コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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紅の空の下
日時: 2016/05/09 19:33
名前: こん (ID: tMBSASgt)

こんにちは。
こん、と申します。

さて。
これからだんだんと暑い季節がやってきますね。

私はカキコに来て、ちょうど三ヶ月となりました。

色々な小説を書かせていただいていますが、私自身前々から書いてみたいと思っていた物がありまして、またスレッドを増やすこととなりましたが、書かせていただこうと思います。

しばらくの間、この小説に本腰を入れたいと思いますので、他の小説たちの更新はおろそかになるかと思います。
読んでくださっている方々、大変申し訳ございません。
なお、「私の好きな、あいつ。」につきましては毎週金曜日にきちんと更新させて頂きます。

コメントは大歓迎です。
荒らしやなりすましはご遠慮ください。

それでは、どうぞよろしくお願いします。

《スレッド設立日》
2016.05.08

《お客様》
K(*^▽^*) さん
ダークネス さん
夏目 織 さん

《作者の他の作品》
私の好きな、あいつ。
気まま自由な短編小説
空腹キケンちゅういほう
私はあの時恋をして、あいつはその時こう思う。

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Re: 紅の空の下 ( No.7 )
日時: 2016/05/08 17:16
名前: こん (ID: /7b9bPFg)

・first story・


tomoya's point of view


いつからだろう。
こうなったのは。



朝の澄んだ空気の中、いつも通りに重い足取りでアスファルトの上を歩く。
風が吹いていき、地面に写った木の影を揺れ動かした。
木自体の動きよりも影の動きの方に目がいくなんて、下ばかり見て歩いているのだと気付く。

この道もずいぶんと身に馴染んだものだ。
一ヶ月前には見慣れぬ景色に圧倒されてばかりだったが、今となってはもうあまり感動がない。
毎日たいてい同じ人とすれ違い、たいてい同じ車が追い越して行く。

慣れとはすごいものだと思う。
多少の違和感があっても馴染んでしまう。
昔の自分と今の自分に隔たりがあれば、それは高い壁となって、全く別のものに感じるようになる。
誰か1人いなくなったって皆それが普通だと感じるようになる。


キキーーッ。


自転車のブレーキ音が鳴り響いた。

音の方を見る。

子供が自転車の前に飛び出し、ぎりぎりのところで自転車が止まったようだ。

「すみませんっ。」

子供の母親が後ろからやってきて、自転車に乗っていた中学生くらいの女の子に謝る。

「ばかっ!!何してんのよ!危ないでしょ!」

母親は子供を叱り、叱りつつも怪我がないかを確認する。


子に愛情のある親は、子供を守るため、危険なことをした時は激しく怒る。
もう二度と同じ真似をしないように。

俺はいつまでそれを求めていたのだろう。

結局、今もまだ求めているのかもしれない。
こうして味気ない毎日を送っている内に、どこかで何かを期待しているのかもしれない。

笑う。
笑える。

何を期待してんだよ。
もう、とっくに諦めただろ。


空を見上げると、雲の流れが速いのがわかる。
今日は雨になるかもしれない。
家に戻って傘を持ってきた方が良いだろうか。

めんどくさい。

空を見上げるのを辞め、パーカーのポケットに手を突っ込み、そのまま方向を変えずに歩く。
昨日と同じ軽トラックが、追い抜かして行った。





俺がこうなったのは、いつからか。

いや。
最初からこうだったのかもしれない。

Re: 紅の空の下 ( No.8 )
日時: 2016/05/08 23:09
名前: こん (ID: C6pp1bGb)

yuuna's point of view


いつからだっただろう。
こういう気持ちを抱くようになったのは。



いつも通りの朝。
いつも通りの道。
いつも通りの車の中。

外は風が吹いているようだ。
木が揺れている。
でも私のところには届かない。

窓を開ければいい。
そうすれば私も外の世界を感じることができる。
窓の下のボタンを押すだけだ。
ただそれだけ。

でもやはりそれをしないのは、なぜなのか。

前を見る。
運転手がいる。

話しかけてみようか。
昨日と何かが変わるかもしれない。

きっと彼は、私が話しかけてくるとは思っていないだろう。
今までずっと、面白みのない挨拶と、何の変哲もない笑顔しか向けてこなかったのだから。

また窓の外を見る。

私はいつまでこのままでいるのだろう。

変わりたい。
でも怖い。

変わったら今よりも気分が良いだろうか。

そもそも変わるってなんなのだろう。


空を見上げる。

天気予報で、今日は雨が降ると聞いていた。
帰る頃には降っているのだろうか。

私にはあまり関係ないだろう。
どうせまた、屋根から屋根まで車で運ばれていくだけだから。
念のため、と持たされた傘だって使うことなく片付けられるのだろう。

放課後になったら車が迎えに来て、級友たちに別れを告げて、家に帰って、勉強をする。
それから食事をして、風呂に入って、本でも読んで、寝るのだ。
これから自分が何をするかなんて、すべてわかっている。

