コメディ・ライト小説(新)
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- 不良部長と私の空想科学部
- 日時: 2020/03/30 16:47
- 名前: 蒼星 (ID: 0llm6aBT)
- 参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no=12738
「そこまでいうならさ...お前が俺んとこの部活に入ればいいじゃないか。その方が俺を監視しやすいだろうさ、風紀委員さん」
「解りました。今回は貴方の話に乗りましょう。で...この部活は何をする部活ですか?」
「空想科学...『存在しないとされてる』モノ。つまり魔法。魔法を研究する部活だ!」
...................................
現代ファンタジー×学園ラブコメ
閲覧、ありがとうございます。
この板では初めましてですかね?普段はなりきり板にいる蒼星と言います。
初小説、という事で色々至らない点があるかと思いますが宜しくおねがいします。大筋は決まってるのですが、行き当たりばったりに近いかと。更新も不定期になるだろうなぁ...
略称は『空想科学』にしようかと考えています。いい案があればコメントしてくれると嬉しいです!
目次 >>1
キャラクター説明&用語集 >>2
3/30 作家プロフィール作りました。URLからどうぞ
- Re: 不良部長と私の空想科学部 ( No.4 )
- 日時: 2020/03/29 21:38
- 名前: 蒼星 (ID: y9FxUFsG)
#2
会議が合った日の放課後の事。
「はぁ...。会議ではああ言ったものの...そもそもどこにいるんですかね...?」
校庭裏の、道と呼べるか怪しい位に草が生い茂った道を歩きながら、ボソボソと呟いてみる。
向こうから来ないかな、と考えながら歩いていると、何か...いや、誰かにぶつかった。そして私は派手に転けた。
「あっ、す、すいません!お怪我はありませんか?」
咄嗟に立ち上がってぶつかった相手に声をかける。相手は男子生徒。制服のネクタイを見るに3年生だろうか。
「いや、俺はへーきへーき。てかお前の方こそ大丈夫かよ。そんな盛大に転んで。
てか、少し独り言聞こえたんだが、誰か探してるか?」
男子生徒は服についた汚れを払いつつ此方に尋ねる。
「あ、はい。3年の青井響、という人を探してまして...ご存知ないでしょうか?」
「あ、それ俺だわ」
「......え?ええぇぇ!?」
男子生徒の衝撃発言を理解するまで、数秒掛かり、その後驚きで叫んでしまう。それもそうだ。委員長が呆れるレベルの問題児が目の前に居るのだから。
「その...なんかスマン。
で。どうして俺なんか探してたんだ?てかお前誰だよ」
男子生徒、もとい青井響は明らかに怪しんでいる。ここは素直に白状するべきか...いや、これから頻繁に会うのだから白状してしまおうか。
「私は2年、風紀委員の黒木雪花です。青井響!貴方の問題行動を治しにきました!
そして、単刀直入に聴きます。何故授業をサボったり先生方に反抗したりするのですか!?」
「反抗して悪いか?向こうがルールやらで縛りつけてくるんだろ?それに...生徒の事を信じない奴の言う事を、なんで『はいそうですか』って素直に聞かねぇといけないんだよ」
私の問いに対する答えは、淡々とした、事前に用意してたような台詞。その台詞の中には、少し気になる言葉があった。
「信じない...ってどういう事ですか?」
「そのまんまだ。彼奴らは俺の事なんぞ戯れ言と笑いながす。教師どもだけじゃない。俺の周りは殆どそのどちらかだよ」
彼はまるで笑い事みたいに、それでいてとても悲しそうに述べる。
「その話...詳しく聞かせてください。微力ですが...少しなら力になれるかもしれません。それで貴方が苦しんでるのであれば、私は助けてあげてい」
私は彼の目を真っ直ぐ見て、自身の真意を伝える。彼の話ぶりを聞くに昔から。これが本当なら人間不信になっても仕方がない。
「まさか、まともに聞こうとしてくれる奴が姐さん以外にいるとはな。解った。なら場所を変えよう。俺は先に行くから姐さん...社会科の赤嶺って教師を連れて第2科学室に来い」
「は、はい!」
【ここまで暗いなぁ、話重いなぁ、板間違えたんじゃない?って思う方が居るかと思いますが大丈夫です。1章が暗いだけだ...たぶん。まともに部活動やるようになれば明るくなるんですけど、それまでまだ数話ありますね。はい】
- Re: 不良部長と私の空想科学部 ( No.5 )
- 日時: 2020/03/30 09:24
- 名前: 蒼星 (ID: 0llm6aBT)
#3
「社会科の赤嶺先生はいらっしゃいますかー?」
数分後。私は彼に言われた赤嶺先生を探しに職員室の入り口にやってきた。
「はーい!居るよー!
