コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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Hello,world!
日時: 2016/03/13 18:03
名前: 海の幸 (ID: EwVeSaUz)

こんにちは、海の幸です。
よろしくお願いします。
基本、休日更新です。

◆目次
#1  始まり>>1
#2  よくわかんない話>>4
#3  教科書買いに行く>>5
#4  頭痛い>>6
#5  お見合い当日>>7
#6  脱走>>8
#7  朝届いた手紙>>9
#8  食べ物につられて>>10
#9  徒然なるままに>>11
#10 主人公放棄>>12
#11 命日の当日>>14
#12 イケメン危機一髪>>15
#13







◇主要人物

 夜明/ヨアケ 女/18
 主人公。ワッツの用心棒兼学生。
 正義感が強くて自由人。
 武器は銃刀法違反を避けるためバット(思い切り振るうことで刀になる)。

 ワッツ=ジークリンデ 男/26
 ジークリンデ財閥の御曹司。
 冷静沈着な皮肉屋。

 キース 23/男
 ジークリンデ家の執事長兼夜明の教育係。
 イケメンクールで観察眼が鋭い。ハーバード大学卒のエリート。

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Re: Hello,world! ( No.3 )
日時: 2016/01/09 20:44
名前: 海の幸 (ID: n2LUyceb)

>>白米

あんがとー!
頑張るわwww

Re: Hello,world! ( No.4 )
日時: 2016/01/09 21:12
名前: 海の幸 (ID: n2LUyceb)

「よっ、夜明……!お前また学習道具を持ってきていないのか!」
「はい」
「真っ先に立ち上がるだなんて流石俺たちの夜明だぜ……!」

 時刻は普通の学校でいうところの朝のHR。
 担任の先生は毎日のように学習道具を持ってきていない夜明を見て騒然としている。何事な内容に席から立ちあがる夜明を見て他のクラスメイト達は騒めく。
 その視線は、尊敬と似たようなものだ。
 そんなクラスメイトのことなど露知らず、先生は夜明に追求する。

「夜明……。お前のそのフリーダムさは世の中の人間には持ち合ない才能だ……それは素晴らしい。だが、ここは学校だ。学習道具がなくては何も始まらない。いくら遅刻がなくなったところで何も解決しないのだ」
「先生。私はそうは思いません。確かに、学校には学習道具が必要不可欠です。ですが、私は教科書通りに生きる必要はないと思います。もし、教科書通りに生きてしまったら人々の個性や価値を失う。そう思うからです。なので、あえて私は道具を持ちません。持つのは非常食だけです!」
「さすが夜明!俺たちのハートに響くぜ」

 クラスメイトがエキサイティングした瞬間だった。
 じっと真っすぐ、夜明は教師を見つめる。
 その視線に————教師は折れた。

「ブラボー———!!夜明、お前の回答は500点満点だ!!!!」

 勝負には勝った夜明だが、感激してキースに電話を掛けた教師の無邪気な計略によって彼女がお叱りを受けるのはまた別の話である。








***
「やれやれ、今日もやっと学校が終わった。帰ったらバターどら焼きでも食べるかな」

 放課後、学校が終わり、ジークリンデ財閥の屋敷へ直行する夜明。
 相変わらずでかい屋敷だ、ワッツにはもったいないと失礼なことを思いながらも足早に屋敷の裏口から入る。
 今日のおやつは滅多に変えない代物、高級バターどら焼きが食べられる。
 そう思うと足取りは自然と軽くなる———はずだった。

「待て夜明」
「?何、キース」
「そこに正座しろ」
「何で」
「今すぐにだ」
「御意」

 背後にて、禍々しいオーラを感じた。
 このオーラは嫌というほど知っている。低く唸るような声。
 そしてこのオーラ。紛れもなく執事長、キースのものだった。
 廊下のど真ん中というのに、彼は夜明を正座させた。
 正直、夜明にはこんなことをさせられる思い当たりのあることしか思い浮かばない。

