コメディ・ライト小説(新)

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満月ウサギとクール男子~短編~ 【完結】
日時: 2018/12/25 11:32
名前: 雪原みっきい (ID: 9Urj1l4Z)

ゆきみきです。
私のお父さんが前山形に住んでいたのでこのお話を思いつきました。
まあ実在の場所なんで知ってる人も多いと思いますが。
じゃあ、どうぞ。

目次
prologue>>1
第一章>>2
第二章>>3
第三章>>4
第四章>>5
第五章>>6
第六章>>7
第七章>>8
第八章>>9
第九章>>10
第十章>>11
あとがき>>12

Re: 満月ウサギとクール男子~短編~ ( No.3 )
日時: 2017/11/08 15:57
名前: 雪原みっきい (ID: 9Urj1l4Z)

第二章 麗矢
「は?お前こんな夜中にこんなとこで何してんの?ってかそれコスプレ?」
そのイケメンの声はまさに神ボイスだった。でも言いたいことは言う利月は、
「ちがうし!これ、生まれつきだし!」
といった。するとそいつは目を丸くして、
「う、生まれつき!?」
と、さっきの神ボイスとはまるでかけ離れたような、拍子抜けした声でそう言った。
「そうよ。このふわふわの耳や尻尾も生まれつきだし、生まれたのも月だし!」
と利月は事実を述べた。するとそいつは、ますます目を丸くして、
「生まれたの月ぃ!?」
と、またもや拍子抜けした声を発した。やっぱり何度聞いても別人みたいな声なので、笑わずにはいられず、ついには、
「ぷっ・・・・・・」
と吹き出してしまった。見知らぬ女子に笑われて恥ずかしかったのか、そいつは少し頬を赤らめ、コホンと咳払いした。
「で、まあ、それは分かった。ところであんたは何でここにいんの。」
とそいつは利月に問いかけた。利月は今まであったことをすべてそいつに話した。すると、そいつは納得してくれたのか、こくこくとうなずいてくれた。そして、一息おいてから、
「その話を聞いてると、あんたの行き場はなさそうだな。」
といった。図星だった利月はごまかすように慌ててこういった。
「う、うるさいなっ!だからなんだっていうの!」
そしたらそいつはきょとんとして、
「悪い、悪い。怒らせるつもりじゃなかったんだ。ただ、俺んちに来ないか?と、言おうとしただけだ。」
といった。利月はそいつの予想外の言葉に、一瞬まばたきをしたが、行き場がないのも事実なわけで・・・
―だから、そいつの家に行くことにした。

Re: 満月ウサギとクール男子~短編~ ( No.4 )
日時: 2017/11/08 20:19
名前: 雪原みっきい (ID: 9Urj1l4Z)

第三章 同居
「そうか。じゃあよろしく。俺は神原麗矢かんばられいや。あんたは?」
「私は、桜川利月さくらがわりづき。」
大人っぽく答えた麗矢と利月だが、どちらの頭も同居という言葉でいっぱいだった。それをごまかすため、麗矢は、
「うわー、名門家みてー。」
といった。
「それ皮肉?褒め言葉?」
と、利月が麗矢に問うと、
「さ、どっちだろうな。」
と麗矢は言い、鼻で笑った。利月は納得いかなそうな顔をしたが、すぐに元の顔の戻すと、
「さっ、行きましょ、麗矢ん家。」
といった。
「ああ、そうだな。可愛い女の子を夜中の雑木林においていくってのも、男としてなんだからな。」
と、麗矢が言うと、利月は、パッと顔を赤らめ、うつむいた。その時、
「ははっ、まともに受けちゃったー?これ、嘘だぞ。」
と、皮肉げにいい、笑った。
「んっもーっ!」
利月はいかにも引っかかってしまったといわんばかりに、叫んだ。麗矢の、笑いを噛み殺した声がまだ聞こえてくる。
「分かった分かった、俺が悪かった。もういいだろ?」
利月は納得したように、頷き、にっこりとほほ笑んだ。
「よし、じゃあ、いくか。」
そう麗矢は言うと、利月の頭をポンポンと軽くたたき、利月を抱き寄せて家へと向かった。一見、クールに見える仕草だが、本当は麗矢も照れていた。そして利月も、―――――顔を真っ赤にし、体を縮こまらせてうつむいていた。

Re: 満月ウサギとクール男子~短編~ ( No.5 )
日時: 2017/11/09 20:06
名前: 雪原みっきい (ID: 9Urj1l4Z)

