コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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カワルミライ
日時: 2016/02/07 21:39
名前: むつ (ID: HSAwT2Pg)

≪もしも……もしも過去や未来を改変出来るとしたらあなたはどうする?≫


東海 功 >>1 >>2 >>4 >>5 >>6

長谷川 虹那 >>7 >>8 >>9

その他 >>3

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Re: カワルミライ ( No.5 )
日時: 2016/02/07 18:06
名前: むつ (ID: HSAwT2Pg)

 それを聞いた功さんは目を点にしている。まあ、当たり前だけど。
「あの・・・・・・功さん大丈夫ですか? あの、大丈夫だったらあなたが助けようとしている人・・・・・・彩穂 徹さんのこと話そうと思ったんですけど・・・・・・。でも、体が受け止めきれないようならやめときますけど」
 たぶん、この言葉は脅しに似ているだろうけど言わなきゃいけない。これは仕事。今はその仕事に不祥事がおきたかから、その当事者になるであろう人に言わなきゃいけない。辛いけど、苦しいけど、言わなくちゃいけない。これが私の選んだ「仕事」だから。でも、私の心配とは裏腹に功さんは意を決したようにいった。
「大丈夫。もう、驚かない。だから、聞かせて欲しい。あのいつが——徹がここに来たときにどういうやり取りをしたかを」
 それを聞いて、私は安心して、少し深呼吸する。
「そうですか、では話しましょう。私と徹さんがどうゆうやり取りをしたのかを」
 そして私は語り始めた。今回の以来の元凶となる話を。今はない現実を。


 あれは私にとって最近のことで、その日は雨が降っていてとてもジメジメしていて気持ち悪かった事を覚えている。そんな日に来たのが、彩穂 徹さんだった。
 徹さんの顔はひどく疲れているようで今にも死んでしまいそうなというか死にたいというようなオーラを発していた。そんな人からの第一声は、
「お穣ちゃんがうそみたいな事をやって見せるお店の人かい?」
 というものだった。今にも消えそうな声だった。
「はい」
 と、私は答えた。その後は外ではなんなのでということで今、功さんがいる部屋に通した。なんの飲み物飲むかと聞いたらコーヒーと答えたので温かいコーヒーを淹れて、徹さんに渡した。
 コーヒーを渡された徹さんはゆっくりとコーヒーを飲み、気持ちを整えるようにふぅと息を吐いて徹さんは泣きながら、声を振り絞りながら話し出した。
「ここに来た理由はね、この前、俺にとってものすごい大切な恩人を亡くしてしまってね。その人を・・・・・・生き返らしたいからなんだよ。その・・・・・・俺のせいで死んでしまったから。俺なんかを・・・・・・俺なんかをかばって・・・・・・刺されで、切り刻まれて・・・・・・血まみれになって・・・・・・灰になった・・・・・・。何も・・・・・・できなかった。何も・・・・・・何も・・・・・・俺は・・・・・・あの人を助けられなかった・・・・・・ただただ・・・・・・泣き叫んで・・・・・・やめろとしか・・・・・・いえなかった・・・・・・。行動に・・・・・・移せなかった・・・・・・。だから・・・・・・過去を・・・・・・変えて・・・・・・ください・・・・・・。あの人を・・・・・・生き返らせてください・・・・・・。お願いします・・・・・・。お願いします・・・・・・」
 辛そうに悲しそう徹さんはそういったのだった。私は、見ているだけで悲しくなった。同情だろうか・・・・・・?そして私は承諾したのだ。
「わかりました。その依頼・・・・・・受けましょう」
 それを聞いた徹さんは
「本当ですか!? ありがとうございます・・・・・・。ありがとうございます」
 とてもうれしそうだった。いつの間にか、敬語になっている徹さんに気づいたのはそのときだったが、そのことは置いといた。その後したことは簡単で、紙に手を置いてもらっていろいろな事をもっと細かく把握し、依頼を実行した。


