コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- Hello,world!
- 日時: 2016/03/13 18:03
- 名前: 海の幸 (ID: EwVeSaUz)
こんにちは、海の幸です。
よろしくお願いします。
基本、休日更新です。
◆目次
#1 始まり>>1
#2 よくわかんない話>>4
#3 教科書買いに行く>>5
#4 頭痛い>>6
#5 お見合い当日>>7
#6 脱走>>8
#7 朝届いた手紙>>9
#8 食べ物につられて>>10
#9 徒然なるままに>>11
#10 主人公放棄>>12
#11 命日の当日>>14
#12 イケメン危機一髪>>15
#13
◇主要人物
夜明/ヨアケ 女/18
主人公。ワッツの用心棒兼学生。
正義感が強くて自由人。
武器は銃刀法違反を避けるためバット(思い切り振るうことで刀になる)。
ワッツ=ジークリンデ 男/26
ジークリンデ財閥の御曹司。
冷静沈着な皮肉屋。
キース 23/男
ジークリンデ家の執事長兼夜明の教育係。
イケメンクールで観察眼が鋭い。ハーバード大学卒のエリート。
- Re: Hello,world! ( No.8 )
- 日時: 2016/01/18 21:03
- 名前: 海の幸 (ID: n2LUyceb)
・あらすじ
キースのイケメンが仇となる。
「じゃああんたの目的はワッツをダシにしてキースを掻っ攫いたい……。そういうわけだな」
「『わけだな』じゃない!口を挟むなお前は」
「あべしっ」
とうとう我慢できなくなった夜明は、思ったことを口に出してしまう。
だが、その目の前の椅子に座っているワッツにチョップを食らってしまった。夜明の隣でキースは呆れたようにため息をつく。
「……アイリス……」
「わかりました、お父様」
気まずそうにアイリスの父親は彼女にそっと耳打ちする。白状するようにアイリスは目を伏せ、静かに顔を上げる。
「実は……私、このお見合いが決まった時、ワッツ様の写真とともにちょうど写っていたキース様に一目ぼれしてしまいまして……。それで……」
「ワッツの何がいけないんだ!!お前んちより豪華で金いっぱいあって自由し放題なんだぞ!あとあとちょっとでアラサーだけどそこそこイケメンだ!キースには劣るけど!!お前……ワッツに失礼だぞ!!」
「お前が一番失礼だっつの!!!」
「下がれ」
ワッツとキースの拳骨が同時に夜明に襲い掛かる。
そして夜明は地(コンクリート)に埋まった。
お嬢様の機嫌を損ねていないかワッツとキースはひやひやしていた。
だが、以外にもアイリスはしょげたような表情を浮かべていた。
「……そう……ですよね。こんなワッツ様に失礼極まりないことを……その人の言う通りです」
「い、いや……。さっきの言葉は狂戦士(バーサーカ)の戯言だと思えば……」
「いいえ、私目が覚めました!!」
「え」
自問自答しながら呟くアイリス。そして何かを決意したのか、思い切り立ち上がった。
そんな彼女にワッツとキースは「嫌な予感」を覚えながらも彼女の次の行動を待った。
「そこに埋まっているあなた!気に入りました!私は会社のため、お父様のため、ワッツ様と結婚し、護衛としてあなたを置きます!!」
「おい、ふざけんなクソお嬢様。キースから私に標的入れ替わっただけじゃん」
「お給料は1か月100万でどうでしょう」
「ちょっとお待ちいただきたい。これはあくまであなた様とワッツ様のお見合いだったはず。私とここにいる夜明は一切関係ありませぬ」
慌ててキースはアイリスに呼びかける。
だがアイリスは踏ん反り返りながら言い放った。
「あら、いいじゃない。どうせ結婚するのですから。そうすればキース様も夜明も私のものよ!」
「……どうすんのワッツ。あの嬢様、結婚する気満々だけど」
「……もう嫌だ……」
「嫌だ、じゃなくて」
「……」
頭を抱え、塞ぎ込むワッツ。そのすぐ横で這い上がってきた夜明はワッツに問うが、彼は女の子に振られたハ○ルよろしく、何もしゃべらなくなってしまった。
夜明は意見を求め、キースに顔を向ける。
「……キース、どうする?」
「やむをえないな……。夜明……」
「あいよ」
——————ガシャァァァァァン!!!
