コメディ・ライト小説(新)

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転生令嬢は平穏に過ごしたい
日時: 2021/12/20 00:50
名前: 鹿蜜柑 (ID: rI.z0PpX)

高校卒業後すぐに交通事故に遭った少女。
そんな彼女の人生はあまり恵まれたものではなかった。
家と学校で孤立し上手く行くことはなく
誰一人として彼女の心の内を知る者はいなかった
そんな彼女はどういう訳か転生した。
誰からの愛を感じる事なく、また新たに生を受けた彼女は
果たして愛され、又愛す事は出来るのか。

これは、ただ平穏に(ぐうたらして)生きたいと願い、
(周りも巻き込んで)波瀾な人生を送った女の話である。

※基本コメディです。恋愛はだいぶ後かと...

目次
プロローグ
1話>>01 2話>>02

第一章 【新たな世界で踏み出す一歩】
3話>>03 4話>>04 5話>>05
6話>>06 7話>>07 8話>>08
9話>>11

Re: 転生令嬢は平穏に過ごしたい ( No.4 )
日時: 2021/06/05 19:41
名前: 鹿蜜柑 (ID: g1CGXsHm)

いつもより少し豪華な服を着て、髪も編み込んでもらい準備は終わった。

「さーてお嬢様、後はダイニングルームに行くだけですよ。」
「うん。行こっか」

後はダイニングルームに行くだけと言うけど、
多分体育館ぐらいの大きさじゃないか?と思うほどの地味に大きい家と
ダイニングルームから一番離れているこの部屋、
極め付けには私のまだ小さい歩幅、疲れないけど結構面倒なのだ。
動くのはあんまり好きじゃない。

「そうですかぁ、もうお嬢様は3歳なんですね。時の流れは早いです。」
「そう?」
「はい。お嬢様、これからもっともっと楽しい事が増えますよ。」

楽しい事、か

私の前の人生、私が覚えていないだけで多分楽しい事は多くは無かったけど
少なからずあったはずだ。
でも、その楽しかった思い出さえ私は忘れてしまった。
人間、楽しかった事は苦しかったり悲しかったりする事よりも
いとも簡単に忘れて、嫌な事だけは忘れさせてくれない。
ずっと、ずっと、身体にこびりつくかのように

私だって覚えているのは、
苦しくて、悲しくて、妬み羨んで、
誰かに愛されたかった。
誰かに自分を見て欲しかった。
何処かに自分の居場所が欲しかった。
そんな感情ばかりだ。

「ベル、楽しい事これから一杯増えるかな?」
「はい、もちろん。このベルが保証しますから!」
「それは頼もしいな」
「へへっ、あっ、着きましたよ。さあ」

ダイニングルーム前のドアがベルによって開けられる。

「「「「「お嬢様、お誕生日おめでとうございます!!」」」」」
「リリア、誕生日おめでとう」
「リリアちゃん、お誕生日おめでとう」

びっくりした、皆いる。
今日休みの人までもが。
大きいと思ってたけど、ここまでとは思わなかった。

「どうですかお嬢様、今日は私が声をかけて皆に集まってもらいました。」
「あ、ありがとう…」
「さてさて、今日は名一杯楽しみましょう!お嬢様の誕生日なんですから!」
「うんっ」

ああ、そうだ。そうだった。
前の人生の時、私が5歳の誕生日の時かな。
まだ、お母さんは再婚もしてなかったし、
妹も生まれてなかった。

お母さんは、ちょっと無理をして、
私のためにケーキ屋さんの高いケーキを一切れ買ってくれた。
お母さん自身はお腹が空いてないから、私が食べなさいって言ってくれた。
子供心にそれは嘘だって分かったけど、
私を思ってくれるのが嬉しくて全部食べた。

それから、お母さんは再婚して、妹が生まれて、
家庭は妹が第一優先になった。
そこに私の居場所はないように思えて虚しかった。

でも、私は確かに前の人生で私を見てくれる人がいた。
それだけで、私は何故だか救われたような気がした。
他の人から見るれば、何だそれは。となるかも知れないが私にとっては中々重要なのだ。


「皆、本当にありがとうっ!」

この日、私はこの世界に生まれて初めて
心から笑えた気がした。

Re: 転生令嬢は平穏に過ごしたい ( No.5 )
日時: 2021/04/19 15:46
名前: 鹿蜜柑 (ID: XlZuYEFz)