 だかしかし・・・・・・徹さんの願いは半分かなって半分叶わなかった。それに気づいたのは新聞だった。その事件が書いてあった約1ヶ月前の新聞。私は・・・・・・泣いた。私は、一人の命を救い、その代わり一人の命を奪った。それが・・・・・・とても辛かった。嫌だった。でも、何もしなかった。出来なかった。なぜならそこに・・・・・・功さんが来たからである。
「ちょっとまって」
 私の話を静かに聞いていた功さんが私の話を中断するように言った。
「なんですか?あと、これで話は終わりです」
「そうなんだ・・・・・・。で、あのさ」
「なんですか?」
「矛盾がおきてる。さっき、君はあの光る変な紙を見て徹君を思い出していた。ならなぜ、お譲ちゃんは俺の顔を見て俺だってことが解らなかったんだ?」
 功さんは少し怒っているようだった。それもそうだけど——。私も話していて矛盾しているなと思ったけど——。でも・・・・・・しょうがないんだ——。
「しょうがないじゃないですか・・・・・・。だって・・・・・・。体型が・・・・・・。雰囲気が・・・・・・違ったんですから」
 そう。功さんはあの時映像で見たときよりもっと痩せていた。別人みたいに。私があの時見た紙の中の功さんはいわゆる肥満体系の部類に入っていた。
 しかし、今の功さんは頬に少し影ができるくらいに痩せていた。だから、気づけなかった。
「すみません。もっと・・・・・・私が物分かりがいい人だったらよかったんですが。すみません。気づけなくて」
 功さんは申し訳なさそうな顔をしながら言った。どうやら功さんは私の心理的状況を分かってしまったらしい。エスパーか。
「いや、そうだよな・・・・・・。見たときと今が一緒とは限らないもんな。ゴメンな・・・・・・。謝るのは俺だった。ゴメンな」
「? なんで・・・・・・なんで功さんが謝るんですか?」
 私の純粋な疑問だった。

Re: カワルミライ ( No.6 )
日時: 2016/02/07 20:49
名前: むつ (ID: HSAwT2Pg)

