コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- ビスケット便利屋__二人のアイドルは。__
- 日時: 2016/07/11 20:55
- 名前: ミカズキ ◆Vt/gXKM8AI (ID: StvfWq.v)
__僕の友達は、ちょっと変わっている。
…いや、ちょっとどころではないかもしれない。
なんせ、とんでもない暴君で口癖は「この世に科学で説明出来ないことはないの。分かる?東くん。」。
しかも東くんってところで決まって僕をひどく睨むんだ。
ホントに__まったく、ひどいやつなんだよ。
…まあいい。あいつ自身のことはどうだっていいんだ。
だって、中学2年生の夏まで、僕らは特別親しいわけじゃなかったんだし。
__そう、あの日までは。
あいつがキラキラした目で、「すごい面白いこと思いついたの!」と僕の机をバンバン叩いたあの日から、少しだけ僕の日常は変化したんだ。
*
初めましての方ははじめまして。
ミカズキといいます。
今回、中学生が主人公の物語を書きたいと思います。どうぞ宜しくお願いしますm(_ _)m
《目次》
#登場人物 >>1
#僕と5人の仲間たち。 >>2 >>3 >>4 >>5 >>6
《お客様》
湯呑ゆざめ様 #とても素敵な青春小説を書いてらっしゃいます!
すごく律儀なお方です…!
Page:1 2
- Re: ビスケット便利屋__何でもお申し付け下さいまし!__ ( No.4 )
- 日時: 2016/06/29 23:02
- 名前: ミカズキ ◆Vt/gXKM8AI (ID: StvfWq.v)
真っ先に口を開いたのは、桃瀬じゃなかった。
ずっとぼーっとしながら髪の毛をいじっていた女子の1人が、急に喋り出した。
「それもそうね__こんな狭い玄関に6人もいるんだもの、当たり前よ」
それに、身長の低い男子がキャンキャン吠えて噛み付く。
「別にここの家の玄関は狭くないだろ」
「あら、なんで怒ってるの?私、怒りっぽい人嫌い」
でも、その女子は涼しい顔で言い返す。
おっとりしているような顔をして、本当は気が強い奴なのかもしれない。
一方で噛み付いた小さい奴は、顔を真っ赤にして何か言いたげだ。
キレやすい奴なんだろう。
もう1人の女子は申し訳なさそうに縮こまっていて、もう1人の背の高い癖毛の男子は眠そうにアクビをしている。
それで桃瀬は__
…いない。
……まさか、勝手に部屋に上がってるんじゃあるまいな。
「…えーと、桃瀬どこ行った?」
「ああ、桃瀬さんならさっき階段を上がっていったけど」
「…そっか」
…やっぱりな。
答えてくれたのっぽくんはまたアクビしているし、小さい男子とあの女子は喧嘩をしているし、もうひとりはそれをなだめている。
思わずため息をつきそうになるのを堪えて、4人を自分の部屋まで案内する。
部屋のドアを開けると、ずっと前からここは私の部屋ですよ、とでも言いたげな顔をして桃瀬が寛いでいた。
それで僕達に気付くと、「あぁ__遅かったわね。座って?」。
ここは僕の部屋だぞ。
まあとりあえず座布団の上に座った。
「とりあえず、自己紹介しましょうか。これから一緒にお仕事する仲間なんですからね。
まあ知ってるとは思うんだけど、私は桃瀬咲。よろしく
はい次、胡桃」
桃瀬は目をキラキラさせて仕切っている。
色々訊きたいことはあるが、しばらく好きにさせておこうと何も言わないことにする。
次に、ずっと縮こまっていたあの子が口を開いた。
「えっと、私は松本胡桃です。よろしくお願いします」
「はい、次」
次は、背の低い男子が立ち上がった。
「俺は綾瀬拓海。一応器械体操習ってる」
さっきの喧嘩をまだ引きずっているのか、ふくれっ面をして、あの喧嘩相手を睨みつけている。
「ええと、次は私?」
相変わらず涼し気な顔でその女子は髪の毛をかきあげた。
まるで綾瀬のことなんて眼中に無いように。
「私は槇琴音。よろしくおねがいしまーす」
「はい。僕は中澤秋。食べることが好きかな」
続けてのっぽくんが自己紹介。
「えっと、僕は東。東太陽っていいます」
僕も簡潔に自己紹介を済ませた。
それを待ちかねていたように間髪入れず、中澤くんが桃瀬に尋ねた。
「ねぇ、多分僕だけじゃないと思うんだけど、僕ら何も聞かされないまま連れてこられたんだ。
何か僕らに用?」
「そうよ、咲。私達何も聞いてない」
続いて松本さんも。
桃瀬は首を傾げたあと、
「ああ、そういえば言ってなかったっけ。
私、貴方達と便利屋がしたいの」
「便利屋ァ!? 意味わかんねーよ、そんな__」
「…それにしても、何で僕達なんだい?
