コメディ・ライト小説(新)
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- ハーバリウム
- 日時: 2019/04/22 16:55
- 名前: 枢 (ID: s00TEuml)
転生したサクラはこの異世界でどんな活躍をするのか?元、いじめられっ子
だった彼女の異世界冒険譚―!
第一章【生活開始編】>>01-08
1.運命の出会い >>01
2.異世界の事 >>02
3.リースの最後 >>03
4.ダンピールとサクラ >>04
5.ティターニアとリヴ >>05
6.吟遊詩人ソアラが語る >>06
7.クランベルとリース >>07
8.管理人の最初で最後の初恋 >>08
第二章【オーク暴走編】>>09-19
9.鬼 >>09
10.鬼の事情 >>10
11.鬼よりも鬼らしい鬼 >>11
12.バジルとオレガノ >>12
13.同盟 >>13
14.道化師の口車 >>14
15.バジルの謀反 >>15
16.vsオーク軍、開戦 >>16
17.それぞれの役職 >>17
18.オレガノの双子 >>18
19.ウィールの話 >>19
20.獣人の同盟 >>20
- Re: ハーバリウム ( No.11 )
- 日時: 2019/04/20 19:28
- 名前: 枢 (ID: s00TEuml)
ウィール「オークとソードボアの群れか…随分と面倒くさそうだな」
ウィールは呟いた。逃れたツバキたちに一人の男が現れたという。その男の
魔力は何処となくサクラにそっくりだった。その男は鬼たちにこの村の
場所を教えクランベルの名前を持つ人物に従えば良いと伝えられたらしい。
モモカ「それにしてもダンピールが人間と共に行動しているなんて
驚きました」
サクラ「うん私も驚いてるからね。あ、ツバキこれからどうするの?鬼の村は
無くなっちゃったんだよね。困ったらお互い様だし良かったらここにいても
構わないよ。衣食住はちゃんと用意するから」
ツバキは黙り込んだ。衣食住、揃っていなければ安定して暮らすことは
出来ない。考えておくと言ってこの日は終わった。翌日の朝、ツバキたち
鬼6人が配下になると決断した。
サクラ「あの…クロハ、大丈夫なのかな?」
ツバキ「いつもあんな感じですよ。俺たちとは少し違って結構辛い家庭で
育ってましたから」
サクラ「な、なら詳しく教えてくれない?仲間になるんだから知っておかないと
と思って…」
ツバキ「俺たちよりも鬼らしい鬼なんです。魔術は軽く使える程度らしいけど
筋力じゃあ俺たちでも勝てる奴はいませんよ。加減間違えたら破壊
しかねませんからね」
納得した。その怪力で迷惑をかけないために必要最低限で関わるように
しているのか…ならこのスキルが役立つだろう。サクラは外に出て
クロハに声を掛けた。
クロハ「?」
サクラ「これからよろしくねクロハ」
手を差し出すもクロハは手を出さない。やっぱりそうだ。逆に考えれば
人間の骨を軽く握り潰せるほどの怪力を持っているということだ。
サクラ「大丈夫。私のスキル調整者で力を調整できるはずだよ」
クロハはそっとサクラの手を握った。
- Re: ハーバリウム ( No.12 )
- 日時: 2019/04/20 21:43
- 名前: 枢 (ID: s00TEuml)
食堂にやってくるとそこには地獄絵図が広がっていた。困ったように苦笑
しているアヤメと完全にのびているユータ。彼の前には料理とは言い難い
料理が置いてある。もうこれはお決まりのパターン、料理が苦手どころ
じゃないよ?何をどう料理すればそんな見た目と毒になるの!?ここは心を
鬼にして注意するか。
サクラ「アヤメ、これから料理を作るときはツバキに許可を取ること!」
近くに座っていたツバキを指差した。嫌そうな顔をしているツバキだが
そんなことはどうでもいい!兎に角、料理での犠牲者を無くすことが
大事なんだ。突然、キキョウから連絡が入った。リザードマンが来ているので
来て欲しいとのこと。言葉の通りその場所に来るとトカゲのような姿の
リザードマンの中にたった一人、人間に近い姿をした人物がいる。
アヤメ「ドラゴニュートですね。あ、因みにドラゴニュートより人間に
近い容姿をしているのをドラゴニア、竜の加護を受けて竜人化した
種族をドラゴノイドと言うんですよ。ドラゴノイドは竜の守護者の役割を
持つんです」
サクラ「竜人にも色々あるんだね。で、私がサクラ・クランベルだけど」
リザードマンのリーダー的な奴バジルはそれを聞いて首を傾げた。
バジル「は?いやいやサクラ・クランベルという輩は女だと…ンん?」
失敬な!私は女だよ!?バジルは全身を見る。胸を見てやっと理解したようだ。
そこを見てやっと女だと分かったらしい、失礼な人だ。ドラゴニュートの
オレガノはフッと笑い謝罪する。
オレガノ「すまないねバジルが失礼なことを言って…でも俺も一瞬男だと
思ってしまったよ」
サクラ「あ、いや大丈夫です。中性的なのは分かってますし気にしてないから
それで何用ですか?」
バジル「貴様らを我らの配下にしてやる!」
- Re: ハーバリウム ( No.13 )
- 日時: 2019/04/20 22:23
- 名前: 枢 (ID: s00TEuml)
怒りのゲージが極限に近いところまでに達したのはサクラとウィールと
クロハ以外。彼らの元に歩み寄りオレガノはサクラの耳元で囁く。それを
余所にバジルは自慢げに「我らの配下になれば…」などと色々話始めている。