 私のその質問に功さんは答えた。
「謝りたいと思ったからさ。それ以外に理由はない。あ、あとお嬢ちゃんも、もう謝んなくていいよ」
 そう言っている功さんは少しさっきよりも表情が明るくなったように思えた。なぜだろう。
「そうですか・・・・・・。じゃあ、気を取り直して依頼を実行します」
「そうか。お願いするよ」
 功さんは顔つきを見るに決意を決めたようだった。けど、ちょっとやっておかないといけないことがある。
「あと、その前に」
 私を見て功さんはとぼけたように言う。
「ん? なんだね」
「料金をお支払いください。税込みで16000円」
 コレをやらなかったら商売にはならない。別に、決して、忘れていたわけではない。
「結構高値だな」
 功さんは顔をしかめる。けど私は平然と、淡々と悪戯っぽい笑みを浮かべる。
「安いくらいでしょ? 未来を変えられるぐらいですから」
「まあ、それもそうか」
 功さんは納得してくれた。そして財布からきっちり16000円出して私のほうに差し出した。
「はい。どうぞ」
 私はそれを受け取る。
「確かに16000円いただきました。それじゃあ早速・・・」「ちょっとまってくれ」
 依頼を実行しようとした私を功さんが止めた。
「なんですか?」
 私は聞く。そして功さんは言った。やさしく。
「一つだけ聞きたいことがある」
「なんでしょうか?」
「ここの名前は、『カワルミライ』といったな」
「はい」
 私は相槌を入れる。
「なぜ、変わる未来なんだ? 未来を変えることもここでは受けてるが過去を変えることも受けたまっている。なのに、何故・・・・・・?」
 功さんは本当に気になっているようなので私はさっきも同じようなことを言ったような気もするが答えた。
「それは簡単な事です。過去を変えれば、未来が変わる。未来を変えれば未来が変わる。つまりどっちを行っても未来を変えることになります。だから『カワルミライ』なんです」
 と。それを聞いて功さんは少し微笑んだ。納得し、腑に落ちたようだ。
「そうか。すっきりしたよ。ありがとう」
「・・・・・・。もう、聞きたいことはありませんね」
「ああ」
 功さんは優しく微笑む。とても暖かい笑みだ。。もう思い残すことがない、という意味がそこには込められていた。その反応を見て私は微笑んだ。
「それでは依頼を実行いたします。では、功さんは目を閉じてください」
 功さんは目を閉じる。
「こうか?」
「はい。それでいいです」
 功さんは目を閉じながら優しく
「神楽ちゃん」
 と言った。
「!!」
 私はさっきまで私のことを功さんは『お嬢ちゃん』と呼んでいたのに対して『神楽ちゃん』と呼ばれたことに驚いた。
「なんですか?」
「ありがとう」
 そう一言、功さんは笑いながら私に告げた。
「!! ・・・・・・どういたしまして。それでは・・・・・・」
 功さんは目を瞑っているから私は今でどういう顔をしているかわからないと思うけど、でも、笑顔で見送ってあげたかった。
 だから、泣いている事を悟られないように、笑顔を作って、出来るだけ、明るい声で私は言った。
「お達者で」
「ああ、神楽ちゃんも元気でね」
 功さんは優しい声でそう答えてくれた。そして、その言葉を最後に功さんの体は透明になり、消えていった。私は、功さんが消えていったのを見ると涙を飲みながらこういった。
「・・・・・・はい」
 少し沈黙の時間が訪れる。
「・・・・・・。行っちゃった・・・・・・。えーっと——新聞新聞」
 私は涙を拭くことを後回しにして1ヶ月前の新聞を捜す。
「あった。えっと・・・・・・」
 私は新聞の中身を眼を皿のようにしてみる。そして見つけた。小さな小さな記事。そこには、『ドラッグ引用で暴走か 死者0名、軽傷者3名』とかかれていた。
「死者0名・・・。てことは・・・! 助かったんだ! 2人とも。生き延びれたんだ! 成功した! よかった・・・・・・。よかったよおおおおおおお」
 その後、私は号泣した。多分1時間ぐらいは泣いていたと思う。でも、それほど不安だったんだ。怖かったんだ。でも、今回はすべてが上手くいった。
 泣き止んだあと自分の顔を洗ってからまたその後新聞の記事をじっくり見た。
 記事の内容をまとめるとある倉庫にとある不良グループが押しかけてきてたまたまそこが功さんと徹さんがいつも工業製品などを保管していた倉庫でたまたま2人が作業中だったらしい。そこにドラッグを吸っていかれた人たちが押しかけてきて暴走。しかしなんとか軽傷を負ったものの、その場に死者を出さないですんだということだ。
 そして、功さんはある会社の社長さんだったのだ。そして徹さんは功さんに職なしのところを拾われた会社員。とするとあの功さんの周りにいた人たちは護衛の人となる。すべての辻褄があった。
「そうなんだ・・・・・・。あーでも、もう一度功さんと徹さんに会いたいな・・・・・・。むこうは私の顔すら忘れちゃってると思うけど。でも会って言いたい。功さんと徹さん暴力団と勘違いしてごめんなさいって!」
 私の顔にはもう涙は流れていなかった。そして私は時計を見た。7時もう夜だ。
「あ・・・・・・。看板変えなくちゃ。もう今日は閉店だ」
 そう言って私は玄関に向かった。そして外に出て扉にかかっている看板を反対にした。そこにはこう書かれてある。

《【カワルミライ】今日はおしまい!また明日どうぞ!》

 と。また明日も未来を変えるためにお客さんはやってくる。そして私はそのお客さんに向かって思うんだ。矛盾していると思うけど、こんな店を開いている人間の言えることじゃないと思うけれど、思うんだ。
未来なんて変えなくても意外と人生は楽しいよ。

Re: カワルミライ ( No.7 )
日時: 2016/02/07 21:16
名前: むつ (ID: HSAwT2Pg)