ってありゃ?ウチ、2年生は担当してないけど...えっと、君は?」
すぐさま先生は入り口までやってくるなり、私の制服のリボンを見ては首を傾げる。問題児が名指しする先生だからもっと厳つい感じをイメージしていたのだが、そのイメージとは違いモデルみたいにかなり美人な茶髪の若い女性だった。
「私は黒木雪花といいます。青井響から、貴方を連れて第2科学室に来て欲しいと言われまして」
「へぇ、あの子がねぇ...解った。丁度仕事はきりがいいとこまでやったし、早速行こうか!」
「は、はい!」
どうやら先生は彼の事を知ってる様子。先生は笑顔を見せると、早速職員室を出て歩き始め、私もその後について行く。
「えっと、雪花さん、で合ってるね?変な事聞くけど、どんな経緯で彼にウチを呼んでくるように言われたの?」
廊下を歩いてる途中、赤嶺先生は私に不思議そうに尋ねる。私は今日の委員会会議からの出来事をそのまま伝えた。
「成る程ねぇ。雪花さんは風紀委員だったと」
「あれ?驚かないんですか?」
「いや、驚いてるよ。でも君でよかったとも思うな。だって他の先生じゃさ、『信じてくれないから』って言っても『信じてもらえないのはお前の行いが悪いから』とかって聞く耳持って貰えないそうだからね。それに反して君は『助けてあげたい』...この差はかなり大事だと思う」
先生は少し安心したように呟く。
「そうだったんですね...。聞く耳を持たないのは他の先生方も同じだったと。それより...赤嶺先生はどうしてそんなに彼の事、詳しいのですか?」
「何の事かなー?」
私が先生を怪しむと、先生は明らか様に動揺する。目が泳いでるのがすぐ解る。こちらが見つめると目を逸らした。
「真面目に答えてください」
「は、はいっ!...雪花さん目が笑ってない、怖い...」
先生の行動に少し苛ついたので笑顔で注意する。それにしても怖いとは随分失礼な。
「で!どうなんですか?」
「解った。答えるから急かさないで」
私が問いただそうとすると、先生は疲れた様子でそう返した。そして、数秒後漸く先生が話始める。
「えっとね。ウチと響は従姉弟なんだ。年は結構離れてるけどね。だから彼の事も結構詳しいよ。何を信じてもらえないかも知ってる。
ねぇ、雪花さん。多分信じれないだろうけど、あの子の事信じてあげてくれる?根はいい子だし嘘を吐くような子じゃなのはウチが保証する」
「先生がそこまでいうなら...どんな内容でも信じてみようと思います」
「ありがと」
何があっても彼を信じる、そうした決意を先生に伝える。すると先生はとても安心した様に微笑んだ。
しかし、この私の決心は数秒で崩れる事になる。
「先に聞いておきますけど...一体何を信じて貰えないのでしょうか...?」
「魔法が存在するって事」
「は?」
この時、私は酷く二人に失望した。委員長がこれを聞いたのなら『貴方達脳内お花畑?』とでもいっていたのだろう。なんせ魔法なんて空想の産物。空想科学でしかないのだから。
- Re: 不良部長と私の空想科学部 ( No.6 )
- 日時: 2020/03/30 12:02
- 名前: 蒼星 ◆eYTteoaeHA (ID: 0llm6aBT)
【うぎゃあ!トリップつけ忘れてた!