「暑い」

そう、暑いのだ。
私の誕生月は5月。それから2ヶ月が経ち、もうすっかり夏だ。
私が暑いと言葉を漏らしたのは悪くないだろう。

ここは日本ではないし、文明は現代ほど進んでいない。
そもそも文化も西洋の文化に似ている様に感じる
ラノベでよくある、中世ヨーロッパよりは随分文明が進んでいるが
現代並みの生活は出来ないのだ。

つまり、クーラーという人類の革命とも言える物もない。
それどころか扇風機すら無いのだ。
前の世界の様に異常気象だということでも無い、
なので気温自体は前の世界よりは低いのだが、暑いものは暑いのだ。

だからと言って、これまたラノベでよくある無いのなら自分で作ればいいじゃないか
が出来るほど都合よく知識があるわけでも無い。
物理なんて1番嫌いだったわ。物理だけは本当に無理。

まあ、言いたい事は1つ『暑い』
これに尽きる。
夏は嫌いだ。

「お嬢様ー?大丈夫ですかー?お水、ありますよ?」

グデっとしてバテている私を見かねて、
水をベルが持ってきてくれた様だ。

「ありがとうベル」
「いいえ。どうぞ」

入れてもらった水を見てみると氷が入っていた
おかしい、前の世界では昔は氷が超貴重品で
宮中でしか食べられなかったとされている筈だ
文明が現代程進んでいないこの世界では
同じだと思っていたのだが違うのか?
私は首を傾げた。

「ベル、これ氷?」
「はい、そうです」
「氷、手に入れる事って出来るんだ」
「手に入れるというか、作りますね」

文明は私が思っているより進んでいた様だ

「製氷機ってあるんだ」
「製氷機…ですか…。」

ベルは俯き深く考えてるようだ。

「え、製氷機って無いの?」
「お嬢様の仰る製氷機という物は私の知る限り、この国には無いです」
「じゃあ、どうやって氷を作っているの?」
「魔石を利用するんです」
「魔石っ!?」
「わっ、大丈夫ですか?」
「い、いや、何でも無いよ」

この世界はそんなファンタジーだったのか?

まだまだこの世界について何も知らない。
この世界について学ばなければならないなと思った
今日という日だった。

Re: 転生令嬢は平穏に過ごしたい ( No.6 )
日時: 2021/05/01 13:12
名前: 鹿蜜柑 (ID: 37dL3AlA)

まさか、そんな魔石とやらがある世界とは思っていなかった。
いや、転生する時点でおかしいと思うけど、そこは置いておこう。
まあ気を取り直して、この世界について調べなければならない。

調べる訳だが、そもそも私は一般常識すら知らない三歳児だ。
本で調べようかと思ったがそんな世界の一般常識が全て載ってある本なんて無いだろう。
つまり、ラノベで良くある図書館や書庫に行って調べようとするより
人に聞いた方が何倍も楽だ。
まあ、専門的に知識をつけたい場合は本で調べる方がいいのだが、
今回は、人に聞く事にする。

早速、ベルに聞こうと思ったが困った事に姿が見当たらない。
多分、何かの仕事を言いつけられたのだろう。
私付きの侍女とはいえ、ずっと私のそばに居る事はない。

それはともかく、ベルが居なかったら誰に聞こうかという話ではあるが
今、時間に余裕がある筈の母親に聞く事にする。
丁度、仕事が落ち着き、昼休憩の時間だ。
休憩を潰してしまう事は申し訳ないが、私も好奇心には勝てないのだ。

