コメディ・ライト小説(新)

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しゃんだい
日時: 2019/04/20 13:40
名前: いろはうた (ID: gF4d7gY7)

友人との三題小説のために作りました!
よろしくお願いします!

Re: しゃんだい ( No.3 )
日時: 2019/04/21 00:21
名前: 角笛 (ID: z5ML5wzR)


出来事は2時間前に遡る。

定時になり、今日は花金!ということで、近くの居酒屋に同僚を飲みに誘おうかなと考えていた。
浮き足立つ心のままに、書類をまとめている最中、私の直属の上司である剛田さんに呼び出された。
剛田さんは私より4つ年上で、誰とでも打ち解ける人当たりの良さと多くの契約をもぎ取るカリスマ性で社内でも一目置かれている。
それに加えて、180センチの身長に見合うスラッとした長い脚と少しつり目の端正な顔立ちである。
自分もああだったらモテただろうに……と劣等感を口にしてしまう男性たちの姿を誰もが簡単に想像できるだろう。
社内の女性全員が目を輝かせる、その容姿も剛田さんの魅力を説明する要素の一つである。

そんな剛田さんがやっていたゲームをたまたま私も遊んでいたということがきっかけで、他の人より少しだけ仲良くさせてもらっていた。
私はストイックな姿勢の剛田さんに憧れ、愛情あふれる指導をする剛田さんの部下として働けることを誇りに思っていた。
そして、私とゲームをするときだけ無邪気な笑顔を向けてくれる剛田さんを、強く想わずにいられなかった。

「結婚するんだ。」
「1番仲良かったから、誰よりも最初に君に言おうと思ってたんだ。」

誰よりも近くで、小さな独占欲で、剛田さんを見つめていられたらよかった。
しかし、今日、大事に育ててきたアネモネのような想いは踏まれてしまった。
他でもない、想い人である本人によって。

Re: しゃんだい ( No.4 )
日時: 2019/04/21 22:21
名前: いろはうた (ID: gF4d7gY7)

パタッ、と軽い音を立てて膝の上に雫が落ちた。
緩慢な動きで下を向くと続けて雫が頬からこぼれ落ちた。
遅れて自分が泣いていたことに気づく。
悲しいのか悔しいのかわからない。
名前のつけられない感情のせいで
目からがこぼれ落ちる雫は止まらなかった。
乙女ゲームの主人公のようには
うまくいかないものだと自嘲気味に笑う。
学園ものもオフィスラブも、
いつもヒロインは愛されて終わる。
自分もいつかはそうなるのだと
どこかで思っていたのかもしれない。
そうなれているのだと思っていたのかもしれない。
どこで間違えんたんだろう。
どうすれば良かったんだろう。
後悔は胸の中で渦巻いて
消えるどころか大きくなっていく。
半ばヤケになって、ビールを喉に流し込んだ。
かっと胸を焼く酒精に目を細めると
またぽろりと雫がこぼれた。
本当に好きだったんだ。
じわり、と墨のように答えが
胸の中に落ちて広がった。
それに今更気付くなんて。

「馬鹿だ…私…。」

誰もいない公園に、かすれた自分の声が反響した。
自分は今1人なのだと実感して、かすかに肩を震わせる。
強く瞬きをすれば遠くにぼやけた
夜の街の灯りがぼんやりと見える。
そうだ、1人だ。
ふっ、と酔いが覚めた。
失恋している自分に酔って
ふらふらと人気のない公園に女1人で来てしまったことにようやく気付いたのだ。
あたりはひどく静かだ。
かすかに風がそよぐ音と鈴虫の声が聞こえる。
急に怖くなって、花子は手早くたこ焼きのパックと缶ビールを片付けだした。
こんなところにいないでさっさと帰ろう。
そう思い立ち上がろうとした。

「なーにやってんの。」

背後から不意に声をかけられ、
花子は動きを止めた。
男性の声だ。
じわりと背中に汗がにじむ。
どうしようかと迷ったが、
意を決して声の主へと向き直るようにして振り向いた。















角笛ちゃーん!
次は、この物語の結と、
次の物語の起を書いてねー!
次のお題は【剣】【箱】【紫】

Re: しゃんだい ( No.5 )
日時: 2019/04/22 21:29
名前: 角笛 (ID: eldbtQ7Y)

ああ、夢なら覚めてくれ。
声をかけられたとき、本能的に嫌な予感がしたのだ。
目の前の光景に、私は崖から落とされるような衝撃を受けた。
なぜなら、そこにいたのは同僚の峰田と、

「剛田、さ、ん……」

「おーい無視すんなー」
峰田がいつもの調子で私に声をかける。
様子を悟られないように、など考える間も無く目線を落とす。
峰田と、剛田さんは、手を繋いでいた。
この瞬間、ギリギリまで信じたくなかった事実を突きつけられた。
剛田さんの結婚相手は峰田だった。

2人が並んだところを見るのは初めてだが、本当にお似合いのカップルだった。
身長差も程よく、容姿端麗、仕事ぶりも優秀な2人だ。
私が批判できることなど何もない。
「お相手、峰田だったんですね。」
「明日驚かせようと思ってたんだけどね。」
驚いた?と剛田さんが無邪気に笑う。私だけのものだと勘違いしていた、その無邪気さが、鋭利な刃物となって心臓を刺す。
「1人でいたから。なんかあったのかなーって思ってさ。大丈夫?」
心を刺した本人が、この痛みの原因である本人が、私の傷を労わる。
こんなに残酷なことがあるだろうか。
それなのに、私の痛みにすぐ気付く優しい人を好きにならずにいられただろうか。
心は潰れてしまっているのにも関わらず、その鼓動が止まることはない。

