コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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俺と少女の1日ミッション  *完結しました*
日時: 2016/03/21 14:48
名前: ろろ (ID: HSAwT2Pg)

すぐ終わります。

3.21(月) 完結しました。

 無理難題なミッション >>1-3
 伝えなくては     >>4 
 諦めない       >>5-6
 脱線と後悔      >>8
 終わりと始まり    >>9-10

感想をくれた心お優しいお方

・湯桁のろま 様

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Re: 俺と少女の1日ミッション ( No.1 )
日時: 2016/03/31 13:26
名前: ろろ (ID: HSAwT2Pg)

「突然出すが、明日(あす)、あなたは死にます。これは紛れもない現実です。ですから、あなたの人生に後悔がないようこちらで用意したたったひとつのミッションを、あなた様にクリアしてもらいたいと思います。なに、簡単なものですから、それをクリアいたしましたら残り少ない寿命を楽しんでください」
 
 朝起きたら突然俺はなぜか、俺のベットの隣に座っていた名前も知らない少女にそう言われた。
「は?」
 よくわからない上に寝起きの俺は、とても間抜けな声を出してしまう。
「なんという間抜けな声を出しているのですか。あ、それとももう1回言いましょうか? 言えばいいのですね? 突然出すが、明日、あなたは死にます。これは紛れもない現実です。ですから、あなたの人生に後悔がないようこちらで用意したたったひとつのミッションをあなた様にクリアしてもらいたいと思います。なに、簡単なものですから、それをクリアいたしましたら残り少ない寿命を楽しんでください。はい、言いました。これで満足ですね? おkですね?」
「いや、満足じゃないし、おkでもないんだけど!!」
 少女のあまり抑揚のない言葉と訳のわからない宣言にたいして、俺は混乱と怒りを覚えながら、少女にツッコミをいれた。
「え? 説明が足りませんでした? ちっ・・・・・・物覚えの悪い小僧だな。ではもういっ」
「いや、そういうことじゃない!! そうじゃない!! あとなんか暴言みたいの聞こえた!!」
「え? 違うのですか? てっきり物覚えが悪くてなん10回も説明聞かないと物事が覚えられないクソ野郎だと思いましたよ」
「あ・・・・・・・さらに暴言に拍車がかかりやがった。そういうんじゃないんだよ。なんで俺が明日死ななくちゃいけないんだよ! そもそもお前はなんなんだ!? なんでお前なんかにミッションなんて課せられなくちゃいけない?それに」
「あーあーあー!!! もううるっさい! 黙れや!! そんなに質問攻めされても一気に全部は答えられないぞ!!?」
 俺が混乱して質問攻めしたら少女はそういって俺の言葉を遮った。しかも俺は胸ぐらを掴まれた。それに首筋に血管が浮かんでいる。
 どれだけ怒ってるんだ。この少女は結構な短気らしい。
「でも」
 その言葉と共に俺の胸ぐらを掴んだ手を離す。そして自分のみなりを整え(俺のことは見向きもしない)、よし、といってから少女は可愛らしい外見からは想像もつかない、大人っぽい声を出し始めた。
「確かに、名前を名乗らなかったのは悪かったな。私の名前は優月(ゆづき)優しい月と書いて優月。よろしく」
「え? 他に言うことは?」
「ない、以上だ」
 きっぱりと言われた。こんなにきっぱり言われるとむしろ清々しい。
「じゃあ、お前にこれから約24時間、だから1日ですね。その時間でクリアしてもらうミッションを出だします」
「唐突だな」
「だって早くしないとあなた死にますからね」
 少女、優月は笑顔だった。
「お前には躊躇や遠慮といった文字はないのか」
「無いです。そんなのとっくに底無し沼と富士山のマグマに捨ててきました」
「うわお、それはすごいや」
 もう俺は優月に勝てないということを確信した。強すぎる。
「では、あなたにかせられたミッションを言いますね」
「おう。何でもかかってこいや!!」
 俺はア○トニ○猪○みたいな感じの口調と姿勢で構える。
「キモいです。では、言いますね。あなたにかせられたミッション、それは」
「それは・・・・・・?」
 俺は固唾を飲む。そして優月から出た言葉はよそうだにしない俺にとって最大のもう一生クリアさせられないであろうモノだった。
「あなたが密かに思いを寄せている少女、麻川 結(あさかわ ゆい)に告ってください。これがあなたにかせられたミッションです」
「は、はああああああああああああああああああああああ!??」

Re: 俺と少女の1日ミッション ( No.2 )
日時: 2016/03/31 13:18
名前: ろろ (ID: HSAwT2Pg)

