コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- 「———雨だ、」
- 日時: 2016/04/29 20:29
- 名前: なつめ。 (ID: 0a987INq)
みなさま、こんにちは。*
なつめ。と申すものでありますっ(`・ω・´)
諸事情で新しく、スレッドを建てなおしました!
*。シリアス要素があります、ご理解ください。
*。更新スピード遅めです…。
ちょこっと、あらすじ。*
貴方は振り向いてくれない、絶対に。
少しも可能性はない、分かってる。
それでもまだ、今でも、想い続けたいんです。
ああ、神様。
どうして私を、彼の「妹」にしたのですか——?
- Re: 「———雨だ、」 ( No.9 )
- 日時: 2016/05/01 18:14
- 名前: なつめ。 (ID: 0a987INq)
「秘めた名前と優越感。」
雨が上がり、少しだけ青空が顔を出した。
一限目の数学が終わり、チャイムが鳴った。
転校生——「仁くん」のまわりには、女子の群れ。
どこの学校から来たのやら、格好いいね、やら。
大きく溜め息を吐くと、肩をぐいっ、と引き寄せられた。
「……なあ、助けろよ」
「は、っ……バッカじゃないの、あんた」
「ああ? その口の利き方なんだお前」
「うるっさいなあ、もう……!」
思わず引っ叩きそうになる私を、紫衣が制御する。
正面には、べーっ、と舌を出す奴が一人。
いつの間にか女子は散って、いい空気が戻ってきた。
なんで、戻ってきたんだろう、こいつ。
会いたくないのに、私の前から消えてくれれば良かった。
紫衣が私の顔を覗き込んで、首を傾げた。
大丈夫、と首を横に思い切り振って、立ち上がった。
若干慌てながら後を付いてきた紫衣を、振り返った。
「あー……ごめん、一人にして欲しい」
「——え、あ、ごめ……わかった、ごめんねっ」
面倒くさいなあ、なんて思いながら。
青い錆びた自販機の横で、コンクリートの壁に背中を預けた。
すう、と息を吸い込んでみる。
なにも変わらないんだけど、まあ、当たり前だけど。
多分小学生ぐらいの時からの癖だ。
なにか嫌なこととか面倒事があったとき、こうしてみる。
すぐに眠ってしまえそうな気分に、たまになる。
その「たまに」がすごく心地いいから、いつもやってしまう。
まるで全て忘れられそうな、なんか、いいものだ。
逆に言えば、そうでもしないと、この世界が善と思えない。
「——ひゃ、冷たっ」
「はは、びっくりした?」
いきなり頬が冷たくなって、顔を上げると、表情が緩む。
お兄ちゃんがお茶を持ち、くす、と微笑んだ。
好きだなあ、これが愛なんだよなあ、と確信する。
消火器の隣にある、これまた古びた緑のベンチに腰掛ける。
長い睫毛を伏せて背中を縮めた姿に、思わず笑う。
相当疲れてるのかな、と心配になった。
春の、暖かい、でも雨上がりだから湿った風が吹く。
鼻を擽って、髪の筋を優しくなぞった。
前髪を右手で直して、お茶の入ったペットボトルを開ける。
これをお兄ちゃんが買ったと思うと、胸が高鳴る。
もしかしたら、小夜月 玲にお茶を買ってもらえるのは。
私だけかもしれないのかな、そうだったらいいな。
あんまりいい感情じゃないけど、やっぱり嬉しいもの。
肩に暖かいものが触れた、彼の肩だった。
ああ、また、確信する、このとき。
心の底、ほんとうに、奥の、奥から、愛していると。
「……————玲、っ」
こういうときにしか、名前は呼べないから。
いざ口にしてしまうと、やっぱり切なくなる。
泣かないように、ペットボトルを唇に押し当てた。
生暖かい春風が私を撫でる、さっきよりも強く。
お兄ちゃんの肩が震えたように見えて、掌を優しく当てた。
- Re: 「———雨だ、」 ( No.10 )
- 日時: 2016/05/01 21:06
- 名前: いろはうた (ID: b4ZHknAo)
はじめましていろはうたと申します。
どうぞお見知りおきを。
そしてそして!!
きききききき禁断の恋ってやつですね!!!!!
いろはうたこういうの本当の本当に大好物なんです!!!!
カキコで禁断ものに巡り合えるなんてなんて幸せ!!( ☆∀☆)きゅぴーん
澪ちゃんの切ない感情がぐぐぐっと伝わってくる素敵な作品ですね。
思わず感情移入しちゃいます。
これからどんな風に物語が紡がれていくのかとても楽しみです(^^)
更新がんばってください!!
