コメディ・ライト小説(新)
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- 俺の恋敵は憎たらしい式神だった【Season2始動】
- 日時: 2022/08/04 16:50
- 名前: 美奈 ◆5RRtZawAKg (ID: lCrzzWFh)
美奈です。
「俺の恋敵は憎たらしい式神だった」、ざざっと略して「俺式」の新スレッドとなります。
気合を入れ直してリセットしたくなり、新しく作成した次第です。
旧「俺式」の黒歴史を知る←
皆様も笑、初めて「俺式」を読んで下さる方々も!
初心者の私をどうか見捨てないで下さい←懇願です
まだ右往左往してるピヨピヨな初心者なのです……笑
コメント等々もお待ちしております。
よろしくお願いします(^^)
p.s.色々ありすぎて投稿、中断繰り返しています。。でもやっぱりこの作品はどれだけかかっても仕上げてみたいので、もしまだ私のこと覚えてたら、また初めてだけどなんか興味あったら見ていただけると嬉しいです。究極マイペースでやらせていただきます。今後ともよろしくお願いします。
2020.9.13 「小説カキコ小説大会2020・夏」において、コメディ・ライト板で金賞頂きました。どうもありがとうございます!
2021.9.1「小説カキコ小説大会2021・夏」において、コメディ・ライト板で銀賞頂きました。どうもありがとうございます!
2022.1.11「小説カキコ小説大会2021・冬」において、管理人・副管理人賞頂きました。どうもありがとうございます!
ーprecious guestsー
昇我ツヅル様・blueI様・ラビット様・ジャニーズwest&様・MINA様・せいや様・いろはうた様・はるた様・てるてる522様・朱雀様・真朱様・雪林檎様・むう様・skyA/スカイア様・りゅ様
【目次】
<Season1 俺はブレザーに身を包む>
主要人物紹介 >>1
第1章 9月
第1話〜第5話 >>2 >>9 >>12-14 第6話〜第10話 >>17-21
第11話〜第15話 >>22-24 >>27-28 第16話〜第18話 >>29-30 >>33
第2章 10月
第19話〜第20話 >>35 >>39
第21話〜第25話 >>40 >>43-44 >>48-49 第26話〜第30話 >>50-51 >>55 >>61-62
第31話〜第35話 >>63-64 >>66-67 >>69 第36話〜第40話 >>77-78 >>83-85
第41話〜第44話 >>88-91
第3章 11月
第45話〜第50話 >>92 >>94 >>97-100
第51話〜第55話 >>101-105 第56話〜第60話 >>106-110
第61話〜第65話 >>111-115 第66話〜第70話 >>116-120
第71話〜第75話 >>123-127 第76話〜第80話 >>128 >>133-136
第81話〜第85話 >>137-139 >>141-142 第86話〜第90話 >>143-147
第91話〜第93話 >>148-150
第4章 後日譚
第94話〜第95話 >>151 >>154 第96話〜第100話 >>159-163
第101話〜第105話 >>164-168 第106話〜第110話 >>169-171 >>175-176
番外編
#1〜#3 >>57-59 #4〜#5 >>79-80
受賞御礼の番外編 >>153 新年のご挨拶 >>178
<Season2 俺はブレザーを脱ぎ捨てる>
第1章 あれから俺達は
第1話 〜第5話>>179-183
第2章 ピッカピカの春学期
第6話〜第10話 >>184-188 第11話〜第15話 >>193-197
第16話〜第20話 >>198-202
- Re: 俺の恋敵は憎たらしい式神だった ( No.135 )
- 日時: 2020/06/12 11:32
- 名前: 美奈 (ID: J85uaMhP)
第79話
・・・・・・・・・
2度も悠馬から警告を受けた皆川先輩だけど、全く動こうとしない。
華音様も突然のことに驚いたらしく(俺の方がもっと驚いてるけど)、動けないでいる。
俺はあまりにたくさんのことに驚きすぎて一瞬全ての機能がフリーズしてたけど、ようやく頭が解凍し始めた。
今、俺は何をしなきゃいけない?
