コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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青春の思い出たち〜明るいだけじゃないのが青春〜
日時: 2016/06/16 12:24
名前: 桜木鈴乃 (ID: iV.IyZa1)

 とある穏やかな市内には、三つの中学校が点在していた。進学校と言われていて校風のいい緑ヶ丘中学校、芸術肌の生徒が多く通う花池中学校、面白さはあるが問題児が多いといわれている兎賀中学校。
 それだけならば普通のことだ。だが、それが特別なのは、その三つの中学校に通う生徒たちが、さまざまなきっかけを通して交わり始める。そしてまた、その生徒たちが全員『変わり者』だということ。
 個性的な面々が集った時、彼らは何を想い、どう動くのか——?


 こんにちは、桜木鈴乃と申します。今回本当に真剣に完結させるつもりで、小説を書いていこうと思います。だいたい週に2〜3回更新するかな?不定期ですのでご了承ください。
 作品についてはこれから読み進めていただきたいのですが、最後に一つだけ、この作品のテーマを、と思います。
「変わり者はよく悪く言われ、排除されるけれど、果たして変わり者=悪なのか?もっと言えば、変わり者がいるからこそ常識があるんじゃないのだろうか」
 そんなことを問いかけていくような小説となっております。これを読んでいただいたことをきっかけに、少しでも思うことがあればうれしく思います。

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Re: 青春の思い出たち〜明るいだけじゃないのが青春〜 ( No.3 )
日時: 2016/06/16 12:46
名前: 桜木鈴乃 (ID: iV.IyZa1)

「お前いい加減にしろよ!」
 突然聞こえた怒声。もうそれも聞きなれたはずなのに、私はビクッとして振り向いてしまう。……ただ、少し人と違うだけなのに。また理不尽さで泣きそうになってしまう。もともとこの兎賀小学校は荒れてるらしいけど、ここまでたたかれる必要ってあるの?
 変わり者な私・城宮空乃。少年漫画が大好き。それ以外は別に、勉強も運動もちょっぴり落ちこぼれっていう普通の小学生。なのに、女の子になじめず、男の子にもいじめられ、どこにも居場所なんてなかった。けど、この四つ葉集めっていう新しい遊びは、私を癒してくれた。隠れ家みたいなこの場所も、ついに荒らされるのかな、なんて思いながら振り向いたけど……誰も、私なんて見ちゃいなかった。
 声を荒げたのは、学年で問題児と思われてる悪い男の子たち数人の誰かみたい。少し動いてみると、木の陰に隠れていた場所に、綺麗な男の子と、その子の陰に隠れるようにやっぱり綺麗だけど気の弱そうな男の子がいた。同級生だっていうのはわかったけど、何組の誰かは知らなかった。
「えっ?いい加減にしろって?ふ〜ん。それはそっちじゃないかなぁ。みっともないよ、数人で一人いじめるとか……」
 綺麗な男の子は、見た目に似合わず、とても気の強そうなセリフを口にした。きっと後ろの子をかばってるんだ。そう思うと、私は無性に男の子を応援したくなった。けど、あの人数だし、それにお世辞にも男の子は強そうに見えない。委員長とかはやってそうな感じだけど、けんかなんて……。
「はぁ?うるせぇ!ぶっつぶしてやる!」
「ふふっ……できないこと言うもんじゃないよ」
 そう、ほんの一瞬だった。リーダー格の怖い子が殴りかかった瞬間、男の子がその腕を受け止めて、ひねりあげて、地面にねじ伏せる。その姿に、私は思わずパチパチと拍手を送ってしまう。そんなこととも知らずに、怖い男の子たちはさっさと逃げて行った。
「……なんだ、そこに誰かいたんだ!」
 そして、けんかのあととも思えないさわやかな口調で、男の子が私に歩み寄ってくる。けど、それは今の私には恐怖にしかならなかった。
「きゃぁっ!」
「えっ、あ、ごめん……っていうか、見てたの?」
 私は無言でうなづいた。すると、その子はにっこり笑いかけてくれる。あれ、こんなのいつぶりだろう。誰かに、まともな笑顔を向けられるなんて。
「そっか。あははっ、神夜もぶざまなとこ見られちゃったねぇ〜」
「しかたねぇよ……ありがとな、ユウさん」
 ——けんかが強い男の子と、その友達。それだけのことだったのに、これからかかわっていくなんて、思わなかったよ。