早速、部屋に向かう。
と、歩いている途中に喋りかけられた

「あら?お嬢様。どうなさったのです?」
「ああ、エリス。ちょっと聞きたい事があって母様の所に行こうと…」

喋りかけてきたのはエリスだった。
エリスは母様、母親付きの侍女だ。
丁度出くわしたらしい。

「そうなんですね。お嬢様はお一人の様ですし、
 私も奥様のお部屋に戻る所ですから、一緒に行きましょうか。」
「うん。ありがとう。」

一緒に行ってくれるらしい。
多分、一人でいるのを見かねてだろう。
これでも一応3歳児だ。
少々、変わった所がある事で有名な私なのだが…

「それにしても、珍しいですね。
 いつもは歩くのすら面倒臭いと仰っているのに」
「ハハ、たまには私も自分から動く事はあるよ」
「まあ、そうですかね?」

いつもは、人に何か言われなければ自分からは中々動かないから
自分から動くとこの様だ。
言い訳させて貰うと、幼児はやけに眠くなるから体を動かす気になれないし
ちょっとの距離を歩いただけで中々の体力を奪われる。
そして私は生粋のインドア派なのだ。
しんどい思いをしてまで体を動かそうとは思わない。
しかし、なんと酷いあり様。もうちょっと自分から動こうかな。

そんな事を考えている内に部屋に着いた様だ。
コンコンっと小気味の良い音が鳴った。

「奥様、お嬢様がお越しです。」
「そう!入って頂戴。」

扉が開かれ、私は部屋の中へと足を踏み入れた。

Re: 転生令嬢は平穏に過ごしたい ( No.7 )
日時: 2021/06/05 19:06
名前: 鹿蜜柑 (ID: g1CGXsHm)

部屋の中に入ると案の定、休憩中の母様がいた。
少し驚いた様な表情をしている。
やっぱり邪魔をしたのかな、なんて考えていると母様が口を開いた。

「リリアが私の部屋に来たのは初めてね。ちょっとびっくりしちゃったけど嬉しいわ。
どうしたの?遊ぶ?今は休憩中だから時間が来る限り一緒に遊べるわよ?」

ちょっと罪悪感があったから母様が歓迎してくれて良かった。
なんてちょっと安堵しながら、本来の目的を伝える。

「母様、今日は色々と質問したくて…」
「そうだったの、良いわよどんどん質問して。出来る限りちゃんと母様答えるからね」
「ありがとう母様」

母様は可愛い。
顔も確かに整っていて、とても可愛い事はさる事ながら性格も可愛いのだ。
ちゃんとしなきゃいけない所はちゃんとしているけど、どこか抜けているところがあってこれが庇護欲を誘うというものではないかと思う。
母様をお嫁さんに出来た父様は、どんな徳を積んでいたのだろうか。

「じゃあ、何が聞きたい?」
「まずは、自分の事とか家族の事から聞きたいなと」

そう、まずはここからなのだ。
情報収集を怠っていたら、自分や家族の事さえ碌に分からなくなってしまった。
まあ、そこまで聞く事は無いとは思うけど。

「そうねぇ、どこから話そうかしら。
取り敢えずリリアちゃんの正式な名前からにしましょうか。」
「名前…。」

そういえば、名字とかも知らなかった。
ちょっと耳に入った事はあったかもしれないけど、
興味が無かったから記憶から抹殺されている。

「そう。リリアちゃんの正式な名前は、
リリア・サルビア・ファン・グローリアよ」
「え?」
「リリア・サルビア・ファン・グローリアよ」

やけに長いと思うのは私が前世で日本人だったせいなんだろうか?
ヨーロッパの方ではミドルネームなどもあり、名前が長くなっている人も
いたとは思うけど。
この国もそんな感じなのか?なんて思いながら母様に質問する。

「な、長いんじゃ?」
「まあ、ちょっと長いわね。」
「他の人はここまで長くは無い?」
「まぁ、一般的にはそうねぇ。この家はちょっと特殊だから」

家に特殊も何もあるものなんだろうか

「特殊ってどういう事?」
「父様はね、先王様とその正妃様との唯一の息子なの。
でもまあ、色々あって側妃様の息子さんが王様になったの。
そして、父様はちょっと面倒くさい立場になって
臣籍降下するのもちょっと厄介だし、それなら王族のままにしようって
事で新しい家名と、今までの王族の家名を与えられる事になったの。
だから名前がちょっと長くなっちゃたの
ちょっと難しく説明しすぎちゃったかしらね。」
「い、いや、大丈夫だけどちょっと待って母様」

いや、大いに待って、情報量が多すぎて頭がパンクしそう。
ツッコミ所が多すぎる。
まず、父様が先王様の息子って何?
しかも、色々あって側妃様の息子さんが王様になったっていうところに
闇を感じるし、父様、厄介払いされてるじゃん。
え、つまり、王族って事?ちょっと裕福な商家の娘くらいに思ってたんだけど、
え?本当に何?
めちゃくちゃ複雑な立ち位置じゃないか。

