コメディ・ライト小説(新)
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- 君からの手紙『コメント募集中です(*´Д`)』
- 日時: 2017/11/12 11:17
- 名前: ましゅ ◆um86M6N5/c (ID: QYM4d7FG)
- 参照: 第1章は修学旅行編です。
※10/22、タイトル変更しました。
こんにちはこんばんはましゅです。初めましての方は初めまして。
「君との出会いは本屋さん」の方がメインのため更新遅めだと思いますがご了承ください。
私の普段の小説よりかはシリアス展開は少なめ…だと思います。またタイトルは仮なので急に変わります。
なお作者は誤字脱字が多いです。発見したら教えていただけるとありがたいです…<(_ _*)>
色々踏まえてokな方は読んでみてください!
**Episode**
*character…>>2
*prologue…>>4
『第1章』
>>5-6>>9>>11>>14-16>>19>>22-27>>30-32
**お客様**
・四季さん
・てるてる522さん
・モズさん
- Re: 君からの手紙『コメント募集中です(*´Д`)』 ( No.35 )
- 日時: 2017/11/20 18:31
- 名前: ましゅ ◆um86M6N5/c (ID: QYM4d7FG)
第19話:遊園地へ…。
もうそろそろ消灯ですよ、という先生の声が聞こえたが私たちは主に恋バナで盛り上がっているため全く気付いていなかった。いつの間にか23時になったのか、先生が急に扉を開けて早く寝なさいと言いながら強制的に電気を消した。
全くもう、高校生の心理が分かっていない先生だな……。
うるさくしすぎない程度に夜も喋るつもりだから消灯されたくらいどうってことないけれど。
「唯乃と彼氏はかなりラブラブっぽいけど、手繋いだこととかある?」
「え……!?手は…ある……」
「ひゅーひゅー」
恵里が自分から聞いておいて明らかな棒読みで言う。そうか、唯乃たちは溺愛カップルなんだな。覚えておこう。
もうこれで私には話し回ってこないはず、と思いこんで居ると――
「じゃあ次は琉香ちゃんね!琉香ちゃんの話」
「繋いだ?もう」
「ない。まだ付き合って1ヶ月弱だし、あるわけない」
「えっ?無いの?」
すっかり繋いだことあると思っていたのか、かなが素っ頓狂な声を上げた。あるわけない。大して仲が特別良いわけでもなく、付き合ったと言ってもまだ1ヶ月弱の男の子と。
それに私は恋愛経験には疎いのだ。あるわけない。
……私の中ではまだ、手を繋ぎたいという感情があるわけではない。おそらく。
「……琉香ちゃんの話は、もう少し進展してからの方がよさそう?」
「進展してからの方が恥ずい!何も聞かないでよ!」
「あ、先生に聞こえちゃうよ~……」
6人全員でしー……と言いながらサッと寝たふりをする。どうやら先生が入ってくる気配はない。同時にため息をついてもう一度語り始めた。
○*
「――6時~!起きて!」
2日目は自由行動だ。私たちは遊園地へ行こうという話になった。
遊園地の開園時間はどうやら7時半かららしく、一番乗りしようと。寒いのに……何もこんなに頑張らなくても。
かといって楽しみなのは事実だから、恵里の鋭い声で起きる。
「雪!早くー!……食べ物が待ってるよ!」
「……ん……ハンバーグ……?」
雪は食べ物の名前を沢山呟きながらやっと起きた。
ここのホテルには食堂のような店があるので、全員が着替えた後、そこへ向かうことにした。
「――雪の……ごはんの量が……」
注文が終わり、10分程度待っていると呼び出しをもらった。それぞれ頼んだものを取りに行ったのだが、明らかに雪の量が異常だ。ごはんは大盛りなうえ、ハンバーグやサラダ、スープ、そして炭酸飲料。女子が朝ご飯に食べるメニューではない、これは私たちの夜ごはんの量だ。
