コメディ・ライト小説(新)
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- 強きおなごになるのじゃ!
- 日時: 2020/11/29 12:04
- 名前: ぶたの丸焼き ◆ytYskFWcig (ID: nnuqNgn3)
ぶたの丸焼きです。今作で第ニ作目となります。
今作は幼い少女が障害を乗り越え成り上がっていく話です。皆様、お付き合いよろしくお願いします。
《目次》
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1 >>02
2 >>08
3 >>09
4 >>10
5 >>11
- Re: 強きおなごになるのじゃ! ( No.1 )
- 日時: 2021/10/29 16:21
- 名前: ぶたの丸焼き ◆ytYskFWcig (ID: UMqw536o)
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舞台は、闇夜の来ぬ《不夜国》。この国は夜が闇に覆われることの無い、なんとも不思議な国である。
それだけではない。この国では、その文化をはじめとし、不思議で奇怪なもので溢れている。
例えばそう、この国の民の見た目である。この世界には、赤い民族は存在しない。しかし、この国の民の髪は、燃えるような赤色なのである。この国では、遥か昔より〔紅染め〕と呼ばれる伝統の儀式がある。子供が十三の歳を迎えると、《蘇芳湖》という、国の西の端にある湖で、秋の酉の刻にその儀式を行うのだ。すると髪は赤色に染まり、そこで初めて、不夜国の国民として認められるのだ。
- Re: 強きおなごになるのじゃ! ( No.2 )
- 日時: 2020/11/17 15:26
- 名前: ぶたの丸焼き ◆ytYskFWcig (ID: taU2X.e0)
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「姫様、お待ちください!」
「待たないも~ん」
従者たちにあかんべえをするこの国の第十ニ皇女、丹 桜綾。長い赤紫の髪を風になびかせ、深い紫の瞳はキラキラと輝いている。
桜綾とその従者は、しばらく庭園でおいかけっこをしていた。が、すぐに桜綾に撒かれてしまい、従者はため息をついた。
「姫様ったら、また翠蘭様のところへ行ったのかしら?」
「そのようですね」
「行くならお付の者を連れていってくださいとあれほど……。
言っていても仕方無いわね。翠蘭様へ鳩を飛ばしましょう。早く!」
______________________
「ふぅ。うまく逃げられたみたいね」
桜綾は息をついた。庭園の木々の間をすり抜け、抜け道を通ると、森に出た。
「豪豪~!」
桜綾の声がこだました。
ガサガサガサッ
木々の葉っぱが擦れる音がした。
ガサッ
緑の葉っぱと共に、少年が降ってきた。
子豪は桜綾の幼馴染み。幼い頃からよく王宮を脱け出していた桜綾は蘇芳湖のほとりで子豪と出会った。
「よう、子綾。今日は遅かったな」
ニヤニヤしながら子豪が言う。
子豪はもう紅染めの儀を終えていて、髪は真っ赤に染まっている。少しつり上がっている意地悪そうな目は、、橙色に光っている。
「ちょっと手こずっちゃってさ」
えへっと桜綾は笑った。
「じゃ、行くか」