「大丈夫?リリアちゃん」
「あぁ、はい。多分大丈夫。」
「そう、でも、無理はしちゃダメよ?」
「はい」

なんか、心配されるっていいな。
なんて、こんな時に思う私はちょっと変だろうか。
とにかく、今日の所はここでおしまいにしておく。
結局情報量は多かったけど、自分の事と家族の事のちょっとしか聞けなかった。
けど時間は有限なのだ。母様もこれ以上私が居座ったら面倒だろう。

「じゃあ、もう部屋に戻ることにします。」
「そう、この時間帯ならいつでも大丈夫だからまた来てね。」
「はい。ありがとうございました。」

今日、母様の部屋に来てよかったな、なんて思いながら
私は部屋へと戻った。
たまには、自分から動く事も大切かもしれない。

Re: 転生令嬢は平穏に過ごしたい ( No.8 )
日時: 2021/07/11 18:25
名前: 鹿蜜柑 (ID: OVfZIdxh)

部屋に戻るとベルが居た。
すでに帰ってきていた様だ。

「ベル、帰って来たんだ。おかえり」

すると、ベルが飛び付いてきた。

「お嬢様ぁぁ、どこに行っていたのですかぁぁ。
いつも、部屋でぐうたらしているじゃ無いですか。
動けと言われてもちょっとや、そっとでは動かないお嬢様が、
私がちょっと仕事から抜け出した間に居ないじゃないですかぁぁ。
今日に限ってなんでなんですかぁぁぁ」

なんか、軽くディスられている気がする。事実だけど。
しかも、仕事放棄してるし。大丈夫なのだろうか?
バレて、クビにならなければ良いけど。

「まぁまぁ、落ち着いてベル」

それにしても謎なのは、私が自分から部屋を動く事は食事以外は、
ほぼと言っても良いほど無いけど、人に言われて少しの間なら動く事は珍しく無い。
帰ってきて部屋に私が居なかった所で、ベルがここまで慌てる必要は無いはずだ。
そもそも、大体の私のスケジュールは把握しているはず。
しかも、私がふらっとどこかへ行っても、意識して隠れない限り
全員とは言わないが何人かの使用人さん達は分かるはず。
聞き込んでいけば、簡単に私の居場所なんて分かるのだ。

ここまで考えると、更に謎が深まる。
いや、単に仕事を放棄して帰ってきたら私が居なかったから慌てて、
そんな事も忘れた可能性もなくは無いが。いや、大いにある。
この場合そんなとこだろう。

「ベル、何でそんなに慌ててるの?私が部屋に居ないことなんて
そこまで珍しい事では無いし、
私の居場所なんて他の人に聞けば良いんじゃ?」
「確かに。ちょっと慌ててたみたいです」

やっぱり、ただ単に私の考えすぎみたいだ。
でも、それを考慮してもベルがここまで慌てるのは珍しい。

「ここまで慌てるなんてベルにしては珍しいね」
「いやぁ、それが帰って来たんですよ」
「誰が?まさか…」

いや、そんな筈が無い。
ここ暫く居なかった筈だ。
だからこそ、私は母様に聞きに行ったのに。
いや、居ても母様に聞いているか?
まあ、そんな事は置いておいて、

「父様が帰って来たの?」
「はい、この家も賑やかになりそうですね。ハハハ」

父様は少し一風変わった人だからな。
良い人には違いないが。
しかし、ベルは父様が帰って来たから慌ててたのか?
余り話が繋がらないが。

「それにしてもベル。父様と会って慌てたの?」
「それがですね、旦那様が帰って来た時バッタリと会いまして、
私はその時丁度仕事を抜け出し私用に出かけて、帰って来た所だったので
中々緊張してたんですよ」
「ベル。クビにだけはならないでね」
「縁起でもない事言わないでくださいよぉぉ。
ああ、本当にクビになったらどうしよう」