僕達、クラスも違うし性格も全然違うだろ」
綾瀬くんが騒ぎかけるのを制して、中澤くんが穏やかに言った。
今の桃瀬に何を言っても無駄だと察したんだろう。
なるほど、中澤くんは穏やかな性格みたいだ。
「別に、考えなしじゃないの。
私は、真剣にみんなとお仕事したいの。だから、ちゃんと考えてメンバーは選んだわ。
まず、東くん。東くんは頭がいいでしょ。だから頭脳要員。
それで、綾瀬。綾瀬は器械体操を習っていて運動神経抜群。で、運動要員。
中澤くんは、力が強い。だから、力仕事要員。
胡桃は礼儀正しいし、大人からの評判がいいわ。だから、対人要員。
で、琴音は家がお金持ち。だから、財力要員」
桃瀬は一人一人指さして説明をした。
みんな神妙な顔して頷いたが、1人槇さんだけが
「…まあ、財力ですって?なによそれ、私だけ褒めてないじゃない」
と不服そうな顔をしている。
そりゃそうだ。
だけど桃瀬にはどうせそんなこと分からないから、勘弁してやってほしい。
- Re: ビスケット便利屋__何でもお申し付け下さいまし!__ ( No.5 )
- 日時: 2016/06/29 22:59
- 名前: ミカズキ ◆Vt/gXKM8AI (ID: StvfWq.v)
「…で、咲?それはそうとして、どうしていきなりそんなこと思いついたの?」
仕切り直すように松本さんが桃瀬に訊く。
「そんなの…お金が欲しいからに決まってるでしょ。
私、ノートパソコンが欲しいのよね」
桃瀬は少しだけ言いよどんで言った。
「で?みんな協力してくれるわよね?」
が、その後間髪入れず僕らを睨みつけた。
その迫力に押されて、僕らは思わず頷いてしまった。
まあ、みんなお小遣いは欲しいだろうし、こんな中学生に大層な仕事を任せる人なんていないだろう。
だから、別にくってかかるつもりはないけどね。
「じゃあ、決まり!実はね、便利屋の名前も決めてあるの!」
「へええ!なになに!?」
「『ビスケット便利屋』。どう?」
「ダッサ!なんだそれ!?」
綾瀬が思い切り顔をしかめる。
確かになんだよビスケットって。
絶対適当に決めただろ…
「うるさい!どうでもいいでしょ?」
桃瀬はムキになり、顔を真っ赤にして言い返している。
そのとき、ずっと持ってきた雑誌を読んでいた槇が、ふと顔を上げた。
「えっ、ねぇねぇ何が決まったの?全然聞いてなかった!」
「大丈夫よ槇さん。大したことじゃなかったから」
松本さんがなだめて、みんなで笑ったところで、その日はお開きとなった。
*
それから、学校で宣伝したり、宣伝の張り紙をしたり、細々と活動をした。
もっとも、真面目にやっていたのは僕と咲と胡桃と秋で、拓海と琴音はサボってばかりだったが。
ああ、そうそう、なんやかんやで僕らは名前で呼び合うことになったのだ。
ある日、咲が『苗字呼びってなんだか仲間って感じしないでしょ。仮にも同じ便利屋の仲間なんだから』と言い出したから。
最初こそ抵抗はあったが、みんなが普通に呼んでくるのでいつの間にか定着してしまった。
で、僕らの努力は実を結び、少しずつではあるが仕事が来るようになった。
…まあ、子守だったり、迷い猫探しだったり、学校の資料のとじ込みであったり、雑用だらけだけど。
当たり前だけど、そんなにお金だってもらえない。
でも、優しい胡桃、活発な拓海、穏やかな秋、少し抜けている琴音、そして自己中心的な咲。
