コメディ・ライト小説(新)
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- 鍵のない青
- 日時: 2019/12/27 08:12
- 名前: 柚 (ID: D.48ZWS.)
それは高校1年の春から…。
こんにちは、柚と申します!まだ初心者ですが、よろしくお願いします!
[主な登場人物]
・橘 茜 (輪城 茜)
・落合 奈々
・鈴江 沙羅
・名取 蓮也
・村上 翔太
・藤野 悠
・月影 夜篠
・小田熊 レナ
・姫崎 花音
・朝霧 雛
・小月 凛斗
・宇吊 誠
・輪城 梓
・九辺 蓮太
・輪城 蓮
[*お客様*一覧*]
・とおりすがりさん
〈詳しい人物紹介〉
① >>15
〈雑談〉
第1回 茜&梓 >>09
〈キャラ絵〉
橘 茜 >>13
プロローグ >>01
1話 正体なんか…
(1) >>02 (2) >>03 (3) >>04 (4) >>05 (5) >>06 (6) >>07
2話 トロイの木馬と妖
(1) >>08 (2) >>10 (3) >>14 (4) >>16
- Re: 鍵のない青 ( No.3 )
- 日時: 2019/12/14 19:02
- 名前: 柚 (ID: D.48ZWS.)
1年生の教室の前、オープン広場には、たくさんの新入生でごちゃ混ぜにくるくるされていた。「南中から来た」だの「よろしくね」だの、聴けば聴くほど奥が深まる気がした。私もしてやる!と思ったけれど、何かが足りない。制服を翻すと、私はある答えに出向いた。
「奈々が。」
ー…やっぱりあそこか。
新入生のミキサーに飲み込まれる前に、新品の廊下を突っ走った。
「やっぱり。」
保健室の手前には、『休んでいる人がいます。静かにしましょう。』なんて小洒落た看板がゆらゆら踊っている。苛立つ血眼を押し沈めながらも、木製のドアをガラリと開けた。
「あの、奈々…落合さんはいますでしょうか!」
「奥のほうにいますよ?」
「あっありがとうございまーす。」
養護の先生が撫でられた様にゆっくり微笑む。まだ若い先生の様だが。そんなことはどうでも良く、私は勢いよく若緑色のカーテンを翻した。
「奈々…。」
「んっあっおはよ〜。」
白が基調のベットには、無様な感じで寝転がっていた奈々。…この光景は何回見ただろうか。目を閉じながら、私は呆れと苛立ちが混ざったため息を吐いた。
- Re: 鍵のない青 ( No.4 )
- 日時: 2019/12/15 18:13
- 名前: 柚 (ID: D.48ZWS.)
「ただいま戻りました。」
年季の入ったドアを音が鳴るまで開けると、隅に溜まっていた砂埃がブワッと際立つ。その玄関前にいたのは、千代。昔の言葉で言えば、侍女とか…奉公人とか。ただの召使いだけど。
「千代。ただいま戻りました。…その様にひざまづいてどうされたのでしょうか。」
「茜様、茶の間に旦那様と奥様がいらっしゃいます。“大事”な用事について茜様にお伝えおきたいと願っておりました。さぁ、荷物を預けて向かって下さいな。」
「大事…ですか。」
伏せられた千代の目には、心配の炎が宿っている。一体何を暗示しているのか…。
高ぶって神経を荒ぶらせる気持ち…好奇心をぐっと噛み締めて、鮮やかな回廊を無言で貫いて進んで行った…。
「父様、母様、失礼致します。」
茶の間には、先日生けられた花が嘲笑う様に垂れ下がっている。
2人は細長く開けた視界を、よく滲み出している。2人の顔は、私には全く似ていない。
3歳頃だろうか…。両親が戦争の戦火にされ手間もない頃。孤児院に居た私は、輪城家に何かを買われ、養子となった。今では『橘 茜』では無く、『輪城 茜』…。真剣そうに顔を歪めながら、父様は、口を開いた。
「茜。今日は伝えなければならない事がある。」
「伝えなければ…。私に話してもらえないでしょうか。」
「実は…あなたの両親は、戦争の戦火で焼かれたのでは無く、…虐殺されたんのです。
言うべきかどうか…。」
「…。」
「はぁ…。」
渋い顔をしながら、唇を歪めた。
- Re: 鍵のない青 ( No.5 )
- 日時: 2019/12/19 14:57
- 名前: 柚 (ID: D.48ZWS.)