私と比べると軽く3倍はある。
「「「いただきまーす!」」」
空いていた席にまで料理を持っていって食べる。名前は聞いたことのない店だったがかなり美味しく、朝ご飯には勿体ないくらいだった。正直お昼も個々で食べたいくらいなのだが、お昼は遊園地内の食堂があるらしいのでそこで食べる予定。
私が食べ終わるまであと少し、というところで雪の方を見てみると、さすが大食いの彼女はもう食べ終わっていた。すごいを通り越してやばい。
人それぞれ……それでは形容できないほど。
「さー!遊園地に行くよ~!!」
今日の自由行動は就寝するときの班、明日の自由行動は女子男子合わせたあの班だ。とりあえず、どちらも凄く楽しみだった。
- Re: 君からの手紙『コメント募集中です(*´Д`)』 ( No.36 )
- 日時: 2017/12/17 10:33
- 名前: ましゅ ◆um86M6N5/c (ID: QYM4d7FG)
第20話:観覧車。
「何人様ですか?」
「6人でーす!」
「ではこちらへどうぞ」
入園し、私たちは早速観覧車に乗ることにした。受け付け担当の女性がいかにも営業スマイルを浮かべて私たちを案内してくれる。
観覧車は丁度6人乗りだったようで、私たちは全員乗ることが出来る。
「来た!来たー!」
いつでもテンションの高い唯乃がピョンピョン跳ねながら観覧車が来たと連呼する。そんなに言わなくても来たことくらい分かっているのに。
まぁ、遊園地……テンションが上がってしまうのも当然だろう、と私は突っ込まず受け流しておいた。
私たちが乗る観覧車は、足下が透明のガラスになっていて下が見える、という構造の観覧車だった。
これ、高所恐怖症には絶対だめなやつじゃん……。
「お~、下見える!」
「……観覧車内って飲食禁止?」
「においが残るから止めといた方が……」
いつでも食べることしか考えていない雪を私がたしなめると、「じゃあ下りたらいっぱい食べよ」と呟いて外を見ていた。
「そういえば……皆の今日の私服、すっごい可愛いよね!」
雪の発言から少しだけ静かになった観覧車内をかなが盛り上げようと私服の話を出す。女子は大体こういう話が好きなのだろうか――私はそれほど好きではなく、マネキンで直観的に可愛いかなと思った服をそのまま買うだけなのだが。
けれど、スクールカーストは怖い。嫌いな話でも好きだと仮定して話をされるから。
別に無理をするわけではないのだが、私も好きだという体で話を聞くことにした。
「かなちゃんの服も可愛いじゃん!かなちゃんってパステルカラーも似合いそうだからいいなぁ~」
「唯乃ちゃんも似合うと思うよ?」
どうやら唯乃もこういう系の話が好きそうらしく、かなと馬が合っている。また、恵里も割とその話を真剣に聞いていた。一方、服の話にあまり興味がない私、琴葉、雪は。
「ハンバーグ……」
「ハンバーグって美味しいですよね、私も好きですよ」
「ほんと?琴葉とは食の話が合いそう…」
「13世紀頃の生肉料理を原型としていて18世紀頃からアメリカにもたらされたハンバーグステーキが日本で一般に認識されたのは大正あたり―――」
「ごめん。食って歴史の話じゃない」
「――あれ?違いましたか…」
琴葉はどうやら食に関する雑学が好きなようだ。雪が若干引いている。というか、私も引いた。
「すごいね、琴葉って……色々知ってるんだ」
「そんな、私なんてたいしたことないですよ……?和食のことは母親からたたき込まれたので、最近は外国から日本に来た料理を勉強しています。料理好きなので…」
「じゃあ今度作って…」
「あ、もちろん!色々な人からの意見をお聞きしたいです」
雪と琴葉の「食」には若干のズレがあるようだが、こちらはこちらで仲良く出来そうな雰囲気だった。
…そういえば、私は何か趣味の合う人っているのかな……?