みんなと仕事をするのは、いらいらするときはあるけどとても楽しい。
…他のみんなはどう思ってるかしらないけど、さ。
*
そして、夏休みになった。
器械体操を習っている拓海以外は、夏休みといっても特にやることもないので、毎日のように僕の部屋でだらけている。
別に僕の両親は共働きだし、いいんだけどさ…
で、今日は拓海と桃瀬以外の3人が僕の部屋にいる。
とはいっても、今は特に仕事もなく、暇だ。
みんな思い思いにダラダラしている。
「えーっ!? ねえみんな聞いて!!」
「なんだい琴音! …びっくりするだろ」
ずっと秋に寄りかかって雑誌を読んでいた琴音が、素っ頓狂な声を上げた。
可哀想に、一番近くにいた秋が珍しく声を荒らげてビックリしている。
が、まだ琴音は興奮したようにまくし立てている。
「わーっ、あーもう信じらんない!!琴音、あの子絶対売れないと思ってたのに!!」
「どういうこと?」
「あのね__月野ウサギと、夏目杏奈の2人で今度の月9の主役になったんですって。
あの月野ウサギと、あの夏目杏奈が、よ!?
ありえないでしょ…!?」
月野ウサギと…夏目杏奈?
月野ウサギなら知っている。
今大人気の女優で、今TVをつければ大体彼女の顔がドアップになってるからね。
でも__
「夏目杏奈?だあれそれ」
「僕も知らない」
胡桃が首を傾げたので、僕も便乗。
夏目杏奈って誰?聞いたこともない。
琴音は大きな目を三角にして喚いた。
「まあ、知らなくて当然よ。だって、全然売れてない女優なんだもの!!」
「へぇ…で、そのウサギちゃんと杏奈ちゃんがドラマの主役になったのね?」
「そうなの、ホントありえない!だって夏目杏奈って言ったらホントに冴えない人なんだから!顔色が悪くって、目が小さくて__そりゃあ、演技はピカイチかもしれないけど…」
「まあまあ、落ち着いてよ。もしかしたらその演技力をかわれたのかもしれないでしょ」
僕は琴音が投げ出した雑誌を眺めた。
なるほど、琴音が騒ぐのも分かる気がする。
その女優は、とても美人とはいえなかった。
なんだかパッとしなくて、月野ウサギと並ぶと少し可哀想なくらいに。
「へぇ、『月野ウサギが猛プッシュ、今話題の夏目杏奈』?」
いつの間にかその雑誌を覗き込んでいた秋が呟いた。
全然気づかなかったから若干動揺したけど、平然と答える。
「そうみたいだね。とにかく月野ウサギサイドが推したって__」
「なんでだろうね?」
「演技力をかったんじゃないの?ほら、胡桃も言ってたろ」
肩を竦めるが、秋は納得していないようだった。
と、突然ドアが開いた。
あんまり開け方が荒かったので、琴音と胡桃がきゃあと悲鳴をあげる。
「ねぇ__聞いて!いい仕事が見つかったの!」
__息を切らした咲が、どかどかと部屋に入ってきた。
- Re: ビスケット便利屋__何でもお申し付け下さいまし!__ ( No.6 )
- 日時: 2016/07/08 19:27
- 名前: ミカズキ (ID: StvfWq.v)
- 参照: http://固定ハン無くしました
それを聞いて、真っ先に琴音が不満をあげた。
「えええ、仕事ぉ!?もういいわよぉ、どうせまた雑用なんでしょ、ざ、つ、よ、う!!」
「雑用?とんでもない!! これはいい仕事よ!」
咲が胸を張って、興奮したようにまくし立てた。
「__写真の個展の、受付係!!