...目の前の女の子を助けなくちゃ。悠馬によれば、皆川は危ないらしい。悠馬が敵意を向けるなんて、よっぽどだ。
そう思って華音様の方へ駆け出そうとすると、すぐに悠馬が制した。
それを見て、皆川先輩は微かに笑う。
『京汰動くな、危険すぎる』
「何でだよ、華音様助けなきゃいけないだろ?」
この問答で、皆川先輩と華音様から目を逸らしたのがいけなかったらしい。
〔可愛い女の子を喰うことのどこが悪い〕
- Re: 俺の恋敵は憎たらしい式神だった ( No.136 )
- 日時: 2020/06/17 16:23
- 名前: 美奈 (ID: VHEhwa99)
第80話
いつの間にか、俺達4人の周囲には結界が張られていた。
そしてこちらに背を向けた皆川先輩からは、怪しげな黒っぽい煙のようなものが立ち上ぼり、制服のブレザーがマントのように変化していく。
そして一瞬のうちに、皆川先輩は華音様の頭と背中を支え、彼女を自分のマントの奥に引き入れた。
「や、大和先輩っ、何をっ」
〔俺が抱き締めてるんだから安心しろよ。好きだろ?俺のこと。俺も好きだよ、だから大人しくしててね。可愛くて良い子だ...〕
「さ、さっき、喰うとか...っ、てっ...!」
〔そうだな。喰っちまいたいくらいに魅力的だ...姫よ〕
皆川先輩は再びこちらを見る。
そしてあろうことか、これ見よがしに抱き締めた華音様の額に口付けを落とした。
「...............なぁぁぁっっっ??!!」
『京汰、これでいい加減分かったでしょ』
「悠馬......皆川先輩、って、も、もしかして...いや、もしかしなくても...」
悠馬は深く頷く。
『うん、立派な妖だ。古くから、貴族の娘とか、絶世の美男美女と言われる若者を喰って取り込んで、自分も美しくなって、その美貌でまた新たな美男美女を虜にして喰っていくタイプ』
「うわぁぁぁ...」
そんな恐ろしい妖に出会ってしまったことと、ソレが華音様を今にも呑み込もうとしていること、そしてソレが同じ学校にいたことの恐怖に体が耐えられそうにない。
文字通り震える俺を、華音様がチラッと見る。彼女も少し、震えている。
ダメだ。俺がしっかりしなくちゃ...!
『一緒に退治しますよ、京汰くん』
隣には悠馬がいる。きっと大丈夫だ。慌てず焦らず、彼女を救おう。
「了解っ!」
- Re: 俺の恋敵は憎たらしい式神だった ( No.137 )
- 日時: 2020/06/30 16:45
- 名前: 美奈 (ID: 3w9Tjbf7)
第81話
皆川先輩(の姿をしていた妖)は、華音様に口付けをした後、こちらを見て話す。
〔ここに戦国時代から美貌を持つ家系の末裔がいると、風の噂で聞いた。すぐに分かったよ、あぁ、華音こそがその末裔かと。確かに俺が500年くらい前に喰った美しい姫によく似ていた。生まれ変わりかと思うくらいに〕
左手で華音様をしっかりと抱き寄せながら、右手で彼女の頭を何度も撫でる。初めは震えて軽く抵抗こそしていた彼女は、段々とされるがままになっていた。
〔彼女を虜にするために、俺は生徒の姿になって機を見計らっていた。まぁそこで誤算が生じてしまったんだけどな〕
3つくらいあるよ、と彼は右手の指で3を示した。左手は彼女の背中から腰へと移っていく。
「み、3つって何ですか...いや、何だよっ」
目の前にいるのは先輩ではなくバケモンだ。もう敬語を使う必要はない。
〔まずは、俺に惚れる女が多すぎたこと。次は、華音に近づく男も多すぎたこと。まさか式神まで近づくとは俺も思わなかったわ。最後は、華音は俺に惚れかけてたはずなのに、徐々に心変わりしそうだったこと。お前らほんと、面白い恋敵同士だな〕
俺は思わず悠馬を見る。式神まで近づくって、お前...。
悠馬は軽く頭を垂れた。ごめん、と呟く。
もうびっくりすること多すぎるし、悠馬が何したのかとか、心変わりの相手誰だよとか、詳しく問いただしたい。でも今は退治が最優先だ。
〔ただ俺だけを見ててくれれば、こんな手荒なことはしなかったのに。これが恋ってもんなのかね。最期まで一瞬でも怖がらせずに、優しくしてあげたかったのにな〕
そう言って華音様の顔を覗き込み、顎を持って少し持ち上げる。彼女の顔からは既に幾分血の気が引いていた。
そのまま彼は唇を重ねる。ゆっくりなようでいて、貪るようでもあった。ここまで美しいとは...。
顔を離したかと思うと、今度は勢いよく彼女の首元に顔を近づけようとする。
...ヤバい見入ってしまった...!!!
