そうお思いでしょうがみなさん、ただいまこのわたくしと水の距離30センチ、逃げても無駄であります。


俺はここで死ぬのかな。

母さん、そしてみんな、ありがとう。

死を目の前にして、なんだか落ち着いてしまった。

結構クールな死にかたじゃないか、これ。

そして目の前は青でうめつくされた。

Re: マーメイド、あなたに恋します。 ( No.4 )
日時: 2016/01/25 14:25
名前: はずみ (ID: /x8osLDz)




なにかが、頬に触れた気がして目が開いた。


「うぎゃっ」

「うわぁっ」

俺、生きてる。ただ、今のびっくりで寿命が10年は短くなったかな。

目の前に、知らない女の子がいる。いや、普通の女の子ならいいんだよ。俺は、母さんに言わせると、女慣れしているそうで。

自慢じゃないよ、でも、俺は結構モテる。たぶん、学年で1番。だから、いつも近くには女の子がいる。目の前に女の子がいた、なんてこと、日常茶飯事だ。だから普通の子なら驚かない。この子は、足がない。魚みたいなひれがついてて、なんていうか、

「半魚人、ですか?」

なぜか敬語。こっちのほうが立場は上なのに。この島は、母さんが買った別荘みたいなもの。そこに入ってきたら、住居侵入罪で逮捕だ。別に俺が捕まえるわけじゃないけどな。

「は?」

あ、女の子がいかってる。やばい、やっぱ逮捕はまずいかな。どう見ても俺と同年代の未成年だし、座っているとはいえ地面に着くほど長い髪はガラの悪そうなエメラルドグリーンだし、学年で一番かわいい女の子よりも可愛い顔のくせに真っ赤な唇とか、長いまつげとか、化粧してるっぽいし。

「半魚人とか、だっさ!」

うわ、へこむ。初対面でダサいっていわれる俺、どんだけださいんだよ。ってか、怒るのそっち?

「半魚人なんてださい。マーメイドって言って!」

あぁ、マーメイド。おとぎ話にそんなのがあったよね。

「失礼過ぎるだろ。初対面で半魚人呼ばわりとか、まじで、

バタっと音がして、マーメイド(?)が倒れた。え、え、どうしよ。

ほっとく、、、なんてできないです。

まず携帯か?誰かに連絡。

遠くにそれらしきものがある。取りに行こうと足を上げた。

Re: マーメイド、あなたに恋します。 ( No.5 )
日時: 2016/01/21 16:54
名前: はずみ (ID: /x8osLDz)

くっそ、携帯が壊れてる。

そこで俺はぱっときづいた。

こいつ、河童と同じじゃねーか?


足をひねったみたいで、ズキズキとする。それでも海に向かう。

河童、水ないと死んじゃうもんな。あれ、妖怪だからもう一回死んでるんだっけ。

はしっていくと、なんと!マーメイドが仁王立ちしてた。なんでやねん。ひれのくせにしかっりと立っている。サーカス団か、お前は。

「合格!」

マーメイドの声が海じゅうに広がる。結構いい声してる。人間ならオペラ歌手だったかもしれない。

Re: マーメイド、あなたに恋します。 ( No.6 )
日時: 2016/01/25 14:22
名前: はずみ (ID: /x8osLDz)

ってか、なんなんだよ。
合格?はっ?

「だから、合格なの。私を拾って!」

うわ、いきなり意味分かんない。

「絶対拾いたくねぇよ」

何だか、腹が立つ。痛い足を引きずってきたら倒れてるふりで、いきなり上から発言。変な奴からさっさと離れたくて、一回コテージに戻ろうと思った。たぶん、これは夢だ。幻だ。水を飲んで、寝てもう一回海に来たら、こんなやついなくなってるはず。

「まって。お願い私を拾って」

ふりかえったら、なぜか立ち止まってしまった。うるさいとかなんとかっていって、さっさと歩こうと思ってたのに。つくづく役に立たない足はあいつのほうへ向かってしまう。

「名前は」

や、ちょっとまておい。30秒前は俺の気持に賛成してくれていた足が、膝と口と同盟を結んで、座りこむあいつの前で座り込む。そして名前を問う。やばい。なんなんだよ。なんか、あいつがかわいそうだとか思ってきた。捨て猫感、っていうの?があいつからただよってくる。

「ひすい」

「拾ってやる」

なんでやねん。なんでやねんなんでやねんなんでやねん!
東京生まれ東京育ち東京在住の俺の頭に鳴り響く関西風つっこみコール。




ってか、こいつ歩けんのかな。


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