 いつもの朝、入道雲・・・・・・は無く、あるのは飛行機雲のみ。ほぼ快晴。今、私は、玄関の前にいる。そして、玄関にかけてある看板を手にした。そこには《【カワルミライ】今日はおしまい! また明日どうぞ!》と書いてある。私はその看板をひっくり返す。そこには、《【カワルミライ】やってます!》と書いてある。
 私はそれの微妙なずれを直し、言った。
「さあ、開店だ!!」
 今日はお客さん来るかなー? まあ、来なかったら来なかったでパソコンやってるから別にいいんだけど・・・・・・。実は貯金もたんまりあるし。
「ねえ!」
「はい?」
 声がした方向を見ると1人の女の人が立っていた。服装はほぼゴスロリに近い感じだ。その女の人が威張るように私に言い寄る。
「ここって、過去や未来を思いどおりに変えられるって店なの?」
「ああ・・・・・・。そうですけど・・・・・・。あの、もしかしてi」
「依頼よ!」
 この女の人私の言葉を遮りやがった。この人・・・・・・苦手なタイプだ!! しかし私はこの人がお客さんということが判明したので怒りを抑えながら対応する。
「そうですか・・・・・・」
「で?店主は?」
 私が出はここにお入りくださいと言おうとしたのにまたも女の人は言葉を遮った。この人ほんとに嫌だ。しかし頑張ってその怒りを面に出さないように言う。
「私ですけど」
 それを聞いて女の人はふざけんじゃねぇよというように私を睨みつける。
「は? バカなこと言わないで? 私を誰だと思ってるの?」
「いや、名前を名乗られていないので誰だか知らないですし、それに本当のことですから。私が店主だって事」
 しかし女の人は信じてくれない。むしろ自信満々にこう言ってきた。
「そんなわけないじゃない。噂だとイケメンな店主とそのイケメンな店主をアシストするスタイル抜群な美人な人がやってるって聞いたわよ」
「!? 何その噂!? そんなの流れてるんですか!? まあ、男の人と一緒にやってた時もあったけどいまは1人ですよ?」
 彼女はつまんなそうな顔をする。一気にテンションだだ下がりだ。
「そうなの? じゃ、またにするわ」
「!?」
 は!? まって!? 何この人・・・・・・。
「え・・・・・・。なんでですか?」
「だって男の人がいないならつまらないもの」
「男目当て!?」
 うそでしょこの人!!
「それで?」
 女の人はため息混じりに言った。
「?」
「男の人はいつならいるの?」
 ああ、そういうことか・・・・・・。女の人は上から目線でむしろさっきよりグレードが上がって腕組に壁に寄り添い、足を組むというムカつく行為をとっている。
「わかりません」
 私は即答した。返すのにかかった時間はわずか1秒。 彼女は眉間にしわを寄せる。
「はぁ?」
 まあ、しょうがないけど・・・・・・。思い出すのも嫌だけど説明するか・・・・・・。
「行方不明なんですよ。半年前から。ある時を境にいなくなっちゃって・・・・・・。いまどこでなにやってるんだかもわかんない状況で・・・・・・」
 それを聞いたら彼女の気分は下がると思ったがむしろ逆で彼女はニヤニヤと笑い出した。とても楽しげな表情になっていた。
「ふぅん。逃げられたということね。ま、アンタほどに魅力がない女なんて逃げられて当然よね」
 ・・・・・・・・・・・・。(ブチッ) あ、なんか私の中で音がした。何の音だろ? でも、一つだけいえることは・・・・・・。
「さっきから思ってたんですけどあんた何様のつもりですか? いやお客様だと思うのですが、でも、さすがに私はもうあなたの顔面を殴り飛ばしたいぐらいに怒りが大きくなってきたんですけど」
 ということ。って、あ、言っちゃった。言ってしまった。つい本音が声に出てしまった。あーやってしまった。まあ、しょうがないか。相手も・・・・・・。
「そうなの? あとね、あなたにとって私はお客様なのよ!お金がほしいなら、私に従いなさいよ」
 ・・・・・・。もうこの人とは関わりたくない。
「そうですか。では、私から一言、言わせてもらいます」
「どうぞ?」
 女の人は余裕綽々な顔で言ってきた。・・・・・・ムカツク。
「そんな客はお断りです」
「は?」
 女の人はさっきの余裕そうな顔と変わって、目を点にしていた。けど私は気にしない。
「もう、ここには来ないでください」
 そう吐き捨てるように言って、私はドアノブに手を掛ける。
「え!? ちょっとっ! ちょっとまって」
 私はその言葉を無視し、ドアを開けて家に入り、ドアの鍵を閉めた。

Re: カワルミライ ( No.8 )
日時: 2016/02/07 21:27
名前: むつ (ID: HSAwT2Pg)

