コメディ・ライト小説(新)
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- __今、染まってしまえば、本当に成れそうで【改訂版】
- 日時: 2020/12/05 17:42
- 名前: 真朱 (ID: YAHQda9A)
クリック有難うございます!そしてお久しぶり&初めまして、真朱と言います(ちょっとクセ強い名前(꒪꒳꒪))。初めての小説投稿から何ヶ月か立ちましたが、多忙でいろいろと休んでおりました…。また小説を追加していくのもごちゃ付いちゃうな〜と思ったので、新たにスレッドを立ててリニューアルバージョン(?)として書き直す事に致しました!前よりは国語力上がっている…はずなので、どうか最後まで見守って下され〜。
【スレッド設立日】
2020/11/27
【あらすじ】
櫻庭家の養子として育てられてきた紅優。櫻庭家の次女として育てられてきた紅虹。境遇は違えど、それぞれ悩むのは変わらない。2人の少女の間で起こる笑いあり、悲しさあり、3年間の物語…。
#登場人物>>01
#一気に読みたい方向け>>01-11
【4月】
4月編を一気に読みたい方向け>>02-11
#1>>02 #2>>03 #3>>04 #4>>05 #5>>08
#6>>07 #7>>08 #8>>09 #9>>10 #10>>11
#11>>12 #12>>13 #13>>14 #14>>15 #15>>16
- Re: __今、染まってしまえば、本当に成れそうで【改訂版】 ( No.7 )
- 日時: 2020/12/01 17:02
- 名前: 真朱 (ID: YAHQda9A)
#6 「1時間半前」
7時00…。
入学式まで残り1時間半を切った。
「_____っ。____優。」
何か聞こえる。
何か________
「紅優。」
「…えっ。」
「スマホ。鳴ってる。」
自分のスマホを見ると、何か着信していた。
______…私、こんな時間にぼーっとしてたのか…。
スマホの画面を覗くと、『紅優、そっちの家行くね〜。8時頃に呼び鈴押す。』と言う文字。
どうやら15分前に来たものらしく、発信元は陽和だった。
今は7時50分。
…と言う事は、約束の時間まであと10分程度である。
_______…急がなきゃ。
朝食を一気に食べ終えると、皿をキッチンの方にキレイに置いておき、勢いよく歯を磨いた。
そしてその後、私はかばんも持ち、準備万端。
…と思いきや、紅虹は口を開いた。
「…紅優。少し話があるんだけど。」
少し戸惑う。
そりゃ、約束の時間までもうすぐなのだから。出来るだけ早く済ませて欲しいのだが…。
こちら方向を向いてきた紅新は米を頬張っていて、少し子供っぽい。セーラー服のネクタイは少し緩いし、スカートは「邪魔くさいから」という理由で少し翻されていた。
何か真剣な物を語るのか、彼女は米粒を口に付けながら姿勢を改めた。
あんな能天気な彼女がいきなり、どうしたのだろう。いつものように、奇想天外な行動は飲む事が出来るがここまで改まった表情は___見た事が無い。もしかして、悩みでもあるのだろうか_____
「紅優。もし高校で、良い男子見つけたら紹介してよねっ。あ、私もう出るから。」
「…は?」
そう言うと、彼女は皿を片付けぴょいっと行ってしまった。
やはり能天気なのは変わらない…そう思う途中で、呼び鈴が聞こえてきた。
- Re: __今、染まってしまえば、本当に成れそうで【改訂版】 ( No.8 )
- 日時: 2020/12/01 19:48
- 名前: 真朱 (ID: YAHQda9A)
#7 「ドキドキしてるからさ」
「ちょっと早くないかな?」
玄関先から軽快に足を運ばせると、目の前には陽和が澄まし顔で立っていた。少しイラッとくるかもしれないが、彼女は憎めないものである。
まぁ、元々。入学式の日は8時前後に集合と言っていたので遅れているわけではないし、早すぎるわけでもない。
「えーっと。なんかドキドキ感ってやつじゃない。ほら。気分が上がるというか。」
「まぁ、支度が終わってたから別にいいんだけど。」
しょうがなく愉快そうな陽和に付いて行く。
何も悩みが無いと言うのは、こういう事なのか_____?