と、いう訳で今回からこのトリップでいくので宜しくおねがいします】
#4
「はぁ。...先生、正気ですか?」
ため息を吐いて、立ち止まっては呆れながら先生を見る。しかし、先生の瞳には理性はあるし、とても嘘を吐いてる雰囲気ではない。
「正気だよ。
ここには人通りもないし...魔法を見せてあげるから、ここで見た事は他言無用にしてね」
先生は私と同様に立ち止まり、とても自信に満ちた目で私に伝える。先に他言無用と言う当たりその自信が伺える。
「じゃあいくよ...『ウォーター』!」
先生は右手を前に翳し叫ぶと、その手から水が流れ出し、廊下を水溜まりへと変える。少量なら袖に小さいボトルでもあるのかと疑えるが、数Lはある大量の水。疑いようがない。
私はそんな非現実的な光景に驚きで唖然とする。
「もういっちょ!『フリーズ』!」
今度は先程の水が広範囲に流れる前に、先生が居る位置から氷っていく。この時は辺り一体の温度も下がってるように感じた。文字通り背筋が凍りそうなくらいには。
「やっぱ直接物質に改変するより、熱エネルギー産み出す方が難しいなぁ...」
目の前の光景に頭が追い付けなくて混乱しだした私を他所に、先生は訳のわからない事を呟いている。
「まぁでも...これで信じてくれたかな?雪花さん。...おーい、雪花さーん?雪花ってばぁ!」
「は、はい!」
先生が私の体を揺らした事により、ようやく混乱が解け、はっとして返事をする。
「信じてくれた?」
「こんなの見て信じるしかないじゃないですか。他の人にも見せれば信じてもらえるんじゃないですか?」
苦笑いをしては先生の問いに答え、逆に問い返してみる。すると先生は険しい顔になり...
「そうしたいのはやまやまだけど...沢山の人信じてもらえても、それはそれで厄介なの。それに...心無い人に悪用される可能性もあるし、教えた子自身は良くても、その子が更に教えて悪人に伝わる可能性もある。それに実際見せてもマジックやら映像やらって言って信じてくれない頭の硬い人間が多いのよー!腹立つ!なんで人間は未知の事や都合が悪いことを信じようとしないのよ!」
「はぁ...」
最後の方はただの愚痴にも感じるのだが、気のせいだろうか?
「まぁそんなこんなあってね。信じて貰えないしで教えるのは控えるようにしたの。君に教えたのは...何となくだけど君なら大丈夫かなって思って。ウチの勘はよく当たるんだ」
自信満々に大丈夫だと言ってもらえる事は嬉しいが、私側の気持ちは無視なのが気になる。
「さ、この話は終わり!そろそろ科学室に行こっか。響に怒られちゃう」
「は、はい!」
先生はパンパンと手を叩いては氷を一瞬にして消してみせては、再び歩き始める。私はその後を早歩きで追うのだった。
【魔素について捕捉。改変でエネルギー自体を産み出して温度を変える事ができたり、改変した物質を再び改変して元の魔素に戻す事も可能。エネルギーを産み出すのはかなり難しく、再び改変するのはかなり簡単である】
- Re: 不良部長と私の空想科学部 ( No.7 )
- 日時: 2020/03/30 16:32
- 名前: 蒼星 ◆eYTteoaeHA (ID: 0llm6aBT)
#5
「響ー!来たよー!」
先生が勢い良く第2科学室の扉を開ける。
「やっときたか。取り敢えず二人とも座れ」
科学室には椅子に座っている不満気な青井響が。私と先生は彼に従い、予め用意されていた椅子に座る。
「こほん。で、風紀委員さんよ。さっきの話の続きなんだが......実はだな。魔法が...」
「それ雪花さんに話しちゃった★」
「は?」
彼が話そうとしていた事は、私が先生に聞いた事と同じようで。『てへぺろ』とウィンクする先生に対し、青井響はプルプルと震えては机を『バンっ』と勢い良く叩いて立ち上がると先生に近づき...
「姐さん!お前なぁ!俺の台詞もってくんじゃねぇ!『発火』ァ!」
「ええー!だってこういう事だって聞いてないもん!てか魔法使わないでよ!『スチル』!」
苛ついた青井響が先生に向けて炎を発生させては、先生は慌てながら金属の板を作って炎を防ぐ。板は浮いてるから本人に熱は伝わらないようだ。私はそんな二人を止める為に、近くの棚から資料本を出してきては...二人の頭を本で叩いた。
「へぶしっ」「イタっ!」
「ふ、二人とも落ち着いてください!」
「わ、悪い。ついかっとなっちまった...」
「ごめんなさい...」
二人とも頭を手で押さえながら素直に謝る。先程まであった炎と金属板は既に消えていた。
「次からは気をつけてくださいね。今は私達三人しかいなかったものの...」
はぁ、とため息をついては二人に注意する。2年生に注意される教師と3年生ってなんだ......って、本題忘れるとこだった!