 私は鍵を閉めて、今、玄関にいる・・・・・・。いるんだけど・・・・・・。
 ずっととある音が鳴りやまない。終わらない。かれこれ10分は続いている。その音というのがノックオンだ。しかし、≪トントン≫という音ではない。≪ドンドン≫というものだ。
ドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドン
「開けなさいよ!!!」
ドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドン
 という風にずっと鳴りやまない。完全に近所迷惑だ。しかし、ここまでくるとあれだ、もう。
「こ・・・・・・怖えーーーーーー!!!!!」
 何この人! あきらめるってことを知らないの!? もう心霊現象並みに怖いよ!? ここまできひ下がらないでドアを叩くなんて!! ドアが壊れてしまう! でも、何でこんなに引き下がらないんだろう・・・・・・? なんか・・・・・・“特別な理由”でもあるのかな? だけどその疑問はすぐに解けた。
「? あれ?」
 急にあのドアを叩く音がやんだ。そして、それに変わって今にも泣きそうな声が聞こえてきた。
「ねえ! 聞こえるんでしょ!! だったらお願い!! もう、変なこと言わないから・・・・・・私を・・・・・・私を助けてよぅ・・・・・・!!」
「!!」

Re: カワルミライ ( No.9 )
日時: 2016/02/07 21:37
名前: むつ (ID: HSAwT2Pg)

 助けてって言った。あんなこと言いながら、私に助けを求めている客がドアを挟んで私の真後ろにいる。泣き声が聞こえる。嘘じゃない、本当に涙を流してる。
 私はどうするべきだろうか? そんなこと悩む必要はない!
 私はドアノブに手をかける。玄関のそとの入り口付近にはさっきのムカつく女の人がうずくまっていた。さっきとは大違いだなとか思いながら私は女の人のとなりにしゃがみこむ。
 それに気がついた女の人は、ファ!? というわけのわからない奇声をあげ、それから
「あ、、、あ、、、」
 挙動不審になった。そんな女の人に私は頭にてをかけ、
「辛かったんですね、依頼、受けますよ。私の出来る範囲内でなら」
 出来る限り優しく微笑んだ。それを見て女の人は、眼をまん丸にしてさっきよりも大粒の涙を流し始めた。
「あはは、泣かないでくださいよ。ほら、ここは外ですよ? いくらここがマンションの6階だとしても、となりの方が来るとあれですら、今まで来なかったことが奇跡ですが。まあ、ほら、中に入りましょう」
 私は女の人を宥めながら店の中に入るように案内する。
 そうしたら女の人はありがとう・・・・・・ありがとうと言って少し涙をこらえ始めた。 
 私は女の人を例の部屋に案内すると紅茶を入れ、渡し、席についた。そして、女の人が落ち着いたのを見計らって話を切り出す。
「落ち着きましたか?」
 女の人は少し微笑んだ。
「うん、ありがとう」
 うん、大丈夫そうだ。私は本題に移った。
「では、あなたのお名前、ご年齢は? 今回はなんの依頼がありこちらへ」
「私の名前は、長谷川 虹那(はせがわ こうな)、18才。依頼は・・・・・・それは・・・・・・」
 まさかの女の人とはタメだった。話を進めるために私は相槌を打つ。
「それは?」
 そして、女の人・・・・・・長谷川さんは重く、険しい雰囲気でいった。
「家族を元どうりにしたいの」
「ほう」
 私は少し驚いた。何故ならばもう少し自己中心的な依頼が持ちかけられると思っていたから。まあ、少し失礼かもしれないけれどそう思っていた。でも、そうじゃなかった。
 ポーカーフェイスを保ちつつ、長谷川さんから依頼の内容を詳しく聞くべく、優しく微笑む。
「では、なぜ、その依頼を私に持ちかけたのか、経緯の説明をお願いします」
「私の家庭は、どちらかというと裕福な方で、お母さんとお父さんがいて、私は一人っ子。お手伝いさんも何人かいた。平和に過ごしていたんだよ。2週間前まで」
 長谷川さんはとても辛そうな顔をしながら言葉を紡いでいく。
「というと? その2週間前になにかが起こったのですね」
「うん。そう。起こった。悪夢が始まってしまいました。というか、悪夢はそれよりも前から少し始まっていたのだけれど、それが発覚して手遅れ状態になっていたのが2週間前なんだ」


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