「い、いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
派手に窓ガラスが割れる。
割ったのは、刀袋に入っていた金属バットを駆使した夜明だ。
無気力になったワッツを担ぎ、キースとともに窓から立ち去って行った。
「に、逃げたわね!?なんて卑怯なの」
3人を追おうと窓から飛び降りようとしたアイリスだったが、部下や父親によって止められてしまった。
- Re: Hello,world! ( No.9 )
- 日時: 2016/01/23 16:36
- 名前: 海の幸 (ID: baRxXO4H)
————……あれから、お見合いを放置して3日経つ。
相手からも、ワッツの父親からも特にお咎めの言葉は一言も出ず地味に不気味な日々を過ごしていた。特にキースは過度のストレスで胃を痛め、2日休んだ。
ワッツはとりあえず一安心したみたいだったが、私はなんだか嫌な予感しかしなかった。
長年の用心棒経験でなんとなくわかる。
これは、何かの前兆、嵐の前の前夜だと—————……。
***
「キース、もう動いて平気なの?」
「ああ、大分腹の穴もふさがった。これしきの事で長くベッドに寝れいられないからな」
(……ストレスには弱いのに回復力は早いんだよなぁ。でもそれがエンドレスだから悪循環なんだけど)
そう思ったが私は口をふさいでおく。
再生直後のキースは繊細なため取扱注意なのだ。
「……ベッドに伏せていながらも(あの事)について少し調べた」
「……ほぉ」
てっきり、お見合いのことはタブーかと思ったのだが。
逃げる指示を出した責任からくるものなのか、苦しい顔をしながらもキースとぼそりとつぶやいた。
「アイリス様は今日でイギリスにお帰りになる」
「へー。今までずっと御咎め無しだったのにプラス黙って帰るんだ。懐が深いというかなんというか」
「……そんなわけないだろう……っ」
(やべ、地雷踏んだ)
余計なことを言ってしまった。
そのせいで治りかけの腹から逆流した血液が口元から一筋の雫となって流れる。
また胃に穴をあけてしまったか。
「今朝、これが届いた」
「なにこれ」
私はキースから渡された手紙を破く。
その中身を何とか無事に取り出し、中身を読み上げる。
『ワッツ様へ
先日は逃げるほどの不快な感情を与えてしまい、誠に申し訳ありません。ですが、お見合いの話はまだあきらめていません。もし、よろしければお見合いをかけて決闘させて下さらないでしょうか。決闘方法は簡単です。ワッツ様の自慢の戦士と私の自慢の戦士を1対1で戦わせる方式です。相手が気絶する河口さんすればそこで決闘は終了のルールです。もし、これに承諾した場合は本日の午後1時に使いのものと戦士をそちらへ送ります。これに置かちいただいたら私は今後一切あなたたちにかかわりを持ちません。どうか、いいお返事を アイリス』
読み上げた。
あまり長い文章じゃなかったため、内容はおおよそ把握した。
だが……。
「ワッツ様はこれを承諾なされた」
「あ、あの野郎」
「そして選抜戦士はお前に、と」
「まじかよ」
そして夜明のデンジャラスなバトルはそろそろ幕を上げるころだった。
- Re: Hello,world! ( No.10 )
- 日時: 2016/01/24 20:55
- 名前: 海の幸 (ID: EChsNpC2)
「機嫌直せよ、夜明」
「信じられないんだけど。本人の承諾もなしに勝手に決めやがって」
「でもよ、前向きに考えればこれに勝てばもうあっちから関りを持つことはないんだぞ?いい条件だとは思わないか」
「それは貴様の都合だ」
ブッスーとしながら豪快に玄関の前にある階段に座る夜明。キースから大方の事情を聴いた夜明は不機嫌ルートまっしぐらだった。
そして、彼女をこんな不快にした犯人、ワッツは宥める様に猫撫で声で手を合わせる。そんな彼にますます夜明の頭は沸騰していく。
——こいつはいつもそうだ。強かで、皮肉屋で。
4年間の付き合いを思い出した夜明はケッと唾を吐き捨てる。
「学生は暇じゃないんだよ!」
「学生っていうほど勉強していないくせにか」
「おっと私の敵は目前にいるようだな」
「やめろ!!」