しかも、お駄賃もかなり貰えるわよ!!」
「…え〜…少し怪しくない?その話」
「大丈夫よ! その個展の出展者の人と電話で話したけどね、すごく良い人そうだったし。
まだ売れてない写真家で、きちんとした人を雇う余裕がないんですって。
__でも、私達には充分すぎるくらいの額はくれるわ」
咲は不安げな声を上げた胡桃にそう言った。
そして、手に持っていたメモを僕らに見せる。
そこには、僕らのお小遣い何ヶ月分か、というような金額が書かれていた。
胡桃は、まぁ、と小さく声を漏らす。
「私、やる!受付係でしょ?
ニコニコして立ってれば終わりだもんね?」
「僕もやる。こんな額、なかなか貰えないからね」
早速、胡桃と、ずっと考えてた様子だった秋が食いつく。
__僕はというと、うだうだと迷っていた。
…だって、怪しいじゃないか。
こんな無名の僕達に、受付係なんて普通任せる?
いくらお金が無いにしろ、おかしくないか…?
しかも受付係っていったらそれで個展の印象が決まったりもしちゃうじゃないか!
…その人、ちょっと頭が軽いか、なにか企んでるんじゃないの…?
「…ねぇぇ、太陽はどうする?
私ぃ、写真とか興味無いのよね…」
琴音がつんつんと僕の腕をつつく。
どうやら彼女も決めかねているようだ。
…もっとも、琴音は危ないんじゃないかなんて1ミリも考えてないだろうけど。
仕事がしたくないだけだろう。
「ねぇ、琴音?
安藤さんはね、できれば私たち全員に来て欲しいって言ってたわ。
だから、やりたくないなんて言わないわよね?」
「…はぁい」
……ほらね。
咲が強く言ったらすぐ折れる。
「…で、太陽は?モチロン、NOとなんて言わせないけど」
「……うん…」
まあ僕も、咲に歯向かえやしないけど。
…あーあ、結局咲の思い通りになっちゃうんだから参っちゃうよな。
ああ、僕はみんなで雑用を出来ていれば満足だったのに。
無事に終われば、いいんだけとなぁ…
- Re: ビスケット便利屋__二人のアイドルは。__ ( No.7 )
- 日時: 2016/07/09 08:14
- 名前: 湯呑ゆざめ (ID: ybb2RaRu)
おはようございます〜先日はコメント有難うございました!
綺麗な文章、その言葉を目指してたのでむちゃくちゃ嬉し((黙れ
ぜひぜひ、またよければ読んでくださいねリクなども下さると嬉しいです〜まだ私も執筆を初めて四か月なので(汗)至らぬとこもありますが。
ミカヅキさんの小説も楽しみにしていますっ!桃瀬ちゃんんかわい((殴
とゆーわけで、お互いがんばりましょ!(^^)!
ゆのみゆざめ ☆ message⇒ 星屑の夜に素敵な淡い初恋を。
- Re: ビスケット便利屋__二人のアイドルは。__ ( No.8 )
- 日時: 2016/07/11 19:08
- 名前: ミカズキ (ID: StvfWq.v)
湯呑ゆざめ様»わざわざありがとうございますヽ(*´∀`)ノ
えっ、まだ初めて4ヶ月…!?
てっきりずっと物書きだった方かと思ってました。
湯呑ゆざめさんの小説も、楽しみにしています(*ˊᵕˋ*)
更新頑張って下さい!
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