コメディ・ライト小説(新)

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アニマルラミナーズ
日時: 2021/01/25 22:35
名前: ノモケマナ (ID: hDVRZYXV)
参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no=12910

 どもノモケマナと申します。初の作品となります。
 投稿頻度はかなり遅いと思いますが応援宜しくです。
 一話一話文章長いですが是非読んでくださいね!
 もしかしたら別枠であらすじ的なやつ作るかも。
 ちなみに作者は何度も投稿したものを確認しているので閲覧過多詐欺になってます。
 
 お知らせ!

 今後の内容によりこの作品を複雑・ファジーに移します。
 大会が終わり次第このスレッドでは別の作品を書かせていただきます。
 引き続きアニマルラミナーズをよろしくお願いします。(移行しました)

〈目次〉
・プロローグ >>1

・1-前章

1話 >>2 2話 >>3
3話 >>4 4話 >>5
5話 >>6 6話 >>7
7話 >>8

〈ありがたき読者様からの返信〉

坂蜻蛉 宙露さん >>9

1−前章 5話 『小屋の忘れもの』 ( No.6 )
日時: 2020/12/08 18:25
名前: ノモケマナ (ID: hDVRZYXV)

「いた……」

 どうやら一番嫌なパターンだったらしい。
 小屋の前にはロスが呆然と立っていた。ただ目を閉じて、小屋を見上げている。そこにはどこかもの寂しげな雰囲気が漂っていた。

「もう何してるのロス。早く行くよ」

 ペガは呆れ声でロスに話しかけた。それでも様子は変わらない。じっと小屋を見つめているだけだ、目は閉じている。
 
 ペガは口で大きく息を吸う。そして喉を大きく開き、腹の奥底から大声を──とそのときロスが急に声を出した。

「ペガは寂しくないのか」

「えへぇ?」

 突然の問いかけに吸いこんだ息が変に間延びし、口から漏れた。ここでいつものロスなら笑っていただろう。
 しかし今は真剣な面持ちで話を続ける。元からの穏やかな佇まいが場にさらに緊張感をもたらしていた。

「素敵ではないか。この小屋も、この村も、村の者たちも……。ここを捨てて新しい土地へと向かって本当にいいんだろうか。それでは村の者たちが今まで私らに与えてくれた優しさを仇で返しているようなものではないか」

「ロス?」

 ──ロスの様子がなんだかいつもと違う。大丈夫かな。

「……正直に言おう。私はこの村から出たくないんだ。居心地がとてもいいからだ。だからもうしばらくは……いや、ずっとここに住んでいたい」

「……」

 ペガは言葉に詰まった。どのような声かけをすればいいか分からない。ロスはただ静かにペガを見つめている。そこには哀愁が立ち込めていた。ペガは下をうつむく。

 ──ロスは行きたくなんてなかったんだ。僕が無理やり行かせようとしていたんだ。ロスがそんなふうに思っていたなんて。僕は……

 どんどん負の思考へと陥っていく。ロスはさらに悲しそうな顔をしていた。そしてペガはロスの気持ちを受け入れ始めようとして──

 ──ん? あれ? ちょっと待てよ

「ねえロス、ロスは今何がしたいのかな」

「ん?」

 ロスはペガの問いかけに首をかしげる。
 ペガはもう一度繰り返す。

「ロスはこれから何をしていきたいの」

「だから私はここで平穏に暮らしていきたいと」

 ロスがそう返すとペガは少し黙る。しかしすぐに前を向いた。強い決意を込めて。

「ロス、行こうよ。みんなと一緒に」

 ペガはゆっくりと手を前に差し出す。

 


1−前章 6話 『忘れないもの』 ( No.7 )
日時: 2020/12/17 20:39
名前: ノモケマナ (ID: hDVRZYXV)

 ロスはペガの様子の急な変化に、不思議そうに驚く。だが、

「どうしてだ」

 気持ちは変わらない。何よりも平和を愛しているのだろうか。こちらもなにか決意のようなものを持っていた。

 ペガは手を下げる。だが、そこに憂いはないようだ。

「忘れちゃったのかな。夢を」

 なにかを確かめるかのような質問をする。

「……はっ!」

 ロスはなにかを思い出したようだ。

「忘れてはいないんだね。良かった」

 ペガは穏やかな表情でなにかを安堵したようだ。
 するとゆっくり話し始めた。

「確かにこの村は、すごい良いところだよね。僕だって、そう思う。でも……ずっと、ここに居続けちゃだめだ。きっとそれは、甘えだから。ここに留まっていたらもう、成長できないから。村のみんなも、望んでいることだから」

 ペガは一生懸命に、そしておちついて話し続ける。

「僕もそう思ってた。村から出るのは、ひどいことなんじゃないかなって。だめなんじゃないかなって。でも違うんだよ? 村のみんなはそんなことで怒ったりしない。むしろ出ていかないほうが怒るよ」

 少し笑う。

「村のみんなはとても優しい。本当に優しい。僕たちにも、僕たちじゃなくても、温かい心で接してくれる。そして見返りを求めない。ただ困っているから助けてくれる。感謝を伝えれば笑って受け取ってくれる。そんな人柄に僕も憧れた。そうなりたいと思った。それが夢へと変わった。僕に希望を与えてくれた」