怒りに任せて夜明はバットでワッツの顔面めがけて振りかざそうとしたが、すかさずキースに止められる。
「止めるなキース!こいつにジークリンデ財閥を継がせたら衰退の一途を辿るだけだぞ」
「お前の気持ちは今回だけわかる!だが、これはお前個人の問題じゃないんだ」
「おっと、ジークリンデ財閥ってのはここかい?」
抵抗する夜明を仲裁するかのように低い男の声が聞こえた。
その声の方向に羽交い絞めした夜明ごと体を方向転換する。
ワッツは射貫くようなまなざしで長身で屈強な男を見る。
「……ああ。そうだが。まさか、お前アイリス様の言っていた戦士か?」
「いかにも。本日俺はアイリスお嬢様に雇われた傭兵のマクベス。ここには姿を現しちゃあいないが、お嬢様配下の僕たちも潜んでる」
「……そういや、もう1時だな」
ふと、思い出したかのようにワッツは腕時計を見る。時刻はちょうど午後1時だった。
マクベスをじっと見据えながら夜明は怒りを鎮めたのか猫のようにするりとキースの拘束を免れる。
「話は聞いてるぜお嬢ちゃん。お前が俺の対戦相手だって?そんなほそっこい体で戦うなんてやめとけやめとけ、けがしないうちに降参しな」
「めんどくさいからその所存」
「……ちなみに対戦相手、流血のマクベスという通り名がついてる」
そっとキースが夜明の耳元に話しかける。
マクベスは不敵な笑みを浮かべながらポキポキと腕を鳴らしている。
夜明はめんどくさそうに死んだような眼をしながらマクベスを見た。
「ねえ、私本当にあのク○ーズの首領みたいなやつと戦わないといけないの?じゃんけんでいいんじゃないの」
「夜明」
「なに」
今まで口を閉ざしていたワッツが夜明に話しかける。
ワッツの方向を振り返る夜明。
「此奴に勝ったらクレープ1ダースくれてやる」
「この夜明、ジークリンデ家用心棒にかけて必ずや勝利して見せます!!」
「粋がよくなったじゃねえかお嬢ちゃん!ケガしても知らねえぞ!!」
がっと、バットを構えながらいつものローテンションの夜明とは思えない大きな声を出しながらマクベスに向かう。
マクベスは少し驚いたように一歩下がったが、夜明に負けないぐらいの声で叫ぶ。
(さすがワッツ様、夜明の性格をよく理解しておられる)
キースは感心したように思わず頷いた。
- Re: Hello,world! ( No.11 )
- 日時: 2016/02/28 18:16
- 名前: 海の幸 (ID: EwVeSaUz)
「これが主人公というものじゃ……」
そうつぶやいた夜明。
マクベスと夜明の決闘は10秒で片付いた。なぜなら、一瞬でバットを抜き、目にも止まらぬスピードでマクベスに叩き込んだからだ。
勿論、マクベスはその一撃で地に伏した。
そしてそのまま動くことはなかった。
「主人公が……人を殺した」
「いえワッツ様、若干生きております」
顔を青くしながらワッツは少女が大柄なガチムチをぶっ潰すところを見てしまった。
そんな彼とは対照的にキースは冷静にマクベスの脈をとり、生存を確認する。
キースは片腕を上げると、医療隊を呼び出した。そのままマクベスは医療室へと運ばれていく。
「確かに倒してくれとは思ったが殺すとは思わなかったぞ」
「殺してないじゃん、(まあたまたま)生きてたじゃん」
「括弧の中の声聞こえてるぞ」
「迅速にクレープを食したかった」
「クレープのためにこんな瞬殺劇見せられた俺たちはどうすればいいんだ」
はあ、とワッツがため息を付く。それと同時にザワザワと周囲も騒がしくなっていた。
両者同意の上とはいえ、立派な暴行である。
そんな彼らなど知ったこっちゃないと言わんばかりに夜明は視線でクレープを所望していた。
「普通さ、こういうパターンだとバトル展開になって命かけて戦って、根性で勝利しての友情とかさ……生まれるパターンじゃないのか?」
「それをこの小説で求めるな。私の設定は笑わない・汗をかかない・努力しないの3つだぞ」
「もう主人公変えないか?俺王道パターンの主人公がいい。かわいくて胸大きい子。あと家庭的で超絶優しい女の子」
「そんな女はこの世にいると思うのか……」
若干ワッツの性癖が垣間見えた瞬間だった。