「煩いですね。耳が痛いです」
 優月は顔をしかめながら耳を塞ぐ。
「あ、そうだ。これ、いうの忘れてました」
 演技感満載で優月は笑う。そして満面の笑みで言うのだった。
「あなた以外に私の姿は見れないので、大声で叫んだり、話したりしても構いませんが、不審者扱いになったり、怒られたりするのは自己責任なのでよろしくお願いしますね。バーカ」
「・・・・・・・・・・・・。は?」
 嫌な予感がした。ドタドタと誰かが階段をかけ上がる音が聞こえる。そして、唐突に俺の部屋の扉が、ハリセンを持ったある女性によってバンっととてもでかい音付きで開かれた。
「叶佑(きょうすけ)! あんた一体絶対こんな朝になんてでかい声だしてんの!!! うっせーよ!! ご近所迷惑だよ!」
「母ちゃん! いや、それは、なんというか・・・・・・あ、あああああああああああああああ!!!」
 そのあと俺は母ちゃんにとても叱られた。

「いやー! ドンマイですねー! バーカ」
 学校にいくため、色々支度をしている俺の頭にはタンコブができていた。
「誰のせいだと思っているんだよ」
「お前のせいです。知ってます? タンコブって脳の細胞欠陥が着れて内出血したものらしいですよ。ご愁傷さまです」
 相変わらず嫌みをいってくる。こやつは・・・・・・。怒りが沸々と湧き上がってきたが、さっき俺がこの人に勝てることはないと証明されたので、もう何も言わなかった。
「じゃあ、学校いってくるから」
 俺は優月に向かって素っ気なく言う。
「はい。では私はあなた様を見えないように監視しているので。行ってらっしゃいませ」
「ついてこないのか。てっきり一緒に来ると思ったんだが」
「何をおっしゃいますか! 私が興味も欠片もないあなた様になんでストーカーじみた感じでついていかなくてはいけないのですか!」
 彼女の演技がかった言葉は俺の心に傷を作るのには十分すぎた。胸に何かが刺さった感じがして、とても痛い。
「では、行ってらっしゃいませ」
 彼女は手を降る。俺が玄関の扉を開き、閉じると同時に優月が言ったことは俺の耳にしっかりと届いた。
「最後の人生、存分とお楽しみください」

Re: 俺と少女の1日ミッション ( No.3 )
日時: 2016/03/31 13:27
名前: ろろ (ID: HSAwT2Pg)

「・・・・・・。行ったか。さーて、今回の者の命はどうなるのだろうか。一宮 叶佑(いちみや きょうすけ)、16歳、男、黒の襟足まである髪、目は黒く、端整な顔立ちを持っているが自分は中の下だと思っている自己評価が低いバカ。成績は中の上、高校2年か。まーたなんでこんな若い命が狙われるのかな。バカめ。もっと命は大切にしたらいいのに」
 私は1人でそんなことをぶつぶつ言ってからその叶佑の監視を始めた。

Re: 俺と少女の1日ミッション ( No.4 )
日時: 2016/03/31 13:37
名前: ろろ (ID: HSAwT2Pg)