第四章 川西中学校
麗矢の家は広かった。何ていうか、豪華じゃないんだけど、清楚できれいだった。きちんと整理整頓されていた。
「お前の部屋は、三階な。」
麗矢の家は四階建てだ。利月は三階の202号室になった。
「あんたんちって、ホテルみたいだよね。」
と、利月が何となく、そうつぶやくと、麗矢が、
「『みたい』じゃなくて、うちはホテルなんだよ。」
といった。そして続けて、
「三階だけだけどな。」
と、付け足した。ふと、なにか思いついたように、麗矢が言った。
「お前、よかったら川中いくか?もちろん、学費はおれの、親が負担するから。」
「川中・・・?」
利月は川中なんて聞いたこともなく、聞いたのは、今日が初めてだった。
「ああそっか。お前、月人だったな。川中は川西中学校の略。要するに、この町の中学校って、わけ。」
そう聞いて、利月は、ああ、中学校ね、と、納得した。
「ねえ、この町って、中学校一つしかないの?」
と、利月が麗矢に問う。ああそうだ、と、利月の問いに麗矢が答える。
「いいね、受験しなくて、お気楽に遊んでられて。まあ、その程度の中学校なら、私はパルフェ!つまり、完璧ってこ  と」
と、何とも利月がもったいぶっていうので、麗矢はイラついたのか、
「はあ?そんな根拠、どこにあんだよ。」
と、そっけなく言った。利月は自慢するように、
「根拠は、月の国の名門中で、成績が、学年でいつも、トップだからよ~っ」
という。麗矢は悔しそうに、舌打ちした。

Re: 満月ウサギとクール男子~短編~ ( No.6 )
日時: 2017/11/18 17:32
名前: 雪原みっきい (ID: 9Urj1l4Z)

第五章 転校生
「で、川中行くのか?行かないのか?」
「もちろん、行くわよ。学力の違いを、見せつけなくちゃ。」
と、二人が言う。
「はあ・・・あくまでも、お前は転校生として、来るんだぞ。」
と、麗矢が念を押していう。利月は分かってるわよと言わんばかりに、ぷいっとそっぽを向いた。そんな姿を見て、麗矢はカフェラテを飲みながら、ため息をつく。そして、一冊の青い本を開く。この時、利月はあまり気にしていなかったが、この青い本には、麗矢の秘密が記されていたのだった―――――。
翌日。
季節があまり関係ない月の国とは違って、今日は真夏日。気温は三十度超え。朝から晴天で、晴れ晴れとした空がどこまでも続いている。その綺麗な空を眺めながら、トーストしたパンにバターを塗ってかぶりつく。そうするのは、とても気持ちがよかった。トーストしたパンの温度で、溶けたバターが口の中にじんわり広がる。昨日、麗矢が両親に事情を話すと、両親は喜んで受け入れてくれた。しっぽと耳のことも。だから、こうしてバタートーストを食べられている。それもこれも、麗矢との出会いがなければ、ありえなかったことだ。麗矢の両親はとても優しく、昨日と今日の間だけでたくさん笑わせてくれた。その時、麗矢が、
「なに、チンタラ食ってんだよ。遅刻するぞ!」
と言った。私は残りのパンを、慌てて口に放り込み、バッグを取り家を出た―――――。
学校に着き、辺りを見回すと、たくさんの子がいた。月の学校の生徒よりは少ないが。

Re: 満月ウサギとクール男子~短編~ ( No.7 )
日時: 2017/12/02 14:50
名前: 雪原みっきい (ID: 9Urj1l4Z)

第六章 悲しみ
ドックン、ドックンと高鳴る鼓動は、もはやだれにも止められないほど、激しかった。もう、教室の前に十分ほどいるのに、なかなか先生に呼ばれない。そのため、私の鼓動が速まる。そんなことを考えていた時、やっと、麗矢のクラスの担任―石川里奈子先生が、私の事を呼んだ。私は返事をし、教室へ入る。緊張していたためか、つかつかと早足になりながら入った。廊下から教室までは二、三メートルしかないのに、百メートルくらいを歩いてるような気がした。そして私は自己紹介をした。
「初めまして、桜川利月です。月の国の中学校から転校してきました。どうぞ、これか らよろしくお願いします。」
そう言った途端、教室中が笑いに包まれた。冗談ととらえられたのだろう。でも、これは本当の事。前も言った通り、私は言いたいことは遠慮なく言う人。だから大声で否定しようとした。――――――でも、緊張していたせいか、声が思うように出せなかった。そう私が困っている時も、教室の笑いの声は、小さくなるどころか、もっと増すばかり。私はその場に立ち尽くし、呆然としていた。すると先生が思いついたように笑うのをやめ、こう言った。
「利月さん。今の冗談は面白かったですが、コスプレを学校につけてくるとは心外で  すね。今ならおこりません。今すぐ外しなさい。」
もちろん、これは生まれつきなので外すことはできない。
「違います!これも生まれつきで―――!」
私はやっとの思いで声をだしたが、その思いは届かず。教室も、また嘲笑っている。先生は呆れたようにため息をつき、私にこう言った。
「またそんな冗談を!いい加減にしなさい!私をからかっているのですか?!まった 
 く、転校早々いい迷惑です!これ以上つまらない冗談を言うんじゃありません!」
今度こそ、私の心は音を立ててぽっきりと折れた。せめて涙は出ないように我慢したけど、目にはじんわり、涙が浮かんだ。もうこの場から去りたい、そんな気分だった。


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