- Re: 「———雨だ、」 ( No.11 )
- 日時: 2016/05/02 17:08
- 名前: なつめ。 (ID: 0a987INq)
いろはうた さま *。
初めまして、なつめ。と申しますっ(`・ω・´)
わわわ、素敵なお名前ですねっ!
そうなんです、禁断の恋ってやつです(笑)
大好物ですか私です最高ですよねこのジャンル(怖い
作者、切ない系、シリアスしか書けないものでして…
喜んで頂けているなら、とっても嬉しいですっ。*
応援ありがとうございます、頑張ります!
コメント、ありがとうございましたっ。
- Re: 「———雨だ、」 ( No.12 )
- 日時: 2016/05/02 17:48
- 名前: なつめ。 (ID: 0a987INq)
「穢い過去。」
お兄ちゃんを起こさないようにそっと立ち上がる。
ほんとうは、もう少し傍に居たかったけれど。
廊下に出ると、後ろから私を呼ぶ声が聞こえた。
「澪、ちょっと待てよ」
「……なに、」
少し怒ったような顔をした仁くんが、そこにいた。
手を引かれ、教室に連れていかれる。
押されて飛び込むように入ると、そこには——、
「押さないでよっ、ちょっ……、え、紫衣」
「っ、みおっ、」
涙をぼろぼろと零しながら、顔を上げた紫衣がいた。
どうやら私に嫌われたと思ったらしい。
横を見ると、煙草の煙みたいに息を吐く彼がいた。
(ほんっと、最悪——、)
紫衣には何回も謝り、最後には笑って許してくれた。
そこからすぐに彼の腕をつかみ、教室から出す。
「……おい、なあ、なんだよっ!?」
「っふざけんのも、いい加減にしてよ」
「はあ? 俺はただ仲直りさせようと——っ」
弾けたような、意外と軽い音が響き渡った。
ふと気づくと仁くんは頬を押さえ、此方から顔を背けていた。
右の掌が、だんだん熱くなってくる。
私と紫衣には、あんたなんかには分からない物がある。
再会するまでのとき、ずっと、続いてきたもの。
二人っていうのは、壊せないもの。
私は紫衣に隠していることもあるけど、それでいい。
嫌われたくないから、話したくない。
でも、彼女の悩みは全部聞いてきたつもりだ。
なのに、なに——、「仲直り」って、簡単な言葉。
私だって、貴方とできるならそれ、したかった。
しんとした廊下に、二人の息だけが籠るように浮いた。
「……なにも知らない癖に」
(知ろうとしなかった癖に、)
腕を引き戻された、そして抱きしめられた。
抵抗しても押さえつけられて、体が覆いかぶさってくる。
体には微かな、消えそうな暖かみが感じられた。
私の肩を抱くように、髪を撫でるように。
でも実際はそんなに優しくなくて、ただ、抱きしめた。
ああ、思い出してしまうなあ。
いつだってこの思い出は、頭の隙間から入り込む。
*
雨の降る、帰り道。
するすると掌から、落ちていく湿った空気。
靴が一瞬沈む、濁りかけた水溜り。
紺色に近い、青色の大き目の傘に、二人の男女。
不器用な相合傘で、二人とも肩が傘からはみ出している。
「肩、濡れてる、澪」
「……うん、仁くん、も、だよ」
「俺はいい」
「私も、いいよ」
不意に目が合う、どちらともなく、自然に目が合う。
二人の髪に水滴が落ち、涙のようにまた零れた。
傘が揺れるほどの雨音が響く。
お互い無意識に手を取り、慌てて、また、離した。
「———、なんだよっ……!」
「え、なに——……っ!?」
聞き取れず聞き返した少女に、被さる背の高い体。
傘が落ち、一気に雨が二人に集中する。
強引に紡がれた、二人の唇。
傘を少女に投げるように渡し、少年は、消えた。
ほんとうに、消えて、会えなくなった。
その日から少年は二度と、少女の前に現れていない。
でも必ず雨が降るたび、二人は思い出していた。
- Re: 「———雨だ、」 ( No.13 )
- 日時: 2016/05/03 11:34
- 名前: なつめ。 (ID: 0a987INq)
「*。お知らせ」
こんにちは、なつめ。ですっ!
今回は、皆様にお知らせがあります(`・ω・´)
なんと、参照が100突破致しました……!
こんな駄作に付き合って頂き、本当に感謝です(
これからも頑張りますので、応援よろしくお願いします。*
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