Re: 青春の思い出たち〜明るいだけじゃないのが青春〜 ( No.4 )
日時: 2016/09/29 12:15
名前: 桜木鈴乃 (ID: QLqt9zto)

これからちょっとここ資材置き場にする。ストーリーが大幅に歪むけどすみませんねぇ。
それではまずは本編に関係のある資材置き場にしていきましょうかね。


「おいおい、聞いたかお前ら!美少女の転校生が来るらしいぜ!?」
「お、おぉ!?マジで!?」
 クラスの男子の声掛けに、ハルが即座に反応した。ほんと、可愛い子と美味しいものには弱いんだから、なんて考えながら、僕も話を聞いた。なんでも、超絶美少女クラスの女の子が転校生としてうちの学校、しかも我がクラスへとやって来るらしい。……個人的には、空乃を超える美少女なんていないと思うんだけどね。
「おーい、静かにしろよ。HR始まるぞ」
 相変わらず気の抜けた調子の担任の後ろに、紫の髪を長いツインテールにくくった女の子が佇んでいた。なるほど、確かにきつい顔立ちではあるけど、美少女には違いない。しっかし……ハルは金髪だし、デュークはオッドアイだし、なんだか色素の派手な人たちが集まるなぁ。そういう僕も生まれながらの茶髪でよく誤解された記憶がある。
「えーっと……まぁ男子連中は朝も早よから噂にしてただろうけど、転校生だ。あ〜……そうそう、自己紹介してくれ」
「……キリア・ベイセントです。よろしくお願いします」
 またかっこいい名前の奴が増えた〜、と騒ぐクラスの連中を尻目に、僕はデジャヴを憶える。何がって、ただこうしなければ、という気持ちでのみしたようなお辞儀といい、愛想のなさといい、まるで……デュークが来た時とそっくりだ。
「え〜っと、じゃあキリア、隅っこの席が空いてるからそこ座れ」
「ずるいぞ〜」
「そんなこと言ってる場合じゃねぇだろ」
 教室のざわざわの中でもはっきり聞こえる声でハルが不満を言っても、神夜がすぐに諭す。これがいつもの日常だった。僕もそろそろHRに退屈してきた頃だし、くるりと振り返ってデュークをからかう体勢に入る。
「デューク、あの子いろんな意味で運命の子なんじゃ……」
 からかいの言葉が出てこなかった。いつも顔色ひとつ変えないデュークが、何かに恐れていた。空乃が「どうしたの?」と覗き込んでも答えなかった。ただ、うわごとのように「刺客だ……ついにこの時が……」とつぶやいていただけだった。

Re: 青春の思い出たち〜明るいだけじゃないのが青春〜 ( No.5 )
日時: 2016/09/29 12:27
名前: 桜木鈴乃 (ID: QLqt9zto)

