コメディ・ライト小説(新)

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騎士にはなりません!!
日時: 2017/10/31 00:32
名前: いろはうた (ID: Fjgqd/RD)

エマ・パティーニョ、十八歳。
もとは、女子大生やっていました。
どハマりしていたほのぼの生活系ゲームに気付けば転移していました。
めっちゃハマっていたからいちいち身体能力は高いけど、
私がやりたいのはお料理なんです!!
騎士なんてめんどくさそ……じゃなくて、
かっちりした職業なんてまっぴらごめんです!!

騎士にはなりたくない平民お気楽少女と、
誤解を解きたい堅物騎士サマの攻防をめぐる話。

Re: 騎士にはなりません!! ( No.7 )
日時: 2017/11/25 13:42
名前: あんず (ID: yVzoEsG0)

いろはちゃんお久しぶりです。あんずです。

最近はあまりカキコに来れていませんが、こちらで新作を見つけられて嬉しいです。

今作は異世界転生?とのことで。こういうジャンル大好きなので、いろはちゃんの文章で読めて感無量……。

これからも応援しています、では体調に気をつけて!

Re: 騎士にはなりません!! ( No.8 )
日時: 2017/11/28 15:59
名前: てるてる522 ◆9dE6w2yW3o (ID: VNP3BWQA)
参照: http://From iPad@

いろはさんの新作を見つけて迷わず飛び込んだ者です←
まめっちとは雰囲気が変わって、この作品もまたいいなぁと感じました。
本当にいろはさんの作品には毎回感動や驚きを隠せません( ̄▽ ̄;)


エマちゃん、すごく可愛いです!笑
レベルの高さや、課金できるのがとにかく羨ましいです(´˘` )
ボックスガーデンキングダム、私もやってみたい()

ゲームの内容とか様子を読んでいると、私の好きそうな感じだなと思って(*´▽`*)
題名にもある通り、エマちゃんは騎士をやらないのかどうなのか……本当に楽しみで仕方ありません笑( ¨̮⋆)

忙しいとは思いますが、更新頑張ってください!( ᐛ )و
また来ます(。・ω・)ノ゙

byてるてる522

Re: 騎士にはなりません!! ( No.9 )
日時: 2017/12/05 18:45
名前: いろはうた (ID: IGrwk1QX)

あんずちゃん!!


久しぶりだねー!
来てくれてとても嬉しいです!!

うーんと……
これは異世界転生というより
異世界転移って感じかな……?
そう、主人公、一応死んではいないのです(笑)

最近はやりのこのジャンル、
いろはうたも手を出してみました……
ご安心を!!
醜態をさらす前になるべく短く終わらせるつもりです(`・ω・´)


コメントありがとう!!



てるてる522様!!


来ていただきありがとうございます!!

そうですねぇ……
作風はがっつり変えました。
いつもずっしりガトーショコラなので
たまには軽ーいマカロンとかでもいいかな……
みたいな感じです←意味わからん

実は、いろはうたもこういう系のゲームが
大好物なんです!!!!
そして、いろはうたの大好きな美味しいものを
掛け合わせてこの作品ができました(笑)


コメントありがとうございます!!


Re: 騎士にはなりません!! ( No.10 )
日時: 2017/12/10 23:28
名前: いろはうた (ID: IGrwk1QX)