春。
…言わなくても分かるか。辺りは桜一面であり、見惚れるものだった。本当に、白いキャンバスに絵の具が落ちてしまうような____美しさと儚さだった。
辺りを見回すと、やはり高校生たちで溢れかえっている。私はただ不安感を抱えながら、高校の事を想像していた。
話が少しズレるが、『稔川高校』について。
地元では有名な“稔川”流域のすぐ近くにある。
ここらへんでは毎年夏祭りが開かれ、日に日に伝統そのものに成りつつある。
流れは緩やかであり_____いや、緩やかすぎるからか、夏になると子連れの大人や小学生の溜り場へと変貌を遂げる。
「もう稔川見えてきたね。もうすぐじゃない?」
陽和が横手にあった稔川を指差す。
その風景はやはりいつも通り。幼い頃、夏祭りで綿飴を買った風景と変わっていなかった。
とにかく、この川。微風が心地良い。
悩みがある時にここへ訪れると、周りの風景が心を包み込んでくれるよう…。そして悩みらしき何かが飛んでいく。この後予定がないなら、ここで一日中過ごしていたい気がある。
「そう言えば、知ってる?稔川の話。」
「稔川の話…?聞いた覚えがないけど。」
地元民の私でさえ知らない。
“話”と言うのは、伝説や言い伝えなのかもしれない。幼い頃から稔川についての話はよく聞いてきた。稔川の周辺には霊が住み付かないとか____4月4日には女性の声が聞こえる_____どれもオカルト関係だが、それしか聞いたことがない。
「知らないの?…ほら、晴れてる日に川の流れが遅いと、良い事があるんだよ。」
「いい事…かぁ。」
彼女を耳にしながら、稔川に視線を向けると晴れ空の下で緩やかな水を流している稔川が見えた。
- Re: __今、染まってしまえば、本当に成れそうで【改訂版】 ( No.9 )
- 日時: 2020/12/02 17:25
- 名前: 真朱 (ID: YAHQda9A)
#8 「クラスは?」
厳かすぎた入学式。
辺りは驚くほどしんとしており、息の音が漏れるのも申し訳ないくらいだ。高校とあってか、新入生の数はとてつもなく多く、言い方は悪いが『黒ごま』がどっぷり流れているのか____と思うほどであった。
此処、『稔川高校』____『稔川高等学校』は部活動共にイベントが盛んな高校である。最寄駅は『稔川駅』、『新稔駅』…と言う感じであり、他の地区からの生徒も多数入学してくるそうだ。高校の近くにはショッピングモールや有名チェーン店、ゲームセンター、カラオケが多数あり、放課後に友達とブラつく生徒が多い。
偏差値は、平均偏差値からほぼほぼ高い程度。簡単に言えば、偏差値60程度の上位校である。稔川高校はここらへんでは珍しい公立であり、だいたいの中学生がそこを志望校として選ぶようだ。それだからか、同じ中学の仲間と新学期早々テンションを上げていく生徒も結構居るらしい。
________新入生結構居るな…。
今年の新入生は、なんと310人越えであり通常の新入生より20人ほど多い。クラスの数は6クラスらしい。
入学式も遂に終わりを遂げると、新入生の雪崩はクラスが書かれた掲示板へ向かっていった。この状況、どの視線で見ても混んでいるとしか思えず仲良しと同じクラスになった___ならなかったで嘆いたり喜んだりしている生徒が何人か居た。
「紅優____。」
振り返ると、陽和が手を振っていた。
そしていつの間にか私は、磁石に引き寄せられるように彼女の元へ向かっていた。
「ごめん、ちょっと混んでてはぐれた。入学式の席、何処だったの?」
陽和の近くにつくと、まずは声を発した。
すると彼女はこっちを見て、口を開き始めた。
「2列目の1番左。紅優はどうだった。」
「ん…1番後ろかな。ちょっと見えにくかった。…あ。そう言えばクラス名簿確認した?」
「まぁ、一応。5組。そっちは?」
陽和が尋ねる。
このクラス発表のドキドキ感は毎年一緒だ。この容赦ない体験を小学1年生の頃からやってきたのだが…まだ慣れない。
私は恐る恐る、掲示板に近付いた。
- Re: __今、染まってしまえば、本当に成れそうで【改訂版】 ( No.10 )
