コメディ・ライト小説(新)
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- 溶けない星、枯れない妖…
- 日時: 2020/04/07 13:23
- 名前: 紫音 (ID: NtGSvE4l)
始めまして、紫音と申します♪
小説投稿は、初めてなのですがちょくちょく更新していくのでよろしくお願いします!
【あらすじ】
時は21世紀、人類と妖が共存する時代となった。天体観測部の凪は、妖の少女ウレアと出会う…。
スレ開始時 2020/04/02
登場人物>>01
プロローグ>>02
1話 (1)>>03 (2)>>04 (3)>>05 (4) >>06
2話 >>07 3話 >>08 4話 >>09
- Re: 溶けない星、枯れない妖… ( No.5 )
- 日時: 2020/04/05 14:06
- 名前: 紫音 (ID: j9SZVVec)
「急にお邪魔してすいません。…実は、お願い事があったんです。」
夜。
冷えるかと思い、彼女にお茶を差し出すと優雅なお姫様の様に茶碗に触れていた。
そして、静かに口を当て緑色のお茶を吸い込むかのようにすぐさま飲み干した。
「あ…、それってなんなの?」
唖然とする私にニッコリ微笑んだウレアは、早く話をしたいらしく、ピンと姿勢を正した。
「凪さんに、助けて頂きたいんです。」
「…へ?」
“助ける”?…そんな、いきなりファンタジーな要素が溢れ出していいのだろうか?状況が理解できなくていきなり立ち上がると、ガタッとテーブルが揺れた。しかし、どうやら彼女はこのシチュエーションを予測しているらしく全く動じていなかった。…だが。“狐の血を引いた人間”がいる事は科学的に証明されているが“助ける”なんてRPGめいたことはまったく証明されていない。
「動揺するのは私も分かります。…とりあえず順を追って説明しますね。」
その一声で、一旦落ち着きを取り戻すと私は膝を付いてカーペットの上に座った。
「知っての通り今や妖は人類と共存していますよね。例えば、狼の血を引く妖。猫の血を引く妖。そこんとこですかね。そして、人類のように妖にも“妖の世界”があるんです。昔は、その世界は平和でした。穏やかで居心地のいい。…でも。共存に反対する妖達で、いろいろと反乱が起きているんです。妖は人間と化物のハーフのような存在なので、人間の残虐性も持っていますし化物の戦闘能力も取り備えています。そのせいか、今や妖の世界は荒れてる…って感じです。」
「そっか…。じゃあ、もしかして“故郷に帰れない”って事?」
そう問いかけると、彼女はうつむく。そんな化け狐…彼女の目は悲しみに満ちていた。
- Re: 溶けない星、枯れない妖… ( No.6 )
- 日時: 2020/04/05 20:21
- 名前: 紫音 (ID: UIQja7kt)
一通り彼女が今の状況を話し終えると、私は話の意味を聞くべくより彼女に近づいた。
「…で。一旦話を戻しますね。私がココに来た理由は、あなたの力を借りる為。あなたに騒ぎに終止符を付けて頂きたいんです。」
「えっ、私が…?」
困惑してもう1度聞き直すと、彼女は首を…縦に振った。そして…まるで重要な事のように、真剣な表情をしっかり向けていた。
「…これはあなたにしか出来ないことなんです。あなたという人間がいる…。運命の悪戯だとしても、あなたの様な人間をずっと探していたんです。…だから、協力していただけませんか?」
「まぁ、いいけど…。私じゃなければいけない理由ってあるの?」
少し問い詰めると、彼女は喉に何か引っかかった様に少し黙った。そして、悲しみの炎を目の中に宿させ金色の髪もおとなしくなびかせていた。…やっぱりオブラートに包んであげればよかったかもしれない…。でも、彼女も人間と同じ様なものだ。彼女には何か言えない気まずい事があるかもしれない。
「それは…。また、今度話します。それでは失礼いたしました。」
そう言うと、目を閉じて彼女は消え去ってしまった。部屋の中は木枯らしが吹いたように他に誰もいない状態であり、勉強机に置かれていた参考書も憎たらしい程そのままであった。
「…でも。夢だったのかも。そもそも、あの化け狐がここに来るなんて思わなかったし…。そんな事、ありえないよね。ちょっと疲れすぎたのかも。」
ただ、それを裏付けるように彼女が飲み干したお茶とびっくりして落としたレジ袋が、すべてを物語っていた。
- Re: 溶けない星、枯れない妖… ( No.7 )
- 日時: 2020/04/06 18:02
