コメディ・ライト小説(新)
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- やっぱり君が好きだから
- 日時: 2019/03/27 20:04
- 名前: スマイル (ID: qlgcjWKG)
登場人物
・一ノ瀬日々【いちのせ ひび】
高校2年生。クールで他人に興味がない。珠璃の彼氏だが今まで彼女が出来たことがないため珠璃とどう接すればいいのか戸惑っている。
・崎下珠璃【さきした じゅり】
高校2年生。日々の彼女。明るく天真爛漫な性格でクラスの人気者。モデル顔負けの容姿を持っている。
・沖野奏音【おきの かなと】
珠璃のクラスメートで学級委員長。頭が良く学年首席を常にキープしている。気が弱く頼りないが誰よりも優しい。珠璃に想いを寄せている。
・相澤夢彩【あいざわ めい】
日々の幼馴染みで珠璃の親友。大人しい性格で人見知りのため明るくて人気者の珠璃に憧れている。
・須藤颯太【すとう そうた】
日々の親友。女好きで毎日違う女を連れているという。最近は珠璃が気になる模様。
- Re: やっぱり君が好きだから ( No.9 )
- 日時: 2019/03/29 14:34
- 名前: わたあめ (ID: qlgcjWKG)
「...じゃあね。俺、職員室行くから。
ほら行こ。珠璃」
「へ?」
そう言って私を抱き締めていた腕をそっと離すと、私の手を掴んでそのまま教室を出た。
***
「ちょっと!!日々!!!」
「...ん?」
早足で歩く日々についていけず、何度も転けそうになりながら同じ台詞を10回くらい言った頃。
やっと私の声が聞こえたのか、ゆっくりと私の方を振り返った。
「...どこ行ってるの?職員室は一階に...「分かってる!」
「...へ?」
「兎に角颯太から、珠璃を離したかった」
そう言う日々の体が小刻みに震える。
それは、何かに怯えているみたいだった。
「...どうしたの?日々、何かあった?」
どうしたんだろう?
今日の日々は本当におかしい。
ジッと日々の顔を見ていると、ハッとしたように私を見る日々。
そして苦しそうに顔を歪めた。
「...ごめん
ちょっと...頭冷やしてくるわ」
「へ?あ、うん...分かった。
ついていかなくていい?」
「大丈夫」
取り繕ったような笑顔を見せると、そのまま歩いて行ってしまった。
- Re: やっぱり君が好きだから ( No.10 )
- 日時: 2019/03/31 13:16
- 名前: わたあめ (ID: qlgcjWKG)
【日々side】
きっかけは、珠璃が告白してきたから。
好きでもなんでも無かったけれど、今まで俺に告白してきた女達とは違う真剣な瞳に興味が湧いて。
軽い気持ちでOKした珠璃の告白。
正直、すぐ別れるんだろうなって
そう思ってたのに...
「何で......嫉妬なんかしてんだよ...」
壁を片手で叩いて、ポツリとそう呟く。
颯太が珠璃に抱き付いているとこなんか見飽きるくらい沢山見てきたハズなのに。
今朝、珠璃に颯太が抱き付いているところを見たら、何だかイライラしてしまった。
しかも、独占欲丸出しの台詞を言ってしまったし...
今日の俺は何だかおかしい。
いや、
珠璃と付き合い始めたあの日から、俺はおかしい。
珠璃の顔を見る度に、胸の鼓動がどんどん早くなっていって。
他の男と話しているのを見ると、柄でもなくイラッときて。
女なんか...
嫌いなはずなのに...
何で珠璃のことは...
―――――離したくない
こんなこと、思ってしまうんだろう。
「かっこわりーな、俺。珠璃に嫌われるわ」
このよく分からない独占欲が珠璃にバレないように、なるべくアイツと一緒に過ごさないようにして、必死に隠してきたのに。
何故か今日は、いつも我慢できた颯太のスキンシップにイラッときて。
......ダメだ。絶対嫌われた。
珠璃に嫌われるのは...嫌だ。
――――――だから、
俺は小さく頷くと、しっかり前を向いて立ち上がった。
...でもこの決断が間違っている、と
恋愛経験が全くない俺が気づくのは、
まだ少し後の話。
- Re: やっぱり君が好きだから ( No.11 )
- 日時: 2019/03/31 13:42
- 名前: わたあめ (ID: qlgcjWKG)
【珠璃side】
『ごめん。ちょっと頭冷やしてくるわ』
そう言って何処か行ってしまった日々は、態度がいつも以上に冷たくなって、教室に来た。
私と目があっても直ぐ逸らすし、
私が話しかけようとしても、逃げるようにして教室の外へと行ってしまう。
...嫌われたのかな?
それとも何か私が怒らすようなことした?
急に変わってしまった日々の態度に戸惑いを隠せない私。
結局、日々と何も話せないまま、ホームルームが始まった。
***
「はーい!じゃあ委員会決めるぞー!」
何か白い箱を掲げながら、明るくそう言った先生。
「「「えぇーっ」」」
それとは反対に、めんどくさそうな声をあげる私達生徒。
『やだー』とか『絶対やらねー』などのブーイングの嵐だ。
...まぁ私もメンドーだからやる気は無いけど。
- Re: やっぱり君が好きだから ( No.12 )
- 日時: 2019/05/16 20:45
- 名前: わたあめ (ID: EDXcI6jL)
しかし先生は余裕な笑みを浮かべたままだ。
......先生の様子がおかしい。
不思議に思った私だったけど、理由は直ぐに分かった。
「だよなー?皆委員会なんかやりたくないよなー?
...だからここは平等に!!!
クジで決めるのはどうだっ!!!!」
どん、と教卓の上に白い箱を置いて満面の笑みを浮かべながらそう言った先生。
どうやら、何に対してもやる気の無い私達が委員会をすぐに決めると思えず、対策を考えたらしい。
...何だろう。
とてつもなく嫌な予感がする。
「ほらほら!1番からさっさとくじを引きに来い!変な小細工なんかはしてないから安心しろよ~」
屈託の無い笑顔を見せる先生に、流石に皆も何も言えなくなったのか、納得してないような、面倒くさそうな顔をして出席番号順に教卓へと向かっている。
- Re: やっぱり君が好きだから ( No.13 )
- 日時: 2019/07/10 13:43
- 名前: スマイル (ID: ldN9usvX)
やがて、17番までがくじを引き、遂に私がくじを引く番になった。
残念そうな顔をしている人や、嬉しそうに顔を綻ばせている人達の間をすり抜け、教卓へと向かう。
そして、教卓の前。
白い箱を両手で押さえ、にっこりと微笑む先生は、やけに嬉しそうで。
反対に私はきっと、眉間に皺を寄せて渋い顔をしていたと思う。
あー、やっぱり。
嫌な予感しかしない。
「...先生。私だけくじ引かないというのはどうでしょう?」
苦し紛れに、そんなことを言ってみたが
「何言ってるんだ、崎下。皆平等なんだぞ」
勿論、即却下された。
じぃ、っと私を見つめてくる先生。
あー、はいはい。分かったよ。
無駄口叩いてないでさっさと引けってことでしょ?
ゆっくりと、箱へと手を伸ばす。
そして、箱の中で手をぐるっと一周させると、手前にあった紙を取った。
「えーっと、私は...、っ!」
箱から手を出して三角に折ってある紙を開いたまま固まる私。
嫌な予感、的中。
手から滑り落ちた紙には、書道部の顧問である先生の綺麗な字で
『学級委員』
と、そう書いてあった。