ベルは悲痛な顔をしながら天を仰いだ。
そんなに嫌ならサボらなければ良いのに。
まあ、事情があったのかもしれないけれど。

「ま、まあ、話は戻しますけれど、旦那様とバッタリ会った時言われたんですよ。
そして、何も知らないはずの旦那様が、」

ベルが父様の真似をしながら口を開く。
ちょっと面白い。

「やあ、久しぶりベル。ちゃんと仕事してるかい?
もしかして、サボってたとか?
はははっ、冗談だよ。そんなに慌てないでも良いじゃないか。
それとも本当にサボってたとか?
おっと怖いなあ、そんなに睨まないでくれよ」

ベルやっぱり図星言われて焦ったのか。
あと、何かをされた訳でもなく雇い主を睨まない。
ベルは本当はクビになりたいのだろうか。
そうとしか思えなくなってきた。

「まあ、それよりも、リリアはどうしている?
リリアの事だ。僕が家から離れていた1ヶ月と13日の間に
美しく、聡明に成長している事だろう。
リリアは天から舞い降りた天使に違いない。きっとそうだ」

父様の目はフィルターがかかっているらしい。
本当に医者に行く事をおすすめする。

「あんなに、美と聡明さに満ち溢れた人間は、ソフィアとリリア位だ。
僕はソフィアとリリアが妻と子供で居てくれるとは、
なんて幸せな人間なのだろうか。
ああ、すまないね。ちょっと喋りすぎた様だ。
いやあ、リリアとソフィアの話をし始めると止まらなくてね」

私の事については反論したいが、母様が天使なのは父様に同意する。
父様、母様と結婚できて良かったな。

「さて、最後にサボった疑惑のあるベル君に
ちょっとした問題を出す事にしようかな。
内容はリリアは自分の部屋にいるか否か
先程ベルに睨まれた事で僕のナイーブな心はズタボロなんだよね。
ん?僕に心はナイーブなんてものじゃないって?
まあ、僕の心がナイーブかどうかは置いておいて
この問題が解けなかったペナルティーは、どうしようかな…
この前休憩場にあったお菓子を全部食べた事を
皆んなにチクろうかな」

これは完全にサボったことバレてるな。
しかも面倒な話に付き合った挙句冷や汗をかく事になるとはベルも災難だな。

「ちょっと困っているベル君にヒントを差し上げよう。
今日はリリアの部屋の窓が開いている。
ん?いつもの事ながら部屋に居るって?
まあ、答えは部屋に行ってみて自分で見てきてね。
あもういい加減中に入るとするよ。面倒な話に付き合わせて悪かったね。
ご苦労様」

ああ、これで部屋に戻ってみたら私が居なくて慌ててたのか。
謎が解けた。いや、謎というほどでもないけど。
スッキリした。

「と、こんな感じに旦那様が言ってきて、あ、ちなみに私は無理でしたが
お嬢様と奥様への愛のスピーチ的な所は一回も止まることなく言っていましたよ。
いつものことながら、心を無にして聞いていました。
この地に生まれて16年彼氏いない私には、ちょっときつかったです」

ベル、今まで彼氏がいた事なかったんだ。
なんか、更に親近感が増した。
しかし父様、母様と両思いでなかったらただの怖い人じゃないか。
いや本当に、母様と父様が結婚できていて良かった。

「それで、最後に出された問題が、絶対に合っていると思ったら
お嬢様が居なくて焦ったと言うのが事の文末です」
「ベル災難だったね」
「まあ、自業自得なんですけどね」

しかし父様、窓を見ただけで私が居ないか居るかを瞬時に判断出来るのは凄いな。
後、良い人には間違いないが中々面倒な雇い主だ。
けれど、私や母様といる時はもう少し落ち着いている人の筈なんだけどな。

「それにしてもお嬢様はどこへ行っていらしたんですか?」
「ちょっと母様の所に質問したい事があって」
「そうなんですか。どんな事を?」
「色々と。一般常識とか。結局余り聞けなかったけど」
「それなら私が答えましょうか?
一応、今日は抜け出すためにお嬢様関連以外は
仕事を終わらしてきましたから」

思ってもみない好機だ。とてもありがたい。
後、私関連以外仕事を終わらしている辺り、有能さがうかがえる。

「ありがとう。ぜひお願いしても良いかな?」
「はい。この世界の一般常識ならお嬢様が何を求めているか
何となく分かりますから。
まずは、魔石の話をしましょう。」


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