「なんのことか——わかっているのか?」
「黙秘権を行使します」
「今日、担任から電話が来た。『教科書なんかなくてもいいという持論がこんなにも心に響くだなんて、流石ジークリンデ財閥の用心棒だ』という内容のな」
(……ちっ。ハゲ松め……)

 顔を背け、夜明は心の中で舌打ちをする。
 ちなみにハゲ松というのは、夜明の担任教師は50代後半の高齢教師で、頭部が剥げている。そして、松山という苗字なため、みんなからハゲ松と呼ばれていた。
 あくまでクールに、目の前にいるイケメンは懐から5万円ぐらい取り出すと、夜明の前に差し出した。

「……こんなことではジークリンデ家の名誉に傷がつく。いいか、明日筆記用具だけでも買って来い」
「御意」

 いつもは暴君、バーサーカー、暴れん坊将軍とあらゆるところで恐れられている夜明だが、唯一逆らえないものがある。
 それはこの目の前にいるキースである。
 この言葉の前では夜明は「御意」しか答えられない。
 ちなみにワッツは、

(うわ、奇妙な光景)

 こっそり壁に背中を預けながらリスティングしていた。

Re: Hello,world! ( No.5 )
日時: 2016/01/10 20:45
名前: 海の幸 (ID: n2LUyceb)

「せっかくの休日なのに教科書買いに行くとかツイてねーわ」
「今まで勉強道具なしで生きてきたお前にびっくりだ」

 土曜日の午後。
 夜明とワッツは教科書を買いに書店へ向かっていた。昼ご飯を食べ終わった後、本来ならば1人で夜明は書店へ向かうはずだったのだが——暇だといい始めたワッツは夜明の意見も聞かずに半ば強制的に着いてきた。
 送迎係の高齢の使いのものが送ろうかとワッツに提案したが彼はたまに歩くと言ったため、こうして夜明とロードウォークしている。

「帰りが怖いな……。荷物が嵩張る……。そうか、ワッツに持たせるか」
「おい、仮にも主人だぞ。主人に荷物持たせる用心棒とか聞いたことないわ」
「そろそろアラサーになるんだから運動しとけ」
「まだ俺は26だがな」

 そうこう話歩いていくうちに、小さな悲鳴が聞こえた。
 その悲鳴の声は高く女性のものだと一瞬で把握した。
 なんだ、と思いながら夜明とワッツはあたりを見渡す。すると、すぐ近く、少し歩いた先の道に男3人とその男3人によって壁に追い込まれている女性を発見した。
 そして、ナンパだと即座に理解した。

「こんな白昼堂々とナンパする奴ら初めて見たなー」
「おいおい大将、そんなこと言ってる場合じゃないみたいやで。あの人困ってるよ」

 正直、2人はテンプレートで典型的な男3人のナンパに若干引いていた。昭和じみている。そう思う他なかったのだ。
 だが、女性が困っているのは事実。
 通りすがりついでに助けることにした。

「行け夜明」
「おっすオラ夜明!よろしくねそこの昭和メンズども」
「ギャー—————!!」

 ワッツの言い放った瞬間に夜明は飛び出した。
 そして自己紹介すると同時に夜明は1人に膝蹴り、もう1人には頭部チョップ、そして最後の1人には頭突きを食らわせた。
 男3人は悲鳴を上げたと同時に気絶した。ついでに補足するならば男3人たちは泡を吹いていた。

「お嬢さん、あんた大丈夫か?」
「は、はい……ありがとうございます……」
「どうするワッツ此奴ら焼肉にするか?」
「お前はちょっと黙ってなさい」

 ワッツの言葉に安心したように女性は安堵のため息をついた。
 そんなことどうでもよさそうに夜明は気絶した男3人の胸ぐらをつかみあげる。

「ありがとうございました!私、アイリスといいます。今日イギリスから日本に来たばかりなんです。さっき、この人たちに急に呼び止められて……」
「ほお、イギリス人。英語のテストを代わってほしいですな」
「そうだったか……。目的地まで送ろうか?」
「いえ、1人で大丈夫です。せめて……場所を教えてくれないでしょうか?」
「場所?」
「まさかワッツ送り狼になる気じゃないだろうな」