 真剣な顔にさらに力を込める。

「……だから」

 息を吸う。肩に力を込める。腕に、手に、足に、腹に。
 目を大きく見開く。正気が宿る。

 静かに息を吐く

 

 そして

 

 心の



 心からの思いを



 たった一つの思いを



 今……



「だから僕は……」



「僕は!──」



 



1−前章 7話 『大丈夫』 ( No.8 )
日時: 2020/12/18 17:00
名前: ノモケマナ (ID: hDVRZYXV)

 僕はもう耐えられなかった。
 失敗ばかりして、いつも怒られる日々に。
 怖かった。
 自分を必要とされなくなることを。

 だから逃げてしまった。二度目。しかも今は……。

《ペガ様、もう少しでパッシュ村です》

 僕はチューオシティから逃げて、今パッシュ村に向かっている。ピーコを連れて。
 
 チューオシティとパッシュ村をつなぐ道は二本ある。今通っているのはその一方。周りには家や店が多くて賑やかだ。
 もう片方の道は何もない。絶マ地だから。唯一あるのは刑務所くらい。
 だからこっちを通ったけど……。

「いらっしゃい」「今日はカレーだって」「最近は大変ですわねえ」「八百屋さんまで競走だ」「あははは、おかしい〜」

 本当に明るい場所だな。

「道、間違えたかな……」

《え? こちらであっていますよ》

「あ、ごめんね独り言」

 活気的なこの道を通るとなんだかさらに孤独感が増す。

《ペガ様、大丈夫ですか?》

「え?」

《なんだかぼーっとしていらっしゃるので》

「ああ、ごめん。大丈夫だよ。心配かけてごめんね」

 少し前までは本当に独りだった。でも今はピーコがそばにいてくれる。嬉しいけど罪悪感のほうが強い。 僕なんかのそばにいたらピーコも大変なはずなのに……。そうピーコに言ったことはあったけど。

 ──何を言っているんですか。私はペガ様のそばにいたいのです。

 ピーコも独りなのかな。だから僕と一緒にいてくれるのかな。だったらもっといい人がいたらきっと……。

 ──お前はもう必要ない。

「……っ!」

《ペガ様大丈夫ですか!?》

「大丈夫。ありがとうピーコ……本当にごめんね」

 また思い出してしまった。忘れたいのに忘れられない。この言葉に必死に抵抗して頑張った。でもだめだった。

「またやらかしたのかペガ! すぐに片付けろ」「そんなの頼んでないけど」「ありがとねえ、でもちょっと違うかもしれないわ」「さっさとやれ、遅いぞ」「えーつまんなーい」

 えっ? ここでも……。

 ──逃げたい。

 レストランの店長、客、街で会ったおばさん、別のレストランの店長、街で泣いてた女の子。

 ──逃げなきゃ。

 お皿を壊して、間違った料理を出して、頼まれものとは違うもの買ってきて、皿洗いが遅くて、泣き止ませようと変顔して。

 ──みんなが僕を睨んでる。僕の失敗を恨んでる。
 
 ──逃げたい。

 ──逃げなきゃ。

 逃げなきゃ!

《ペガ様!》

 あ……。
 
 何やってるんだ僕。大丈夫。まだ大丈夫。ここではまだ失敗してない。

「ありがとうございました」「えー。人参やだあ」「まあでも夫が言うにはねえ」「家まで競走だ」「あははは、おもしろ〜い」

《ペガ様……。村についたらすぐに宿で休んでくださいね》
 
「ピーコは心配しすぎだよ。まだ大丈夫だから」

《……》

 そうだよ。大丈夫だよ。大丈夫大丈夫。

「あ、村がもう見えるよピーコ」

《はい……》

「楽しみだなあ、どんな場所だろ」

 今度は失敗しちゃだめだ。そしたら……。

《ペガ様、辛いことがあればピーコに相談してくださいね》

「ありがとう、でも大丈夫。ピーコは優しいね」

 ピーコもそばにいてくれる。だから大丈夫。

 大丈夫大丈夫。




 







 

 

Re: アニマルラミナーズ ( No.9 )
日時: 2020/12/19 13:21
名前: 坂蜻蛉 宙露 (ID: lCrRYYeA)
参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no=12899

ノモケマナさん、初めまして!
同じコメディ・ライト板で小説を書いています、坂蜻蛉 宙露と言います。

『アニマルラミナーズ』読ませていただきました。
この不思議な感じ、自分は好きです。
ピーコがめっちゃ可愛くて、一番の推しかも知れませんw

たまにになってしまいますが、読みに来るので頑張って下さい!
それでは(^-^)/

Re: アニマルラミナーズ ( No.10 )
日時: 2020/12/20 09:50
名前: ノモケマナ (ID: hDVRZYXV)

>>9

 坂蜻蛉さんこんにちは!『アニマルラミナーズ』をお読み下さりありがとうございます。
 嬉しいコメントが来て作者は舞い上がってしまいました(^_^;)

 ピーコはなるべく健気な感じにしたかったので、かわいいと言ってくれて良かったです。

 たまに見に来てくれるだけで嬉しいです。更新速度は遅めですが今度とも『アニマルラミナーズ』をよろしくお願いしますm(_ _)m


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