 しにても信じられねぇな、だってこんなピンピンしてんだぜ? どうやったら死ぬんだよ。はっ! もしかして車に轢かれて死ぬとかそんなんか!? 顔や体がぐちゃぐちゃになって終わるパターンか……辛すぎるぜ。
 でも、本当に俺が死ぬとなると、やり残したことだらけなんだが。夢はまだないにしても、今気になっているアニメやゲーム、それから小説だって色々あるのに、それに……。
 通学路をそんな考え事をしながら歩いているとある人物が俺に話しかけてきた。
「あれ、一宮くんじゃん。どうしたの? そんな暗い顔して、あ! もしやこの前新しく買ったって言ってたゲーム機壊した?」
 俺は声がした方を見る。そこにはとても見覚えのある少女が、通学鞄をもっている方の手で俺に向かって手をふっていた。
「あ、麻川」
 そう、麻川。この少女が麻川 結だ。さっきあの暴言毒舌少女、優月に告れと言われた、俺が今日、強制的に告らされる、告白しなければならない相手。
 それをやるんだったら、死んだほうがましなんじゃね? と思わされる相手。と言うか、告ったら普通にこいつを好きな奴等に殺される。いつもなぜか一緒にいることがあるだけで今もう、『麻川結ちゃんファンクラブ』という本当にそういうのあるんだ! 存在してるんだ! とか思う隊に目を付けられている。それでもなんとかギリギリ逃げられているのに、告ったら本気で殺される。
 と言うか、こいつに告ったら最後本当にそいつらに消されるのだ。現にこの前こいつに告った俺のクラスメイトが現在休学中だ。怖すぎる。
 いや! でも、俺はこいつのことが好きだ。こいつのことは好きなんだが、好きなんだが!! しかし、どう考えたって、俺にはどう考えても高嶺の花過ぎて絶対無理。俺なんか顔なんて一般男子の中の下位だし、体型だって、運動なんてくそ食らえとか思ってやってないから筋肉なんてあまりない。皆無とは言わないが、無い。
 それに比べてこいつといったら、やばい。半端ない。容姿端麗、誰もが目にはいって見蕩れるような黒い肩まである髪、華奢で今にも折れそうな腕、足。
 そんな彼女は今、黒いがベースで赤いラインが入っているスカートは膝丈ぴったりのセーラー服を着ている。学校の制服だ。彼女の場合、それプラス白いブレザーを着ていて、とても似合っている。まるで漫画のヒロインでいそうな感じだ。
 そんな容姿もあってからか、都会にいくと芸能人にスカウトされるなんて当たり前。実際に俺と行きたいイベントがかぶって、一緒に行ったら普通に1日で4回ぐらいスカウトされてた。びびった。こいつはヤバイ。と、本気で思った。そんなやつだ。
「おはよう、でもゲーム機壊したぐらいでこの世の終わりみたいな顔してちゃダメだよ。見ててこっちがなんかこう——変な気持ちになるから」
 麻川は自分で言っていることを俺にちゃんと理解させようとして、手であやふやなジェスチャーを加える。しかし、本人には言わないが加えられた方がもっと解りにくくなった。こいつ不器用すぎる。可愛すぎる。
「いや、俺、今日ゲーム機壊してないけど。と言うか壊したのなら、学校に来ねえ。三時間ほど自分を攻め続けたあとゲーム機買いに玩具屋に走る!! そして家に帰ってやりまくる! 遊びまくる! たぶん二週間ぐらい学校も休む!」
「うわぁ、想像したよりも落ちぶれてるよこの人、誰かこの人を助けてあげて。私には到底無理だ」
 諦められた。ゴミを見る目で麻川が俺を見る。え、辛すぎる。え? これが普通じゃねぇの?
「え、そんなダメかな?」
「ダメだよ!! ダメ! そんなことしたら私があんたの顔見れなくて寂しいじゃん!!」
「え?」
 かあああっと、まるで絵の具を付けたかのように麻川の顔が赤くなっていく。え? え? 今の発言なに?
「いっ! 今の発言は忘れて!! というか忘れろ!!」
 そう言って麻川は右手に持っていたスクールバックを俺の腰に向けてぶん殴ってきた。もちろん俺の腰にヒットする。それと共に制服の黒いスカートが翻る。でもこいつの場合、タイツはいてるからあれが見えないんだけど。ナマ足も見えないんだけど。
「いったっ!! 何すんだよ!!」
 俺は麻川に殴られた腰を押さえる。
 というかすごく痛いんだけど。殴られたときにグキッとか聞こえちゃいけない音したんだけど。なに入ってるんだよその鞄。
「ふっ! 私の教科書、辞書、水筒、趣味の読書本四冊が入っているバックの威力は半端じゃないよ」
 こいつ! どや顔で言ってきやがった!! そりゃ痛いはずだよ!! 痛がんない方がおかしいよ!! ていうかいつもそんなもん持ってなんにもない顔で登校してたの!? 強い! こいつ強いぞ!!
「なんてもん俺の腰に投げてんだよ!! どうりですごい痛いはずだよ!!」
 俺は涙目になりながら反論する。腰がじんじんする。すごく痛てぇ。だがしかし、彼女は冷たい瞳でこう言ったのだった。
「聞いた方が悪い」
「いや、理不尽すぎだろ!」
「ま、そう言うことだから。じゃあ私は先にいくね。そろそろ予鈴鳴りそうだけど、遅刻しないように頑張って」
 じゃ、おさき! と、言って彼女は走って逃げるかの如く、去って行ってしまった。
 俺は腕時計を見る。時刻は八時二十分、予鈴がなるまであと十分だった。
「まじかよ」
 俺は絶望的な感情でなにもしたくなくなったが、先生にだけには怒られたくないので、俺の人生の最後の日に怒られたくないので、重い体を引きずる感覚で走り出した。
 学校には予鈴一分前についた。