いつもと同じ。
代わり映えのない1日。


赤信号で車が止まった。

自転車が横断歩道を渡る。
その自転車がそのまま私の乗っている車とは逆方向に行こうとした時、小道の方から子供が飛び出してきた。

危ない。

車が走り出す。
その直後に自転車のブレーキ音が微かに耳に届いた。

無事、ひかずに済んだだろうか。

なんとなく、子供よりも自転車に乗っていた中学生くらいの女の子の方が気にかかった。
罪悪感を感じてしまっただろうか。


ふと、ああいうのでもいいと思った。

そんな事を思ってしまうのは不謹慎だ。
というより、私の感性がおかしいのだろう。

でも、あれくらいの事でもあれば、少しは昨日と違う気がする。


また、前を向いた。

自転車なんて乗ったこともないし、これからも乗ることはないだろう。
そう、きっとない。
ないんだ。





いつから、こう思うようになったのだろう。

きっと。
ずっと幼い頃からなのだろう。

Re: 紅の空の下 ( No.9 )
日時: 2016/05/09 18:40
名前: 夏目 織 ◆blHsRWSqAs (ID: HdkpWh7J)
参照: ちほりん→とらじ、澪羽、*織*→夏目 織、リザ、桜里

こんさんこんにちは!!

先日は私の小説にコメントありがとうございました(*´ `*)ので、さっそく来ちゃいました!!((

なんと言うか…文章が綺麗(?)で見習わなきゃな…と思いました(笑)

またコメントしに来れたら来ようと思います♪

更新頑張ってください!!

Re: 紅の空の下 ( No.10 )
日時: 2016/05/09 19:32
名前: こん (ID: tMBSASgt)

>>夏目 織 さん

読みに来ていただき、ありがとうございます!
嬉しいです(*´▽`*)

ぶ…文書がき…綺麗…!?
そ、そそそそそそんな!!!!

どうしましょう。
テンパってしまいました。
そんな事を言われるとは思わなかったので…^^;

褒め上手な方ですね!


まだまだ駆け出しの作品ですので、もっと進んだらまた読んでいただけると嬉しいです。


更新頑張ります!
夏目さんも頑張ってください!
また読みに行きます!

Re: 紅の空の下 ( No.11 )
日時: 2016/05/09 23:08
名前: こん (ID: Yp5G3QR0)

tomoya's point of view


駅前のハンバーガーショップ。

そこをバイト先として選んだのに、ほとんど深い意味はない。
別に雇ってもらえるところならどこでも良かった。

最低賃金で働けるのはいいと思う。
給料が高いと、頭を余計に使ったり、体力をえらく消費するような仕事を要求されてくるだろう。
そんなのは御免だ。


「おはよーさん。」

ロッカーで制服に着替え、帽子をかぶろうとした時、いくつか隣のロッカーが開いた。
声の主を見ると、彼は手をヒラヒラさせた。

「おはようございます。」

軽く頭を下げ、ロッカーについている鏡を見ながら帽子をかぶる。

「やべーな。遅刻ぎりぎりだ。」

隣でそんな事をぼやきながら支度を始めている。

「先輩、いつもギリっすよね。」

ベンチに腰をかけ、お茶のペットボトルの蓋を回す。

「智也は見た目と違って結構真面目だよな。遅刻、したことないんだろ。」
「見た目と違って、ってそんな俺真面目に見えませんか。」

お茶を喉に流し込む。
先輩はこちらを少し振り向き、シャツの手首のボタンを締めながら俺をジロジロ見る。

「金髪、ピアス、長身、端正な顔ときたら、真面目になんか見えねえだろ。少なくとも、俺がそれだけ持ち合わせてたら真面目になんて生きねえな。」
「なんすか、それ。」

ペットボトルの蓋を締めながら笑う。

7時45分。
バイト開始5分前。

「今日も18時までか?」
「はい。」

立ち上がり、ペットボトルをバッグに入れる。

「その後さ、ファミレスで飯食ってかねえ?」

先輩を見る。
もうすでに帽子をかぶるところまで終わっていた。

「あれ、先輩今日は昼までじゃ。」
「講義、1個しかないからすぐ終わるんだよ。大学の後輩、紹介したげるよ。可愛い子。」

バタン、とロッカーを閉め、ロッカーキーをポケットにしまう。

「大学も行かないプー野郎になんか紹介してどうすんですか。」
「浪人中だって言ってあるし、大丈夫だよ。向こう、すげー乗り気だし。良いだろ。頼むよ。」

軽く拝まれる。
俺が断ったら困るんだろう。
相当押しの強い子なのだろうか。

「先輩の奢りなら考えますけど。」

そう言いながらちらりと先輩の顔を見る。

そんな面倒臭いものに行きたくはない。

俺がそう思っているのを、先輩もわかっているのだろう。
少し考えてから、渋々頷く。

「しゃーねえな。じゃ、ちょっとは爽やかな態度で来いよ。」

俺は適当に返事をして、ドアに向かった。


今日はどのくらい客が来るだろうか。
どの道俺はほとんど作る側だし、客と接する機会なんて少ないのだろうが。

「おはようございます。」

いつもと同じ挨拶をしてキッチンに立つ。

ぴったり、開始時間だ。

社員達や女性スタッフ達も喋るのをそこそこ切り上げ、業務に就いていった。


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