エマは、若干びくびくしながら次の朝を迎えた。半ば追い出すような形で騎士を家から出てもらったのだ。こちらから招いておいてかなり失礼なことをしてしまった。騎士に対して無礼な行動を取るとペナルティ、などというシステムはなかったはず、とエマは朝食のトーストを食べ終わると考えた。どうしてあの騎士はあのような発言をしたのだろう。ゲームでは、騎士になるためには騎士討伐戦トーナメントを勝ち抜かないと騎士にはなれないはず。あのようなスカウト形式ではなかったはずだ。
「ゲームに新しい機能が加わったのかなぁ……。」
そうぼやきながら、立ち上がった。今日は、昨日買いためておいたクリームチーズがあるから、朝早くから市場に行く必要はない。いかにしてクリームチーズを余っている食材と共においしくいただくか思考を巡らせながら貯蔵庫に向かう。
「ジャム……と食べようかな。」
視線の先にあるのは二日前にダンジョンで採ってきたベリー。お目当てのオルベリーは採ってこられなかったが、ブルーベリーそっくりのペールベリーというベリーは採ってきてある。ジャムにするにはいささか量が少ないが、この数日で食べきるには十分な量だった。一人ではなく二人以上の人間がこの家にいれば、おいしい料理を一度にたくさん作れるし、材料費も光熱費も抑えられるのに、と妙に現実的なことを考えてしまう。うーん、とぼやきながらペールベリーとクリームチーズ、そしてレモンを抱えて貯蔵庫を出る。水でベリーをさっと洗う。その間に、鍋を取り出すと弱火にかけ、水気を切ったペールベリーを投入した。その間にレモンを切ると、ぎゅっと果汁を絞った。さわやかな香りがしゅわりと広がる。レモンの香りは好きだ。絞ったレモンは貯蔵庫に入れておくと、食材の匂いなどを吸い取ってくれる。早速絞り終わったレモンの皮を貯蔵庫に置くと、砂糖を取り出した。ちらりと鍋を確認すると鮮やかな赤紫のジュースへと化していた。
「とりゃっ。」
すかさずコップで計量した砂糖を鍋に投入する。砂糖は控えめだ。砂糖を少なくするとジャムがあまり日持ちしないが、それほど量もないので大丈夫だろう。さらにくつくつと煮込む間に、クリームチーズをスプーンですくうと、さらに盛り付けた。人差し指ですくってなめてみる。濃厚かつコクのある深い乳の味が口の中にとろりと広がった。思わずにんまりしてしまう。ここにジャムを載せたら、さらにおいしくなると考えただけで幸せになる。鍋の近くに戻って、くるくると鍋の中身を木べらでかき混ぜる。うん、と一人で頷き、火を止める。すかさずレモン汁を鍋に投入した。くるくるとかき混ぜスプーンですくってみた。ベリーの程よい酸味とほのかな甘み、レモンの爽やかな香りと風味が瞬間的に舌の上に広がった。これは、かなりの出来だ。たったこれだけの材料でここまでのジャムができるとは。大満足でジャムをクリームチーズにかけようとした時、ドアがコンコンと叩かれた。エマはぴきり、と固まった。

アレックスは、落ち着かなげにエマの家の前に立っていた。エマの誤解をどのように解こうか、悩み悩んで末に、真紅の薔薇の花を一輪買ってきたのだ。ベタではあるが、これを渡せばさすがに騎士に勧誘しているのではなく、交際の申し込みだと気づくだろう。背の高い若い男が、薔薇を握りつぶさんばかりの深刻な顔で若い娘の戸口に立っているため、道行く人が不審そうな視線を向ける。扉を叩いてから、ややあってから恐る恐るという風に扉が開かれた。予想通り青ざめた顔の少女がそこにいた。彼女は目が合うと、ひっ、と小さく声をあげて、青い顔をさらに青くした。いささか怯えられすぎている気がしたが、扉を閉められる前に、がっと扉を掴んでこれ以上締められないようにする。
「待ってくれ、エマ殿。今日は昨日の誤解を解きたくて来たんだ。」
「お、おおお、お仕事は?」
「エマ殿の誤解を解くために、有休をとった。」
やばい、がちだ、などとよくわからない言葉で彼女はぶつぶつと呟いていたが。やがて観念したように扉を大きく開いて、アレックスを招き入れた。その機会を逃さず、アレックスは昨日とは違い遠慮なく家に足を踏み入れた。この数日で、彼女が誤解をしやすく、思い込んだら一直線な猪突猛進な少女だとわかったのだ。それはそれで可愛らしくて見惚れてしまいそうになるのだが、誤解の矛先が自分に向けられているとなるとそうはいかない。握りしめた薔薇をどのような言葉とともに渡そうかと考えあぐねていると、エマはキッチンから持ってきたらしい小皿をおずおずと差し出した。皿の上には真っ白なクリーム状のものと赤紫の色鮮やかなソースがかかっている。
「これは……?」
「……クリームチーズとペールベリージャムです。」
昨日とは打って変わって、少女は警戒心をむき出しにしている。用心深くこちらを伺う姿は、天敵を警戒する小動物のようだった。どうやら、心底騎士になりたくないらしい。彼女の身体能力であれば、騎士団入りはそう難しくないはずだが、彼女にその気がないのであれば、仕方のないことだ。出されたものには手を付けなければ失礼だ。それに、昨日のキノコパイといい、彼女はとても料理が上手なのだ。どのような味がするのか興味がある。今日の料理は、昨日のパイとは違って嗅覚に強烈に訴えかけてくるような料理ではなかった。どちらかというと、白いクリームと赤紫のソースのコントラストを視覚的に楽しめる品だ。
「では、遠慮なく。」
アレックスは添えられていた木のスプーンを手に取ると、クリームチーズをジャムと絡めて口に運ぶ。その目はすぐに見開かれることとなった。鼻を突き抜けるような爽やかな酸味が最初に感じられた。舌にねっとりと絡みつくようなクリームチーズの濃厚な風味とジャムの甘酸っぱさがよく合っている。シンプルな品だからこそ、素材の良さがよく感じられるものだった。
「……これは、うまいな。」
思わず握りしめている薔薇のことも忘れて、呟いた。とたんに少女の顔がぱっと華やぐ。
「本当ですか!?」
「ああ、本当だ。特に、ジャムの甘すぎない味付けがいいと思う。」
返事もそこそこにすぐに二口目を口に運ぶ。次々にアレックスの口に消えていくクリームチーズを少女はにこにこと見つめた。アレックスは甘いものがあまり得意ではないが、この甘さが控えめで酸味の強いデザートなら、いくらでも食べられる気がする。気づけば、皿は空になっていた。皿に残った鮮やかなジャムを見て、はっと我に返った。己の本当の目的を今更ながらに思い出したのだ。手の中の薔薇を見れば、握りしめていたせいで少ししおれていた。若干くったりしているそれを、少女に向けて差し出す。さっと少女の顔色が変わった。やっと、こちらの本当の意図、交際の申し込みに気付いてくれたのだ。そう思い、さらにその場に跪こうとしたら、少女が一歩二歩と後退した。その顔色は、薔薇色からは程遠い。
「こっ。」
「こ?」
「この赤い薔薇って……。」
「ああ、これは君に……。」
「赤い薔薇って騎士の紋章じゃないですか!?」
「……え。」
言われたことを咄嗟に理解できず、口から間抜けな音が出た。そういえば、騎士団の紋章には赤い薔薇を模した文様が入っていたような気がする。そのようなことを全く気に留めてもいなかったアレックスは、困惑と動揺で言葉を上手くつむぎだせなくなる。
「騎士団の象徴を相手に渡すって、騎士の座を賭けた決闘か何かの申し込みですか!?」
「は!?え!?」
「すみませんが、これは、う、受け取れません!!」
「いや、ちが……。」
「っていうか、前も言ったんですけど、騎士にはなりませんから!!」
遠くでカラスが、アーホーとなくのが聞こえた。前も聞いた少女の言葉に、アレックスは、片手で顔を覆った。