- 名前: 紫音 (ID: 1866/WgC)
2話 悩み事
「あれ、凪。どうしたのそんな顔して。」
「あ…、いやちょっと悩み事があって。」
帰り道。
部活が始まる前であり、いつもより早く下校することが出来た。いつもの下校時刻は5時。しかし、今日は4時とあって夕暮れに染まっていない道路を生徒達は歩く事ができた。
「…あ。もしかして、私とクラスが違うから悲しいって感じ?」
「なっ、訳無いじゃん。…もっと別の事だよ。ほら、もしさ相手に無理難題を押し付けられたら星来はそれを引き受ける?」
「ふぅん。そういう感じかぁ。もっとヤワな悩みだと思ったけど…仕事第一なのね。」
彼女と会うと、唇の中から溢れんばかりな言葉が出てくる。
その姿はまるで、彼女に直接音を振りかけるようであり音の鍵を彼女の耳の中にそっと入れているよう…。そしてその音は周囲の音にかき消され、私と彼女以外の人間には、何かしらも聞こえていないのだ。
「ん…。私だったら引き受けるなぁ。」
「星来は、引き受けるの?」
驚いてもう1度聞き返すと、「そうそう。」と口を開く動作が見えた。
「だって。人が困ってんでしょ?つーか、その人は自分の事を信頼してお願いしてくれたんじゃないさ。それに応えるのは、強い者の使命だよ。」
いつものチャラさに驚くぐらい、彼女は勇ましく宣言した。それを引き立たせたいのか少しの光が彼女の背中に当たり、より一層たくましく見えた。
「じゃあ帰りになんか飲んでいこう。」
「だねぇ、私カフェラテにしよっかな。」
そうして、私達は新しい足取りで指差す方向へ足を運ばせた。
- Re: 溶けない星、枯れない妖… ( No.8 )
- 日時: 2020/04/06 20:28
- 名前: 紫音 (ID: 1866/WgC)
3話 黒い妖猫
「で。どうだった。」
「妖猫様の詔は、どうやら前向きに受け入れています。…あとは実行に移す為に機会を待ちましょう。」
蒼白にひっつねた顔が、ウレアの顔を覗くと無愛想な程冷静な表情がその場で読み取れた。
これが主…妖猫の怖さとも言える。
「…そう。丘海 凪。…さて、うまく手を貸してくれるかしら。」
「…さあ。私達には、“人類と妖の壁”がありますから。信用もホドホドにした方が良さそうです。」
「あら。あなた、人類を信用していないの?」
「トラウマがあるんですよ、200年前の。あそこまで残虐な生物は、人類以外にいませんよ。」
「なるほどね、人類の裏切り_____でも、今回はそうゆう否定的な意見は関係ないのよ。特に…
《フェアリー・カマンダー》には。」
滑らかな細い手で、黒い古本を取り古の言葉で書かれたページを開くととある伝説が記されてあった。
「いい?…この子を逃してはダメよ。この子は伝説の子…もう2度と現れないかもしれない。ウレア、よろしく頼んだわ…。」
「…はい。」
何かのプレッシャーに根負けしたのか、ウレアは首を縦に振らないを得なかった
- Re: 溶けない星、枯れない妖… ( No.9 )
- 日時: 2020/04/07 13:23
- 名前: 紫音 (ID: NtGSvE4l)
4話 華型の少年
「凪!結論はどうなのっ?」
「えっホントに入んなきゃダメなの?!」
星来が机をバンと叩くと、クラス全員がこちらに目を向けた。今は休み時間だから許される事だが、このような大騒ぎは非常に迷惑である。
「だから入らないって______」
「正気?…もっかい言ってみて。」
否定的な発言をすると、急に星来に変なスイッチが入った。彼女の目はあからさまに殺気立っていて、全神経が怒りで震えていた。
「えっと、そのぉ、『だから入らないって訳では無いし、まだ悩み中』って言おうとしたんだよ。ははは…。」
なんとか収めようと、つい無茶な発言をしてしまった。…その場しのぎにはなったが、この後どうしよう…。
「…なるほどね。じゃあ、凪に入ってもらうように“ファンクラブ”を紹介するパンフレット持ってきたから読んでおいてね。」
「…あ、おお。」
新品の机の上に、パンフレットを置くと彼女は去っていった。
そもそも、“ファンクラブ”とは何だと思う人も居るだろう。この学校…学年には、本庄 陵君というイケメンがいる。…私的には好みのタイプではないが。その彼を応援する為に結成された『陵君ファンクラブ』が今の話題である。
そして、私が勧誘された理由は“家が近い”という理由である。去年も勧誘され、大変迷惑なのである…。
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