「...青井響。本題に戻ります。私が信じたら、サボりを直す気はありますか?」
「無理」
「即答!?」
本題...つまり彼の問題を無くす事。しかし私の頼みは即断られる。
「な、なんでですか!?」
「そうよ!サボり初めてまだ数週間だからウチも直してくれると思ったのに!」
「だって...一回楽しちゃうと中々直せねぇもんだよ?お前もこっち側来る?」
「来ません!」
何ともダメ人間らしい回答をした彼は、私も同じ方向に来させようと勧誘する始末。
「どうしてもですか?」
「どうしてもだ」
「はぁ。解りました。ならば貴方が直すまで私は貴方を監視します!」
どうしても、と言う彼に対し、私は彼を指差してそう宣言するのであった。
- Re: 不良部長と私の空想科学部 ( No.8 )
- 日時: 2020/03/30 20:08
- 名前: 蒼星 ◆eYTteoaeHA (ID: 0llm6aBT)
#6
「えぇ...」
私の宣言を聞いた彼は、明らかに嫌なようだ。
「監視されて直る気はしねぇし、寧ろ悪化しねぇか?...姐さんも何か言ってくれよ」
「別にいいんじゃない?悪化は単純に響の気持ち次第でしょ?
あ、雪花さん。響はこれでも部活の部長だから結構この科学室にいるから、ここにくれば監視しやすいだろうし。ウチは顧問でよくここに来るから少しは協力できるし」
「姐さんそりゃぁないよ」
なんと先生は協力的だった。先程も『直してくれると思ってたのに!』と言っていたし、サボりは直して欲しいよう。それにしても彼が部長...今の彼を見てると意外としか言えない。
「ならそうさせていただきます。
という事なので覚悟してくださいね!絶対貴方の問題行動を補正してみせます!」
微妙に言葉は違うが再度宣言してみせた。
「はぁ...解ったよ。
そこまでいうならさ...お前が俺んとこの部活に入ればいいじゃないか。その方が俺を監視しやすいだろうさ、風紀委員さん」
挑発するように問いかける青井響。私は呆れたように、けれど内心チャンスだと思い彼の提案に乗ることにする。
「解りました。今回は貴方の話に乗りましょう。で...その部活は何をする部活ですか?」
「空想科学...『存在しないとされてる』モノ。つまり魔法。魔法を研究する部活だ!」
彼はドヤ顔でそう叫ぶ。嗚呼、有ったなそんな部活。丁度私は部活には所属してないからいいものの。
「なら決まり..って言いたいとこだけど。雪花さん、この部活他に人いないから今年で廃部だけどいいの?」
「構いませんよ。あくまで青井響の監視の為ですから」
今の先生の言葉に少し驚くも、私が部活に入る目的はあくまで監視だ。寧ろ人が少ない方が都合がいい。
「あのな...部活に入るんならその呼び捨てやめてくれよ。俺の方が年上なんだし。部長だし」
不満をしてここにきて年上と主張する青井響。魔法を信じてあげたのに態度を変えない彼を先輩と呼ぶのは不本意だが仕方ない。何か違う気もするが郷に入ったら郷に従えともいうし。
「解りましたよ、響先輩。...これでいいですよね」
「うわ、露骨に嫌そうにすんなよ」
「はいはい。ともかく此れから宜しくお願いしますね、先輩」
こうして、私は彼...響先輩が部活の『空想科学部』に入部したのであった。
これから私達がどうなるのかは誰も知らない。
でも不思議と、私は楽しみだった。問題児、という事さえ除けば、響先輩はそこまで悪い人では無いようだし、なにより存在する『魔法』を自分で研究できるから。
そして明日から______不良部長と私の空想科学部部活動が始まる。
*第1章 『始まりと進級の空想科学』終