Re: 騎士にはなりません!! ( No.11 )
日時: 2017/12/14 01:38
名前: いろはうた (ID: IGrwk1QX)

王国騎士団の執務室には重苦しい空気が流れていた。その空気の発生源は、史上最年少で騎士団入りを果たした稀代の剣の使い手、アレックス・クラフだった。その彼は今、有休をとった分、仕事の穴を書類整理で埋めなければならなかった。しかし、その表情が暗いのは山のような書類の数のせいではなかった。なにせ、想いを寄せている者に、その好意が欠片とも伝わっていないからだ。直接的に言っても、プレゼントという小道具を使っても、この想いは一向に伝わらなかった。もはや、どうしたらいいのかわからず、険しい表情のままアレックスは髪をぐしゃりと片手でかき混ぜた。形の良い唇の隙間からはギリリと不穏な歯ぎしりの音が聞こえている。そのただならぬ空気に、騎士団の者達は不安げにちらちらとアレックスに視線を送っている。しかし、その険しすぎる顔に声をかけることができないでいた。悩みぬいた末に、アレックスの胸にようやく答えが落ちた。エマに好意が伝わらず、誤解させてしまっているのは、わかっている。しかし、何もしないでいては埒が明かない。アレックスは決意に満ちた表情で書類の山と向かい合った。なるべく早くに、この仕事を終わらせてエマに会いに行こう。そして、伝わるまで何度だって想いを告げよう。