オレガノ「俺たちの目的はサクラ・クランベル殿と同盟を組むことだ。
すまない彼はお調子者でね」
それを聞いて少し笑って頷いた。その二人をバジルは指差し「聞こえてるぞ!」
と指摘する。
バジル「そんなことでは舐められてしまうではないか!」
オレガノ「お前は態度がデカすぎるんだ。もういい、この件については
俺がちゃんと話しておく。お前は国に帰り王に報告しろ、いいな!?」
少し厳しい口調でオレガノはそう言い放った。それを聞いてバジルは
トボトボと歩いていった。そんな彼を彼の配下たちが「何だよオレガノ様
リーダーじゃないのに」「バジル様、気を落とさないで」などと慰め
ながら帰っていく。
オレガノ「さて…改めて俺はオレガノという。よろしく頼むよ
サクラ・クランベル殿とその従者殿。知っている通りオークとソードボアの
群れが暴れ回っている。我らの軍勢も人数は多くいると言えど奴らの数には
到底及ばない。そこで我らと貴殿達と同盟を組み共に奴らを討ち倒さないか?」
オレガノの口調、相手を上に見る謙譲語だ。さっきのバジルとは大違い。
彼がリーダーかと思いきや彼ではなくあのお調子者バジルがリーダーだった
ことに正直驚きを隠せない。本題に戻って確かにいいかもしれない。数は
多い方が良いし彼オレガノの戦闘力もかなり上位だ。同盟を組む以外の
手はない。
サクラ「分かった同盟を結びましょう。ですがお互いに王の顔合わせは
したほうがいいですよね?なので七日後辺りに私たちがそちらの湿地帯に
行きます」
オレガノ「了解しました。王にはそう報告しておきます。そして同盟を
組んでいただき有難うございます」
そう言ってオレガノは白い軍服を包む外套を翻し村を出ていく。
- Re: ハーバリウム ( No.14 )
- 日時: 2019/04/21 11:58
- 名前: 枢 (ID: s00TEuml)
鬼6人とウィール、オレガノ、森の管理者ティターニア、リヴとソアラそして
サクラが集まった。
ティターニア「オークやソードボアは基本的に飢えてきたら何でも食べます。
死体でも生き物でもね。その食べた物の能力を彼らは得ることが出来る」
ソアラ「数百の時を得てそのスキルを同種族に共有できるスキルを
オークたちは持っていない。だが別の人物がスキルを複製して分けることは
不可能ではない」
その言葉で誰が糸を引いてるのか、なんとなく察しがついた。この世界には
魔王が何人かいる。きっとそのうちの誰かだろうと…。トボトボと歩いていた
バジルたち一行に二人の男が声を掛けてきた。一人は仮面をつけた道化師、
もう一人はほとんど顔を隠されている。口元はマフラーで片目は包帯で
黒いローブに身を包んでいる。
バジル「むっ、何者だ」
シュリット「シュリットや。こっちのむちゃ無愛想な男はファントムやで」
仮面の道化師シュリットは自分の名前と男の名前を伝える。シュリットは
バジルの耳元で囁く。
シュリット「オークとソードボアの群れの相手、御父上には荷が重い
そう思いますよね~?そ・こ・で~…どうです?貴方が倒せば万々歳です」
そう言ってシュリットはファントムを置いて消えた。ファントムはバジルを
見据える。
ファントム「彼らを侮ってはならない…俺は忠告したぞ」
そう言って彼も闇に溶けた。そのファントムの魔力はこの日に見た村長に
似ているような気がした。
同盟を結んだ4日目、私が何となく新しい服が欲しいな~っと呟いたのが
聞こえていたようでモモカは新たに服を作っていた。
モモカ「少しサクラ様はフワフワとしたような可愛らしい服は好まないと
聞いてデザインはカッコイイ感じにしてみました」
サクラ「わぁ!好みなデザインだよ!ありがとうモモカ」
声を荒げるオレガノがいた。伝達魔法のようだ。
オレガノ「バジルが王を幽閉だと!?馬鹿な、俺は彼にはしっかり言い聞かせた
はずだ!」
微かに相手が「い、いや事実です」と反論しているのが聞こえた。
- Re: ハーバリウム ( No.15 )
- 日時: 2019/04/21 12:21
- 名前: 枢 (ID: s00TEuml)
仲間を引き連れ森の中を進む。湿地帯を目指している。オレガノは俯いている。
オレガノ「すまない。俺がもっとしっかりバジルのことを監視していれば
貴方たちに迷惑をかけることなど…!」
ヒスイ「あんまり気にしない方が良いんじゃないかオレガノさん?最初から
湿地帯に行くことは決まっていた」
サクラ「そうそう。少し予定が早まっただけ。大丈夫だって!」
サクラは笑った。オレガノは顔を上げ苦笑し「面目ない」と言った。
傷だらけの一人のリザードマンの女性がフラフラと走りながらやってくるのが
見えた。満身創痍か。奥からは彼女を追うオークたちがいた。
???「お、オレガノ様!」
オレガノ「セレア、無事だったか!」
前のめりに倒れ込んだセレアをオレガノは抱き留めた。オークを
足止めするためキキョウが糸を張る。張った糸に気付かなかったオークは
困惑する。
キキョウ「死ね」
糸を弾くと血を吹き出しオークたちが倒れた。手持ちの回復薬を彼女に
飲ませた。
オレガノ「セレア、何があったか詳しく話せ」
セレア「は、はい!兄バジルは謀反を起こし王を幽閉しました。彼は
オークたちに挑んでいきました。私は王に頼まれオレガノ様の元へ
行くよう伝えられました」
オレガノ「話は理解した。よくここまで来てくれたなセレア」
セレア「は、はい…有難うございます」
セレアは深々と頭を下げた。
サクラ「キキョウはセレアさんと一緒にその城に向かって王様を助けて
あげて。他は急いでその戦場に行くよ」