コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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青春の思い出たち〜明るいだけじゃないのが青春〜
日時: 2016/06/16 12:24
名前: 桜木鈴乃 (ID: iV.IyZa1)

 とある穏やかな市内には、三つの中学校が点在していた。進学校と言われていて校風のいい緑ヶ丘中学校、芸術肌の生徒が多く通う花池中学校、面白さはあるが問題児が多いといわれている兎賀中学校。
 それだけならば普通のことだ。だが、それが特別なのは、その三つの中学校に通う生徒たちが、さまざまなきっかけを通して交わり始める。そしてまた、その生徒たちが全員『変わり者』だということ。
 個性的な面々が集った時、彼らは何を想い、どう動くのか——?


 こんにちは、桜木鈴乃と申します。今回本当に真剣に完結させるつもりで、小説を書いていこうと思います。だいたい週に2〜3回更新するかな?不定期ですのでご了承ください。
 作品についてはこれから読み進めていただきたいのですが、最後に一つだけ、この作品のテーマを、と思います。
「変わり者はよく悪く言われ、排除されるけれど、果たして変わり者=悪なのか?もっと言えば、変わり者がいるからこそ常識があるんじゃないのだろうか」
 そんなことを問いかけていくような小説となっております。これを読んでいただいたことをきっかけに、少しでも思うことがあればうれしく思います。

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Re: 青春の思い出たち〜明るいだけじゃないのが青春〜 ( No.1 )
日時: 2016/06/16 12:27
名前: 桜木鈴乃 (ID: iV.IyZa1)

 受け入れることなんてできるはずもなかった。こんなの夢だって、何度も言い聞かせても、事実は変わることはなかった。毎日きれいだなって眺めていた夕焼けすら歪んで見える。周りの視線だって、いつもより痛くて仕方がない。あぁ、私もうひとりぼっちなんだな、って、痛い現実を直視してしまう。そうして支えのなくなった私を、周りはもっとよってたかっていじめるんだ。ならもう私——学校という名の『監獄』に行かないでおこうか。

Re: 青春の思い出たち〜明るいだけじゃないのが青春〜 ( No.2 )
日時: 2016/06/16 12:36
名前: 桜木鈴乃 (ID: iV.IyZa1)

「えっ、じゃあ今日はもう帰らないの?」
「そんなことはないと思うわよ。でも、私たち寝てからになるかもしれないわ」
 私が驚いて尋ねると、智子さんはなれた手つきでエプロンを外しながら答えてくれた。
 今日は家に帰ってくると騒々しかった。というのも、私・黒羽亜歌李が通っている緑ヶ丘小学校のお隣、花池小学校で、事件が起こったらしく、ローカルなニュースでそのことばっかり取り上げられていた。しかも花池小学校には私の叔母さんにあたる優子さんが保健の先生として勤めていて、事件のせいで優子さんの帰りは遅くなっていた。
「ならごはんは先にいただかないと仕方ないですね」
 私のお母さんもそういった。いつもだいたいはみんながそろうのを待っている我が家も、到底優子さんの帰りは待てそうになかった。
 私の家はちょっと複雑だ。今はそばにいてくれているお母さんは、お父さんと私を置いて家を出て行ってしまったらしい。それで困っていたお父さんを救ってくれたのが、今ごはんの支度をしている智子さんと、その旦那さんの沢見さんだ。二人で住んでいた大豪邸に私たちが移り住むと、あれよあれよといろんな出来事が起こり、今は10人で生活している。といっても、豪邸だから狭くはないけど。
 現状、もともと同じ会社に勤めていた沢見さんと私のお父さん、そして優子さんが我が家の家計を支えてくれていた。
「あら、ちょうどお父さんたち帰ってきたみたい」
 智子さんが玄関へ顔を向けていった。ちなみにここでいうお父さんとは、私の、じゃなくて沢見さんのこと。他人と住んでいるといえど、小学校に上がる直前に一緒に暮らし始めた私にとっては、もはやお隣のおじさんおばさん以上に親しい人たちだった。
「ただいま。あれ、優子ちゃんはまだか?」
「あら、お父さん知らないの?今日あったじゃない、事件」
「そうでしたね。確か……いや、積もる話はあとにしましょうか」
 お父さんは私と二人の妹、それに従妹を見て、口ごもった。一番年上の私ですら小学4年生で、もっと小さい妹たちはわからないから、ということなのかな?とにかく食事が運ばれてきて、私たちは席に着いた。
「みんなはいつも通り過ごしてくれたらいいわ。私は優子さんが帰ってきたらごはんの支度するわね」
 はーい、という妹たちの声が響き、徐々に食卓も明るくなってくる。けど、私は知らなかった。あんな悲しい事件を、自分が目の当たりにするなんて。


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