結局、エマの家に行けるようになったのは、とっぷりと日が暮れてからだった。夜に未婚女性の家を訪れる非常識さをアレックスはわかっていたが、それでもエマの所に向かった。扉を開ける前から何やら良い香りが部屋の中から漂ってくるのが分かった。酸味のある深い香り。これはトマトだろうか。少し戸惑いながらも、扉を三度叩く。やがて扉が開かれ、エマが顔を出した。何故だかわからないが、妙に座っている目をしている。どうして彼女が決意に満ちた表情をしているのかはわからないが、思っていたよりもすんなり部屋に通された。手土産として買った焼き菓子の詰め合わせを渡そうとしたら、くっ、物で釣る気ですか、などとよくわからないことをぼやきながら警戒心丸出しの顔で押し返された。これは今までの料理の礼だ、言って再度彼女の手に持たせた。妙に座っている目は変わらないが、唇の端が緩んでいる。どうやら喜んでもらえたようだった。エマは料理を作るのが好きなようだから、贈り物は華美な装飾品より菓子のほうがいいだろうと考えて正解だったようだ。
「……晩御飯、食べましたか、騎士様?」
「晩御飯?いや……まだ、だな。」
仕事を終わらせるなり、エマの家に走ったのだ。そのような暇はなかった。そう答えると、何故かエマの目が不穏に輝いた。
「うちで食べていきませんか!?」
「え、いや……。」
「大丈夫です!!今日は前と違って、自信作ですから!!」
食い気味なエマに若干戸惑いつつも、相手の厚意を無下にするわけにもいかないと、アレックスはわかった、と頷いた。エマは顔を輝かせるっと、勢いよくキッチンに向かって駆けだしていった。やがて運ばれてきたのは、ごろごろした具入りの赤いソースのスパゲティだった。スパゲティなら食堂でも頼むからなじみがある。しかし、目の前にある物は、食堂のトマトソースに野菜かすが入っているだけの物とは違い、細かく刻まれた野菜や肉が入っている。エマに促され、フォークを手に取り、くるくると麺を絡めるとさっと口に運んだ。途端にガツンとしたコク深い渋みと、トマトの爽やかな酸味が舌を襲った。ガーリックの風味が口内に豊かに広がる。具を噛みしめれば、野菜の甘みとじゅわりとした肉汁があふれ出す。雑味などはなく、焦げないように丁寧に炒められた野菜なのだとすぐわかった。表面が少しざらついている麺は、風味豊かなトマトソースとよく絡み、するりと喉を通り抜けていく。エマは向かい側の席に座り、じっとこちらの反応を伺っているが、空腹であったため、こうなったら、食べ終わるまで止まらなかった。やがて、皿いっぱいに盛り付けられていたスパゲティはすぐになくなってしまった。アレックスは吐息を漏らした。
「とても、美味しかった。」
心の底から噛みしめるようにして言うと、エマはキランと目を光らせた。若干得意げに小さく胸を張っている。
「ふふふ……今日のスパゲティ・ボロネーゼは、かなり気合入れて作りましたから。」
「そうか……これは、スパゲティ・ボロネーゼなのか。おれの知っている物とはずいぶん違うから驚いた。」
「ワインもずっととっておいた年代物のいいやつ使いましたし、野菜もお肉も今日とれたての新鮮な奴だし、パスタは生麺使いました!!」
さらに得意げにエマは胸を張った。いくら良い食べ物であっても、エマの料理の腕が無ければここまで美味しい物にはならなかっただろう、と思ったが得意げにしているエマが微笑ましく言葉を飲み込んだ。唇を緩めながらエマの様子を見ていると、彼女はずずい、と身を乗り出してきた。
「どうですか?私の料理への情熱わかってもらえました?」
鬼気迫る迫力である。若干ではあるが目が血走っている。アレックスはようやく理解した。エマは自信作の料理を食べてもらうことによって、騎士の勧誘を諦めてもらおうと思っているのだ。アレックスはエマに向き直った。
「エマ殿の料理への情熱は十二分に伝わったし、理解もした。」
ぱっとエマの顔が明るくなった。だが、とアレックスは言葉をつづけた。
「エマ殿にも知っておいてほしいことがある。その……惚れているんだ。」
さっとエマの顔色が変わった。しかし、ここで言葉を止めずさらに畳みかける。彼女が言葉を発する前に言わなければならない。
「凛々しい姿を一目見た時から、心を奪われてしまった。」
だから、交際を……と続けようとしたが、エマが突然勢いよく立ち上がったことによって言葉は宙に消えてしまった。バターンと椅子が床に倒れてけたたましい音をたてたがエマはそんなのお構いなしだ。
「私の剣術に惚れ込んでいただいたのはわかりました!!」
「エマ殿、話をき」
「でも、私、この程度で諦めませんから!!」
「いや、だから、話を」
「次に来てくださる時までに、騎士様の気力をぽっきり折るような物凄い逸品を、作り上げておきますから!!」
「……。」
アレックスは半眼になってエマを見つめ、小さくため息をついた。こちらとてこの程度で諦めるつもりは毛頭ない。


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