夜明は気持ち悪いという表現を包み隠さず顔で表している。キースは表情には出さないが、何も話すことはなかった。
「——さあ、これをアイリス様に勝敗の結果を伝えなければ」
「あ、その前にクレープおねしゃーす」
「……お前はまずマクベスに誤ってこい。あと一歩治療するのが遅かったら脳挫傷だったらしいぞ。あと、手加減しろ」
「手加減しない・容赦しない・妥協しない。それが私」
「クレープは無しだな」
無表情で横ピースを決めやがった夜明に思わずワッツは殴り飛ばしたくなったが、我慢した。
ワッツの冷静な言葉に夜明はゲッと息をこぼした。
「誤ってくる、マクベスさんに!」
「誠意を込めて謝ってこい」
「超反省してるって言ってくる」
いつもは走らない夜明がマクベスに誤るべく医療室へ走っていく。その後継を見て、ワッツはふと、呟いた。
「……アイツにとって命はどのくらいの価値なんだろうな」
「多分250円ぐらいですね」
250円。
それは、週刊少年○ャ○プが買える金額である。
- Re: Hello,world! ( No.12 )
- 日時: 2016/03/05 20:23
- 名前: 海の幸 (ID: EwVeSaUz)
「ごめん、マクベスさん。まさかあんなに弱いとは思ってもみなかったんだ。見た目すげーガチムチだから耐久力あるかと思ったらそうでもなくて心底驚いたっていうか……。まあ、結論的にいえばご……、あ、やばい。眠いから帰っていいですかあとでフルーツ盛り合わせセット持って行かせるんで。宅配で」
「お前謝る気ないだろ」
医務室にて。
夜明はコクリコクリと頭を上下させながらツラツラと長い言葉を発した。
「眠い」と。
そしてマクベス氏はそんな彼女に怒りを通り越して呆れるしかなかった。
そして彼の小説内における最後の言葉である。
※
「いやー、無事にアイリスお嬢様も帰ってもらってよかったよかった」
「もう来ないといいね」
ほっとしたようにワッツはテーブルに膝をつく。そして安心しきったのか、安どのため息を吐いていた。
夜明は大して興味なさそうに何かの書類を見ている。
妙に真剣に。
「……おい夜明。お前何見てるんだ?」
「護衛・用心棒希望者リスト」
「ほぉ〜……。確か4月に新入りが入るんだったな、それにしても珍しいな。お前、大して新入りとか興味なかったろ」
ワッツは夜明から用紙を受け取ると感心したように彼女を見る。
一瞬、夜明は渋柿のような何とも言えない表情になった。
……が、意を決したように決して大きくはない声で言う。
「……キースがさ。お前もそろそろジークリンデ家の古株用心棒になってきたんだから新入りの世話ぐらいしろって言いやがったんだよ」
「へぇ、それで?」
「一回面倒くさいって断った。けど、今年は業務が忙しくなるって聞いてそれに加えてちゃんとした新入りを入れないとお前に40倍ぐらいの負担が伴うって言われて……」
(……キースの奴、脅したな。学校も用心棒家業もそこそこしかやらないこの面倒くさがり屋を焚付ける為に)
すぐさまワッツはキースの思惑を理解したが、これを夜明に言ったら確実にこの仕事を放棄しかねないので黙っていた。
それも知らずに夜明は真剣に書類を何度も何度も捲っている。
見ていて何とも奇妙な光景だ。
あえてワッツは見守ることにした。
「で、何人決めたんだ?」
「……3人」
「どんな奴……っておいお前!」
キュッと夜明は赤ペンで人物の写真に丸を付ける。
それを見たワッツは思わず声を荒げた。
なぜなら……。
「東大合格で尚且つ、少林寺拳法の全国大会優勝者と傭兵歴20年の超ベテランと暗殺と諜報ならなんでもお任せのセクシー美女!? やめろ!俺たちのキャラが霞むぞ!? つーか、此奴らで物語作れるから此奴らだけはやめろよ」
「もう疲れたんだよ。疲れたんだよ、主人公兼ヒロインは。ていうか主人公ってガラでもないしもう終わらせようよこの話を。もうめんどくせーよ」
「つーかところどころ作者の本音は言ってるんだけどどこからお前の言葉なの」
夜明はこのキャラの濃すぎる3人を加入させてしまうのか!?
そして主人公交代になってしまうのか!?
……続く。
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