音楽関係は得意だけど、この6人の中では誰か音楽が好きな人はいるのだろうか。
- Re: 君からの手紙『コメント募集中です(*´Д`)』 ( No.37 )
- 日時: 2018/01/03 22:24
- 名前: ましゅ ◆um86M6N5/c (ID: QYM4d7FG)
第21話
「ねぇ、誰かなんかの楽器弾ける子って居る?」
私はそれぞれが違う話題で盛り上がり始めたところに、全く関係ない話題をぶち込むことにした。案の定皆が不思議そうな顔で私の方を見た。けれど視線に恥ずかしくなったりはしない、もう一度「誰か居る?」と問いかけてみた。
「……私は……和楽器とかなら弾けますが……」
「琴葉はブレないね……ってことはお琴とか弾けんの?」
「はい、他にも尺八とかも弾けます……。ですがピアノとかは全く弾けませんね。琉香さんは何か弾ける楽器があるんですか?」
「私はバイオリンかなー」
「え!?琉香ちゃんすごっ!」
どうやら皆の反応を見る限り、和楽器は置いておいて……楽器を弾ける子は居ないようだ。やっぱり私、あまり皆とは趣味が合わないのかなと思うと少し悲しくなってしまった。
「……私、中学の時吹奏楽だったから……トランペットなら吹ける」
私が完全に落ち込んでいると、雪がそう言った。……雪がトランペットを吹いている姿、誰か想像できるだろうか。
トランペットを食べているような光景しか想像できない。
「…………」
「トランペットは食べない、さすがの私も」
無意識のうちにそう考えると笑いがこぼれてしまったのか。そして私が何を考えているか分かりやすかったのか、雪が私の様子を見て言った。
「いやだって……想像できるんだもん、雪なら……って」
「金管楽器は美味しくない」
「……え、食べたことあるの?」
雪はさぁね、と言って意味深な笑みを浮かべた。その言葉に観覧車内に居る全員が目を見開いて雪の方を見る。けれど雪は楽しそうな笑みを浮かべて皆を見つめ返すだけだった。
……新しく出会った3人は、あまりにも個性が強すぎる。
○*
話し込むこと20分間、観覧車が一周し、私たちは名残惜しさもあったけれど降りた。色々なことを発見できた20分間だった。
それから私たちは遊園地の醍醐味、ジェットコースターに乗ることにした。
「ジェットコースター……結構長いね!楽しみ~」
「私乗るの初めてなんですけど……怖いです」
「初めてだったらちょっと怖いかもね~」
「え………」
琴葉は若干青ざめているようだが、私含めた5人は楽しみという感情で満ちあふれていた。……雪はよく分からないが、「怖い」とか「嫌だ」と言っていない辺り少しは楽しみなのだろう。
「こんにちは!6名様ですね、こちらへどうぞ!」
観覧車の受付の人に案内され、私たちはそれぞれ席に座った。準備をして私たちは出発するまで隣の子と話していた。ちなみに私の隣は雪。「早くハンバーグ食べたい」とぶつぶつ呟いていて、なんだか話しかけられる雰囲気ではなく……私はそっとして置いた。
「では!出発いたします~!」
出発の合図なのか、ピーという機械音が鳴ってジェットコースターは出発した。
- Re: 君からの手紙『コメント募集中です(*´Д`)』 ( No.38 )
- 日時: 2018/01/03 22:23
- 名前: ましゅ ◆um86M6N5/c (ID: QYM4d7FG)
第22話
「え……あの高さから落ちるんですか…?」
「そーだよー!琴葉ちゃんってほんと…私たちとは全然違う世界で住んできたみたいだよね!」
「………そうじゃなかったら良かったんですがね」
最後に琴葉のそんな呟きが空気に混ざり、ジェットコースターに乗っている人たちから発せられる歓声。……と、悲鳴。そして恐ろしすぎて無言になっている人たち。
「「きゃーっ!」」
隣をチラリと見ると、雪は珍しく面白そうな顔をしていた。叫ばずとも、「わー」とは言っている。若干棒読みなところは放っておいて。
琴葉以外は結構楽しんでいるようだ。
「…………っ……」
彼女は、必死に何かに耐えているようだった。吹いてくる風だろうか、とりあえず耐えない恐怖にだろうか……。結構面白い光景だ。
私はジェットコースターは得意なので、あえて叫んだり興奮したりせずに皆の様子を見ていると意外と楽しいもの。皆それぞれで反応が違うから。
一人一人の絶叫が木霊して、ジェットコースターは終わりを迎えた――。
「――お疲れ様でしたー!お出口はこちらになります!」