Re: 俺と少女の1日ミッション ( No.5 )
日時: 2016/03/31 13:43
名前: ろろ (ID: HSAwT2Pg)

 で、その日は何事もないように普通に過ごされた。過ごしてしまった。
「これは──まずいな」
 俺はクラスメイトが帰るか、部活に行ったかで誰1人いなくなった教室で、窓際の机に腰を下ろし、窓側の方向を向き、虚空を見つめるようにしていた。
 そんなところに今日の朝、聞いたような気がするような、無機質な声が聞こえてくる。
「まずいですね。というか、なにいつものように平穏に過ごしているのですか。馬鹿なのですか? 今もこうして、放課後に1人教室に残るという、帰宅部と、放課後にセンコーから目ェつけられて反省文を書かされている生徒にしかできない所業をなしているわけですが、これからどうする予定なのですか、馬鹿」
「うお!」
 突然だったので俺は少し驚いた。そのあとに、声の主を見つけようと右左を見る。
「てか、声の主どこだよ」
「ここです、ここ」
 声の主が声でヒントをくれる。俺はそれを便りにキョロキョロする。しかし、見つからない。
「ここって言ったって、どこだよ」
「だからここだ。馬鹿だなやっぱお前は」
 っぐっと、後ろ髪が引っ張られた。
「ぎゃっ」
 俺はその物に抗えず、後ろに体制を崩される。
 驚いて閉じてしまった目を開けると、朝に俺があと1日で死ぬと予言した女の子、優月がいた。優月は俺を見下すようにしている。というか、仁王立ちしていた。そして、呆れた顔をして俺を見ていた。
「…………お前、もう少し声の上げ方をどうにかしろ、というか統一しろ。なんか殴りたくなる」
「え? なんで?」
 というか、俺そんな変な声上げてないと思うのだが。普通だと思うのだが。どうなのだろうか?
「なんでもだ、でも、お前どうする? このままだったらミッションをクリアできずに死ぬことになりますが」
 優月は腕を組み、右手で自分の肘をとんとん叩きながら俺の目を覗き込むようにしてくる。
「なあ、今思ったんだけど、質問いいか?」
「なんでしょうか」
 よっと、と言いながら勢いよく俺は体を起こし、立ち上がる。そして、優月のほうを見た。これで俺と優月は、机を1個挟んで、向き合う形になる。
「俺がそのミッションというものをクリアしなかった場合、どうなるんだ?」
「…………」
 俺の質問を聞いた優月は黙り、少しの間、沈黙が生まれる。
 そのあと、彼女の、俺を呆れてバカにしている顔が真剣な顔つきになり、沈黙を破った。
「………そんなの聞いて、どうするんですか」
「一応、できなかった時に知らなかったよりも、知っていたほうが荷が軽くなるかなと思ってさ」
 少女は失笑する。
「今から、できなかった時のことを考えると? ほう、あなたはやはり馬鹿ですね、臆病者ですね、殻に籠ったままのただの雛鳥だ。ただ、電話をかけて、声を使って好きだと、あの、麻川結にこくればいいというだけの簡単なミッションなのに」
「お前、告白ってそんなに簡単にできるものじゃないぞ」
 優月はまるで花が咲いたように綺麗な笑顔を浮かべた。
「え、できますよ。酒とか飲んだら一発です」
「お前、未成年は酒ダメだから」
 死ぬ前に違うところに連れていかれてしまう。
「知ってますよ、冗談です。でも、まあいいでしょう」
「え?」
 なにがいいのだろう? え? 酒を飲むこと? そんな俺の考えがわかってかどうだかわからないが、優月は溜息をつき、呆れた顔をする。
「何自分で、え? とか言ってるんですか、自分から言いながら。あなたがミッションに失敗した時のことを教えることを、いいと言ったんです」
「え? マジで?」
「マジです」
 これは驚きだ。てっきり教えてくれないと思った。
「けれど、知ったところでどうこうなる問題ではないので。そこらへんは頭に入れといてください。現実逃避をしないでしっかりと受け止めてくださいね。でもまあ、このぐらいは馬鹿なあなたでもできますよね」
「ああ、できるよ」
 そうですか、良かったです。と少女は微笑み、真面目な顔つきになった。
「では、言いますよ」
「おう」
「あなたは、ミッションをクリアできなかった場合、あなたの1番大事な人を、あなたが1番思っている人を道連れに、地獄に落ちます」
 は?
「これが、あなたがミッションを決行できずに死んでいった場合にあなた様の身に、身の回りの誰かに起こることです」


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