- 日時: 2020/12/05 17:30
- 名前: 真朱 (ID: YAHQda9A)
#9 「見たくないけど見たいんだけど…」
掲示板。
ここには、クラスごとの名簿が
「紅優?」
「____あ。ごめん、ボッーとしてた。」
陽和は心配そうにこちらを見つめてきた。
彼女は私よりしっかり者である。きっと彼女なら、新しいクラスで友達が居なくてもすぐさま作ってしまうだろうに_____。
「まだ見つかんないの?紅優って前の方じゃない?」
「あっ。そっか…。」
気が動転したのか、上の方ではなく下の方を見てしまっていたようだ。気を取り直して、左端の1年1組から名前を見ていく。
_____… 担任 津野 真理
青木、新井、新木、飯塚、井口、江原、大野、金森…………………。
艷やかな目を動かしても、まだ見つからない。
それに『お』から『か』へ移り変わっているということは、このクラスに私はいないという訳である。
そして横にズレて2組。
そもそも出席番号1番目から『か』で始まっている訳であり、ここにも____いない。
更に横にズレて3組。
岩城、小野、加濃…。これまた居ないのである。
そもそも、『櫻庭』なんて結構目立つものなのだからすぐ見つかるはずなのだが_____。
「と言うか、今何組まで見た?」
「…3組。」
弱音を吐いてもしょうがない…。
そんなでは、毎回新学期に心が潰れてしまうであろう。そして残念ながら、こんな苦しい塊と、社会人になるまで闘わなければならないのだ。
「____じゃあ。4組飛ばして5組のとこ見ればいいじゃん。」
「…は?」
「時間の無駄だし。いいんじゃない、それで。」
そのような肝を潰すことなど出来るのだろうか。
しかし、早く結果を知りたい気持ちもあるし早く教室へ向かいたいという気持ちもある。
私は覚悟を決めて、5組の欄に目を飛ばした。
『5組 担任 日田 香音 …鵜飼、卯月、恩田、櫻………………』
その瞬間、何かが抜けたような気がした。
『櫻庭 紅優』
- Re: __今、染まってしまえば、本当に成れそうで【改訂版】 ( No.11 )
- 日時: 2020/12/05 17:30
- 名前: 真朱 (ID: YAHQda9A)
#10 「メモだけだった」
今日はメインイベントはクラス発表だけだった。だがその後、各生徒教室に入るというものがあった。だが…教室に入ったものの、教室においてあったアンケート用紙に記入しただけだった。
その後、私は陽和と共に自宅に帰ろうと思ったが残念ながら中学時代通っていた予備校へ挨拶_____と。予定があるらしい。少し残念だが、今日は1人で帰ることにした。
高校生ではあるけれど、独りで帰るなんて少し寂しい。それだからか、私はいつもより小走りで自宅へ足を早めた。
本当なら放課後、高校近くの“稔通り”に身を寄せるというスケジュール稔通りと言うのは、数々の店が集まるもので、言わば『繁華街』のようなものだ。だが独りで行くのもアレであるから、通りではなく自宅側に方向転換せざるを得なかった。私は少し息を吐き、通り側を見てみると、案の定賑わいを見せていた。その光景からまは、少し羨ましさを感じる。
「ただいま_____。」
「お帰りなさいませ。」
玄関で靴を脱いでも、使用人の声の他に何も聞こえない。…紅新がいるはずなのだが。少し疑わしさを感じた足取りで、リビングに向かうと_____蛻の殻だった。
紅虹が気に入っているソファにも、いつもアイスクリームを漁っているキッチン付近にも、人気ひとけは全くしなかった。
「あれ、紅虹はどこへ行ったんですか?」
「さあ…分かりませんが、帰宅するなりすぐお外へお出かけになりました。」
「ああ…そうですか…。」
__________…使用人も分からないのか…。
要件も伝えないで外に出るなんて、珍しい。紅虹はいつも要件を伝えてから外へ出るのに…。
「あれ…紙…?」
辺りを見回していると、偶然紙を見つけた。
『ちょっと友達と遊んでくる 紅虹』