コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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君の行方
日時: 2016/01/07 20:39
名前: 湯桁のろま (ID: Cyd1DlTj)  

ぴゅーん!
湯桁のろまと申しますです!(謎のテンション)

今回から新しい小説を書いていこうかなと思います!
勿論、今書いている「いつか、きっと。」の方も引き続き更新していきますので、そちらの方にも目を通していただけましたら嬉しいです!
さて、実は今回書くお話は、正直あまり明るいお話ではありません。
というのも、私は元々どっちかというとシリアスだったり暗いお話をよく書く人間なので、寧ろこっちの方が書きやすいっていうのが正直な話ですw
でも、安心して下さい!そこまで暗いお話じゃないです!←
著者は、読者が最後に何か心に残るような作品にしたいと考えています(^-^)
世界の底辺で未熟者な私ですが、どうか最後まで温かく見守っていただけましたら幸いです。(土下座)

* 尚、著者はコメントや感想を見付けると大いに喜びます← *

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Re: 君の行方 ( No.1 )
日時: 2016/01/07 22:16
名前: 湯桁のろま (ID: Cyd1DlTj)  


 雪が、降っていた。
 しんしんと音も無く降り続く雪が、僕の乾ききった心とは裏腹に髪を湿らせる。
 静寂に包まれた街の中心で、僕はただ孤独だけを感じていた。
 帰る場所もない。
 心許せる友人もいない。
 温かい家族もいない。
 だから自分の居場所さえも分からない。
 僕がこの世界に存在する意味が、全く見いだせなかった。
 ただ僕の目の前に広がるのは、目を背けたくなるような紛れもない現実とこの冷めきった街の風景、そして今目の前に鏡を用意すれば間違いなく映るであろう醜い僕の姿。
 しかし、そんな僕にもたった一つだけ残された唯一無二の存在があった。

 「美海・・・」

 星空美海。
 彼女の存在だけが、僕の命綱を繋いでくれていたのかも知れない。
 僕は、首に巻いたマフラーに顔をうずめ、瞼を瞑る。

 そして、僕は今日もこう思う。
 ーー君に、会いたい。







Re: 君の行方 ( No.2 )
日時: 2016/01/08 21:25
名前: 湯桁のろま (ID: Cyd1DlTj)  

 01. その出会いは、突然に

 僕と彼女が出会ったのは、今から約一年程前の、クリスマスイブの日だった。
 午後6時を過ぎた頃、何の前触れも無しに彼女は僕の目の前に現れた。
 僕は、その時駅前の大型ショッピングセンターにある書店で、小説の新刊を買いに出かけた帰りだった。
 視界の隅で誰かが通行人とぶつかった。続いてバサバサッと派手に何かが落ちる様な物音と、女性の小さな悲鳴が微かに聞こえてきたので、僕は何事かとそちらを見る。そこには、恐らく先ほどまで彼女が手に持っていたのであろう、幾つもの書類が辺りに散乱しそれを拾っている真っ最中の彼女を、たまたま目撃し、たまたま僕は駆け寄った。
 無言で全ての書類あを拾い終えた僕に、彼女は律儀に頭を下げた。

 「あ、ありがとうございます」

 僕は拾い集めた書類を彼女に渡してやると、軽く会釈をしてからその場を立ち去った。
 すると、彼女に呼び止められ立ち止まる。
 振り返ると、彼女は遠慮がちにこう言った。

 「お礼、させて下さい」



 僕たちが入った店は、そこから5分かからない程度の場所にある、少しお洒落で落ち着いた雰囲気の喫茶店だった。

Re: 君の行方 ( No.3 )
日時: 2016/01/09 20:48
名前: 湯桁のろま (ID: Cyd1DlTj)  

 彼女が先頭に立ち、店の扉を開ける。カランコロン、という小さな鐘の音と共に、カウンターから「いらっしゃいませ」と声が聞こえた。そして、恐らく女子大生くらいだろうか、アルバイトらしき店員が現れた。声の主だろう。にっこりと若々しい笑顔で「ごゆっくり」とだけ言った。
 一方先頭に立って歩く彼女はというと、黙々と足を進め目的の席に辿り着いたらしい。店内の一番隅のテーブルだ。彼女が腰を下ろす。続いて僕も同様、彼女の向かいに腰を下ろした。
 店内には、ピアノが主役のゆったりとした曲が流れている。少しの間、僕も彼女も口を開かなかった。
 しかしその間も当然長くは続くはずもなく、ようやく謎の沈黙が破られた。先に口を開いたのは彼女だった。

 「ここのパンケーキ、とっても美味しいんです」

 そう言ってはにかんだ。

 「甘いものは、お好きですか?」

 そう言って僕に確認をとる。
 僕は、こくんと頷いた。
 それを彼女は確認すると、卓上にちょこんと置いてある小柄な銀色のベルを鳴らした。

 「ちなみにパンケーキとカフェオレって、とても良く合うんです」

 そう僕に言ったところで、先ほどのアルバイト店員がこちらにやって来る。


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