- Re: 俺の恋敵は憎たらしい式神だった ( No.138 )
- 日時: 2020/07/06 00:46
- 名前: 美奈 (ID: 3w9Tjbf7)
第82話
俺はとっさに短く呪を唱えた。
すると、妖の周りに立ち上る煙と、そこでうごめいていたよく分からん小さな妖はかなり消えた。
お、これは思ったより容易か。
しかしそんなのは間違いだとすぐに思い知らされた。
美しい妖の目は徐々に吊り上がり、爪が鋭利で長くなっていく。華音様の腰に添えられていた手からも爪が伸びて、くっ、と音がした。
...このままだと彼女の体にめり込んでいく...!
〔お前ら、好きだったんだろ?彼女のこと。最期まで見届けてやれよ〕
『ふざけんなよほんとに...もうこうなったら、一気に業火で行くか...』
拳を握りしめ、目の色を変えた悠馬がそう呟く。業火って...燃やしたら、妖のすぐ近くにいる華音様にも少なからず被害が及んでしまうはずでは。
「いや、やめろって!華音様は人間だぞっ?!」
慌てて止めると、悠馬はハッとした顔になって、『じゃあこれなら...』と準備する。
好きな人が追い込まれていると、冷静さに欠ける。それは人間じゃなくても多分一緒なんだな。
悠馬が何したのかは知らないけど、彼女を大切に想う気持ちは同じだ。
悠馬が呪を唱えた。その声音は、こちらが震えるくらいに低く恐ろしい。
悠馬のお陰で、妖のマントが一気に引きちぎられる。
しかし妖は華音の背中に一気に爪を立て、もう片方の手をこちらに伸ばした。
その瞬間、俺達を囲むように無数の刃が地に刺さる。
同時に、華音の呻き声が聞こえた。
その直後。
『あっっっつっっっ!!!』
刃を抜こうと触れた途端、刃から火が出たようだ。悠馬が後ろに飛びずさろうとしたけどうまくいかず、俺の肩にぶつかる。
刃の間隔が狭すぎて、これじゃ呪詛が効力を発揮できない。むしろ自分に跳ね返る危険性がある。
でも早くしなければ、華音様の命がない。
どうすればいい?どうすれば...?!
- Re: 俺の恋敵は憎たらしい式神だった ( No.139 )
- 日時: 2020/07/10 01:42
- 名前: 美奈 (ID: 3w9Tjbf7)
第83話
冷静になろうとして、でもなかなかできなくて。あたふたするばかりで。
もっと修行しときゃ良かった...と、後悔ばかりが募っていく。もっと術を叩き込んでおけば...!
悠馬も次の策を考えあぐねているようだ。
しかしその間にも、妖の爪は少しずつ、華音様の体にめり込んでいく。制服がかろうじてバリアになっているけれど、肌に爪が刺さるのは時間の問題だ。
彼女はもう、自分で立てないくらいに生気を奪われていて、妖に完全に体を預けてしまっている。
『京汰、自分の身を守って』
急に悠馬が声をかけた。策が浮かんだようだ。俺はすぐに自分に呪をかけ、自身の霊力を高める。
その瞬間、俺達二人の周囲は一気に炎に包まれた。ぐるりと囲んでいた刃が徐々に溶けていく。
なるほど、ここで業火を使ったんだな。俺なら術で自分を守れると判断したんだ。
刃が溶け、視界が開けていく間に次の一手を考える。
『華音ちゃんは僕が守るから、京汰は妖にトドメを刺して』
至近距離の彼女と妖に対して同時に別々の術をかけるのは、今の俺には至難の業だ。目標が少しでもずれれば、文字通り命取りとなる。一方を倒し、他方を守るには、やはり悠馬の力も不可欠なのである。
「...分かった、やってみる」
『やってみる、じゃない!やるんだ!やれるだろ!』
いつになく強い調子で叫ぶ悠馬。
そう、俺はこいつを信じるしかない。
普段は憎たらしくてもな。
「...やります!」
選択肢はもう、あれしかない気がする。
あとは悠馬を強く信じ、華音様が耐えてくれることを心から願う。
悠馬が呪を唱える。が、一度ではうまくいかないようだ。目が十分に吊り上がった妖は、先程より裂けた口の端も上げてみせる。
もうそこには皆川先輩の面影などなく、ただの人外のモノに成り下がっていた。
悠馬が何度か呪を唱え直した後、華音様の周りに薄い膜のようなものができた。悠馬の霊力が彼女を包み込み、守っているのだ。
妖の爪がめり込まなくなる。妖は一瞬驚いて、こちらを睨み、咆哮をあげた。
俺はその時、妖の手が彼女から離れたのを見逃さなかった。
今だ。
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