 アイリスは少し息を吸い込むと、言いにくそうに口を開いた。

「はい!このあたりにジークリンデ財閥のお屋敷があると思うのですが……。私ちょうどそこに用があるんです。どの方角かわかりませんか?」
「あ、あっちだ」
「ありがとうございます!それではお礼ができないのは心苦しいですが、ここで失礼します」

 ワッツはジークリンデ家とは真逆の方向を指さした。純粋なアイリスはうれしそうに顔をほころばせると、華麗に一礼してその場を去っていった。
 しばらく黙っていた2人だったが夜明は不審げなまなざしでワッツを見る。

「……ねぇ、さっき指さしてた方角、あんたんちと真逆なんだけど」
「……今までジークリンデ家に用事あるって言ったやつらに碌なやつがいないってわかってるから……つい……」
「このアホサーが」

 ちなみにこの後困り果てたアイリスが交番のおまわりさんに連れていかれるまであと30分。

Re: Hello,world! ( No.6 )
日時: 2016/01/11 20:56
名前: 海の幸 (ID: n2LUyceb)

「数学・現代文・英語・科学・保健体育・地理・世界史・物理・日本史・地学基礎……。一通り買ってきたようだな」
「いやー、重かった重かった」
「教科書を破棄していなければこのようなことにならなかっただろう」

 教科書を一通り買い終えた夜明は、ちゃんと買ってきたかどうかキースに証明するため彼の自室へ直行した。
 調べるのに5分ぐらい目通しをしたキースは教科書を整えながら夜明に返す。
 夜明はいかに教科書が重かったかを表すために疲れたふりをするが、キースはそれを一蹴した。
 そして、ふと、思い出した夜明はキースに問う。

「……そういえばさ、私とワッツが帰る前にお客さん来なかった?」
「来たが。それがどうかしたのか?」
「その人の名前アイリスとか言ってなかった?パツキンのイギリス人」
「ああ。……どうしてお前が知っている」

 キースは警戒するように夜明を見る。
 なんか警戒されてんな、と思いつつ夜明は否定しながら手をぶんぶん振った。

「いやー、その人教科書買いに行く通りすがりに昭和的なナンパされてたんスよ。そんで助けたらこの屋敷どこだーって言ってたから」
「……お前にはあとで言おうと思っていたんだが……」

 はあ、とため息をつくキース。
 そして困ったようにこめかみに手を当てると唸るように話し出した。

「アイリス様……つまり、イギリスの会社のお嬢様なんだが———……。3日後にワッツ様とのお見合いのために来日なされたんだ」
「ほー。ついにワッツにはおっそすぎる春到来かー。いやー、アラサーになる前に結婚できるなんて用心棒冥利に尽きますなぁ」
「……他人事だな」
「ええ、結構どうでもいい話です。それで、ワッツはなんて?」
「……今は結婚する気はないと、仰られている」

 ぐぐぐ……。と強く頭を押さえながらキースは話す。余程頭の痛い話になっているのだろう。
 心なしか歯ぎしりもしている。
 夜明はキースの部屋にあるクッキーを勝手に拝借しながら部屋を見渡す。

「そりゃ頭の痛い話だぜ。つーか、何でこんな話になったん」
「アイリス様のお父上がワッツ様の写真を一目見て気に入ったそうだ。『うちの娘をぜひ貰ってくれ』と」
「HITOMEBOREですな」
「だがアイリス様はともかく、ワッツ様はお見合いを断固拒否なさってしまっている。困った話だ」
(……だからあの時屋敷とは違う方法指さしたのか)

 目の前にいるイケメンの顔色がだんだん悪くなっていくのは気のせいではないだろう。
 相当悩みこんでいる。下手したら胃に穴が開くレベルの。
 ベッドに座り込み、考える人のポーズを心なしか取っている。
 クッキーを全部イートした夜明はキースの隣に座る。