 夕方の公園は、いつもと違って重苦しかった。いつもなら可愛らしく思える、風に揺れるブランコですら、まるで恐怖におののいているかのように見えた。
 デュークは、公園に僕たちを呼び出して、全てを話してくれた。自分が半分人外であるということも、もとは世界を終わらせるために自分たちの世界から送られた敵兵だったということも、そしてキリアはデュークたちの世界の姫に当たる存在で、任務を終えないデュークを始末しに来た……そんなことすら話してくれた。
「ずっと黙っていて悪かった。だが、俺がそれほどまでに奇怪で不気味な存在だと知ったら、お前たちが離れていくかもしれない。それが怖かったんだ」
「そんなことないよ。人外でも、そうじゃなくても、デューくんが大事な友達なことは変わらないもん!」
 空乃が優しく声をかけて、重苦しい雰囲気を少しやわらげてくれた。けど、問題はここからだ。周りに怪しまれることなくデュークを守るにはどうしたらいいのか。それがわからなかった。僕が追い払うことは簡単だけど、それをもし見られでもしたら……。思考の渦にそれぞれが飲まれて、また重苦しい雰囲気が戻ってきてしまう。
「なぁ、思ったんだけど」
 そんな中、突如神夜が口を開いた。みんなすがるような目で神夜を見る。どれほど小さいことでもいい。何か、デュークを守ることにつながればいい。
「……少し危険な方法かもしれないけど、こっちには動ける奴が二人もいるんだ。問題ないだろ。デューク、お前、囮になれねぇか」
「ちょ、ちょっと拓魅!まずいって!守る方法考えてんだろ!?」
 珍しく四次元袋にすら手を出していないハルが、立ち上がって怒鳴る。僕も正直驚いてしまった。もし失敗してしまったら……けど、そんな思考はもはや神夜の中にはないように見えた。
「いや、いいんだ。だが、どうすればいいんだ?何の考えもなしにそれでは、さすがに危ない」
「もちろん考えてるぜ。絶対にデュークを守って、それでいてベイセントを倒せる方法」
 沈黙の流れた公園。それはもう、夕暮れの紫色に包まれつつあった。

Re: 青春の思い出たち〜明るいだけじゃないのが青春〜 ( No.6 )
日時: 2016/09/29 12:40
名前: 桜木鈴乃 (ID: QLqt9zto)

「どうやらその計画には僕の運動神経がいるみたいだね?」
 うぬぼれとは思うけど、もし戦うなら僕が一番優れている、なんて思ってる。だから僕は冗談めかして神夜に尋ねた。それに、デュークを守ることに加担したかった。友達として、当然。
「あぁ。ユウさん、頼んだぜ。……まず、デュークがここに一人でいる風に見せるんだ。俺たちは後ろに隠れてる。それでベイセントとかいう奴がきたら、デュークがやられる前に晴斗とユウさんが押さえつけてくれねぇか」
 そこからは神夜の説明と、僕たちの改善案によって、最高の作戦が作り上げられた。デュークも敵兵として送られてきたくらいだから、戦術の心得もあるらしい。そうして僕たちの人生最大のミッションが出来上がった頃には、もう公園は闇に包まれていた。
「お前たち、気をつけろよ。あちらには武器もある。いくら俺が兵士だったとして、俺たちの世界では貴族こそが戦いの最先端だ。俺を助けるために無茶するくらいなら……おとなしく始末されておく」
「そんなのダメだぜ!デュークは、オレたちの友達なんだ!だから、何があってもぜってー守ってやるからな」
 飾った言葉なんていらなかった。ハルが力強く言った後、僕たちは瞳で約束を交わした。大変なことでも、きっと絆に変えてみせる。そんな約束だった。みんながそう思っているような、そんな空気が流れた。僕は傷ついても構わなかった。それよりも、不条理な捨て駒扱いに対してとても気分が悪い。僕はきっと、代わりに命だって投げ出してしまうだろう。
「貴方たちですか?出来損ないの兵士によからぬ入れ知恵をしてくださったのは」
 ……時が止まったように感じた。キリアは、僕たちがいるにもかかわらず、大胆に勝負を挑んできたのだった。剣を携えたキリアには、もはや可愛らしい学生の面影はなく、すっかり大人の女性で、それでいて位のある剣士、そんな雰囲気を纏っていた。

Re: 青春の思い出たち〜明るいだけじゃないのが青春〜 ( No.7 )
日時: 2016/09/29 12:44
名前: 桜木鈴乃 (ID: QLqt9zto)

「……貴方たちは何もしなくていいのです。ただ、その出来損ないの始末の邪魔さえしなければ」
「出来損ないってなんだよ!オレたちの友達をものみたいに扱いやがって!」
「貴方には関係のないことです。それとも……くだらない同盟のために、私と勝負をするというのですか?愚かな選択ですが……その道を与えましょう」
 キリアは言い終わらないうちに、ハルを殴り飛ばした。それは、僕の導火線に火をつけるのに、実に簡単な現象だった。正義を掲げた友達が、不条理に傷つけられる。それはもう許せないことだった。
「愚かなのは君の方だよ」
「きゃっ!?」

途中なのです


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