颯爽と降りて退場していく人、怖さでしばらく動けなくなっている人。琴葉だけは後者だった。
「…………」
最早絶望、という表情だった。腕や肩に全く力が無くて、出口を案内するお姉さんが心配してやって来た。
「だ、大丈夫ですか!?あの、立てますか!?」
「大丈夫です!私たちで何とかしますよ」
私とかなで琴葉の両脇を持ち上げ何とか抱え上げる。私たちは速やかに出口まで向かい、とりあえず空気を吸ってもらうことにした。こんなことになるのなら待ってもらった方が良かったかな、と今更ながら罪悪感が生まれてくる。
「琴葉……大丈夫?おやつ食べる?」
「……け、結構です……そんな気分ではありませんし……すぐに立ち直ります……すみません……」
若干ずれた雪の言葉に琴葉が申し訳なさそうに謝ってくるが、本当に立ち直れるか心配だ。近くにベンチがあったため、琴葉をとりあえずそこへ座らせることにした。
「……じゃあ飲み物……買ってきたから」
「有り難うございます……本当申し訳ないです……」
雪がしぶしぶ、という感じでお茶を買ってきた。本当は炭酸飲料が欲しかった、という感情が見て分かる。こんなにヘロヘロな人に炭酸飲料を渡すのは可笑しいというのを通り越して凄いと思う。さすがに雪も分かったのか、ちゃんとお茶だった。
「………あぁ……私生きてます…」
「生きてるならおやつ食べる?」
「おやつは結構です……」
雪、多分琴葉のこと気に入ったんだろうなぁ……。口数少なそうな彼女がこれだけ自分の趣味を勧めてくるのは気に入った証拠なのだろう。
私は少し、居場所に困っていた。
- Re: 君からの手紙『コメント募集中です(*´Д`)』 ( No.39 )
- 日時: 2018/01/08 15:09
- 名前: ましゅ ◆um86M6N5/c (ID: QYM4d7FG)
第23話
しばらく、私は皆の輪に混ざれなかった。
……かなは女子トークで唯乃とずっと話しているし、雪と恵里が琴葉を気に入ったのか3人で話しているし。前者の話には全くついて行けないし後者の話には個性が強すぎて入れる気がしないし。
少し私は憂鬱な気分で、皆の後ろを歩いていた。
「………はぁ」
誰にも聞こえないくらいの小さいため息をこぼす。こんなにも話に混ざれない人間だったかなと思うとさらに気分が沈んでくる。
気付けばもう、自由行動の時間はあと少しだった。
「――あれ?吉沢さん!」
男の子だけど高い声――私はそれを聞いて一瞬で判断した。――皆川だ。
「……班の人たちは?」
そういえば、と私は前方を見る。気付かぬうちに歩くスピードが遅くなっていたのだろうか。皆の姿は見えなかった。
「……はぐれたんじゃない?」
「吉沢さんが?」
「……皆川こそ、メンバーはどこ行ったの?てか遊園地、皆川たちも来てたんだね」
「うん、自由行動しようって話になって……ブラブラ歩いてただけだけど…。もし良かったら一緒にどっか回ろうよ」
皆川に言われて少し胸が高鳴る。さっきまでの陰鬱な気分が少しだけ晴れる思いを感じた。
「……うん……」
「吉沢さん、なんかあった?」
小さく頷いて歩き始めると、皆川が私に聞いてきた。なんだかそれが落ち着いて――私は今なら色々話せる気がした。
「……混ざれない!女子トークだかなんだか知らねぇけど!一気に疲れたー!!」
周りにあまり人が居なかったことも幸いして、私は思いっきり叫ぶように愚痴った。なんだか情けなかったけれど少しすっきりした。
皆川は私の大音量で震えていたようだが、それがまた面白くて気が緩む。
「………もしあれなら…か、観覧車乗ろうよ!」
突然皆川が思いついたように言う。……けれど、多分何回もシミュレーションしたんだろうなぁと言うことが何となく分かった。
「……ふぅ、2回目だし!」
「え!?……俺はまだだから……え、え、お願い!マジで!好きな人と乗ってみたかったし……っあれ、俺何言ってるんだ…?」
『好きな人と乗ってみたかった』この言葉を聞いて私はまた、鼓動が早くなる。……こういうところ本当鈍感だなぁ。軽く言えているあたり。
「はは……いいよ、行こ」
「う、うん!」
そう言って突然、皆川は私の手を軽く取った。
「……ん!?」
「……え!?」
私が理解した後に変な声を出してしまうと、皆川がそれを聞いて変な声を出した。
いや、急に手を繋ぐなんて思わないじゃん。初めてだし。
「……え、待って……ごめん……」
それから皆川が凄いしゅん、と謝ったものだから……私は結構きつく皆川の手を握って観覧車へ走って直行した――。