「……で、アイリスさんって幾つなの。見た感じ可愛い感じだったけど。まぁ、性格は典型的な猫かぶりお嬢様で結婚して本性出したら何でもかんでもブランドものばかり請求してくる我儘女に豹変しそうな予感」
「何で一目見ただけでそこまで詳しい判断ができる」
「見た目的には23ぐらい?」
「……いや、16歳だ」
「ワッツの経歴にロリコンという4文字が追加されるな」

 そして3日後がやってくる。

Re: Hello,world! ( No.7 )
日時: 2016/01/16 13:30
名前: 海の幸 (ID: n2LUyceb)

「夜明モン。このお見合いをなしにできる方法はないか?」
「残念ながら私はドラ○モンじゃないんで」

 ため息を付きながらワッツはスーツのネクタイを締める。
 そう。今日はイギリス会社社長のご令嬢・アイリスと世界が多分誇ると思われるジークリンデ財閥の長男にして御曹司・ワッツのお見合いなのである。
 落胆した声で刀袋の中にある金属バットを拭いている夜明にダメもとで言ってみたが、やはり一刀両断された。
 キュッキュと小気味よい音を立てながら夜明は金属バットを拭いていく。

「まあ案外お見合い結婚もいいもんかもしれないよ」
「お前はわかってないからそう言えるんだ。普通の一般人のお見合いとはわけが違うんだよ、なんていうか……堅苦しすぎるというか……」
「ハッハッハこのクソボンボン、一般人バカにしやがった」
「ワッツ様、車の準備が整いました」
「あ、キースだ」

 失礼します、という声とともにキースがワッツの部屋の扉を開ける。
 もともとの奴の顔がそうさせているのか、奇麗に調達された燕尾服がキースをますますイケメンにさせていた。
 キースは夜明を一瞥すると、小さな声で「粗相だけはするなよ」と耳打ちをした。

「お前は私を何だと思ってるんだ」

 怪訝な目でこちらを見つけるキースに夜明は死んだ目をした。
 まあ、大していつもと変わらないと感じた夜明は金属バットを刀袋にしまう。
 今日、キースだけではなく、夜明もワッツの護衛ということでこのお見合いに出席することになっている。つまり、メイド・執事・用心棒(護衛)を含めた5人がワッツに同伴するということだ。

「あー……。行きたくないな」
「腹括れ」

 そう言って夜明はワッツのスーツの裾を引っ張りながら無駄に派手な外に待ち構えているリムジンへと足を急がせた。

(……つーか、年齢的にアイリスお嬢様キースをお見合い相手だと勘違いしないといいけど)








***
「よくいらっしゃいました、ワッツ殿。ささ、席にお掛け下さい」
「ああ……はい」

 ニコニコと、アイリスの父の使いの老人が高級ホテルの一室に案内した。
 苦笑いを浮かべながらワッツは席に着く。縦に長いテーブルには豪華な料理が並んであり、それは夜明の食欲を掻き立てるには十分だった。

(めっちゃ食べたい)
「食べたら殺す」
「なぜ私の心がわかった」

 ワッツの背後に並ぶ夜明とワッツ。
 思わずそう思った夜明の心を感知したらしいワッツは本気の殺意を彼女につきたてながら横目でにらみつける。

「では、皆さんそろったのでお見合いを始めましょうか」

 可憐な少女、アイリスの隣に座る、いかにもイギリス紳士といえる風貌のアイリスの父親はニコニコとしながらそう言った。
 その瞬間、スッと笑顔のまま黙っていたアイリスが手を挙げた。

「あの……早速で申し訳ないのですが。私とワッツ様が結婚した暁には必ずその後ろにいる執事様をつけてほしいのです」
(((な、なんですと—————っ!!??)))

 お嬢様の爆弾発言に夜明とワッツ、そして指名されたキースは驚愕した。
 そして夜明は思った。
 この女、ワッツをダシにしてキースを奪取する気だな、と。


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