「ふああああああ!!」
ドーン、ボフンッ!と音と共に、ベッドに吸い込まれていく。
その傍らには、桜並木が生き生きしいカレンダーがペラリと不安定に。
ー…4月8日…。っと。
赤ペンで大きく丸をくるりっと…。よしっ。
明日から新しい仲間に先生。だからだろうか。無駄にテンションが高い気がする。そのまま水色が滲んだスマホを取り出すと、待ち受け画面にポンとメッセージが届いた。
『明日から新学期だよー^_^ 梓』
「梓かぁ。と言うかなんでメッセージで…。」
活発に動く神経と、枕を抱き上げて思っきしゴロゴロしだす。
こんなの見られたら、もう学校行けないほど。もう顔を起こす暇もなく、天井のランプを輝かしい目でパチパチ動かす。
…あー!!我慢できないって!晴々しい想像が頭によぎる!
アホみたいに妄想ワールドで旅しながら、いつの間にか、思考は閉ざされて行き…
ジリリリリリリリリリリリ!
「んっ…朝…。」
寝癖がたっぷりお見舞いされた顔。ピンピン静電気で高ぶっている。
ヨレヨレでベットから体を弾き出して、白いシャツを優しく羽織り赤い濃度掛かったネクタイを締める。そして最後にジャケット。JKらしさが滲み出ていてワクワクする。
「茜〜、そろそろ行こーよー!」
「えっと、分かった分かった!今行くからって!」
一気に階段を駆け下りると、ニコニコ笑顔の梓。
いつもよりテンションが上がってる気がする。
…1年B組。
表情から感情がするする落ちていく。もう現実から突き放されたくらい。
この空虚感…周りにはインスタ女子、オラオラヤンキー、そして隠キャ…。
今までの楽しみがぐにゃあと覆された気持ちになる。
キャピキャピと不安な気持ちを煽る様に、人様の気持ちがぶっ刺さる。もういやー!!と叫びたくなるくらい不安だった。
「…と言うか、奈々。なんで寝てるのよ…。」
「んっ…あー、眠くてさぁ。」
ウツラウツラしている奈々がぼやく様に目を向ける。うっすらと苛立ちが起こる…。
小刻みに揺れる私を誰も気にせず、悠長に話している。
…こんなところ、大丈夫なのだろうか…。
- Re: 鍵のない青 ( No.6 )
- 日時: 2019/12/19 17:37
- 名前: 柚 (ID: D.48ZWS.)
「はーいみんな静かにー。」
ドンと声を上げると、さらさらとした髪の音色。
美しい虹彩が浮かんだ髪は、薄茶色がかっている。ナチュラルウェーブが効いた髪は、見る人を誘う…
「はーい、じゃあホームルーム始めますよ〜。」
黒板に、シュッと滑らかな文字を書き上げると、儚く瞬きを一つ。
いつの間にか振り返って、明るくて優しい声で彼女は言った。
「えーっと、初めまして。今日から1年間、1年B組の担任になります『朝霧 雛』です♪」
「可愛い…」そんな声が辺りから溢れ出す。
また新任の朝霧先生は、優しくにっこりする。見てるこちら側も、反射的に笑みを溢しそうになる。
ホームルームが終わり、時間に余裕ができると、ヘタっと机に雪崩れ込む。
なんだか要領の悪そうな人間に見えてしまうが、…これはしょうがないでしょ。
- Re: 鍵のない青 ( No.7 )
- 日時: 2019/12/20 20:17
- 名前: 柚 (ID: D.48ZWS.)
放課後…。
その校舎の一角には、文芸部と称した組織…M&A。
疑心の塊が渦になって現れている様に、得体の知れない場所だった…。
「ねー、姫ちゃん姫ちゃん!次はどうするー?」
「どうするって…無駄に動いてバレてはいけませんから…。」
何か思いあがって、沙羅がユッサユッサ降る。
それに対応してか、花音はぎこちない苦笑いを浮かべている。やれやれとした表情を見せながら、辺りに散らばっている生徒。それは約10人くらいだろうか。
花音は、風にも負けないくらいの爽やかさで辺りに点々と撒いている生徒たちに呼びかけた。
「明日からは、新入生が来ます。もちろん、私たちと同じ立場…。わからない事があったらいろいろ教えてあげる様に。」
憂鬱に揺れている生徒…やる気満々で綻びってる生徒…。
怪しいと共に、人脈も様々。。
…幼稚園児の様に、人形の様な可愛らしさじゃない。
その裏には、因縁と不可解と言う名の渦が、巻き寄せていたものがあった…。
翌日…。
「おはよ!茜!どーしたのよ?」
もつれ過ぎた髪型は、鳥の巣の様に絡まっている。
こんなの校則に引っかかるよ…。昨日の寝不足を後悔しだす。
はぁ…とため息をつきながら、私は授業の波に飲み込まれるのであった…。