「月が綺麗だなーって思って。一人で剛田さんのパーティーを開いてたんです。心配かけてごめんなさい。」
「何それ照れるじゃんか。」
それが答えなら、私にできることはただ一つ。
声が震えないよう大きく息を吸った。

「剛田さん、峰田。ご結婚おめでとうございます。本当に、嬉しいです。」
貴方が傷つく真実を投げるなら、私は傷つけない嘘を吐く。

「こちらこそありがとう。花子も気をつけて帰りなよ。」
照れたようにはにかんだ2人を見ても何も変わらない。


2人が去った方向を見つめる。

この先どうしよう、と考えても選択肢など一つしかない。
これからも会社で会う。きっと、苦しみ続けるだろう。
しかし、いつ治るか分からないこの傷と向き合っていかなければならないのだ。
その覚悟と共に、最後に、二度と呼ぶことの叶わない愛しい人の名を、想いを込めて呟いた。







「大好きでした。藍子さん。」

























初めての三題ありがとうございました!!!
変なところもあるかと思いますが超楽しかった!!!

次はいろはうたからのお題
【剣】【箱】【紫】
ですね!

次回もがんばりまーす

Re: しゃんだい ( No.6 )
日時: 2019/04/28 00:10
名前: 角笛 (ID: unSI7YxP)

お題【剣】【箱】【紫】


朝の日が身体に染み込む感覚が心地よい。
ジーナはくっついたまぶたに抗うように目を覚ました。
いつもの朝。いつもの光景。いつもと同じような朝食の匂い。今日もジーナの1日が始まる。

ジーナは王都の外れにある小さな街の小麦農家の娘である。
特別裕福なわけではないが、家業を手伝いながら毎日焼きたてのパンが食べられる生活を送っている。
変わり映えしない毎日だが、ジーナは意外と日常を満喫していた。

ここエメラルド王国の住む人々は皆穏やかで、小さな国だが、国全体が活気にあふれている。
美味しい食べ物、陽気な踊り、澄んだ水。
それに加えて優しい王様の、国民に対する愛が感じられる。
この国の素晴らしさを説明するのには充分だろう。
ジーナはこの国が大好きだった。

作業着のワンピースに着替え、短い髪を整える。
最後に、15歳の誕生日に父からもらった紫色のペンダントを首にかければ準備万端だ。
ちょうどその時、母の呼ぶ声が聞こえ、答えるように1階に駆け下りる。

珍しいことに父はまだ畑に出ていないようだった。
少しそわそわした様子だった。しかしいつもより贅沢に見える朝食が気になりすぎて気に留めなかった。
今日見た夢の話を母にしながら朝食を済ませる。

今日も元気に働こう、と腰を上げようとしたときだった。
母と父が話がある、とそこに留まらせるよう促した。

少し気弱で優しい父。いつも朗らかな笑顔の優しい母。しかし今日は少し強張った表情。いつもと違う、嫌な予感がする。
困惑している私に、母は言った。

「ジーナ、あなたに話しておかなければならない話が2つあります。」
「敬語なんか使ってどうしたの?」

「急な話で申し訳ないのだけれど、これから話すことは全て真実です。」

母は深呼吸をしたあと、ゆっくりと言葉を発した。





「1つ目は、あなたがこのエメラルド王国の第1王女であることです。」
「2つ目は、あなたが勇者の末裔であることです。」
「これからあなたには、王女として王宮に上がり隣国の王子と結婚するか、勇者としてこの国を脅かす魔王を倒すかを選択してもらいます。」


突然壊れた普通の日常。
ちょっと意味がわからないです。

Re: しゃんだい ( No.7 )
日時: 2019/05/08 21:08
名前: いろはうた (ID: iruYO3tg)

だが、ジーナが選んだ答えはたった1つだ。

「どっちもお断り!!」

ぽかんとしていた父と母の顔をまだ鮮明に覚えている。
王子と結婚だか、勇者の末裔だとか知ったことではない。
普通の人なら運命を受け入れて
大人しく従うのかもしれない。
剣と魔法の栄光の道か、
全女性が羨む女性としての幸せの道。
でも自分は違う。
今ののんびりした生活を送り続けるほうが大事だ。
このままこの家にいたら、王家から迎えが来て
強制的に連れて行かれるかもしれない。
そう思い、急いで二階にある自分の部屋に行く。
ちょっと古ぼけた自分のカバンを取り出し
必要最低限のものと、こっそり貯めていたへそくりを中に放り込む。
住み慣れた自分の部屋を見るのも最後だと思うと少し寂しいが
平和な生活を守るためにはそうもいかない。
我ながら驚くほどてきぱきと身支度を済ませてしまった。
名残惜しい気持ちを押し殺し、部屋を出て一階に降りると父と母が必死に止めてきた。
予想外の言葉に呆然としていたがようやく我に返ったらしい。
あの時の必死な表情は未だにジーナの脳裏に鮮明に焼き付いている。
必死に止める2人を振り切って、家を出て、町を出た。
そしてジーナが愛してやまないエメラルド王国を出国した。
さすがに国を出たら追っては来ないだろう。
疲れた足を動かし歩きながらほっと胸をなでおろしていたことが昨日のことのように思える。
今のジーナは隣国の小さな村でパン屋を営んでいた。
よそ者のジーナも温かく迎えてくれた
優しい村人ばかりの穏やかな村だ。
そこで幼い頃から身につけたパン作りの技術を活かし、
せっせとパンを焼いたり、のんびり過ごす日々を送っていた。
しかし、そんな幸せな日々は、突然ぶち壊されたのだ。


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